エックスサーバー、X2、シックスコアを徹底的に比較してみよう - 仕様編

XSERVER株式会社が運営する、エックスサーバー、X2、シックスコアですが、それぞれの公式サイトを確認しても具体的な違いが分からないかもしれません。

料金的に、シックスコア > X2 > エックスサーバーということは分かります。ただし、基本的な仕様(機能)はほとんど同じなので、どのレンタルサーバーを選択してよいか迷うでしょう。

各レンタルサーバーを調べた結果、簡単に分類すると以下の様になります。

  • エックスサーバー(XServer)
    • 手軽に利用できる機能充実の高性能レンタルサーバー。コストパフォーマンスに優れ、初心者にも中級者にもお勧めできます。
  • X2(エックスツー)
    • エックスサーバーとシックスコアに挟まれ中途半端なポジションです。エックスサーバーほどのお得感もなく、シックスコアほど高性能でもありません。
  • シックスコア(SIXCORE)
    • 安定性と高速性に特化した、本格的にWebサイト運営するためのレンタルサーバーです。共用サーバーとしては商用サイトにも耐える仕様となっています。

X2については実際に利用しても仕様を確認しても特徴をつかむことができません。データベース無制限に惹かれるのであれば、X2が唯一の選択肢となりますが、他の仕様を考慮するとエックスサーバーで間に合うような気もします。

このページでは主に差が分かる機能について説明しますが、全てのレンタルサーバーで共通する機能についても特徴的なものは紹介します。

以降、事業者を指す場合はXSERVER、レンタルサーバーはエックスサーバーと表記します。

主機能の比較

プラン X10 X20 X30 スタンダード アドバンスド S1 S2 S3 S4
標準月額(円) 1,200 2,400 48,00 2,372 4,658 2,200 4,400 6,600 8,800
ストレージ(GB) 200 300 400 100 200 50 100 150 200
マルチドメイン 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 5 10 25 40
サブドメイン 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 100 200 300 400
MySQL 50 70 70 無制限 無制限 5 10 15 20
メールアカウント 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限
FTPアカウント 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 10 20 30 40
  • エックスサーバー
    • X10、X20、X30
  • X2
    • スタンダード、アドバンスド
  • シックスコア
    • S1、S2、S3、S4

上位サービスのシックスコアを確認すると、マルチドメインやMySQL(データベース)が少ないことに気がつくでしょう。理由は、敢えてマルチドメインやデータベースの数を絞ることで運営サイト数を抑制し、1ユーザーあたりのサーバーへの負荷を下げるためです。

さらに、シックスコアでは1つのサーバーに収容するユーザー数を少なくすることで、恒常的にサーバーが安定かつ高速に動作するような運用を目指しています。シックスコアが高負荷に強いと言われるのは、このような理由があります。

サービス開始時期

サービス名 開始時期
エックスサーバー(XServer) 2003年7月
シックスコア(SIXCORE) 2009年1月
X2(エックスツー) 2010年6月

Webサイトのデザインはエックスサーバーが最も新しく見えますが、最も古いサービスのようです。

データセンター

hostingstock.netで契約したサーバーに限れば、全てのサーバーは さくらインターネット大阪データセンター にありました。このデータセンターにあるレンタルサーバーは他社であっても安定しており、レスポンスも上々です。

サーバー稼働率

  エックスサーバー X2 シックスコア
サーバー稼働率 99.99%以上 非公開 99.99%以上(実績)

シックスコアについては 実績値 であることが明記されています。X2については稼働率という言葉が出てきません。シックスコアでは全てのサーバーの稼働率(実績値)を公開しており、安定稼働に自信があることが分かります。

サーバースペック

エックスサーバー X2 シックスコア
CPU - -
Xeon E5-2630 v3 × 2 Xeon E5-2430L Xeon E5-2430L
8コア/16スレッド 6コア/12スレッド 6コア/12スレッド
キャッシュ:20MB キャッシュ:15MB キャッシュ:15MB
2.4GHz(TB:3.2GHz) 2GHz(TB:2.5GHz) 2GHz(TB:2.5GHz)
2014年9月発売 2012年5月発売 2012年5月発売
メモリ - -
96GB 16GB 24GB

