JETBOYはライムテック社(東京都)が運営するハイスペックレンタルサーバーです。サービス開始時は海外(北米)のデータセンターで運用されていましたが、2016年7月より国内のデータセンターに移行しました。他社と比較して高性能なサーバーの採用が特徴でしたが、ウェブサイトのレスポンスはその性能を生かすものではありませんでした。理由は「ネットワークの物理的距離」です。国内からアクセスする場合、北米までの通信遅延は避けられません。国内データセンターに移行したことで、飛躍的にレスポンス性能が向上し、サーバー性能を生かせる環境となりました。快適なレンタルサーバーを検討しているならおすすのめの一つとなります。
ここでは初心者向け標準コントロールパネル(JETBOYサーバーパネル)の内容に沿ってレビューを行います。JETBOYの全ての仕様を確認するのであれば、多機能コントロールパネルであるcPanelを対象としたの旧レビューも併せてご覧ください。データセンターが変更されても基本的な仕様は変わっていないため参考になるでしょう。
プラン | ミニSSD | ファーストSSD | スタンダードSSD | プレミアムSSD |
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ディスク容量 | 20GB | 40GB | 80GB | 120GB |
MySQL | 10個 | 20個 | 40個 | 60個 |
大きく異なるのはディスク容量とデータベース数(MySQL)のみです。その他のハードウェアやソフトウェアの基本的性能は同じです。プランの選択に悩んだらウェブサイトの規模や数で選択するとよいでしょう。例えば10個以内のWordPressサイトを運用するならミニプランで十分です。
プラン | ミニ | ファースト | スタンダード | プレミアム |
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初期費用 | 1,500 円 | 3,500 円 | 5,500 円 | 6,500 円 |
月額(1ヶ月契約) | 980 円 | 1,980 円 | 2,980 円 | 3,980 円 |
月額(12ヶ月契約) | 816 円 | 1,650 円 | 2,483 円 | 3,316 円 |
年間費用(標準) | 13,260 円 | 27,260 円 | 41,260 円 | 54,260 円 |
年間費用(1年契約) | 11,292 円 | 23,300 円 | 35,296 円 | 46,292 円 |
年間契約であれば 長期契約割引+初期費用無料 となるため非常にお得です。
クレジットカード払いに限られますが、 14日間の無料お試し期間 もあります。本契約については、3ヶ月間の最低利用期間が設けられており、それ未満での契約はできません。
公式サイトでは国内とだけ説明されており、コントロールパネルでは「Japan / Kyoto」となっています。実際にtraceroute(経路探索)などで確認すると確かに京都のデータセンターにあるようです。あくまでもhostingstockで利用しているサーバーの結果であり、全てのサーバーが同じとは限りません。
旧サービスは海外データセンターということもあり、公式サイトでも「アダルトサイト対応」が明記されていました。しかし、国内移行に伴いそれらの文言は削除されたようです。
サポートに問い合わせたところ「従来通りコンテンツに関する制限はありません」との回答を得ており、法律の範囲内ならアダルトサイトでも問題がないことを確認しています。つまり、「米国の法律に抵触するものは利用不可」という条件がなくなっただけであり、コンテンツの制限についてはこれまでと何も変わりません。
国内サービスの多くは「アダルト禁止」となっており、コンテンツに対する制限の少なさはJETBOYの特徴でもあります。
JETBOYには3種類のコントロールパネルがあります。
各コントロールパネルのレスポンスは快適です。JETBOYサーバーパネルは操作が簡素化されているため、初心者でも迷うことはないでしょう。
全てのプランで転送量が 無制限 となっています。
しかし共用サーバーであることには変わりません。他のウェブサイトに影響を与えるほどの大量のアクセス(30GB/日超)があった場合、そのアカウントは制限の対象となります。あくまでも目安であり、この値を超えたからといってすぐに制限対象となるわけではありませんん。
他社でも無制限を謳うサービスがありますが、共用サーバーである限りこの仕様は変わりません。
無料のSSLサーバー証明書である「Let's Encrypt」に正式対応しています。Let's Encryptは有効期間の短い証明書ですが、JETBOYは自動更新に対応しており一度設定してしまえば更新作業は不要です。標準機能となっており、基本料金だけで全てのサイトをSSL化(HTTPS対応)することができます。
Let's Encryptだけでなく、他社で取得したSSLサーバー証明書をユーザー自身でインストールすることもできます。JETBOYはSNI SSL(TLS拡張)に対応しており、固定IPアドレスがなくてもドメインごとに証明書の設定が可能です。
全プランでマルチドメイン 無制限対応 となります。
契約時に独自ドメインを必要とするレンタルサーバーもありますが、JETBOYでは jetboy.jp
のサブドメインが提供されます。サーバーIDが example
であれば、 example.jetboy.jp
(標準ドメイン)となります。さらに、blog.example.jetboy.jp
