高負荷時でも安定稼働!JETBOYのレスポンス速度の評価と比較

JETBOYはライムテックが運営するレンタルサーバーです。以前は海外のデータセンターで運用されていましたが、2016年7月より国内データセンターへ移行しています。JETBOYの特徴は「ハイスペックサーバーの採用」と「コンテンツに対する許容範囲の広さ」です。特にコンテンツの許容範囲に関しては、アダルトコンテンツも許可されており、国内では数少ないアダルトサイト対応レンタルサーバーの一つとなっています。

レンタルサーバーを選択する際、大切なポイントは「ウェブサイトのレスポンス速度」です。いくら豊富な機能に対応していても、運営サイトのレスポンスが悪ければ意味がありません。訪問者を自分に置き換えて考えれば、なかなか開かないページにイライラすることは想像に難くないでしょう。さらに検索エンジンの評価にも影響を与えます。

ここではJETBOYで稼働しているウェブサイトのレスポンス速度を評価し、他のレンタルサーバーとの比較を行います。

レスポンス速度の重要性

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC
hostingstockの測定結果について
端末(パソコンやスマートフォン)のレンダリング等の処理時間を含みません。理由は訪問者の端末の性能により、処理時間が大きく異なるためです。つまり、測定結果はウェブページを構成するデータを受信するために必要な時間を示しています。実際にウェブページが表示されるまでには、HTML解析やJavaScript処理などを含む描画時間が加算されます。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、ウェブページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。より詳しい内容は こちら を参考にしてください。

測定対象  
動的ページ WordPressサイト(PHP&データベース)。コンテンツは平均的なウェブページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。
静的ページ HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。PHPとデータベースを使用しません。

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに2回の測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)×2回」の約4,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「利用者や訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者や訪問者が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強いサーバーであることを推測できます。

測定経路

JETBOYはカゴヤ(KAGOYA)の京都データセンターで運用されているようです。カゴヤのデータセンターは2006年から運用されており、2014年には2棟目が建設されました。比較的新しいデータセンターです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(インターネットプロバイダ)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

ネットワーク環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定 4,032回 4,032回
棄却検定除外 6.20% (250) 4.39% (177)
棄却検定閾値 0.78秒 0.45秒
エラー 0% (0) 0% (0)
3秒以上 2.70% (109) 0% (0)
中央値 0.62秒 0.31秒
平均値 0.63秒 0.32秒
ばらつき/標準偏差 0.03秒 0.03秒
測定結果について
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。

測定結果(未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上 2.70% (109) 0% (0)
中央値 0.62秒 0.31秒
平均値 0.93秒 0.33秒
ばらつき/標準偏差 1.97秒 0.08秒

JETBOYの評価

いつもの評価なら棄却検定を適用したデータ(以下、検定データ)だけを利用するのですが、除外されたデータが約6%(250/4,032)もあるため未加工データとあわせて評価します。

検定データは「平均から極端に離れたデータを除外したもの」です。このデータを基に作成されたグラフを見ると、非常に安定しているように見えます。しかし、未加工データを基に作成されたグラフを見ると、かなりのばらつきを確認できます。検定データの平均値は「0.63秒」ですが、未加工データは「0.93秒」とかなりの差があります。これは他のレンタルサーバーでは見られない傾向です。

このような傾向となるのは、除外されたデータが全体的に遅いからです。除外データの平均値は「5.4秒」となっており、全体の平均値を大きく上回ります。

平均だけで評価すると、未加工データの平均値(0.93秒)でも理想値(2秒)を上回り、他社と比較しても上位クラスの性能があります。端末(パソコンやスマートフォン)での描画時間を加算しても、訪問者にストレスを与えることはないでしょう。

しかし、約6%のアクセスは平均値を大きく上回るため、タイミングによってはストレスになるかもしれません。これを許容できるかどうかはユーザー次第です。国内に移行してから1ヶ月ほどは安定していましたが、それ以降はこの様な傾向が続いています。国内でアダルトサイト対応、かつ他社と比較してリーズナブルな料金設定となれば、人気が出ない理由がありません。おそらく、契約者の増加に伴い負荷が高くなっているのでしょう。他の記事ですがベンチマークの結果でも同様の傾向にあります。

静的ページの結果を見ると分かりますが、どちらのグラフも非常に安定しています。つまりネットワーク環境(バックボーン)は高品質であることが分かります。そして、この結果から分かることは、動的ページのばらつきは「PHPまたはデータベースの処理」が大きく影響しているということです。