全て同時期(2015年6月)に契約して割り当てられたサーバーです。契約時期によってスペックは変動しますが、エックスサーバーのスペックが明らかに高いことが分かります。

1つのサーバーに同じ数のユーザーが収容されるのであれば、新しいサーバーが圧倒的に有利でしょう。とは言え、収容ユーザー数は非公開ですし、シックスコアのようにユーザー数を敢えて抑えることもあるため、サーバーのスペックを見てもあまり意味がありません。あくまでも参考程度にしましょう。

独自ドメインサービス

X2を除き独自ドメインの無料サービスがあります。利用できるドメイン(TLD)はcom / net / org / info / bizとなっており、サーバーを契約し続ける限り更新費用も発生せず無料で使い続けることができます。

プラン X10 X20 X30 スタンダード アドバンスド S1 S2 S3 S4
独自ドメイン(個) × 1 1 × × × 1 2 3

エックスサーバーについては、X20とX30が対象となりますが、定期的にX10も対象となるため、利用する予定があればマメに公式サイトを確認しておくと良いでしょう。

サービスドメイン

サービスドメイン(初期ドメイン)を1つ利用できるので、独自ドメインを持たなくてもとりあえずWebサイトを公開することができます。このドメインは契約期間中であれば自由に利用できます。ただし、このドメインにサブドメインを設定することはできません。

長期間運用するWebサイトであれば、独自ドメインの取得をお勧めします。

  • エックスサーバー
    • サーバーID.xsrv.jp
  • X2
    • サーバーID.xtwo.jp
  • シックスコア
    • サーバーID.sixcore.jp

コントロールパネル

エックスサーバーでは サーバーパネル 、X2とシックスコアでは サーバー管理ツール と呼ばれます。どのコントロールパネルも使い勝手は優れており、直感的に操作することができます。X2とシックスコアについては、ほぼ同じ機能を備えています。

エックスサーバーのコントロールパネルはより使いやすくなっています。例えば、X2やシックスコアではメールアカウントやFTPアカウントを追加しようとすると、まずどのドメインに対して操作するかを毎回選択する必要があります。

エックスサーバーでは、最初に設定するドメインを選択しておけば、それ以降の操作は選択したドメインに対して実行されます。

SSH

  エックスサーバー X2 シックスコア
SSH × ×

SSH(シェルログイン)に対応しているのは エックスサーバーのみ です。この機能がなくても問題なくサイト運営が可能ですが、コマンドによるファイル操作やアプリケーションのインストールが可能となり便利になります。

Cron

  エックスサーバー X2 シックスコア
Cron

Cron機能に差はありません。どのサービスでも設定数(ジョブ数)の 上限はなく1分間隔 から設定可能です。 ただし、負荷制限(非公開)はあるため、ジョブ数が少なくても高負荷の処理が含まれれば制限の対象となります。1分間隔でも非常に軽い処理であれば問題ないでしょうが、あまりにも短い間隔での処理はお勧めできません。

転送量制限

  X10 X20 X30 スタンダード アドバンスド S1 S2 S3 S4
転送量制限(GB/日) 70 90 100 70 90 70 90 110 120

レンタルサーバーによって大きな差はありません。どのプランであっても他のレンタルサーバーと比較して十二分に高性能です。

メール送受信制限

  送信 受信
エックスサーバー:全プラン 1,500通/時間 or 15,000通/日 明確な制限なし
X2:スタンダード 1,500通/日 明確な制限なし
X2:アドバンスド 3,000通/日 明確な制限なし
シックスコア:S1 1,500通/日 明確な制限なし
シックスコア:S2 3,000通/日 明確な制限なし
シックスコア:S3 4,500通/日 明確な制限なし
シックスコア:S4 6,000通/日 明確な制限なし