というドメインも設定できるため、独自ドメインがなくても複数のサイト公開が可能です。しかし標準ドメインは契約期間のみ利用できるため、長期運営が目的であれば独自ドメインの取得をおすすめします。
標準ドメインはFTPサーバーやメールサーバーのホスト名にも利用されます。
JETBOYでは独自ドメインの取り扱いがなく、他社レジストラ(リセラー)で独自ドメインを取得する必要があります。スタードメインやムームードメインなどの格安レジストラで契約するとよいでしょう。もちろん日本語ドメインにも対応しています。
プラン | ミニSSD | ファーストSSD | スタンダードSSD | プレミアムSSD |
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MySQL | 10 | 20 | 40 | 60 |
phpMyAdmin | ○ | ← | ← | ← |
外部アクセス リモートMySQL |
○ | ← | ← | ← |
データベースはMySQLとなっており、プランごとに設置可能数の差があります。例えばWordPressは一つにつきデータベース一つが基本なので、多くのサイトを運営するなら上位プランを選択するとよいでしょう。
JETBOYの仕様はデータベースとデータベースユーザー(以下ユーザー)で構成されます。全てのデータベースを一つのユーザーでアクセスしたり、一つのデータベースに複数のユーザーを割り当てることができます。データベース名とユーザー名は「サーバーID_任意の文字列」となります。
普通の仕様に思えるかもしれませんが、レンタルサーバーによっては一つのユーザーで全てのデータベースへアクセスするものであったり、データベースごとにユーザーが自動生成されるものもあります。JETBOYはアプリケーションごとにしっかりと管理したいユーザーには嬉しい仕様ですが、初心者には少し分かりにくいかもしれませんね。
データベース仕様 | |
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MySQL | 5.5.48 対応エンジン: MyISAM / MRG_MYISAM / CSV / BLACKHOLE / MEMORY / PERFORMANCE_SCHEMA / ARCHIVE / InnoDB |
phpMyAdmin | 4.0.10.7 |
SQLite | 3.8.5 PHPならPDO関数とSQLite関数に対応します。 |
基本的に phpMyAdmin でデータベースを操作することになりますが、JETBOYのMySQLは外部からのアクセスを許可しているため、普段から利用しているMySQLクライアントを利用することも可能です。また、外部サーバーとの連携も(設定次第で)可能です。
接続元(IPアドレスやホスト名)の設定が必須であり、その接続元からのみアクセスが可能となります。ホスト名には %
をワイルドカードとして利用できます。例えば、フレッツ光であれば %.ocn.ne.jp
という設定も可能です。しかし、ワイルドカードを指定すると同じプロバイダの他の人もアクセス可能となるので、IPアドレスによる設定が安全でしょう。
全プランでFTPアカウントを 無制限 に作成できます。通常のFTPに加えセキュアな FTPS にも対応しているため、安全なファイル転送が可能です。
サーバーパネルで作成できるアカウントのホームディレクトリは「/home/サーバーID/public_html」が最上位ディレクトリとなります。同階層の別ディレクトリを指定するならcPanelが必要です。ただし、cPanelを利用しても「/home/サーバーID」を指定することはできません。全てのディレクトリを操作可能なアカウントは初期発行されるものだけです。
ファイルマネージャー(ウェブアプリケーション)を利用すれば、FTPクライアントがなくてもディレクトリやファイルの操作が可能です。基本的なファイル操作以外にも、高機能なコードエディタやHTMLエディタも内蔵されています。シンタックスハイライトにも対応しており、ちょっとしたテキスト編集であれば十二分なものです。
「/home/サーバーID」が契約者のホームディレクトリ(以下~)となります。このディレクトリに対しする編集権があるため、例えば「/private」というディレクトリを作成して非公開としたいファイルを保存することができます。
公開ディレクトリは「~/public_html」となります。このディレクトリは標準ドメインのドキュメントルートにもなります。そしてユーザーが追加する独自ドメインごとに専用のディレクトリが生成されます。例えば「example.com」を追加した場合、「~/public_html/example.com」ディレクトリが作成されドキュメントルートとなります。
cPanelであればドキュメントルートを自由に変更することができます。
全てのプランで 無制限 にメールアカウントを作成できます。
対応プロトコル | |
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SMTP | SSL/TLS、STARTTLS、SMTP-AUTH、サブミッションポート |
IMAP | SSL/TLS、STARTTLS |
POP | SSL/TLS、STARTTLS |
セキュアなSSL/TLSにも対応しており、必要十分な仕様となっています。IMAPは複数の端末でメールを管理する用途に向いています。
サーバーパネルで操作できる機能は「アカウント作成」「転送設定」「メール配信ログ追跡」のみです。メーリングリストや迷惑メール対策機能はcPanelにあります。
機能 | |
