ウェブクロウのレスポンス性能を評価して、他のレンタルサーバーと比較してみよう

ウェブクロウ (Webcrow) はネットオウル (Netowl) が運営する無料プランを中心とするレンタルサーバーです。無料で利用できますが、プラン (オプション) によっては、スマートフォンやタブレットからのアクセス時に 広告 が表示されます。PHP非対応となる標準プランであれば、広告は表示されません。また、PHP対応であっても広告が非表示となる有料プラン (ウェブクロウプラス) もあります。

最も利用者が多いであろう PHPオプション (広告あり) の場合、PHPとMySQLを自由に使えるため、WordPressなどのアプリケーションを導入することもできます。無料のブログサービスでも広告は表示されるため、少しでも他人と違うデザインや機能のWebサイトを運営するなら、より自由度の高いウェブクロウを選択しても良いのではないでしょうか。WordPressを使ってみたいという初心者にも最適です。

もちろんスタードメイン (StarDomain) で取得した独自ドメインなら簡単に設定でき、他社で取得管理しているドメインも設定手順は増えますが問題なく利用できます。

標準プラン (広告なし)、オプションが2種類 (広告あり)、有料プラン (広告なし)、となっています。標準プランにオプションを設定すると、広告が表示されるようになります。無料でWordPresを利用するなら、標準プラン+PHPオプション となります。

プラン 標準 容量オプション PHPオプション プラス
初期費用 0 0 0 1,000円
月額費用 0 0 0 126円
広告表示 なし あり あり なし
ディスク容量 1GB 2GB 1GB 10GB
独自ドメイン 1 1 1 20
サブドメイン 50 50 50 200
ネットオウルのドメイン × × × 1
PHP × ×
MySQL × × 1 1

この記事では、WordPressをインストール可能な PHPオプション を利用したレスポンス性能 (応答性能) の評価と、他社との比較についてまとめています。

測定方法

家庭用回線に接続したサーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なWebページの構成を採用 (HTTP Archiveの統計データより)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことが (完全ではありませんが) 省けます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

家庭用回線からの測定となります。測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

家庭用回線の測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定数 (回) 4,030 4,030
Grubbs’ testの除外割合 (回) 3.42% (138) 2.38% (96)
Grubbs’ testの閾値 2.21秒 0.92秒
エラーの割合 (回) 0% (0) 0% (0)
3秒以上の割合 (回) 3.03% (122) 0.17% (7)
中央値 (秒) 0.73秒 0.31秒
平均値 (秒) 0.71秒 0.35秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.30秒 0.11秒
測定結果について
有効測定数はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs’ test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱 (データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境 (スマートフォンなど) ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります
参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance – INFOGRAPHIC

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

ウェブクロウの評価

測定期間に限ればエラーも発生せずレスポンスは安定しています。平均時間だけなら、ブラウザのレンダリング時間を含めても、上記の基準 (2秒 or 3秒) を十分に満たすでしょう。

平均値は素晴らしいのですが、棄却検定による除外数の多さが気になります。ページ最後の未加工の測定結果を見ると分かりますが、WordPress (PHP&MySQL) の場合、夜間になるとかなりレスポンスが低下する傾向にあります。朝方と夜間の差は倍程度になっており、夜間帯のばらつき (標準偏差) も非常に大きく、レスポンスが安定しているとは言えません。

やはり、無料サービスと言うことで利用者が多いのでしょう。またユーザー数を制限していないようなので、有料サービスと比較すればリソースに余裕はないのかもしれません。夜間になると常に高負荷となっていることを推測できます。

