トップクラスの性能をもつZenlogicでレスポンス重視のサイトを運営しよう

Zenlogic(ゼンロジック)をVPSと勘違いしている方がいるかもしれませんが、「VPSを基盤とした共用レンタルサーバー」が正解です。VPSなら契約者がサーバーを管理しますが、Zenlogicは運営会社であるファーストサーバがサーバーを管理します。セキュリティ対策などの管理運用は任せて、利用者はウェブサイトの運営に集中できます。つまり、使い勝手は一般的なレンタルサーバーと同じです。Zenlogicの特徴は「VPSの安定性と共用レンタルサーバーの使い勝手を併せた新しいサービス」となります。

法人向けのサービス(個人でも可)ということもあり、公式サイトでは「安定性」をアピールしています。実際にサーバーの処理性能を測定すると、非常に安定していることを確認できました。

レンタルサーバーを選択する際、最も大切なポイントは公式サイトの情報では分からない「ウェブサイトのレスポンス速度」です。いくら豊富な機能に対応していても、サイトのレスポンスが悪ければ意味がありません。どうしても必要な情報がない限り、せっかくの訪問者も他サイトへ去ってしまうでしょう。さらにレスポンスの遅さは検索エンジンの評価にも悪い影響を与えます。

処理性能は非常に安定しているZenlogicですが、レスポンス速度はどの程度なのでしょうか?

ここではZenlogicで稼働するウェブサイトのレスポンス速度を評価し、他サービスとの比較を行います。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、ウェブページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なウェブページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

測定期間

測定期間は 7日間 です。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者数(訪問者数)が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

ファーストサーバがYahoo!の子会社ということもあり「Yahoo! JAPANのIaaS型クラウド基盤」が採用されています。公式サイトではYahoo!となっていますが、グループ企業であるIDCフロンティアのデータセンターのようです。あくまでもtracerouteやping等による推測ですが、福島白河DCで運用されているようです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(関西電力)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

ネットワーク環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定 4,026回 4,026回
棄却検定除外 2.24% (90) 1.52% (61)
棄却検定閾値 1.04秒 1.21秒
エラー 0.15% (6) 0.15% (6)
3秒以上 0.60% (24) 0.62% (25)
中央値 0.65秒 0.47秒
平均値 0.67秒 0.52秒
ばらつき/標準偏差 0.07秒 0.14秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test」(α=0.001)により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
生データ(未加工データ)の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき(標準偏差)
統計的な話ですが、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。
エラー内容  
動的ページ [6] Connection refused [5] / Network is unreachable [1]
静的ページ [6] Connection refused [4] / Network is unreachable [2]

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

Zenlogicの評価

レスポンスが非常に安定しており、VPSの仕組みを採用するメリットが表れています。他社のレンタルサーバーのように、訪問者や利用者が多くなる夜間帯に遅くなることはありません。一般的な共用サーバーであれば多くのユーザーでリソース(CPUやメモリなど)をシェアします。そのため特定のサイトにアクセスが集中すると、他のサイトのレスポンスが悪化したり、最悪の場合エラーが発生します。Zenlogicでは予めリソースを個々に割り当てるため、他サイトの影響を受けにくいという特徴があります。

平均値は1秒以内であり、訪問者は快適にコンテンツを閲覧できるでしょう。後述する他社との比較でも分かりますが、共用レンタルサーバーの中ではトップクラスの性能があります。しかもこの結果は最廉価プラン(1vCPU/1GB)のものです。上位プランほどスペックが向上するため、この結果を上回るでしょう。

未加工データ(棄却検定なし)でも安定していることを確認できます。未加工データの一部に遅延データがありますが、それでも平均値は1秒程度であり、遅くなったときにも十二分な性能があります。エラーが気になるかもしれませんが、サーバーではなくネットワークの問題かもしれません。同時期に処理性能を測定していましたが、そちらでは不具合が発生していないためです。他のレンタルサーバーでも、この程度のエラーは発生するので気にする必要はありません。

個人で利用するにはやや高い料金かもしれませんが、レスポンス速度や安定性を必要とするウェブサイトを運営するなら選択肢の一つとなるでしょう。コーポレートサイトを運用するなら是非おすすめしたいサービスです。

メモ
2016年11月末まで創業20周年を記念した プランS が設定されています。性能はそのままに、個人でも利用しやすい料金設定となっています。

エックスサーバー、Bizメール&ウェブ エコノミーとの比較

  Zenlogic Bizメール&ウェブ エックスサーバー
有効測定 4,026回 4,032回 4,026回
棄却検定除外 2.24% (90) 2.11% (85) 0.72% (29)
棄却検定閾値 1.037秒 1.363秒 2.287秒
エラー 0.15% (6) 0% (0) 0% (0)
3秒以上 0.60% (24) 0.07% (3) 0.15% (6)
中央値 0.65秒 1.14秒 0.80秒
平均値 0.67秒 1.14秒 0.83秒
ばらつき/標準偏差 0.07秒 0.04秒 0.30秒
変動係数 10.5% 3.51% 36.1%

ミドルクラスレンタルサーバーとして人気の高いエックスサーバーと、Zenlogicと同じ法人向けのBizメール&ウェブ エコノミー(NTTコミュニケーションズ)と比較してみましょう。

どのレンタルサーバーもウェブサイトを快適に運用するための性能をもちますが、それぞれに特徴があります。エックスサーバーは確かに高性能ですが、法人向けと比較してばらつきが気になります。Bizメール&ウェブは非常にレスポンスがフラットであり、レスポンス速度より安定性重視の設定に思えます。Zenlogicは高い安定性とレスポンス性能を備えており、トータル的な性能は他を大きく上回ります。

平均値に対する変動の割合を示す変動係数(相対標準偏差)で比較すると、エックスサーバーが最もばらつきやすいことが分かります。次点でZenlogic、Bizメール&ウェブが最も安定しています。安定していても遅ければ意味がないというのであれば、Biz&メールは選択肢とならないかもしれません。

どのレンタルサーバーも必要十分なレスポンス性能があるため、スペックと料金のバランスで選択するとよいでしょう。Zenlogicでは2週間の無料お試し期間を用意しています。手続きは簡単なので使い勝手などを試してみるとよいでしょう。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

当サイトで測定済みのレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

上位サービスのほとんどは、キャッシュ機能を備えるWordPress専用レンタルサーバーです。

測定結果 (未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上 0.60% (24) 0.62% (25)
中央値 0.65秒 0.47秒
平均値 0.72秒 0.56秒
ばらつき/標準偏差 0.53秒 0.42秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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