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転送設定 | 任意のアドレスへ自動転送できます。ドメイン単位で転送させることもでき、複数の設定が可能です。 |
配信追跡 | メールの配信ルートを確認できます。あまり利用することはないと思いますが、メールが送信できないときの原因特定に役立ちます。 |
その他 | cPanelに以下の機能が含まれます。メーリングリスト(mailman)/ メールフィルタ / グローバルフィルタ / メール認証(DKIM / SPF)/ 迷惑メールフィルタ(Apache SpamAssassin)/ ウィルススキャン |
3種類のウェブメーラーが用意されており「Roudcube」「Horde」「SquirrelMail」を切り換えて利用できます。様々なレンタルサーバーで採用されている定番のメーラーです。
PHPは複数のバージョンに対応しており、任意のバージョンに切り換えることができます。他社のようにドメイン単位での切り換えに対応しておらず、全てのサイトに設定が適用されます。CGI/FastCGIで動作しています。
cPanelを利用すればPHPの設定(機能拡張など)を変更できます。ユーザー自身でphp.iniや.user.iniを設定することもできます。
PHP仕様 | |
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5.6(基本) | Core / date / ereg / libxml / openssl / pcre / sqlite3 / zlib / bz2 / calendar / ctype / curl / hash / filter / ftp / gettext / gmp / SPL / iconv / pcntl / readline / Reflection / session / standard / shmop / SimpleXML / exif / tokenizer / xml / cgi-fcgi / mhash |
5.6(拡張) | apcu / imagick / mysqli / posix / sysvsem / apm / imap / mysqlnd / propro / sysvshm / bcmath / inotify / ncurses / pspell / tidy / big_int / interbase / nd_mysql / quickhash / timezonedb / bitset / intl / nd_mysqli / radius / trader / bz2_filter / ioncube_loader / nd_pdo_mysql / raphf / translit / dba / ioncube_loader_4 / oauth / recode / uploadprogress / dbx / jsmin / oci8 / redis / uri_template / dom / json / odbc / rsync / uuid / doublemetaphone / ldap / opcache / snmp / wddx / eio / libevent / pdf / soap / weakref / enchant / lzf / pdo / sockets / xdebug / fileinfo / mailparse / pdo_dblib / sourceguardian / xmlreader / gd / mbstring / pdo_firebird / spl_types / xmlrpc / gender / mcrypt / pdo_mysql / ssh2 / xmlwriter / geoip / memcache / pdo_odbc / stats / xrange / gnupg / memcached / pdo_pgsql / stem / xsl / haru / mongo / pdo_sqlite / stomp / yaz / htscanner / msgpack / pgsql / suhosin / zend_guard_loader / http / mssql / phalcon / sybase_ct / zip / igbinary / mysql / phar / sysvmsg |
7.0(基本) | Core / date / libxml / openssl / pcre / sqlite3 / zlib / bz2 / calendar / ctype / curl / hash / filter / ftp / gettext / gmp / SPL / iconv / pcntl / readline / Reflection / session / standard / shmop / SimpleXML / exif / tokenizer / xml / cgi-fcgi |
7.0(拡張) | apcu / imagick / nd_pdo_mysql / pspell / uuid / bcmath / imap / oci8 / raphf / wddx / dba / intl / opcache / snmp / xdebug / dom / json / pdo / soap / xmlreader / eio / ldap / pdo_mysql / sockets / xmlrpc / enchant / lzf / pdo_pgsql / sysvmsg / xmlwriter / fileinfo / mbstring / pdo_sqlite / sysvsem / xsl / gd / mcrypt / pgsql / sysvshm / zip / gender / mysqli / phar / tidy / / gmagick / mysqlnd / posix / timezonedb / http / nd_mysqli / propro / trader |
