XREAのレスポンス性能を評価して、他のレンタルサーバーと比較してみよう

XREA (エクスリア) はコアサーバーやバリュードメインを運営するGMOデジロックの無料レンタルサーバーです。大手ホスティングサービスの無料レンタルサーバーとして非常に有名です。

他の無料レンタルサーバーと比較して、自由度が非常に高いことが特徴であり、使い勝手は有料のレンタルサーバーとほとんど変わりません。XREAの場合、基本的な仕様はコアサーバーやバリューサーバーと同じです。

そうは言っても、無料サービスを維持するために広告費で運営されており、全てのページへ自動的に 広告 が挿入されます。広告が表示されない有料プラン XREA+ (エクスリアプラス) もあります。

もちろん同社のバリュードメインで取得した独自ドメインなら簡単に設定でき、他社で管理しているドメインも手間は増えますが問題なく利用できます。

無料プランと有料プランの差は以下の通りです。

プラン 通常 プラス
初期費用 0円 0円
月額費用 0円 381円/月
年間契約時 0円 191円/月
広告表示 あり なし
ディスク容量 1GB 10GB
転送量制限 1GB/日 3GB/日
プラン 通常 プラス
cron ×
MySQL 1個 5個
PostgreSQL 1個 5個
独自ドメイン 10個 20個
サブドメイン 10個 20個
XREAサブドメイン × 3個

それでは、XREAのレスポンス性能 (応答性能) の評価と、他社との比較についてまとめてみましょう。

測定方法

家庭用回線に接続したサーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なWebページの構成を採用 (HTTP Archiveの統計データより)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

レンタルサーバー性能の測定方法

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことが (完全ではありませんが) 省けます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

家庭用回線からの測定となります。測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

家庭用回線の測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定数 3,995回 4,008回
Grubbs' test 除外割合 0.93% (37) 2.10% (84)
Grubbs' test 閾値 7.44秒 3.30秒
エラーの割合 0.93% (37) 0.60% (24)
3秒以上の割合 15.1% (603) 0.82% (33)
中央値 1.70秒 1.17秒
平均値 2.09秒 1.24秒
ばらつき/標準偏差 1.07秒 0.42秒
測定結果について
有効測定数はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。
エラー内容  
動的ページ [37] Failed to connect to .xrea.com port 80: Connection refused [24/37] / 500 Internal Server Error [12/37] / Empty reply from server [1/37]
静的ページ [24] Failed to connect to .xrea.com port 80: Connection refused [20/24] / Connection reset by peer [3/24] / Connection timed out [1/24]

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱 (データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境 (スマートフォンなど) ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります
参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

XREAの評価

平均値だけなら 2秒程度 であり、上記の基準ぎりぎりといったところです。しかし、ブラウザのレンダリング時間等を含むとタイミングによっては3秒を越えることもあるでしょう。無料サービスなのであまりサーバーの環境が良くないのでしょうか、上位サービスには劣ってしまい、平均時間を比較すると バリューサーバー < コアサーバー < XREA となっています。

夜間になるとレスポンスがかなり悪化するという傾向にあります。静的ページについても夜間に変動がありますが、動的ページの変動が大きく、PHPやデータベースの処理性能に問題があることが分かります。エラー発生率もよくありません。100件に1回 (約1%)なら少ないように思えますが、他のレンタルサーバーであれば、1,000件に1回 (約0.1%) でも少し多いと感じる程度です。

有料プランへ移行しても、サーバー環境は変わりません。つまり、レスポンスに関しては無料も有料も変わりません。有料プランは月額200円程度 (年間契約時、初期費用無料) と格安ですが、もう少し予算を増やして上位サービスへ移行するか、他のレンタルサーバーを選択するべきでしょう。

やはり、無料サービスと言うことで利用者が多いのでしょう。サーバーの性能に問題があると言うよりは、有料サービスほどは厳格にユーザーの収容数を制限していないため、リソースに余裕がないようです。そのため、訪問者が多くなる夜間に高負荷となることが推測できます。

レスポンスは良くありませんが、ここまで機能を解放しているサービスはあまりありません。(広告は挿入されますが) メールも利用でき、Perl、Python、Rubyにも対応しています。夜間のレスポンス低下を除けば、下手な有料サービスより優れており文句の付けようがありません。

ただし、他と比較して広告表示には厳格です。意図的にではないにしても、広告を表示していなければ、即アカウント削除となるため注意が必要です。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

hostingstock.netで測定しているレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

比較すると分かりますが、国内サービスの中では下位のレスポンス性能であり、海外サーバーよりは速いといった位置づけです。レスポンスに期待できないとは言え機能は豊富であり、よく分からない海外のサービスを利用するよりは遙かに良いでしょう。

無料サービスとしては非常に多機能なので、学習目的の初心者にもおすすめできます。あくまでも学習目的であって、簡単にWebサイトを運営したいという目的には向きません。コアサーバーと同等のコントロールパネルが採用されていますが、決して使いやすくはありません。どちらかと言えば、玄人向きのサービスというイメージが付いています。とは言え、利用者が多いため、ほとんどの問題点については解決策が見つかるでしょう。

レスポンスの悪さと転送量上限の低さから、本格的なサイト運営には全く向きません。あまりアクセス数のないブログ程度の用途に限るでしょう。

もし、レスポンスに問題があると感じれば、Netowl (ネットオウル) やXdomain (エックスドメイン) の無料サービスも検討してみてください。

測定結果 (未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上の割合 16.0% (640) 2.92% (117)
中央値 1.71秒 1.18秒
平均値 2.18秒 1.46秒
ばらつき/標準偏差 1.64秒 2.50秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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