GMO WP Cloudの徹底解説


GMO WP Cloudは2015年10月15日12時に、新規申し込みの受付を終了しました。


GMO WP Cloudは、お名前.comで有名なGMOが提供するWordPress専用のサービスです。同社では共用サーバーやVPSも取り扱っており、WP CloudはWaordPressの運用に特化したサービスとなります。2014年10月30日に開始された比較的新しいレンタルサーバーです。

公式サイト(wpclolud.jp)がありますが、お名前.comレンタルサーバー(onamae-server.com)にあるWordPress専用サーバーと全く同じものです。そのため、公式サイト(wpcloud.jp)で申し込み手続きを進めても、お名前.comのサイトへ移動します。

WP Cloudの主な特徴は以下の通りです。

  • 転送量無制限。WordPressインストール無制限(マルチドメイン無制限)
  • キャッシュ機能とFusion-io Driveによる高速化
  • ステージング環境(ステージングサーバー/ステージングサイト)
  • バックアップ機能
  • オートスケールによる安定稼働
  • メールや電話による24時間365日対応のサポート体制

WordPress専用と謳っているだけあり、アカウントの作成と同時にWordPressの準備(インストール)も終わっています。誰でも簡単にWordPressを使い始めることができ、単純にWordPressを利用するだけならデータベースの存在を感じることはないでしょう。

レスポンスの良いコントロールパネルは使いやすく、初心者にもお勧めできますが、少し分かりにくい料金体系には注意する必要があります。

WordPressによるWebサイトを運営するなら、WP Cloudは選択候補の1つとなります。ただし、バリュードメインが運営するCOREPRESS Cloud(コアプレス・クラウド)と仕様がほとんど同じなので、比較することをお勧めします。

一般的なレンタルサーバーとの違い

一般的なレンタルサーバー(共用サーバー)との主な違いを挙げます。

  • WordPressに特化
    • 利用できるのはWordPressのみ
    • (基本的に)WordPress以外でWebサイトを構築することはできません。
  • 料金体系
    • 基本料金+訪問者数による従量課金制
  • 機能の制限
    • Cronは利用できません
    • データベースを追加できません
    • メール機能はありません
    • 編集可能なディレクトリに制限があります

基本仕様

月額900円のプランが1つのみとなっています。

プラン WPC-01
月額料金 900円/月
初期費用 無料
WordPress 初期状態で1つインストールされています (追加は無料かつ無制限)
ディスク容量 標準10GB (追加オプション 月額 10GB追加/100円)
データ転送量 無制限
訪問者数 30,000訪問(人)/月まで無料。(1,000人超過毎に100円/月が加算されます
オートスケール 突発的にアクセスが増加した場合でも、サービス側が自動対応し、快適なサイトアクセスを可能としています。
独自ドメイン設定 お名前.com以外の他社で管理する独自ドメインも利用可能です。
バックアップ 自動バックアップ機能と手動バックアップ機能が標準装備されています。リストアやダウンロードが可能です。自動バックアップは過去14日間のデータが保持されます。
サイトコピー 別ドメインのWordPressサイトを簡単にコピーできます。
キャッシュ設定 Nginxのキャッシュシステムを採用しています。キャッシュクリア/システムOFFにも対応しているので、柔軟な運用が可能です。
SFTP SFTPのみに対応しています。本番、ステージング、それぞれの環境で個別に複数のアカウントを発行することができます。
エラーログ 本番とステージング、両環境のエラーログの表示とダウンロードに対応しています。NginxとPHPのエラーが過去5日分保存されます。
ステージング環境 本番環境と同じステージング環境を利用できるので、サイトの公開前に動作確認を行えます。本番、ステージングの双方向からサイトコピーに対応しています。
独自SSL 追加オプション(24,000円/年)。GMOグローバルサイン株式会社の「クイック認証SSL」相当を採用しています。
固定IPアドレス 追加オプション(月額: 200円)

独自SSL対応ですが、他社のSSL証明書を持ち込むことはできません。安く済ましたいのであれば、COREPRESS Cloudを選択すると良いでしょう。COREPRESSであれば、固定IPアドレスオプションを利用することで、証明書を自由に設定することができます。

初期ドメイン(サービスドメイン)

