レンタルサーバー 性能評価のまとめ 2016年下半期

レンタルサーバーを選択するときの大事なポイントは何でしょう。

料金が安いことでしょうか? それとも、ドメインやデータベースを無制限に使えることでしょうか?

基本的に料金と性能は比例します。安価かつ素晴らしいサービスもありますが、高価格帯のサービスとは大きな差があります。安いサービスにはそれなりの理由があり、料金以上の性能を求めると必ず不満が出ます。

最も大きな差は安定性です。負荷の低い(訪問者の少ない)深夜帯なら、どのサービスでも不満のない表示速度があります。しかし、訪問者の多くなる夜間帯になると、安いサービスほど遅くなり、不安定(エラー)となる可能性が高くなります。

料金だけでなく、機能についても同じです。いくら無制限にサイトを運営できても、サイトの表示が遅かったり不安定だったりでは意味がありません。機能よりはレスポンス性能や安定性能を重視すべきでしょう。自分を訪問者に置き換えれば、なかなか開かないサイトにイライラすることは想像に難くありません。さらに、レスポンスの悪いサイトは、検索エンジンの評価も(相対的に)下がります。

とはいえ、性能だけ高くても意味がないので、幾つかの重要なポイントを説明しましょう。

ディスク容量
よほど少なくない限り気にする必要はありません。自分のパソコンの使用状況を考えれば分かりますが、たった10GBでもテキストや画像だけで埋めるには時間がかかります。コンテンツに動画や高解像度の画像を使用すれば簡単に埋まりそうですが、あっという間にデータ転送量の上限に達します。転送量制限がある限り、大容量は絵に描いた餅でしかありません。
最近はSSDを採用するサービスも増えていますが、単純に「SSD=高性能なサービス」とはなりません。総合的な性能で判断する必要があります。
マルチドメイン数
運営予定のサイト数+αで十分です。すでに説明しましたが、いくら多くのドメインを使用できても、サイト数が増えた分だけ転送量制限によるペナルティ対象となりやすくなります。基本的に転送量制限はサイト単位ではなく、契約単位で適用されます。
MySQL(データベース数)
データベースは多くても困りません。最低でも運営予定サイトと同じ数だけあると、WordPress等のインストールに困らないでしょう。できればサイト数+αを目安とします。
Cron
コマンドを自動実行するためのスケジューラです。例えば、Twitter等の他サービスから自動的にデータを取得し、コンテンツを自動生成 (自動更新) する用途があれば必須です。
ほとんどのサービスでは負荷抑制のため処理時間に制限があります。複数の処理を実行するなら、設定可能数に余裕があったほうがよいでしょう。最短実行間隔にも差があるため、短い間隔で実行する必要があるなら確認が必要です。
WordPress専用サービスには(ほとんど)Cronがありません。
データ転送量
いくらレスポンスが優れていても転送量の上限が低ければ意味がありません。基本的に「契約に対する上限」なので、サイトが増えると1サイトあたりの上限が下がります。一部のサービスでは、上限を超えると同時にサイトへのアクセスが不可となるものもあります。
データ転送量が無制限となっているサービスもありますが、本当に無制限のサービスはありません。必ず何かしら条件があるので確認してみましょう。安価なサービスの無制限を選択するなら、転送量制限が明確となっているサービスをおすすめします。やはり高額なサービスほど転送量に余裕があります。
SNI SSL対応
これまで常時SSL化(HTTPS)には固定IPアドレス(有料オプション)や高額なSSLサーバー証明書が必要でした。最近では、IPアドレスを必要としないドメインベースのSNI SSL(TLS拡張)に対応するレンタルサーバーが増え、低コストでSSL対応サイトを運営できるようになりました。さらに、無料の証明書(Let's Encrypt)に対応するサービスも登場しており、基本料金だけで常時SSL化が可能となっています。
2016年10月現在では、エックスサーバー、Zenlogic、MixHost、JETBOY(対応予定)などが無料のSSLに対応しています。他社でも証明書の持ち込みが可能であれば、ユーザー自身でLet's Encryptを設定できます。しかし、Let's Encryptは90日毎に更新作業が必要となります。上記サービスであれば自動更新に対応します。

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ウェブサイトの表示速度の比較です。

最新のハイスペックハードウェアとWordPress専用のキャッシュ機構を備えるwpX(エックスサーバー社)が上位を独占する結果となりました。汎用的なレンタルサーバーと比較して別格の性能です。高性能なのにコストパフォーマンスが高く、WordPressしか利用する予定がなければ文句なしにおすすめできます。

