WADAXレンタルサーバーのレスポンス性能と安定性を調べてみよう

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WADAXレンタルサーバーは、GMOクラウド(株)が運営する共用タイプのレンタルサーバーです。他のレンタルサーバーと比較すると、やや法人向けといった感じのレンタルサーバーです。完全に法人向けというわけではないので、個人であっても問題なく利用することができます。法人向けと感じられるのは「ビジネス利用に最適な理由」や「サポート対応の良さ」を公式サイトで前面に押しているからでしょう。

WADAX共用サーバーのスペックを見ると、比較的オーソドックスな仕様となっており、機能の過不足がなく何をするにも困ることはないでしょう。もっとも大きな特徴は 「転送量無制限」 ですが、レンタルサーバーを利用するならレスポンス性能(応答速度)や安定性を重視する必要があります。いくら転送量が無制限であってもレスポンスが悪かったり不安定だと、質の良いコンテンツも意味がなくなってしまいます。

そこで、他のレンタルサーバーと比較して、どの程度のレスポンス性能があるのかを確認してみましょう。

測定方法

測定方法の詳細は下記のページを参照してください。

レンタルサーバー性能の測定方法

家庭用回線に接続したサーバーから定期的にアクセスして、Webページのダウンロードに要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

  • 動的ページ
    • WordPressによるサイト(PHPとデータベースを利用)
    • コンテンツは平均的なWebページの構成を採用
      • HTTP Archiveのデータを利用
  • 静的ページ
    • htmlファイルによるサイト
    • WordPressが生成したデータを静的ファイルに変換したものを利用

測定期間

2015年7月23日より14日間

測定と言っても一度きりでは意味がないので、一定期間の継続した測定を行っています。一定期間測定することで、夜間と日中の差や休日と平日の差を見ることができます。もしかしたら、曜日毎の変化があるかもしれません。

測定経路

データセンターの所在地については、下記の記事を参考にしてください。

WADAXレンタルサーバーのデータセンターを探してみよう

家庭用回線からの測定となります。家庭用回線は測定中であってもサーバー以外のPCで普通にインターネットを利用しています。家庭用回線のサーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

  • 家庭用回線の測定環境
    • eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
    • ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
測定回数 7,774 7,774
測定失敗 0.01%(1) 0.04%(3)
3秒以上 15.4%(1196) 11.8%(920)
10秒以上 0.04%(3) 0.06%(5)
平均時間(秒) 2.27 1.96
ばらつき(秒) 0.96 0.96
  • エラー内訳
    • 動的ページ(1)
      • レスポンスなし(1)
    • 静的ページ(3)
      • レスポンスなし(3)
測定失敗 ダウンロードが失敗した割合。()内は回数
3秒以上 ダウンロードに要した時間が3秒を超えた割合。()内は回数
10秒以上 ダウンロードに要した時間が10秒を超えた割合。()内は回数
平均時間 ダウンロードに要した時間の平均値
ばらつき 母標準偏差(グラフ上の値は標本標準偏差)

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

ユーザーが待てる時間は 3秒以内

調査では、3秒を過ぎると57%のユーザーがしびれを切らし、訪問を諦めることがわかった。どんなに美しいサイトを作ったところで、3秒以内に表示されなければユーザーの目に触れるチャンスすらないということになる。

3秒が許容範囲 - Webサイトのパフォーマンスが重要な理由 | マイナビニュース

快適なWebサイトの条件として 3秒以内 のレスポンスが1つの基準となります。

残念ながら動的ページ、静的ページともにレスポンスは 約2秒 となっており、他のレンタルサーバーと比較しても良くありません。コントロールパネルを操作している時点で、すでにレスポンスの悪さを感じていたため、予想通りの結果とも言えます。

とは言え、WADAX共用サーバーのデータセンターは「大阪」にあり、測定元は「関西圏」と距離的な利があるにも関わらず、この結果は少し驚きでした。

おそらくですが 「転送量無制限」 を実現するために、あえて転送量を搾っている印象があります。レスポンスの悪いレンタルサーバーは相対的にエラーも多くなる印象がありますが、WADAXの測定結果を確認すると、エラー発生率は他のレンタルサーバーと変わりません。また、FTP速度は他のレンタルサーバーと比較しても特別に遅いわけではありません。

他のレンタルサーバーと比較するとレスポンスは良くありませんが、平均すると 3秒以内 に収まっています。レスポンス性を必要としない、ブログのような普通のコンテンツをメインとするWebサイトであれば、この速度でも問題はないでしょう。

時間帯による変化は非常に分かりやすく、夜間が負荷のピークとなっています。どのレンタルサーバーであっても利用者の多くなる夜間は、遅くなる傾向にあるので気にする必要はありません。ただ、基本的なレスポンスが良くないので、夜間になるとWordPressサイトのレスポンスが平均 約2.5秒 となり、訪問者の体感速度は少し厳しいものとなるかもしれません。

WADAXレンタルサーバーの評価

測定結果からも分かりますが、レスポンス性能(応答速度)を必要とするサイト運営には向きません。ただし、 レスポンスは良くなくとも安定はしています 。そのため、一般的なブログ等のWebサイト運営であれば、問題となることはないでしょう。ただし、夜間帯はレスポンスが遅くなるため、ばらつきの大きさも考慮すると訪問者よっては少し待たせることになるかも知れません。

この測定は高負荷時か低負荷時か分からない状態で行っています。敢えて共用サーバーに負荷を掛けるような迷惑なこともしていません。サーバーの負荷状況をユーザーは知ることができないため、高負荷時にはこの結果よりさらに遅くなる可能性があります。しかし、約2週間の測定で常に安定していることを考えると、高負荷時であっても極端に遅くなったりエラーが発生することは少ないような気がします。

反応速度(レスポンス)の遅さを許容できるのであれば、 「サポート体制」「セキュリティ体制」 など、Webサイトを安定して運営する環境は充実しています。実際に何度かサポートを利用していますが、当日中に回答を得られます。かなり専門的な問い合わせの場合は、翌日になることもありますが、その場合も回答が遅れる旨の連絡があります。

WADAXのメリットは複数のWebサイト運営に適しているということです。マルチドメイン(独自ドメイン)は無制限ではありませんが、 転送量無制限 のメリットを生かすことができます。一般的なレンタルサーバーであれば転送量制限の壁があるため、マルチドメイン無制限であっても、そこまで多くのサイトを運営することはできません。

WADAXであれば「TypeSなら10サイト」「TypeGなら20サイト」「TypePなら30サイト」、転送量を気にすることなくサイト運営に集中することができます。さらに、多くのデータベースを利用できるのもWADAXの魅力です。公式サイトの仕様表を見ると、1契約につき「TypeSなら10個」「TypeGなら20個」「TypePなら30個」と、これが上限のように勘違いしますが、実際は1ドメイン毎の上限です。つまりTypeSなら「10ドメイン×10データベース」となり、最大100個のデータベースを利用できます。

公式サイトだけではWADAXの良さは分かりにくいかも知れません。もしサポートを頻繁に利用するかも知れない初心者や、多くのサイトを転送量を気にせずに安定して運営したいユーザーにはお勧めのレンタルサーバーです。

WADAXレンタルサーバーのより詳細なレビューは下記を参考にしてください。

WADAXレンタルサーバーのレビュー

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