WP Cloudは独自ドメインを持っていなくても(とりあえず)利用できます。WordPressを追加(インストール)する時に「wpcloud.net」のサブドメイン(初期ドメイン/変更不可)を決めます。その「サブドメイン.wpcloud.net」でWebサイトにアクセスすることができます。

WordPress毎にサブドメイン(初期ドメイン)を設定できるので、独自ドメインがなくとも1つの契約で複数のサイトを公開できます。まぁ、そのような使い方をするユーザーはいないでしょうね。独自ドメインへの変更はWordPressを追加した後に、コントロールパネルで行えます。

このサービスドメインはWP Cloudの契約期間のみ有効です。長期にWebサイトを運営するのであれば、独自ドメインの取得をお勧めします。残念ながら日本語ドメインには非対応です(2015年8月現在)。

訪問者数をベースとした料金体系

WP Cloudに興味があるなら、まず料金体系を知っておくことが重要です。

一般的なレンタルサーバーだと転送量の制限があり、転送量をオーバーすると何かしらの制約は受けますが、追加料金は発生しません。対してWP Cloudは(良くも悪くも)転送量無制限です。

WP Cloudは訪問者数による従量課金制となっており、アクセス数(訪問者数)が標準の規定値を超えると追加料金が発生します。基本料金であれば訪問者が30,000人/月まで無料です。

  • 訪問者数とは?
    • 「0時~24時に、1ユニークIPアドレスのアクセスで1人(1訪問者)に換算」となっています。つまり同じユーザー(IPアドレスが変わらない限り)が一日にどれだけアクセスしても1人となります。どのサイト(またはページ)にアクセスするかは関係ありません。
    • PV(ページビュー)ではありません。

このような料金体系となっているため、標準の訪問者数(規定値)を大幅に超えてしまうと、その月の支払いも大幅に増加します。WordPressのインストールは無制限となっていますが、訪問者数を考慮しなければ利用料金がとんでもないことになります。

例えば10個のサイトを運営すると、1サイトあたりの訪問者の上限は3,000人/月となります。一日あたりに換算すると1サイトあたりわずか100人/日となります。

訪問者が1,000人超過する毎に、100円/月が加算されます。つまり、訪問者が100,000人/月であれば、70,000人超過となり、その超過分7,000円が基本料金に追加されます。

訪問者30,000人をPVに換算すると、どの程度でしょうか?サイトのコンテンツにも依りますが、COREPRESS Cloudの仕様を参考にすると、3万人=90万PVとなっています。かなり甘い換算のような気もしますが、数個のサイト運営であれば基本料金で十分に収まるかもしれません。

正確な訪問者数はコントロールパネルで確認することができます。後述するステージングサイトへのアクセスは訪問者数にカウントされません。

キャッシュ機能

WP Cloudは次世代Webサーバーと呼ばれるNginx(エンジンエックス)を採用しており、キャッシュ機能はNginxの特徴的な機能の1つです。NginxはApacheと同じWebサーバーアプリケーションであり、Apacheより高負荷に強く、レンタルサーバーでも採用例が増えてきています。

簡単にNginxによるキャッシュ機能の概要を説明します。

普通のWebサーバーであれば、ユーザーからリクエストを受けると、その都度PHPでWebページを生成してレスポンスを返します。もちろん必要に応じてデータベースへのアクセスも発生します。

キャッシュ機能を利用した場合、1回目のアクセスは同様の処理が発生します。処理結果(Webページ)をキャッシュし、2回目以降のアクセスにはそのキャッシュデータをレスポンスとして返します。PHP処理やデータベースへのアクセスが不要となるので、レスポンスが高速になります。

キャッシュ機能のデメリット

ブログの記事など、一度生成されると(ほぼ)更新されることのないページには劇的な効果があります。ただし、仕組みを考えれば分かりますが、アクセスの度に更新が必要であったり、コンテンツが頻繁に変化するページにはあまり効果がありません。効果がないどころか、ページが更新されずに悪影響となることもあります。

全てのページがキャッシュに適しているわけではありません。不具合が生じるページはキャッシュ対象外とするなどの調整が必要ですが、WP Cloudには有効/無効の設定しかありません。同様の仕組みを備えるwpXは、キャッシュ対象の設定やキャッシュ時間を設定できるため、WP Cloudの仕様は少し物足りないような気もします。