汎用的なサービスであれば、エックスサーバーまたはシックスコアがおすすめとなります。より安定性の高いサーバーが必要であればシックスコア、ランニングコストを優先するならエックスサーバーとなります。

測定方法
WordPressサイトのデータ取得に必要な時間の測定(表のWordPress)。
同じコンテンツをHTMLファイルで構成したサイトのデータ取得に必要な時間の測定(表のHTML)。PHPとデータベースを使用しません。
測定期間は7日間(約4,000回)。詳細は各測定記事をご覧ください。
公式サイト WordPress 秒HTML 秒試用期間 日初期費用 月額費用 転送量 GB/日
0.29–0.74 0.28–0.57 14 6,000 円2,200–8,800 円70–120
0.40–1.32 0.23–0.79 10 3,000 円1,200–4,800 円70–100
0.46–0.63 0.32–0.35 14 1,500–6,500 円980–3,980 円
0.48–1.95 0.37–0.88 10 1,500–3,000 円100–2,300 円100–∞
0.51–1.04 0.50–0.53 0 0 円360–1,798 円
0.54 0.36 10 1,540 円100–1,230 円1–20
0.58–2.24 0.42–1.73 0 934 円100–1,200 円!
0.62–1.20 0.39–0.74 15 3,950 円1,500 円120
0.62 0.41 14 3,240–5,400 円1,053–2,916 円
0.62–0.71 0.37–0.53 14 2,000 円600 円10
0.62 0.34 0 0 円0 円!
0.63–0.64 0.48–0.53 14 0–3,240 円1,080–3,240 円120–200
0.63–0.81 0.37–0.56 14 1,500 円300 円5
0.67 0.52 14 0 円1,186–22,600 円
0.68–0.93 0.67–0.69 30 0 円580–7,180 円
0.71 0.35 14 0–1,000 円0–126 円1.70
0.72–1.04 0.24–0.46 14 1,029–5,142 円129–4,628 円40–200
0.75 0.56–0.62 14 5,000 円1,800 円33
0.81–0.83 0.34–0.57 14 6,000 円2,372–4,658 円70–90
0.84–1.62 0.74–1.45 7 477–4,762 円381–3,800 円3.30–33
0.85–1.48 0.65–1.16 10 20,000 円4,400 円
0.87–0.95 0.52–0.80 14 2,000–2,500 円2,080–3,250 円
0.88–1.10 0.60–0.89 10 0–3,000 円140–4,000 円5–50
0.91–1.02 0.51–0.79 10 0–926 円126–1,260 円1
0.92 0.64 14 0 円1,250–3,800 円
1.05 0.81 14 3,000–5,000 円1,400–6,800 円!
1.14 0.27 0 0 円1,429 円!
1.96–2.27 1.63–1.96 0 3,240 円1,296–4,536 円
2.09 1.24 7 0 円0–381 円1–3
2.23 1.91 0 0 円450–1,620 円
2.72–3.68 2.41–3 14 3,000–7,000 円1,500–3,500 円
2.90–10 2.52–5.10 0 0 ドル3–70 ドル5–100
3.18–4.85 0.71–1.05 0 1,800 円1,300–2,600 円!
3.36 2.89 0 5,000 円1,315–3,315 円
3.78 3.77 10 3,000–10,000 円1,180–4,800 円!
4.56 4.24 14 1,500–6,500 円980–3,980 円
5.70–6.70 5.13–6.13 14 2,000 円300 円
8.05 7.82 0 0 円0–1,250 円3.30–∞

WordPress専用レンタルサーバー

WordPressの運用に特化したサービスの比較です。

エックスサーバー社のwpXが群を抜いて性能が高いため、他に選択肢がありません。特にwpXレンタルサーバーはメール機能にも対応しており、使い勝手は一般的なレンタルサーバーと変わりません。初心者にもオススメできます。

GMO系列のCOREPRESS CloudやZ.comは、性能的な問題はありませんが、訪問者数による従量制課金となっており、アクセス数をしっかりと把握しなければなりません。常に訪問者数を気にする必要があり、初心者には少し敷居が高いでしょう。

