平均以上だがばらつきの大きいCOREPRESS Cloudのファイル転送速度

COREPRESS Cloud(コアプレス クラウド)はGMOデジロックが運営するWordPress専用のレンタルサーバーです。COREPRESSの詳細については こちらのレビュー を参考にしてください。

レンタルサーバーを選ぶときに、ファイル転送性能を気にする人はほとんどいません。例えば、第三者が開発したプラグインやテーマを利用するだけのWordPress運営なら、FTP(COREPRESSの場合SFTP)の使用頻度はそこまで高くありません。特にWordPress専用のCOREPRESSならその傾向が強くなります。しかし、WordPressのテーマ(デザイン)などを開発するなら、転送速度の遅さは作業効率を悪化させ、ストレスの原因にもなります。

用途や目的によっては、ファイル転送性能も重要な検討項目です。レンタルサーバーを検討するときの絶対的な条件ではありませんが、あらかじめ確認しておけば、契約後に後悔することはありません。ここではCOREPRESS Cloudのファイル転送性能の評価と比較を行います。

COREPRESS Cloudのファイル転送に関する仕様

COREPRESSはセキュアなSFTP(SSH File Transfer Protocol)のみ対応しています。一般的なFTPクライアントであればSFTPにも標準対応しているので、対応プロトコルをあまり気にする必要はありません。

ファイルブラウザ(ウェブアプリケーション)がないため、FTPクライアントは必須です。

SFTPの追加アカウントを自由に発行できます。アカウント名は「サーバーID_任意の文字列」となります。パスワードは自動的に生成され、変更することはできません。「マスター」「本番環境 (Live)」「ステージング環境 (Staging)」の3種類があり、マスター以外を追加することができます(本番環境とステージング環境の区別はレビューで紹介しています)。

マスターアカウントはWordPress追加時に発行され、本番環境とステージング環境の両データを横断的に操作できます。「本番環境用」と「ステージング環境用」のアカウントは、それぞれの領域のみ操作できます。通常のサイト運営ではマスターアカウントだけで十分です。

測定方法

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP)レスポンス性能の評価に利用しているサイト(ページ)を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB(約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)」の約2,000回となります。

測定といっても一度きりでは意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者数(訪問者数)が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

COREPRESS CloudはGMOデジロックの他サービスと同様に、GMOインターネットのデータセンターで運用されています。あくまでも推測ですが東京都品川区にあるようです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(関西電力)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定元のサーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定 1,938回 1,939回
棄却検定除外 10.8% (209) 4.90% (95)
棄却検定閾値 1.94秒 2.30秒
エラー 0% (0) 0% (0)
3秒以上 5.06% (98) 3.30% (64)
中央値 1.60秒 1.69秒
平均値 1.61秒 1.72秒
ばらつき/標準偏差 0.07秒 0.12秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しているといえます。
未加工データ(生データ)は最後に掲載しています。

COREPRESS Cloudの評価

他社と比較して「平均より少し良い」程度の測定結果となっています。ダウンロード速度は少し遅い印象ですが、WordPressサイト運営の場合、ダウンロードの頻度は低いと思うので気にならないでしょう。

少し気になるのは棄却検定による除外数の多さ(アップロード約10%、ダウンロード約5%)です。除外データを含む未加工データのグラフをみると、かなりのばらつきを確認できます。特にダウンロードのばらつきが大きく、どちらも転送速度が安定しているとは言えません。負荷の高くなる夜間にだけ転送速度が落ちるという傾向はなく、不規則に変動しているようです。

ばらつきはありますが平均以上の転送速度があります。COREPRESSが初めてのレンタルサーバーであれば、「これが普通かな」と不満を感じることはないでしょう。しかし、上位サービスと比較すれば明らかに劣るという評価になります。

メモ
測定回数が他サービスの測定と比較して不足していますが、測定元の不具合でありCOREPRESSの問題ではありません。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05

hostingstockで測定した各レンタルサーバーのファイル転送性能です。詳細はリンク先をご覧ください。

測定結果(未加工データ)

  アップロード ダウンロード
中央値 1.61秒 1.70秒
平均値 1.78秒 1.89秒
ばらつき/標準偏差 0.65秒 1.04秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

関連記事

BLOG

UPDATE