色々と書きましたが、夜間のレスポンス低下を除けば有料サービスより優秀です。さらに無料サービスであることを考慮すれば、文句の付けようがありません。

他のレンタルサーバーとの比較

動的ページ
(PHP&MySQL)
静的ページ
(HTMLのみ)
Grubbs'
test
平均時間 (秒) ばらつき (秒) 平均時間 (秒) ばらつき (秒)
データの無断転載はご遠慮ください。
1. wpXクラウド 0.21 0.01 0.21 0.01
2. wpXレンタルサーバー 0.24 0.05 0.43 0.20
3. WPblog 0.25 0.06 0.26 0.08
4. シックスコア(Xキャッシュ) 0.29 0.09 0.28 0.07
5. Z.com WordPress 0.37 0.08 0.36 0.05
6. COREPRESS Cloud 0.38 0.05 0.57 0.19
7. エックスサーバー(PHP7) 0.40 0.12 0.23 0.03
8. エックスドメイン(WordPressサーバー) 0.42 0.20 0.40 0.15
9. Sova WP 0.43 0.21 0.43 0.31
10. JETBOY(PHP7) 0.46 0.03 0.35 0.10
11. シックスコア 0.47 0.14 0.29 0.09
12. wpXレンタルサーバー(キャッシュ無効) 0.47 0.15 0.43 0.21
13. エックスサーバー(PHP5) 0.47 0.12 0.23 0.03
14. ラクサバ 0.54 0.25 0.36 0.09
15. エクスクラウド 0.62 0.03 0.41 0.14
16. ファイアバード(PHP7) 0.62 0.32 0.38 0.20
17. ヘテムル(PHP7/Module) 0.62 0.11 0.40 0.04
18. Z.com WordPress(キャッシュ無効) 0.62 0.12 0.38 0.05
19. エックスドメイン(PHPサーバー) 0.62 0.26 0.34 0.10
20. JETBOY(PHP5) 0.63 0.03 0.32 0.03
21. ミニバード(PHP7) 0.63 0.33 0.37 0.18
22. KAGOYA 0.64 0.10 0.48 0.09
23. ヘテムル(PHP7/CGI) 0.66 0.12 0.39 0.05
24. GMO WP Cloud 0.66 0.22 0.66 0.23
25. Zenlogic 0.67 0.07 0.52 0.14
26. MixHost(キャッシュ) 0.68 0.06 0.69 0.06
27. Z.com(PHP7/CGI) 0.70 0.09 0.51 0.07
28. ファイアバード(PHP5) 0.71 0.33 0.37 0.18
29. Webcrow 0.71 0.30 0.35 0.11
30. さくらインターネット 0.72 0.05 0.24 0.01
31. クローバー 0.75 0.31 0.56 0.29
32. ミニバード(PHP5) 0.75 0.37 0.37 0.16
33. ロリポップ!(モジュール) 0.80 0.16 0.37 0.06
34. X2 0.83 0.39 0.34 0.15
35. コアサーバー(PHP7) 0.84 0.26 0.74 0.16
36. MixHost(PHP7) 0.84 0.14 0.67 0.06
37. CPI(PHP7) 0.85 0.06 0.67 0.05
38. バリューサーバー(PHP7) 0.88 0.16 0.61 0.10
39. Quicca 0.91 0.16 0.51 0.07
40. スマイルサーバ 0.92 0.20 0.64 0.24
41. CPI 0.93 0.05 0.65 0.04
42. MixHost(PHP5) 0.93 0.16 0.67 0.06
43. FUTOKA 0.95 0.12 0.52 0.08
44. ロリポップ!(CGI) 0.95 0.16 0.39 0.07
45. ドメインキング(PHP5/FastCGI) 0.97 0.40 0.42 0.07
46. コアサーバー(PHP5) 1.00 0.31 0.77 0.14
47. Z.com(PHP5/CGI) 1.04 0.77 0.53 0.11
48. アルファメール 1.05 0.12 0.81 0.19
49. バリューサーバー(PHP5) 1.10 0.16 0.60 0.10
50. Bizメール&ウェブ エコノミー 1.14 0.04 0.27 0.02
51. ロリポップ!(ライトプラン) 1.44 1.30 0.51 0.67
52. WADAX 1.96 0.63 1.63 0.59
53. XREA 2.09 1.07 1.24 0.42
54. WAPPY 2.23 0.65 1.91 0.60
55. FC2レンタルサーバー(PHP5/FastCGI) 2.72 0.67 2.41 0.66
56. フレンドサーバー(PHP5/FastCGI) 2.90 0.51 2.52 0.43
57. フレンドサーバー(PHP7/FastCGI) 2.92 0.53 2.57 0.36
58. お名前.com(PHP7) 3.18 2.34 0.71 0.18
59. お名前.com(PHP5) 3.30 2.47 0.72 0.18
60. iCLUSTA+ 3.36 0.63 2.89 0.35
61. ちゅらうみレンタルサーバー 3.78 0.50 3.77 0.51
62. JETBOY(旧サービス) 4.56 0.31 4.24 0.34
63. FC2 Lite 5.70 0.83 5.13 0.81
64. Hostinger 8.05 3.08 7.82 3.23
65. スタードメイン 0.00 0.00 0.34 0.15
66. FC2ホームページ 0.00 0.00 6.13 0.45

hostingstock.netで測定しているレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

下手な有料サービスよりも高性能であることが分かります。しかし、無料サービスなので転送量の上限はわずか 50GB/月 となっています。例えば、ロリポップ!の最廉価プラン (100円/月) でさえ 40GB/日 もあります。単位をよく見てください、ロリポップ!は1日の上限ですが、ウェブクロウは1ヶ月の上限です。

いくらレスポンス性能が高いと言っても、転送量の制限があるため本格的なWebサイトを運営するのは不可能です。ウェブクロウの用途は、アクセス数のさほど多くない趣味程度のコンテンツに限るでしょう。

レスポンスの良くない海外サービスやいつサービスが終わるか分からない大手以外の無料レンタルサーバーを利用するなら、まずはウェブクロウを検討してはいかがでしょうか。

測定結果 (未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上の割合 (回) 3.03% (122) 0.17% (7)
中央値 (秒) 0.74秒 0.31秒
平均値 (秒) 0.83秒 0.38秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.78秒 0.29秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

関連記事