安定した転送性能で静的サイトにお薦め、スタードメインの無料レンタルサーバー

スタードメインが提供するレンタルサーバーは、独自ドメインの契約者であれば 無料 で利用できます。独自ドメイン料金のみでサイト運営が可能ですが、契約している独自ドメインの利用が必須です。

他の無料サービスとの大きな違いは 「広告が表示されない」 ことです。しかし、PHPやデータベースには非対応であり、HTMLのみ (&JavaScriptやCSS) で構成された、いわゆる静的サイトの運営に限られます。それでも、独自ドメインによるシンプルなホームページを作りたいという目的であれば、コストパフォーマンスに優れます。

静的コンテンツとなるためファイル更新の頻度が高くなります。メニュー等の内部リンクを更新する必要があれば、少しページが追加されるだけでも多くのファイルを置き換える必要があるかもしれません。つまり、FTPの転送速度が遅ければ更新作業がストレスとなります。

それでは、スタードメインのFTP転送性能 (レスポンス性能) について評価し、他のレンタルサーバーと比較してみましょう。

詳細な仕様については、下記レビューをご覧ください。Webサイトのレスポンス性能を評価した記事もあります。

FTPの仕様

アカウントは1つのみです。セキュアなFTPSにも対応しているため、安全なファイル転送が可能です。

測定方法

5分毎 にアップロードとダウンロードを実行します。

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP) レスポンス性能の評価に利用しているサイト (ページ) を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB (約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

測定期間

測定期間は 7日間 です。

一度きりの測定では意味がないので、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを (完全ではありませんが) 防げます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

スタードメインを運営するネットオウル (Netowl) の他サービスと同様に、さくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX (インターネットエクスチェンジ) 等を含みます。測定元はK-Opticom (インターネットプロバイダ) のネットワーク内、関西圏 (赤い円) にあるサーバーです。

サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定 2,016回 2,016回
棄却検定除外 0.35% (7) 1.39% (28)
棄却検定閾値 4.67秒 2.58秒
エラー 0% (0) 0% (0)
3秒以上 5.06% (102) 0.94% (19)
中央値 1.21秒 1.11秒
平均値 1.44秒 1.19秒
ばらつき/標準偏差 0.67秒 0.29秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しているといえます。

スタードメイン レンタルサーバーの評価

平均値だけを見れば無料サーバーとは思えないほどに高性能です。エラーもなく非常に安定しています。しかし、グラフでも分かるようにばらつきが目立ちます。契約した独自ドメインの利用が必須であるため、あまり利用者はいないと思いましたが、転送速度が変化する程度の負荷は生じているようです。

アップロード、ダウンロードともに利用者が多くなるであろう夜間に遅くなる傾向があります。非常に分かりやすい傾向であり、利用者や訪問者の少ない早朝が最も速く、ピークとなる夜に近づくにつれて遅くなります。

ばらつきがあるとは言え、有料サービスを含めても優秀な基本性能があり、実際には体感するほどのものではありません。

静的コンテンツしか扱えないため、更新のたびにFTPが必要となりますが、これだけの性能があればコンテンツの更新をストレスと感じることはないでしょう。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05

当サイトで測定した各レンタルサーバーのFTP転送性能です。詳細は各リンク先をご覧ください。

大手有料サービスと比較しても遜色のない結果です。同じデータセンターで運用されている、同社ミニサーバーやファイアバードにも大きく劣ることはありません。有料サービスと基本的なハードウェア性能はそう変わらないのかもしれませんね。

測定結果 (未加工データ)

  アップロード ダウンロード
3秒以上 5.41% (109) 0.94% (19)
中央値 1.21秒 1.11秒
平均値 1.45秒 1.22秒
ばらつき/標準偏差 0.70秒 0.40秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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