エックスサーバーが最も多くのメールを送信することができます。この制限はメーラーだけでなく、プログラム等による全てのメール送信に関係します。もし多くのメールを送信する必要があればエックスサーバーを選択すると良いでしょう。

エックスサーバーの送信制限が他と比較して優遇されている理由は、メーリングリスト機能とメールマガジン機能があるためかもしれません。

バックアップ機能

  エックスサーバー X2 シックスコア
バックアップ機能

全てのレンタルサーバーにバックアップ機能が標準装備されており、毎日自動的にバックアップされます。Webサイトのデータとメールデータは過去7日分、MySQLのデータは過去14日分が保存されます。このサービスは無料となっており、ユーザーが意識することなく機能しています。

ただし、バックアップデータの取得は有料となっており、データを取得するために手数料が必要です。

  • Webサイト、メール
    • 指定日のデータ:10,800円(税込)
  • MySQLデータベース
    • 指定日の特定のデータベース1つ:5,400円(税込)

毎回この費用が必要となるので、あくまでも非常手段と考えておきましょう。

MySQLバックアップ機能

  エックスサーバー X2 シックスコア
MySQLバックアップ機能

MySQL設定機能で管理されているMySQLのデータを、自分のパソコンにバックアップ(ダウンロード)することができます。初心者にも優しい便利な機能です。

  • 2015年6月22日
    • シックスコア、X2がMySQLバックアップ機能に対応しました。

ディレクトリ構造

全てのレンタルサーバーが、ドメイン毎に専用のディレクトリを割り当てるタイプとなっています。非公開ディレクトリも存在するので、重要なデータを隔離することができます。

1つ気になる点はサブドメイン対応のディレクトリが「public_html」の直下に生成されることです。サブドメイン名が重複することはありませんが、自分でディレクトリを作成する際はサブドメイン名と被らないように気をつける必要があります。

FTPアカウント

プラン X10 X20 X30 スタンダード アドバンスド S1 S2 S3 S4
FTPアカウント 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 10 20 30 40

FTPアカウント毎にアクセス可能なディレクトリを設定することができます。例えば複数のユーザーでWebサイトを管理するときに役に立つでしょう。

これはシックスコアの設定画面ですが、エックスサーバー、X2も同じ設定方法です。

データベース

プラン X10 X20 X30 スタンダード アドバンスド S1 S2 S3 S4
マルチドメイン 無制限 無制限 無制限 無制限 無制限 5 10 25 40
MySQL 50 70 70 無制限 無制限 5 10 15 20

1つのサイトに1つのデータベースを利用するとしても、エックスサーバーとX2は十二分なMySQL(データベース)の数です。シックスコアに関しては、少数のサイトを安定して運営させることを目的としているので、データベース数が少ないのは仕方ありません。

全てのレンタルサーバーで SQLite3 が利用できます。MySQLを必要としない簡易なデータ管理であれば、SQLiteの利用を検討してみましょう。

高速化機能

エックスサーバー、X2、シックスコアには、Webサイトのレスポンスを高速化する機能が用意されています。

  エックスサーバー X2 シックスコア
mod_pagespeed
FastCGI
APC/OPcache
Xキャッシュ ×
  • mod_pagespeed
    • Google製のApache用モジュールです。CSSやJavaScriptの最適化、画像ファイルの軽量化、HTMLの最適化等を自動的に行います。
  • FastCGI
    • PHP等、通常は処理が発生する度にプロセスの起動、処理、終了という手順を踏みます。FastCGIはプロセスをしばらく常駐させることで、次回以降の処理を効率的に実行します。
  • APC(5.3/5.4)/OPcache(5.5以上)
    • PHP標準の高速化機能です。PHPのコンパイル結果をキャッシュして再利用する仕組みです。
  • Xキャッシュ
    • 動的ページの生成結果(Webページのデータ)をキャッシュして、次回以降のアクセスに再利用する仕組みです。XSERVER独自の機能です。

