正引きと逆引きとは?そして、レンタルサーバーでは逆引きを行えない理由

まず、あなたのWebサイトになぜドメイン名でアクセスできるのか、簡単に説明しましょう。

インターネット上のデータのやり取りは IPアドレス を基に行われています。IPアドレスはインターネット上にあるコンピューターの 住所 と考えてもよいでしょう。IPアドレスは 203.0.113.10 のように、数字のみの一定のルールがあります(IPv4の場合)。数字が並んでいるだけなので、人間が見てもどこのWebサイトのことか分かりません。

IPアドレスを人間に分かりやすく置き換えたものがドメインです。例えば、Yahoo!のIPアドレスとドメインは以下の様になっています。

  • Yahoo!
    • ドメイン:yahoo.co.jp
    • IPアドレス:183.79.135.206(他にも182.22.59.229)

ドメインを見ればYahoo!であることがすぐに分かります。しかし、IPアドレスを見てもどこのサイトなのかさっぱりわかりません。

コンピューターはIPアドレスを理解しますが、ドメインは理解できません。そこでドメインをコンピューターが理解できるIPアドレスに変換する仕組みが必要です。

それがDNS(Domain Name System)です。DNSサーバーは世界中にあり、それらが連携して正しいコンピューター(以下、サーバー)の住所を管理しています。

例えば、Webサイト 「example.com」 にアクセスします。Webブラウザは「example.com」がどこのサーバー(IPアドレス)にあるか知りません。そこでDNSの仕組みが利用されます。

DNSサーバーに「example.comの住所(IPアドレス)を教えて」と依頼すると、DNSサーバーは「example.com」のIPアドレスを教えてくれます。そのIPアドレスを利用することで、正しいサーバーに接続することが可能となります。

ここまでの説明で気付いたかも知れませんが、例えばWebブラウザのURL欄にIPアドレスを直接入力すれば、目的のWebサイトにアクセスすることができます。ただし、後で説明しますが、共有タイプのレンタルサーバーにあるWebサイトへ、IPアドレスでのアクセスは(ほとんどの場合)できません。

正引きとは

先程説明した ドメイン名からIPドレス を検索することを 正引き と呼びます。

  • 正引き
    • DNS lookup / forward lookup

例えば、Webブラウザで目的のWebサイトにアクセスするときも、FTPクライアントで目的のFTPサーバーにアクセスするときもこの処理が行われます。この仕組みがなければインターネットは機能しません。

パソコンを初めてインターネットに接続したとき、下記のようなDNSの設定を行った記憶があるでしょう。ネットワーク環境にも依りますが、インターネットプロバイダのマニュアルを見ながら設定したと思います。

DNSの設定はドメイン名ではなくIPアドレスを入力しています。なぜなら、ドメイン名を入力しても、そのDNSサーバーにアクセスできないからです。どこにアクセスするにも、まずDNSサーバーに住所(IPアドレス)を確認する必要があります。そのため、ここの設定はIPアドレスが利用されます。

Webブラウザだけでなく、他のアプリケーションもこの設定を参照します。

逆引きとは

逆引きとは、読んで字のごとく 正引きと反対 、つまり IPアドレスからドメイン名 を検索します。

先程のDNSの仕組みを考えれば分かりますが、ドメインには必ずIPアドレスが存在します。対となるIPアドレスなければ、ドメインでサーバーにアクセスすることができません。

しかし、IPアドレスのみでドメインが存在しないことがあります。コンピューター間でのみ利用されるなら、人間のためのドメイン名は不要です。そのため、 逆引きは必ずできるわけではありません

  • 逆引き
    • reverse lookup / reverse DNS lookup

正引きと逆引きを行うことを 名前解決 とも言います。

なぜレンタルサーバー上のWebサイトは逆引きができないのか?

レンタルサーバーにあるWebサイトも正引きは可能です。そうでなければ、Webサイトにアクセスできません。

しかし、逆引きはできない場合がほとんどです。その理由は、レンタルサーバーでは1つのサーバー(IPアドレス)を複数のWebサイト(ドメイン)で共有するためです。

試しにこのサイト「hostingstock.net」の名前解決を行ってみましょう。Macのネットワークユーティリティを利用します。Windowsなら「nslookup」コマンドを利用できます。

  • 正引き
    • 157.112.176.26
  • 逆引き
    • sv825.xserver.jp

この結果から分かりますが、逆引きの結果はIPアドレスに対応するサーバー自身のドメインとなります。このように、レンタルサーバーにあるWebサイトへの逆引きは、目的と異なる結果が返ってきます。

全てのWebサイトが逆引きできないわけではありません。レンタルサーバーのオプションサービスに 固定IPアドレスサービス (グローバルIPアドレス)があり、それを利用しているWebサイトであれば正確な逆引きが可能です。

同居人を探してみよう

本当に同じIPアドレスを複数のユーザーが共有しているのか、先程のIPアドレスにどの程度のWebサイト(ドメイン)が収容されているかを確認してみましょう。ここでは「TCPIPUTILS.com」を利用しますが、同じようなサービスは色々とあります。好みのサービスを探してみてはいかがでしょうか。

このサイトと同じサーバーに100以上のサイトがあることが分かります。ちょっと詰め込み過ぎじゃないでしょうか・・・

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