公式サイト WordPress 秒HTML 秒試用期間 日初期費用 月額費用 転送量 GB/日
0.21–0.41 0.21–0.39 14 0 円500–50,000 円10–133
0.24–0.47 0.24–0.43 14 5,000 円1,200 円50
0.25 0.26 0 0–1,500 円0–300 円x
0.37–0.62 0.36–0.60 0 0 円900 円
0.38–0.61 0.57–0.73 10 0 円500–16,000 円5–160
0.42 0.40 0 0 円0 円x
0.43 0.43 7 0 円0–9,800 円
0.66 0.66 10 0 円900 円

アダルトサイト対応レンタルサーバー

アダルトコンテンツの掲載を許可しているレンタルサーバーです。

最近の傾向として海外にサーバーがあっても、運営者が国内にいれば国内の法律が適用されるため、あえて海外のサービスを利用する必要はありません。もし、国内の法律に触れるようなコンテンツを利用するなら海外に移住しましょう。

国内のサービスでも対応には差があります。例えば、FUTOKA、iCLUSTA+、JETBOY、MixHostは明確にアダルトサイト対応を謳っています。しかし、KAGOYAの場合「禁止はしていない」が、積極的に許可しているわけではありません。

アダルトサイト中心のサイト運営なら、JETBOY、MixHost、FUTOKAをおすすめします。特に、JETBOYとFUTOKAは基本料金だけでウェブサイトのSSL化に対応しており、コストパフォーマンスも優秀です。

一般的なコンテンツ中心のサイト運営なら、機能と性能のバランスに優れるKAGOYAがおすすめです。少しだけアダルトサイトを運営してみたいと思ってもすぐに対応できます。

KAGOYAは少し厳しいような説明をしましたが、基本的にはどのサービスであっても法律の範囲内であれば何の問題もありません。

公式サイト WordPress 秒HTML 秒試用期間 日初期費用 月額費用 転送量 GB/日
0.46–0.63 0.32–0.35 14 1,500–6,500 円980–3,980 円
0.63–0.64 0.48–0.53 14 0–3,240 円1,080–3,240 円120–200
0.68–0.93 0.67–0.69 30 0 円580–7,180 円
0.87–0.95 0.52–0.80 14 2,000–2,500 円2,080–3,250 円
2.72–3.68 2.41–3 14 3,000–7,000 円1,500–3,500 円
2.90–10 2.52–5.10 0 0 ドル3–70 ドル5–100
3.36 2.89 0 5,000 円1,315–3,315 円
4.56 4.24 14 1,500–6,500 円980–3,980 円

サーバーの処理性能

ネットワーク性能を除く、サーバーそのものの処理性能の比較です。測定にWordPressを採用しており、PHPとデータベースの性能測定となります。

基本的に処理性能の高いサーバー(サービス)が、ウェブサイトの表示速度も上位となる傾向にあります。しかし、CPIやWADAXのような法人向けサービスの場合、処理性能が高くても表示速度は平均的なサービスもあります。おそらく、安定性重視の方針のため、ネットワーク帯域を調整し、サーバーが高負荷とならないようにしているのでしょう。

基本料金はやや高額ですが、CPIは平均以上のレスポンス性能がありかつ非常に安定しています。高性能なサービスを探しているのであればおすすめの一つとなります。

測定方法
100記事(ランダムな3,000文字/記事)の自動生成と、WordPressへの投稿と削除。
公式サイト WordPress 秒試用期間 日初期費用 月額費用 転送量 GB/日
1.70 10 20,000 円4,400 円
1.94 14 3,240–5,400 円1,053–2,916 円
2.02–2.41 0 0 円360–1,798 円
2.15–5.31 10 0–3,000 円140–4,000 円5–50
2.16 0 3,240 円1,296–4,536 円
2.17–3.03 30 0 円580–7,180 円
2.18 14 1,500–6,500 円980–3,980 円
2.28–2.73 10 3,000 円1,200–4,800 円70–100
2.52 10 0–926 円126–1,260 円1
2.71–3.51 7 477–4,762 円381–3,800 円3.30–33
2.72 0 0 円0–1,250 円3.30–∞
2.73–3.61 14 6,000 円2,200–8,800 円70–120
2.86 14 3,000–5,000 円1,400–6,800 円!
3.10 14 2,000–2,500 円2,080–3,250 円
3.11–3.19 15 3,950 円1,500 円120
3.11 0 0 円0 円!
3.13 14 3,000–7,000 円1,500–3,500 円
3.14 10 1,540 円100–1,230 円1–20
3.14 0 934 円100–1,200 円!
3.20 14 0 円1,186–22,600 円
3.64 14 5,000 円1,800 円33
4.22–4.96 0 1,800 円1,300–2,600 円!
4.22 14 0 円1,250–3,800 円
4.50 14 6,000 円2,372–4,658 円70–90
4.56–7.41 10 1,500–3,000 円100–2,300 円100–∞
5.16–6.45 0 0 ドル3–70 ドル5–100
5.18 10 3,000–10,000 円1,180–4,800 円!
5.25–5.88 14 2,000 円600 円10
5.31 14 2,000 円300 円
5.67–6.45 14 1,500 円300 円5
5.71 14 1,029–5,142 円129–4,628 円40–200
6.05 0 5,000 円1,315–3,315 円
6.52 14 0–3,240 円1,080–3,240 円120–200
6.90 0 0 円1,429 円!
8.30 14 0–1,000 円0–126 円1.70
14 7 0 円0–381 円1–3

