安定性は高いが条件によっては速度が気になる!MixHostのFTP性能の評価と比較

MixHost(ミックスホスト)は、国内で初めて「HTTP/2」に対応する次世代レンタルサーバーです。ほとんどの機能(仕様)が無制限対応、そして初期費用無料とコストパフォーマンスの高さも特徴です。MixHostの詳細については こちらのレビュー を参考にしてください。

レンタルサーバーを選ぶときに、ファイル転送性能(FTP性能)を気にする人はほとんどいません。例えば、第三者が開発したプラグインやテーマを利用するだけのWordPress運用なら、FTPの使用頻度は高くありません。しかし、WordPressテーマ(デザイン)の開発やオリジナルサイトの運用なら、転送速度の遅さは作業効率を悪化させ、ストレスの原因にもなります。

用途や目的によって、ファイル転送性能も重要な検討項目です。レンタルサーバーを選ぶときの絶対的な条件ではありませんが、あらかじめ確認しておけば、契約後に後悔することもありません。ここではMixHostのファイル転送性能の評価と比較を行います。

MixHostのファイル転送機能に関する仕様

全プラン共通で、FTPアカウントを無制限に発行できます。

通常のFTPだけでなく、セキュアなFTPSにも対応します。他にも、SFTP、SCP、WebDAVなど、レンタルサーバーで採用される主要なプロトコルに全て対応します。

WebDAVはcPanel(コントロールパネル)で「Web Disk」と呼ばれます。Windowsならエクスプローラー、Macならファインダーでサーバー上のファイル操作が可能となり、FTPクライアントが不要です。

アカウントごとにディレクトリを設定でき、それより上位ディレクトリへはアクセスできません。第三者へのアカウント発行にも便利な仕様です。ホームディレクトリ(/home/ユーザー名)を設定できるため、一つのアカウントで全サイトのデータを横断的に操作できます。

SFTPとSCP
SSHの設定が必要です。
クォータ
アカウントごとにディスク容量を制限することができます。

測定方法

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP)レスポンス性能の評価に利用しているサイト(ページ)を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB(約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)」の約2,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者数(訪問者数)が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

MixHostは複数のデータセンターで運用されており、「大阪」「東京」「北海道」となっています。さくらインターネットをメインとして、GMOインターネットを補助的に使用しているようです。ここでは紹介しませんが、海外のデータセンターを採用するプランもあります。

hostingstockで契約したサーバーの場合、「さくらインターネットの石狩(北海道)データセンター」が割り当てられました。さくらインターネットと言えば、エックスサーバーやネットオウルでも採用されており、品質には定評があります。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(関西電力)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定元のサーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定 2,016回 2,016回
棄却検定除外 0.74% (15) 0.84% (17)
棄却検定閾値 3.86秒 2.27秒
エラー 0% (0) 0% (0)
中央値 3.41秒 1.84秒
平均値 3.41秒 1.86秒
ばらつき/標準偏差 0.09秒 0.08秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数です。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しているといえます。
未加工データ(生データ)は最後に掲載しています。

MixHostの評価

エラーもなく、レスポンスが非常に安定しています。そして、棄却検定による除外数がかなり少なく、極端な遅延が発生しにくいことも分かります。つまり、常に同じ速さでファイルを転送できる特性となっています。

しかし、転送速度は速くありません。他のレンタルサーバーと比較しても下位の性能です。

これには理由があります。

「他のレンタルサーバーとの比較」を見ると分かりますが、測定元(関西圏)から離れるほど転送速度が低下しています。国内なら沖縄のデータセンターで運営されている「美ら海レンタルサーバー」が最下位となっています。海外のデータセンターならさらに低下します。つまり、FTPの転送速度は距離に応じて遅くなる傾向があります。

MixHostのデータセンターは「大阪、東京、北海道(石狩)」ですが、この測定対象は石狩DCとなっています(割り当ては自動)。どれだけ高性能なサーバーであっても、(専用回線でもない限り)転送速度の低下を避けられません。

しかし、MixHostのウェブサイトのレスポンスは優秀であり、関東にあるサービスを上回ります。理由はネットワークの帯域制御(優先制御)によるもので、HTTP(ウェブサイト)がFTPより優先されているからでしょう。

とはいえ、距離が短ければ確実に速いというわけでもありません。さらに、同じデータセンターにある複数のサービス間に大きな差があることもあります。つまり明らかに遅い場合、サーバーの性能が低いか(または高負荷)、FTPの優先度を下げている可能性があります。

MixHost(北海道)までの距離を考えれば優秀な結果であり、関東圏にあるサービスに少し劣る程度に収まっています。レスポンスが非常に安定しているため、タイミングによってばらつくこともなく、ストレスとなりにくい特性です。しかし、北海道の契約者なら快適ですが、関西以南の契約者にとっては少し気になる速度ではあります。

ウェブサイトの表示速度は優秀なので、FTPの使用頻度が低ければ問題となりません。もし、FTPを多用する用途であれば、お試し期間で確認することをおすすめします。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05

hostingstockで測定した各レンタルサーバーのファイル転送性能です。詳細はリンク先をご覧ください。

注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

測定結果(未加工データ)

  アップロード ダウンロード
中央値 3.41秒 1.85秒
平均値 3.42秒 1.86秒
ばらつき/標準偏差 0.14秒 0.10秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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