基盤システム刷新でさらに表示速度が向上!エックスサーバー

エックスサーバー(XSERVER)では2016年8月に基盤システムの大幅な刷新が実施されました。各ソフトウェアのバージョンアップがメインとなっていますが、CPUやOSも更新されており、元々優秀なパフォーマンスがさらに向上しています。おそらく一般的なレンタルサーバーとしては、最も新しいハードウェアが採用されているでしょう。

比較 旧仕様 新仕様
CPU Xeon E5-2630 v3( 2.40GHz ) x 2
8コア/16スレッド
2014年発売
Xeon E5-2640 v4( 2.40GHz ) x 2
10コア/20スレッド
2016年発売
OS(独自調査) CentOS 5 CentOS 7
Apache 2.2.x 2.4.x

性能に影響しそうな変更はCPUです。キャッシュ容量やコア数が増えており、確実に性能が向上しています。もちろん非公表となっているだけで、他のハードウェアも改善されている可能性はあります。

これから新規に契約するともれなく新仕様(新サービス)が適用されるため、旧サービスのユーザーからすると羨ましいかぎりです。

ここでは旧サービスと新サービスに構築したウェブサイト(WordPress)の表示速度を比較して、本当に性能が向上しているかを確認します。

レスポンス速度の重要性

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC
hostingstockの測定結果について
端末(パソコンやスマートフォン)のレンダリング等の処理時間を含みません。理由は訪問者の端末の性能により、処理時間が大きく異なるためです。つまり、測定結果はウェブページを構成するデータを受信するために必要な時間を示しています。実際にウェブページが表示されるまでには、HTML解析やJavaScript処理などを含む描画時間が加算されます。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、ウェブページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。より詳しい内容は こちら を参考にしてください。

測定対象
動的ページ WordPressサイト(PHP&データベース)。コンテンツは平均的なウェブページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。
静的ページ HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。PHPとデータベースを使用しません。

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに2回の測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)×2回」の約4,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「利用者や訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者や訪問者が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強いサーバーであることを推測できます。

測定経路

エックスサーバーは同社の他サービスと同様に、さくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。ネットオウルのレンタルサーバーやSova WPでも採用されており、高性能かつ安定性のある高品質なデータセンターです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(インターネットプロバイダ)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

ネットワーク環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  PHP5(動的ページ) PHP5(静的ページ) PHP7(動的ページ) PHP7(静的ページ)
有効測定 4,027回 4,028回 4,028回 4,028回
棄却検定除外 2.38% (96) 7.67% (309) 0.77% (31) 5.61% (226)
棄却検定閾値 1.08秒 0.38秒 0.91秒 0.37秒
エラー 0.12% (5) 0.10% (4) 0.10% (4) 0.10% (4)
3秒以上 0.45% (18) 0.72% (29) 0% (0) 0% (0)
中央値 0.47秒 0.22秒 0.40秒 0.22秒
平均値 0.47秒 0.23秒 0.40秒 0.23秒
ばらつき/標準偏差 0.12秒 0.03秒 0.12秒 0.03秒
変動係数 25.5% 13.0% 30.0% 13.0%
測定結果について
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。
グラフのX軸は7日間を4時間毎に区切ったものです。色の付いている部分は夜間(18:00~02:00)を示しています。
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が同じであっても、変動係数が大きい方の処理時間がばらつくことになります。

新エックスサーバーの評価

PHP5とPHP7に対応しているので、両方の環境で測定しています。PHPのバージョンが異なるだけで、ウェブサイトの構成は同じです。

静的ページについて、表やグラフで「PHP5」または「PHP7」を便宜的に付与しています。当然ですが静的ページの測定で、PHPやデータベースは動作しません。PHPのバージョンごとに静的ページも測定してます。当然ですが配備したディレクトリが違うだけなので、どちらも似たような結果となっています。

全ての測定でエラーが発生していますが、測定期間中に下記メンテナンスが実施されたためです。サーバーの障害ではないので、このエラーは無視してください。

メンテナンスのお知らせ
https://www.xserver.ne.jp/information detail.php?view id=2857

この測定結果から分かることは、新基盤へ移行しても高性能かつ安定しているということです。メンテナンス期間を除けばエラーは発生せず、ばらつきもほとんどありません。ばらつきが小さいということは、いつでも同じ速さでウェブページが表示されるということであり、訪問者が快適なウェブサイトと感じるための重要な要素です。ページの最後に未加工データ(PHP7)を掲載していますが、棄却検定を適用しなくても素晴らしく安定していることが分かります。

それでは旧サービスと比較してみましょう。

旧サービスとの比較

  新 PHP5 新 PHP7 旧 PHP5 新 PHP7
有効測定 4,027回 4,028回 4,029回 4,025回
棄却検定除外 2.38% (96) 0.77% (31) 0.60% (24) 0.70% (28)
棄却検定閾値 1.08秒 0.91秒 1.12秒 1.11秒
エラー 0.12% (5) 0.10% (4) 0.07% (3) 0.17% (7)
3秒以上 0.45% (18) 0% (0) 0% (0) 0% (0)
中央値 0.47秒 0.40秒 0.55秒 0.48秒
平均値 0.47秒 0.40秒 0.49秒 0.44秒
ばらつき/標準偏差 0.12秒 0.12秒 0.15秒 0.14秒
変動係数 25.5% 30.0% 30.6% 31.8%

こちらもPHP5とPHP7によるWordPressサイトを、新サービスと旧サービスとで比較します。

どちらも安定していますが、新サービスで稼働させたウェブサイトのレスポンスが、旧サービスを上回る結果となりました。PHP7については、t検定による有意差(p<0.01)を確認できました。つまり、同じウェブサイトでも新サービスで運用することで、有意に表示速度が改善されることになります。

残念ながら、PHP5では有意差を確認できませんでした。PHP7とPHP5の実行速度の差が影響しているのかも知れません。それでも測定結果は新サービスが上回っており、平均的なレスポンス性能は向上しているようです。

性能は確実に向上しているようですが、そこまで大きな差ではありません。元々の性能が高いため、さらに洗練されたという印象です。この測定結果から分かることは、新サービスの恩恵を受けるのであれば、PHP7を積極的に採用した方がよいということです。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

当サイトで測定済みのレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

測定結果(PHP7の未加工データ)

3秒以上 0% (0) 0% (0)
中央値 0.41秒 0.22秒
平均値 0.41秒 0.25秒
ばらつき/標準偏差 0.16秒 0.11秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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