Xキャッシュは上級者向け機能なので、初心者や中級者の多いエックスサーバーには元々不要なのかもしれません。

WordPress専用機能

WordPressのセキュリティに特化した機能が全てのレンタルサーバーに装備されています。

  • ダッシュボードアクセス制限
    • ダッシュボードに対する国外IPアドレスからの接続を制限します。
  • XML-PRC API アクセス制限
    • ダッシュボード以外から投稿可能なアプリ等が利用する「XML-RPC WordPress API」に対する国外IPアドレスからの接続を制限します。
  • ログイン試行回数制限
    • 短時間に連続してログイン処理(失敗)が行われるとアクセスを制限します。24時間後に制限が解除されます。管理者が制限された場合、コントロールパネルで解除します。
  • コメント・トラックバック制限
    • 短時間に大量のコメントまたはトラックバックが実行されると、自動的に投稿を制限します。
    • 国外IPアドレスからのコメント・トラックバックを拒否します。

WAF(Webアプリケーションファイアウォール)

  エックスサーバー X2 シックスコア
WAF ×

WAFとはWebサイト(Webアプリケーション)に特化したファイアウォールのことです。Webサイトの脆弱性を悪用した攻撃などから保護します。概要としてはWebサイトと訪問者間で不正なデータのやりとりがないかを監視し、問題があればアクセスを制限します。

  • XSS(クロスサイトスクリプティング)
    • javascriptなどの不正なスクリプトタグが埋め込まれたアクセスを検知。
  • SQL(SQLインジェクション)
    • SQL構文に不正な文字列が挿入されたアクセスを検知。
  • ファイル(ファイル不正アクセス)
    • .htpasswd .htaccess httpd.conf等、サーバーに関連する設定ファイルが含まれたアクセスを検知。
  • コマンド(コマンドアクセス/実行)
    • kill、ftp、mail、ping、ls等コマンドに関連する文字列が含まれたアクセスを検知。
  • PHP(関数の脆弱性)
    • session、ファイル操作に関連する関数のほか、脆弱性元になる可能性の高い関数の含まれたアクセスを検知。
  • メール(メールの不正送信)
    • to、cc、bcc等のメールヘッダーに関係する文字列を含んだアクセスを検知。

対応メールプロトコル

エックスサーバー、X2、シックスコアは、他社と比較して多くのメールプロトコルに対応しています。

  • SMTP
    • SSL/TLS、STARTTLS、SMTP-AUTH
  • POP
    • SSL/TLS、POP before SMTP、STLS
  • IMAP
    • SSL/TLS、STARTTLS/STLS

メーリングリスト・メールマガジン

  エックスサーバー X2 シックスコア
メーリングリスト × ×
メールマガジン × ×

専用機能は エックスサーバーのみ 対応しています。もしメーリングリスト・メールマガジンを本格的に利用するならエックスサーバーが選択肢となります。

X2とシックスコアでもメール転送機能を利用すれば、簡易的にメーリングリスト(メールマガジン)を実現することはできます。あくまでも簡易的なので、本格的に利用するなら専用アプリケーションを自己責任でインストールすることもできます。

メールトリガー機能

  エックスサーバー X2 シックスコア
メールトリガー ×

指定されたメールアドレスにメールが届くと、予め設定したプログラム等を自動的に実行することができます。もちろんCronでも自動実行は可能ですが、メールをトリガーに自由にプログラムを実行できるため、アイデア次第では面白いサービスを作れるでしょう。

比較のまとめ

同じデータセンターを利用しているためか、明確な差はないようです。

  • 少し高機能なレンタルサーバーを使ってみたいのであれば、エックスサーバーで十分に満足できるでしょう。
  • X2については、データベース無制限が不要であれば選択肢に入りません。
  • 商用サイトや安定稼働を望むサイトを運用するのであればシックスコアがお勧めとなります。

この記事には続きがあります。

エックスサーバー、X2、シックスコアを徹底的に比較する(続)


  • 更新履歴
    • 2015年6月22日 - MySQLバックアップ機能を修正

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