レスポンス速度の割には少し残念?COREPRESS CLoudのベンチマーク

COREPRESS cloud(コアプレスクラウド)はGMOデジロックが運営するWordPress専用のレンタルサーバーです。他にも有名なコアサーバーやバリュードメインを運営しています。特徴は初期費用無料で500円/月から手軽に利用できることでしょう。他にもステージング環境(テストサイト機能)を備えていることも大きな特徴です。WordPress専用にチューニングされたキャッシュシステムによりレスポンス速度も上位レベルのものになっています。

レンタルサーバーを検討する際、重要なポイントはウェブサイトのレスポンス速度です。表示速度が遅いと訪問者にストレスを与えてしまい、何一つ良いことはありません。もう一つは、サーバーの処理性能です。アクセスが多くなったときの安定性は、処理性能に左右されるといっても過言ではありません。

この記事ではCOREPRESS Cloudの処理性能を評価した結果を掲載します。サーバーの処理性能はレスポンス性能や安定性能に大きく影響するため、レンタルサーバー選びでは重要な要素です。

測定方法

WordPressをインストールしたウェブサイト(サーバー)を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
    • 1記事ごとの生成処理を含む
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp insert post、wp delete post

これらの処理を 5分間隔 で実行し、一連の処理時間を測定します。つまり、 PHPとデータベースの処理性能 を確認します。データセンター内(またはサーバー内)で完結する処理なので、外部ネットワーク環境の影響を受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw (未加工) 864回 - - 0%
(0回)
5.24秒 5.46秒 0.95秒
棄却検定 6.37%
(55回)
6.72秒 5.21秒 5.25秒 0.32秒
測定結果について
72時間(3日間) の測定結果です。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。
測定のタイミングによりサーバーの負荷状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いたデータも掲載しています。
ばらつき(標準偏差)は、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど処理性能が安定しているといえます。

COREPRESS Cloudの評価

残念ながら他のサービスと比較して平均以下の結果であり、処理速度が優れているとはいえません。安定感にも疑問の残る結果です。

上位サービスと比較すると棄却検定による除外数がかなり多い印象です。つまり、ベンチマークの実行タイミングによって、処理時間のばらつきが多いことになります。グラフの未加工(Raw)と棄却検定(Grubbs' test)とを比較しても、安定していない傾向を確認できます。しかし、無理に褒めればという感じになりますが、エラーは皆無であり、時間帯による大きな変動もないため、遅いながらも安定しているとはいえます。

ウェブサイトのレスポンス性能は平均以上であることから、あまり高性能でないハードウェアをキャッシュシステム(高性能なキャッシュサーバー)で補っている印象を受けます。

そもそもコアプレスはキャッシュの調整機能を備えていないため、特定のページを「キャッシュ対象外」とすることはできません。リアルタイムに更新が必要なコンテンツでは致命的な仕様です。もし、ページごとにキャッシュのコントロールが必要なら、wpXのような調整機能を備えているサービスを検討するべきでしょう。

エックスサーバー、wpXクラウド、wpXレンタルサーバー、Z.comとの比較

  COREPRESS エックスサーバー wpXクラウド wpXレンタルサーバー Z.com
有効測定数 864 864 864 864 414
棄却検定除外 6.37%(55) 1.16%(10) 0%(0) 0%(0) 0%(0)
棄却検定閾値 6.72秒 4.00秒 3.19秒 3.27秒 9.33秒
エラー 0%(0) 0%(0) 0%(0) 0%(0) 52.1%(450)
中央値 5.21秒 2.68秒 2.25秒 2.41秒 6.78秒
平均値 5.25秒 2.73秒 2.24秒 2.40秒 6.89秒
ばらつき 0.32秒 0.27秒 0.28秒 0.27秒 0.80秒
変動係数 6.10% 9.89% 12.5% 11.3% 11.6%

他のWordPress専用サービスと比較してみましょう。比較対象は「wpXクラウド」「wpXレンタルサーバー」「Z.com WordPressサーバー」となります。汎用的な「エックスサーバー」も加えています。

Z.comの測定結果は半数以上がエラーとなっており、あくまでも参考値となります。Wordpress自体の動作は問題ありませんが(当然ですね)、このようなWordPress範囲外のイレギュラーな処理ではエラーが発生します。サービス開始間もない測定結果なので、現在は改善されている可能性はあります。ただし、エラーがなかったとしても「かなり遅い」ことに間違いはありません。勘違いしてはいけませんが、ウェブサイトのレスポンス速度は平均以上です。おそらくCOREPRESSと同様にサーバー性能の低さを「キャッシュ機能」で補っているようです。

COREPRESSとZ.comは、同じGMOグループによるサービスであり機能的には大きく変わりません。大きく異なるのは、料金体系となります。サーバー自体も同じデータセンターにあるため、少し語弊はありますがブランドが違うだけで中身は同じサービスと見なしてもよいでしょう。両サービスとも従量課金制であり、一定のアクセス数(訪問者数)を超えると追加料金が発生します。

COREPRESSのサーバー性能は残念ながら高くありません、平均値だけで判断すると一昔前のスペックのハードウェアを採用しているような印象があります。もちろん収容数(契約者を詰め込み過ぎている)の影響があるのかもしれません。こちらもZ.com同様に「キャッシュ機能」でレスポンス速度を補っているようです。レスポンス速度だけなら上位クラスと同等ですが、実際のサーバー性能は高くないことに注意が必要です。

残りのエックスサーバー社のサービスはどれも非常に優秀です。理由は同じ(または近い)最新の高性能ハードウェアを採用しているためです。特にwpXはレンタルサーバーもクラウドもWordPress最速のレスポンス速度を誇ります。どちらも固定料金なので、どれだけアクセス数が多くなっても追加料金が発生することはありません(何かしらの制限は発生するでしょう)。

こちらの記事 で確認できますが、wpXの場合キャッシュを無効にしてもトップクラスのレスポンス速度があります。つまり、高性能なハードウェアを採用しつつ、さらにWordPress専用のキャッシュシステムを備えるという、かなり贅沢な仕様となっています。正直なところ国内のWordPress専用サービスでは、wpX以外の選択肢はないと言い切れるほどの優秀さがあります。

COREPRESS Cloudは初期費用が無料であり、手軽にWordPressを運営するなら悪くない選択です。しかし、ディレクトリの編集権に癖があったり、従量課金制、さらにキャッシュの調整ができないなど、サイト運営者が仕様を理解しておく必要があります。初心者が運営するサイトであれば、すぐに追加料金の対象となるアクセス数は発生しないと思いますが、いちいちアクセス数を気にしながらのサイト運営は気を遣います。

最廉価プラン(CP-1/500円)なら手軽な料金なのでおすすめできますが、それ以上のプラン(例 CP-2/1,000円〜)ならwpXレンタルサーバー(1,200円)を強くおすすめします。

比較対象サービスのレビュー
エックスサーバーのレビュー
wpXクラウドのレビュー
wpXレンタルサーバーのレビュー
Z.com WordPressサーバーのレビュー
変動係数
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が同じであっても変動係数が大きい方の処理時間がばらつくことになります。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461

hostingstock.netで測定した他レンタルサーバーとの比較です。

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

関連記事

BLOG

UPDATE