日本語ドメインのメリットとデメリット

日本語ドメインは、その名の通り「レンタルサーバー.com」のように、ドメインに日本語をそのまま利用します。WebサイトのURLが覚えやすいというメリットもあり、SEO効果の高さ(今は不明ですが)も知られています。

2003年3月に国際化ドメイン名(IDN / Internationalized Domain Name)の仕様がRFC(Request For Comments)にまとめられました。国際化ドメイン名では、日本語や中国語、アラビア語などが対応しています。

この仕様が作成されたことで、半角英数と記号(対応する)、全角のひらがな、カタカナ、漢字を利用することができるようになりました。

ただしインターネット(のシステム)で日本語がそのまま利用されているわけではありません。既存のDNS(Domain Name System)への影響を少なく運用できるような仕組みが利用されています。

IDNA、Nameprep、Punycode

日本語ドメイン(国際化ドメイン名)対応には、IDNA、Nameprep、Punycodeというキーワードが重要となります。IDNA(IDN in Applications)はNameprep(Name Preparetion)とPunycodeを含む国際化ドメイン名の大枠の仕様と考えれば良いでしょう。

例えばWebブラウザに日本語でURLを入力する際、うっかり対応していない全角の記号やアルファベットを入力してしまっても問題なくアクセスできます。ここにNameprepが適用されています。名前の通りドメイン名の前処理という意味で、ドメイン名を正規化する処理を行います。

次に既存のDNSに対応させるために Punycode (ピュニコード)という文字列に変換されます。

例えば、「レンタルサーバー.com」をPunycode変換すると「xn--vckta6cvfd6b1db.com」という 文字列になります。

これらの仕組みにより日本語のドメインが利用できるようになっています。

メリット

URLを覚えやすく、どのようなサイトかURLを見ただけである程度分かります。さらに、日本語ドメインは珍しいのでインパクトがあります。大手サイトではデメリットを嫌い、あまり利用しないから珍しいということにもなりますが・・・

未だにSEO効果があるという説明を見かけます。同程度のコンテンツであれば日本語ドメインが有利でしょうが、以前のように中身のないサイトが検索結果の上位になることはないようです。

希望するドメイン名が取得しやすいこともメリットです。2015年1月の段階で、汎用JPドメイン94万ドメイン中、12万ドメインは日本語ドメインとなっており、年々増加しています。しかし、世界中のユーザーが利用するアルファベットのドメインと比較するとまだまだ少なく、簡単に希望のドメイン名が取得できるでしょう。

デメリット

日本語ドメインに対応していないレンタルサーバーがあります。もし日本語ドメインでの運用を考えているなら、日本語ドメイン対応について確認しておく必要があります。また、レジストラ(リセラー)によっても日本語ドメインの扱いがないこともあります。

最も大きなデメリットはメールアドレスに利用できないことでしょうか。「利用できない」は語弊がありますが、例えば「info@レンタルサーバー.com」は利用できません。ただし、Punycode化された「info@xn--vckta6cvfd6b1db.com」なら使えます。ただ、あまり意味がありませんね。

レンタルサーバー(または証明書発行会社)によっては独自SSLが利用できないこともあります。利用できてもサイトシール(セキュアシール、トラストシール)が日本語に対応していないため、Punycodeで表示されるか、ブラウザによっては利用できないこともあります。

日本人向けのサイトであれば問題ありませんが、海外からのアクセスは困難になるかもしれません。もちろんアクセスできないわけではなく、日本語のURLを見ても意味が分かりませんし、Punycodeを見てもさらに意味が分かりません。とはいえ、日本語が分からない海外の方が日本語のURLでアクセスすることはないので気にする必要はないでしょう。

個人的には明確な目的がなければデメリットが目立つような気がするので、あまりおすすめはできません。例えば、会社名を日本語で利用したいと思っても、メールが使えないと意味がないような気がします。

当然ですが、WebブラウザでURLをコピーすると http://xn--vckta6cvfd6b1db.com/ の様になってしまいます。