オプション(共通) | allow_url_fopen / display_errors / error_reporting / file_uploads / include_path / log_errors / mail.force_extra_parameters / max_execution_time / max_input_time / memory_limit / open_basedir / post_max_size / session.save_path / short_open_tag / upload_max_filesize |
言語 | 仕様 |
---|---|
PHP | CGI/FastCGI。7.0.7 / 5.6.22 / 5.5.36 / 5.4.45 / 5.3.29 / 5.2.17 / 5.1.6 / 4.4.9 |
Perl | 5.10.1 |
Python | 2.6.6 |
Ruby | × |
SSI | ○(動作確認を行っただけであり、公式にサポートされているわけではありません) |
全てのプランでCron(タスクスケジューラ)を利用できるため、定期的なスクリプトの自動実行も簡単です。仕様は共通となっており、設定数は 無制限、最短実行間隔は 1分間 となっています。他社と比較して自由度の高いCronですが、あくまでも共用サーバーなので、サーバーが高負荷となるようなスクリプトは制限されます。
サーバーパネルで設定できますが、crontabの書式となるためcPanelで設定するのとあまり変わりません。プリセットメニューのあるcPanelのほうが初心者には易しいかもしれませんね。cPanelであれば実行結果をメール通知する設定もできます。
ドメインごとのアクセスログ(Apache形式)を取得できます。ログファイルの更新頻度が高いため、すぐにアクセス内容を確認することができます。対象は、HTTP、FTP、SSLとなります。
ウェブサーバーのエラーログはファイルとして提供されませんが、cPanelで過去300件分を閲覧することができます。
他にも以下の機能を備えています。
帯域幅 | プロトコル(HTTP / IMAP / POP3 / SMTP / FTP)ごとの転送量を確認できます。過去24時間、過去1週間、過去1年、月単位で確認できます。 |
アクセス解析 | Awstats 7.4(Advanced Web Statistics)を利用できます。毎日更新されドメインごとのアクセス解析結果を表示できます。 |
JETBOYは標準でバックアップ機能に対応しており、毎日0時にバックアップが自動実行されます。
サーバーパネルで取得できるバックアップは、「ホームディレクトリ」と「MySQLのダンプファイル」それぞれの最新アーカイブファイルとなります。
cPanelなら過去数日分の完全バックアップ(データベースやメールなどを含む)を取得でき、手動でバックアップを実行することもできます。
詳しく紹介するほどではない、標準のサーバーパネルで対応している機能です。cPanelを利用すればより多くの機能に対応します。詳しくはcPanel対応レビューを確認してください。
上位プランへの変更のみ対応しており、JETBOYアカウントパネルで手続き可能です。ただし、初期費用とプラン料金差額分(契約期間の残り日数の差額分)が発生するため、料金的には新規契約と変わりません。
メリットとしては、サーバー環境が変わらないため、ウェブサイトの引っ越し作業が発生しないことです。上位プランを検討するなら、新規契約よりプラン変更のほうが手間が少なく楽でしょう。
サポートはメール対応(問い合わせフォーム)のみです。
サポート | |
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契約前 | 公式サイトのお問い合わせフォームを利用します。 |
契約後 | アカウントパネルに契約者専用のお問い合わせチケット機能があります。 |
マニュアルやFAQは必要最低限のみで充実しているわけではありません。cPanel自体は世界中で採用されている汎用的なコントロールパネルであり、少し検索するだけで操作方法を見つけることができるでしょう。
支払い方法 | |
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クレジットカード | VISA、JCB、MasterCard、NICOS、MUFG、Diners Club、UFJ、楽天、AMERICAN EXPRESS、AEON、DC |
銀行振込 | 振込手数料が必要です。入金確認に数日かかります。 |
銀行振込からクレジットカード払いへ変更できます。逆(クレジットから銀行振込)は対応していません。
JETBOYアカウントパネルで手続きが可能です。いつ解約しても有効期限まではサーバーを利用できます。つまり、途中解約による返金には対応していません。
更新履歴 | |
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2016年10月29日 | Let's Encryptに正式対応しました。 |