キャッシュ機能のデメリットは、PHPやCSS等を修正しても、キャッシュが優先されるため、キャッシュが更新されるまで過去のデータが表示され続けることです。キャッシュ機能は便利ですが、キャッシュの存在を忘れていると、変更が反映されないときの原因特定に無駄な時間を必要とします。

もし動作確認が必要な時は、その間だけキャッシュ機能を無効にするとよいでしょう。キャッシュデータの削除は、コントロールパネルでは行えません。WordPressのダッシュボードにWP Cloud用の機能が追加されています。

ステージング環境

WP Cloudの特徴的な機能の1つに「ステージング環境」機能があります。

公開環境(本番環境)と同じ環境(PHPのバージョンなど)に、公開前のテスト用サイト(ステージング環境)を構築できるサービスです。ステージング環境でテストを行い問題がなければワンクリックで、本番環境に反映させることが可能です。

不具合の許されない信頼性が必要となるサイトには必須の機能と言えます。ただし、WordPressをそのまま利用するだけなら、不要な機能かもしれません。WordPressのテーマを開発するユーザーには魅力的な機能でしょう。

詳細は下記の記事をご覧下さい。

Fusion-io Drive採用

標準のストレージ容量が10GBと今時のレンタルサーバーとしては驚くほど少ないです。理由の一つとしては、HDDやSSDより容量単価の高いFusion-io Driveを利用しているためです。SSDと同じフラッシュメモリを利用していますが、(詳細は省きますが)カットスルーアーキテクチャと呼ばれる技術によりSSDを超える転送速度を実現しており、書き込み速度の速さも特徴です。一般ユーザーが利用することはなく、多くはデータセンターで利用されてます。

充実のバックアップ機能

WP Cloudは標準装備のバックアップ機能が充実しています。本番環境だけでなく、ステージング環境のバックアップも可能です。ステージング環境から本番環境へコピーする前にバックアップを実行しておくと、本番環境でトラブルが生じてもリストア機能によりコピー前の状態に戻すことができます。

バックアップの対象は、データベースのダンプ(SQLファイル)とWordPressのインストールディレクトリ以下の全データです。必要であればZipファイルにアーカイブしてSFTPでダウンロードすることもできます。

本番環境については自動バックアップ機能が標準で動作しており、毎晩深夜1時前後に自動でバックアップ処理が行われています。過去14日分が保存され、古いデータから削除されます。

オートスケール機能

クラウドタイプならではの機能です。何らかの理由でアクセスが急増したときに、Webサイトがダウンしないようにリソースを自動的に割り当てる(増強する)仕組みです。アクセス数が増えたらサーバーを増やし、アクセス数が減ったらサーバーを減らすイメージです。

普通のレンタルサーバーであれば、アクセスが急増すると503エラー(サービス利用不可の状態)が発生します。収益を目的としたサイトなら機会損失となってしまいますね。WP Cloudであればオートスケール機能により、高負荷時にも安定したWebサイトの稼働が可能です。

オートスケール機能は標準装備です。

SFTPアカウントとディレクトリ構造

WordPressをそのまま利用するなら、サーバーにあるファイルを操作することはありませんが、テーマのカスタマイズや独自のテーマを開発するのであれば、サーバーにアクセスする手段が必要です。

WP CloudはSFTP(SSH File Transfer Protocol)のみ※1対応しています。一般的なレンタルサーバーであればFTP/FTPSですが、セキュリティを考慮してSFTPが採用されています。一般的なFTPクライアントであればSFTPにも標準で対応しているので、対応プロトコルはあまり気にする必要はありません。

※1WP CloudにはWebベースのFTPブラウザがないので、(S)FTPクライアントが必須です。

SFTPのアカウントは自由に追加できます。パスワードは自動的に生成され、変更することはできません。マスターアカウント、本番環境用、ステージング環境用の3種類があり、マスター以外を追加することができます。

セキュリティ重視のためアクセス権の設定が厳しく、「wp-content」以下の領域のみファイルの作成や編集等の書き込みが可能となっています。もしソースの改変など「wp-content」より上位ディレクトリを利用するサイトであれば修正が必要となるでしょう。