しかし、これだけのばらつきがありながら、エラーが発生していないことに驚きます。このあたりはハイスペックサーバー採用の恩恵が表れており、安定性には全く問題がないようです。この結果とは別に1ヶ月ほど継続測定していましたが、ほとんどエラーが発生していません。

追記
この測定では「PHP5.6」を使用しています。「PHP7」に変更することで、大幅に安定性(ばらつき)が改善されます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
JETBOYでウェブサイトを運営するならPHP7が絶対におすすめ!
注意
あくまでもhostingstockで利用してるサーバーの結果です。共用レンタルサーバーは多数のサーバーで運用されており、さらに多数の契約者で共有します。他のサーバーが同じような傾向にあるとは限りません。ばらつきを除いた結果がJETBOY本来の性能と言えます。

KAGOYA、FUTOKA、iCLUSTA+との比較

測定結果について
動的ページ(WordPress)の比較となります。グラフのX軸は7日間を4時間毎に区切ったものです。また、色の付いている部分は夜間(18:00~02:00)を示しています。
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が同じであっても、変動係数が大きい方の処理時間がばらつくことになります。
  JETBOY KAGOYA FUTOKA iCLUSTA+
有効測定 4,032回 4,032回 4,032回 4,031回
棄却検定除外 6.20% (250) 2.21% (89) 2.28% (92) 8.93% (360)
棄却検定閾値 0.78秒 1.15秒 1.54秒 8.5秒
エラー 0% (0) 0% (0) 0% (0) 0.02% (1)
3秒以上 2.70% (109) 0.02% (1) 0.42% (17) 87.5% (3,528)
中央値 0.62秒 0.61秒 0.95秒 3.11秒
平均値 0.63秒 0.64秒 0.95秒 3.52秒
ばらつき/標準偏差 0.03秒 0.10秒 0.12秒 1.00秒
変動係数 4.76% 15.6% 12.6% 28.4%

アダルトサイト対応の他社サービスと比較してみましょう。比較対象は「KAGOYA(カゴヤ)」「FUTOKA(フトカ)」「iCLUSTA+(アイクラスタプラス)」です。全て国内データセンターで運用されています。

iCLUSTA+は少し残念な結果となっており、レスポンス速度重視なら比較対象となりません。かなり特徴的な傾向があり、平日はAM6:00からPM6:00にかけてレスポンスが徐々に悪くなりますが、土日祝日は終日安定します。この中では測定時期が少し古いため、現在は改善されている可能性はあります。

FUTOKAは平均以上のレスポンス速度と安定性があり優秀ですが、JETBOYや他社と比較して少し割高です。数少ないアダルトサイト対応サービスということもあり、少し強気な料金設定のように思えます。JETBOYのサービスが開始されるまでは、おすすめしやすいサービスの筆頭でした。

KAGOYAは自社データセンター運用であり、JETBOYも同じです。それぞれハードウェア(サーバー)は異なりますが、ばらつきを除いたデータがほぼ同じような結果となっています。これらのサービスの中では、速度安定性ともに最も優秀です。

次の「未加工データの比較」を見ると分かりますが、JETBOYはばらつきが目立ちます。このばらつきを含めるとFUTOKAと同程度の平均値に落ち着きます。しかし、変動係数でも示されていますが、平均値が同じでもJETBOYの方が大きくばらつきます。グラフを見れば一目瞭然ですね。

ディスク容量など、仕様的(機能的)にもKAGOYAが優れています。ただし、アダルトサイトを明確に許可しているJETBOYと異なり、KAGOYAは「禁止ではない」という少し曖昧な対応です。もちろん国内の法律に沿うコンテンツなら、何の問題もありませんが、グレーゾーンの対応はKAGOYAが厳しいかもしれません(あくまでも推測です)。

悩むところですが、アダルトサイト重視でPHP7も必要ならJETBOYかFUTOKAとなるでしょう。アダルトサイトはおまけで、一般的なコンテンツ重視のサイト運営なら、コストパフォーマンスの高いKAGOYAとなります。

比較対象サービスのレビュー
KAGOYA
FUTOKA
iCLUSTA+

未加工データの比較

iCLUSTA+を省いています。

  JETBOY KAGOYA FUTOKA
3秒以上 2.70% (109) 0.02% (1) 0.42% (17)
中央値 0.62秒 0.61秒 0.95秒
平均値 0.93秒 0.66秒 0.99秒
ばらつき/標準偏差 1.97秒 0.18秒 0.46秒
変動係数 211.83% 27.27% 46.46%

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

当サイトで測定済みのレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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