ロリポップ!(Lolipop!)はライトユーザーに人気のレンタルサーバーです。コロリポやロリポ、チカッパの廉価プランならワンコイン(500円)以下で利用できるため、趣味でWebサイトを運営する多くのユーザーに愛されるレンタルサーバーとなっています。
最上位プランの ビジネスプラン が2014年10月15日に追加されました。コロリポ/ロリポ/チカッパ(廉価プランと呼びます)との具体的な違いはどのようになっているのでしょうか?
廉価プランとビジネスプランを比較してみましょう。
公式サイトを確認するとビジネスプランの特徴は以下の様になっています。
稼働率99.99%は他のプランでも同様の文言があるので、ビジネスプラン特有の仕様ではりあません。
パフォーマンスについては、CPUが 260% の性能、ディスクの読み書き速度は 4倍 、と書いてあります。後述しますが、この数字だけを見て他のプランより 数倍以上 のパフォーマンスがある!と勘違いしないようにしてください。
電話サポートは、 サポート料金は無料 となっていますフリーダイヤルという訳ではないようです。サポートに問い合わせてみましたが、通話料が無料か有料かは教えていただけませんでした。
おそらく有料ならビジネスプランの特徴(売り)となるので、大々的にアピールするでしょう。通話料が有料だと仮定すると、あまりメリットにはなりません。通話料はユーザー負担となりますが、電話サポートに対応するレンタルサーバーはいくつもあります。
電話サポートの対応時間は「平日10時~13時、14時~17時」のみです。
廉価プランでは有料(300円/月)となるバックアップオプションが 無料 となっています。仕様を確認すると姉妹サービスの heteml (ヘテムル)で採用されている機能と同等のようです。
バックアップ保管数は過去7回分(7世代)となっており、毎日バックアップを実行すれば、 7日分 のバックアップが可能です。
バックアップ対象は Webデータ と データベース となっており、サーバーにある全てのデータが対象となります。
バックアップ機能には以下の機能があります。
コントロールパネルは、廉価プランと共通です。機能や操作方法も同じです。
ディレクトリ構造も他のプランと全く同じです。FTPでアクセス可能な領域は公開領域(Webからアクセス可能)のみとなっており、他のレンタルサーバーにあるprivateディレクトリのような非公開領域は存在しません。もし、公開したくないファイルを置くのであれば、htaccess等でアクセス制限する必要があります。
異なる仕様のみ抜き出してみましょう。
コロリポ | ロリポ | チカッパ | ビジネス | |
---|---|---|---|---|
初期費用 | 1,500円 | 1,500円 | 1,500円 | 3,000円 |
月額料金 | 100円 | 250円~ | 500円~ | 2,000円~ |
ディスク容量 | 10GB | 50GB | 120GB | 400GB |
転送量 | 1GB/日 | 5GB/日 | 10GB/日 | 無制限 |
独自ドメイン | 20 | 50 | 100 | 無制限 |
サブドメイン | 10 | 300 | 500 | 500 |
データベース | 0 | 1 | 30 | 100 |
cron | 1 | 5 | 10 | 10 |
メールマガジン | 1 | 5 | 10 | 30 |
メーリングリスト | 1 | 5 | 10 | 30 |
バックアップ | オプション | オプション | オプション | 無料 |
電話サポート | × | × | × | ○ |
特徴的な仕様は、 転送量無制限 、 ディスク容量 、 マルチドメイン数 、 データベース (MySQL)、 バックアップ機能 となっています。
このグラフはロリポプラン、ビジネスプランに設置したWordPressのレスポンス時間を 9日間 測定した結果です。
廉価プラン(コロリポ、ロリポ、チカッパ)のパフォーマンスに明確な差はありません。料金の違いは、ディスク容量やデータベース数と言った基本仕様の差です。もし差があるならアピールするでしょう。ロリポプランの結果が、コロリポ、チカッパにも当てはまると考えて問題ありません。
家庭用回線に接続されたサーバーから定期的にアクセスして、Webページのダウンロードに要する時間を測定します。測定対象として動的ページと静的ページがあります。
動的ページ
静的ページ
測定条件
グラフのX軸は9日間を4時間毎に区切っています。つまり、9日間×(24時間/4)=54となっています。また、色の付いている部分は夜間(18時~2時)を示しており、利用者が多くなる時間帯を分かりやすくしています。
測定失敗 | ダウンロードが失敗した割合。()内は回数 |
3秒以上 | ダウンロードに要した時間が3秒を超えた割合。()内は回数 |
平均時間 | ダウンロードに要した時間の平均値 |
ばらつき | 母標準偏差(グラフ上の値は標本標準偏差) |
コロリポ/ロリポ/チカッパ | ビジネスプラン | |
---|---|---|
測定回数 | 5,184 | 5,184 |