Nginxを利用しているため「htaccess」等のApacheの機能は動作しません。Nginxの設定ファイルを編集できないため、mod_rewrite等と同等の機能も利用できません※2。そのためhtaccessで様々な制御をしているサイトを、そのまま引っ越すのは難しいかもしれません。もし他のレンタルサーバーからの引っ越しを検討しているのであれば、お試し期間を利用して既存サイトの動作確認が必要です。

※2 WordPressのadd_rewrite_tag、add_permastruct等の機能は動作します。

データベース

データベースは自動的に生成されます。ユーザーがデータベースを追加することはできませんが、テーブルの追加や操作は可能です。データベースの操作はphpMyAdminを介して行えます。

もしWordPress内で独自のデータを管理する場合、「wp-config.php」にあるデータベースのアカウント情報を利用すると良いでしょう。特に制限はないので、PDO等で自由にアクセスすることが可能です。

簡易的なデータ管理であれば、SQLiteを利用することも可能です。

ログ機能

エラーログのみとなっており、アクセスログやアクセス解析機能はありません。アクセス解析については、Google Analyticsを利用するユーザーが多いので、レンタルサーバーの機能がなくても困ることはないでしょう。

NginxとPHPのエラーログが過去5日分保存されます。ステージング環境のエラーログも保存されます。

コントロールパネル

WP Cloud専用のコントロールパネルとなっています。WordPress専用なので一般的なレンタルサーバーと比較して機能が絞り込まれており、直感的な操作が可能となっています。操作感(レスポンス)も上々です。

WP Cloudのコントロールパネルの特徴としては、スマートフォン対応(レスポンシブ対応)も挙げられます。他のレンタルサーバーでスマートフォン対応はあまり見かけません。

機能が少ないので困ることはありませんが、もし困っても公式サイトにマニュアルがあります。ただし、公式サイトのマニュアルやFAQはしっかりとした目次や分類がないため、目的の内容にたどり着くのが大変です。積極的にキーワード検索を利用しましょう。

WP Cloudまとめ

サービス開始間もないためか、機能が不足している印象があります。例えば、SFTPアカウントやステージング環境のBasic認証のパスワードを変更できません。かなり複雑なパスワードが自動的に生成されるので不要なのかもしれませんが、定期的にパスワードを変えたいユーザーには困る仕様です。

編集可能ディレクトリが「wp-content」以下のみという少し厳しいアクセス権設定やキャッシュ機能の詳細な設定ができない等、ユーザーが自由にできる範囲が狭い印象です。Nginx採用によるメリットとデメリットを比較検討する必要もあります。Apache依存の機能は動作しません。

それでも「転送量無制限」「キャッシュ機能」「オートスケール機能」「ステージング環境」「バックアップ機能」など、WordPressを安定運用する環境は充実しています。これらの機能に惹かれるのであれば、悪くない選択です。

初期費用無料、そして月額900円で利用できるのはお手軽です。基本料金で収まる訪問者数が30,000人/月という制限はありますが、PV換算で90万PV/月のサイト運営は簡単ではありません。初心者であれば、最初から追加料金が発生することはないでしょう。訪問者数はコントロールパネルで確認できるので、30,000人を超えるようになってから、他のレンタルサーバーも含めて比較検討すると良いかも知れません。

WordPress専用レンタルサーバーと言えばエックスサーバー(株)が運営するwpXが有名ですが、wpXは独自SSLを利用することができません。独自SSLを必要とするならWP CloudまたはCOREPRESS Cloudが選択肢となります。

開始間もないサービスなので、機能は徐々に充実していくと思われます。10日間のお試し期間があるので、興味があれば試してみてはいかがでしょうか。


※ この記事の内容は2015年8月の調査を基にしており、将来的に仕様が変更される可能性があります。契約の際には、お試し期間の利用をお勧めします。

関連記事

スペック

1件のプランがあります
プラン スタンダード
お試し期間10日間のお試し期間があります。
初期費用0円
標準月額900円
ディスク容量10GB
WordPress数無制限
MySQL無制限
転送量制限無制限
訪問者数30,000IP/月
ページビュー
マルチドメイン無制限
サービスドメイン1個
共用SSL
専用SSL
cron
SSH
アクセスログ
エラーログ
FTP
FTPS
SFTP
WebDAV