ファイル転送性能

レンタルサーバーを選ぶときに、ファイル転送性能(FTP性能)を気にする人はほとんどいないでしょう。例えば、第三者が開発したプラグインやテーマを利用するだけのWordPress運用なら、FTPの使用頻度は高くありません。しかし、WordPressテーマ(デザイン)の開発やオリジナルサイトの運用なら、転送速度の遅さは作業効率を悪化させ、ストレスの原因にもなります。

用途や目的によってファイル転送性能も重要な検討項目です。絶対的な条件ではありませんが、あらかじめ確認しておけば契約後に後悔することもありません。

測定方法
約2MB (約20ファイル) のファイル群のアップロードとダウンロード。
FTP非対応の場合、SFTP等の対応プロトコルを使用しています。
公式サイト アップロード 秒ダウンロード 秒試用期間 日初期費用 月額費用 転送量 GB/日
0.75 0.48 14 6,000 円2,200–8,800 円70–120
0.75 0.49 10 3,000 円1,200–4,800 円70–100
0.90 0.69 14 1,500 円300 円5
0.95 0.71 14 0–1,000 円0–126 円1.70
1.04 0.72 14 2,000 円600 円10
1.05 0.72 14 6,000 円2,372–4,658 円70–90
1.10 0.86 14 5,000 円1,800 円33
1.11 0.73 0 0 円1,429 円!
1.33 1.13 0 0 円0 円!
1.44 1.19 0 0 円0 円3.30
1.50 1.33 10 1,540 円100–1,230 円1–20
1.53 0.89 10 0–926 円126–1,260 円1
1.56 0.97 0 934 円100–1,200 円!
1.58 0.98 14 1,500–6,500 円980–3,980 円
1.61 1.13 14 2,000–2,500 円2,080–3,250 円
1.61 1.08 14 0–3,240 円1,080–3,240 円120–200
1.62 1.21 15 3,950 円1,500 円120
1.67 0.98 14 3,240–5,400 円1,053–2,916 円
1.73 1.06 0 0 円360–1,798 円
1.77–1.83 1.08–1.33 10 0–3,000 円140–4,000 円5–50
1.88 1.53 14 3,000–5,000 円1,400–6,800 円!
1.98 1.19 7 477–4,762 円381–3,800 円3.30–33
2.11–2.48 1.44–1.92 10 1,500–3,000 円100–2,300 円100–∞
2.14 1.25 0 1,800 円1,300–2,600 円!
2.26 1.33 14 0 円1,186–22,600 円
2.38 2.46 14 0 円1,250–3,800 円
2.62 1.84 0 3,240 円1,296–4,536 円
2.92 2.99 7 0 円0–381 円1–3
2.97 1.39 14 1,029–5,142 円129–4,628 円40–200
3–3.41 1.86–1.93 30 0 円580–7,180 円
3.09 1.36 10 20,000 円4,400 円
5.53 5.86 0 5,000 円1,315–3,315 円
6.75 8.72 10 3,000–10,000 円1,180–4,800 円!
12 6.79 14 3,000–7,000 円1,500–3,500 円
12 7.47 0 0 ドル3–70 ドル5–100
12 11 0 0 円0–1,000 円!
17 10 14 2,000 円300 円
33 21 0 0 円0–1,250 円3.30–∞

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