測定失敗 | 0.06%(3) | 0%(0) |
3秒以上 | 3.55%(184) | 1.68%(87) |
平均時間(秒) | 1.57 | 1.24 |
ばらつき(秒) | 0.68 | 0.55 |
測定結果を見ると、ビジネスプランが 「1.24」 秒、廉価プランが 「1.57」 秒と、ビジネスプランが優れており、明確な差があります。ただし、当サイトにある他のレンタルサーバーの測定結果を確認すると分かりますが、レスポンス性能の優れるレンタルサーバーと比較すると確実に劣ります。
ビジネスプランの結果を見ると夜間にレスポンスが悪くなる傾向にあります。ただし、この傾向は他社のレンタルサーバーでも同じなので、あまり気にする必要はありません。
気になるのは廉価プランの結果です。「ばらつき」の差はそこまでありませんが、夜間日中問わずレスポンスが変化し、不安定です。利用者の多くなる夜間にだけ遅くなるわけではなさそうです。
この結果を見ると、ビジネスプランは廉価プランと比較して安定したレスポンス性能があることが分かります。公式サイトにも説明がありますが、 1つのサーバーに収容するユーザーを制限 することで安定性を実現しているのでしょう。
調査では、3秒を過ぎると57%のユーザーがしびれを切らし、訪問を諦めることがわかった。どんなに美しいサイトを作ったところで、3秒以内に表示されなければユーザーの目に触れるチャンスすらないということになる。
快適なWebサイトの条件として3秒以内のレスポンスが1つの基準となります。廉価プランもビジネスプランも2秒以内に収まっており、ブログのような普通のコンテンツをメインとするWebサイトの運営であれば十二分な性能です。
ただし、高速なレスポンス性能を必要とする特殊なサービスにはビジネスプランでも厳しいでしょう。まぁ、共有レンタルサーバーを、そのような用途に利用するのは間違いなので、気にすることはありません。
コロリポ/ロリポ/チカッパ | ビジネス | |
---|---|---|
測定回数 | 5,184 | 5,184 |
測定失敗 | 0.04%(2) | 0%(0) |
3秒以上 | 1.25%(65) | 1.50%(78) |
平均時間(秒) | 0.85 | 0.86 |
ばらつき(秒) | 0.45 | 0.55 |
最近ではデータベースやPHP等を利用せずにWebサイトを運営することは少ないと思いますが、静的ページの結果も掲載しておきます。
PHPやデータベースの処理が発生しないので、当然ですが動的ページよりレスポンスが良くなります。夜間にレスポンスが遅くなるのは動的ページと同じような傾向ですね。
動的ページ(秒) | 静的ページ(秒) | 動的ページと 静的ページの差(秒) |
|
---|---|---|---|
コロリポ/ロリポ/チカッパ | 1.57 | 0.85 | 0.72 |
ビジネス | 1.24 | 0.86 | 0.38 |
この表は、動的ページと静的ページの平均時間の差です。つまり、PHPやデータベースの処理時間と考えても良いでしょう。
この結果を見ると、ビジネスプランのハードウェア(サーバー)が確かに高性能であることがわかります。PHPやデータベースの処理は確実に速くなっています。
しかし、静的ページの測定結果に差はないことから、サーバー以外の環境(ネットワーク等)は全プラン共通なのかも知れません。
例えば、チカッパの転送量制限は10GB/日となっています。1ページ平均2MBのWebサイトを運営するとしましょう。10GB/日であれば、1日に5,000PVまで制限(一時停止などのペナルティ)を受けないことになります。1ヶ月だと15万PVなので、普通のサイトであれば必要十分でしょう。
ただし、複数のサイトを運営するなら話は変わります。もし10個のサイトを運営するなら、1日に500PV/サイト、1ヶ月に1.5万PV/サイトとなり、アクセス数の多いサイトばかりならすぐに上限に達します。
多くのサイトを安定して運営したいならビジネスプランの出番となります。
※ 1KiB = 1024Bのキビバイト換算ではありません。
公式サイトでのパフォーマンス説明は少し大げさな気はしますが、確かに廉価プランより高パフォーマンスのサービスとなっています。月額2,000円で 転送量無制限 を 明確 にしているレンタルサーバーはほとんどありません。
あったとしても、マルチドメイン非対応であったり、データベース数やディスク容量が少なかったりと、転送量無制限なのに複数のサイト運営には向かない仕様のサービスがほとんどです。
エックスサーバー等と比較するとレスポンスは劣りますが、転送量無制限に対応するレンタルサーバーは総じてレスポンスが平凡です。法人向け色の強いWADAXやCPIもレスポンス性能はいたって普通です。それでも多くの法人に利用されていることを考えれば、この程度のレスポンス性能でもほとんど問題がないのでしょう。
ロリポップ!のビジネスプランはディスク容量にも余裕があり、マルチドメイン無制限、データベース100個と、多くのWebサイトを安定かつ低コストで運営するには最適なサービスです。