ドメインの簡単な基礎知識から、正しいドメインの選択方法や命名方法までをまとめています。
そもそもドメイン (例 example.com) とは何でしょう?
簡単に言えば、「インターネット上におけるコンピューターの住所」ですが、これだけでは半分正解です。
コンピューターの本当の住所はIPアドレス (例 203.0.113.10) という数字によって管理されており、ドメインではアクセスできません。そこで、DNS (Domain Name System) という仕組を利用しており、ドメインとIPアドレスの紐付け情報を多くのDNSサーバーによって管理しています。
例えば、example.com
へアクセスする場合、まずDNSサーバーに問い合わせます。そして、example.com
に対応する IPアドレス
を教えてもらうことで、目的のコンピューターにアクセス可能となります。
自宅にインターネット回線を引いたときに、DNSサーバーの接続先 (IPアドレス) を登録しませんでしたか? あの設定がなければ、どこにもアクセスできません。Webサイト等へドメインでアクセスする場合、必ずDNSサーバーに問い合わせる必要があるため、DNSサーバーの設定はドメインではなくIPアドレスで登録する必要があります。
つまり、IPアドレスさえ知っていれば、DNSサーバーに問い合わせなくとも、目的のコンピュータにアクセスできます。例えば、WebブラウザのURL欄に、yahoo.co.jp
のIPアドレス 183.79.135.206
を入力すれば、Yahoo!にアクセスできます。
つまり、ドメインは人間のために用意されたものです。例えば、「yahoo.co.jpにアクセスして」と言われるのと「183.79.135.206にアクセスして」と言われたら、どちらが覚えやすく理解しやすいでしょうか?
「IPアドレスはコンピュータのため」、「ドメインは人間のため」、「DNSはその橋渡しをする」と考えると分かりやすいでしょう。
ドメインの管理団体について簡単に説明します。
ドメインに関するルールを決定するのが、ICANN (Internet Corporation for Assigned Names and Numbers) という民間の非営利法人です。その下位組織に レジストリ (Registry) と呼ばれる、実際にドメインを運用する企業などの組織があります。例えば、レジストリには .com
や .net
を運用するVerisign (ベリサイン) や .jp
を運用するJPRS (日本レジストリサービス) があります。
そして、その下にユーザーと直接的に関係のある レジストラ (Registrar) と、レジストラと提携してる リセラー (Reseller) が存在します。レジストラはドメインの販売とレジストリへの登録業務を行い、リセラー (再販業者/販売代理店) はレジストラの代理としてドメインを販売します。
例えば、国内のサービスであれば以下の様になっています。取り扱うドメインによって立場が変化します。
国別ドメイン (ccTLD / country code Top Level Domain / 国別コードトップレベルドメイン) については、少し異なります。世界を5つの地域に分けたレジストリ (RIR / Regional Internet Registry / 地域インターネットレジストリ) が存在し、さらに国毎に分けられたレジストリ (NIR / National Internet Registry / 国別インターネットレジストリ) が存在します。
例えば、アジア・太平洋地域のRIRはAPNIC (Asia Pacific Network Information Centre) であり、その中のJPドメインはJPRS (日本レジストリサービス) が担当しています。
ドメインには幾つか種類があります。ドメインを契約する際に必要な知識となります。
アフィリエイトやブログなど目的は様々ですが、世界に一つだけ、あなただけのドメインでWebサイトを運営するメリットは何でしょう?
無料サービスを利用する場合、URL (ドメイン) を自由に決めることはできません。例えば、アメーバブログなら http://ameblo.jp/ID
、FC2なら http://ID.blog.fc2.com/
となります。
しかし、コンテンツを引き継ぐには少し問題が発生します。例に挙げたサービスを比較すれば分かりますが、他のサービスに移行すると、URL (ドメイン) が変わってしまいます。
もちろん、コンテンツを引き継がずに、新規にやり直すのであれば何も問題ありません。しかし、これまで書き溜めた記事を無駄にしたくないと思うのが普通でしょう。
最も困ることは検索エンジンの評価がリセットされることです。ドメインが変わってしまうため、全く新しいサイトとして認識されます。アクセス数の多かった記事でも、再評価となります。移行前のドメインからの転送設定 (元のURLにアクセスがあると、新しいURLに自動的に移動させる) ができれば対処できますが、そもそも元のサービスが終了していれば何もできません。
自分のドメインを利用していれば、たとえ契約しているレンタルサーバー (に限りませんが) がサービスを終了したとしても、他のサーバーへ移行するだけで、依然と変わりなくWebサイトを運営できます。URL (ドメイン) が変わらないため、検索エンジンにも影響を与えません。
レンタルサーバーを利用してサイトを運用するとなると、初心者には敷居が高くなります。そういう場合、ドメインの設定に対応しているブログサービス等を利用することで、オリジナルのドメインを利用したサイトを簡単に運用できます。
自分だけのメールアドレスを自由に発行できるメリットもあります。例えば、example.com
というサイトを公開して、contact@example.com
という、お問い合わせ用のメールアドレスを用意できます。もちろん、オリジナルのアドレスをいくつでも作成できるため、taro@example.com
や hanako@example.com
など、家族のアドレスを用意することも簡単です。
デメリットは「維持費が必要」なだけです。以前と比べて価格が上昇しましたが、それでも汎用的なドメインであれば、年間1,400円程度で維持できます。
どうでしょう、自分だけのドメインを使いたくなりませんか?
ドメインは例外をのぞき、 1年単位 で契約します。そのため料金も1年単位で記載されています。手数料などは不要で、ドメイン料金のみ支払います。もちろん、複数年契約も可能です。
ドメインは種類によって、料金に幅があります。安いものは1,000円程度であり、高額なドメインとなれば 250,000円 (.rich) もします。毎年の支払いとなるため、レンタルサーバー料金と併せてランニングコストを検討しましょう。
最も注意が必要なのは キャンペーン価格 です。この価格設定は 初年度のみ であり、2年目以降は通常料金となります。例えば、.black
は頻繁にキャンペーン価格となっており、だいたい 数百円 です。しかし、更新費用はびっくりの 4,980円 です。キャンペーン価格に引かれて契約すると、2年目以降は手放すかどうかを悩むことになります。
基本的に支払い手続きを終えるとすぐに利用可能となりますが、ドメインがDNSサーバーに反映されるまで時間がかかります。DNSに反映されない限り、アクセスすることはできません。
Global DNS Propagation Checker - What's My DNS?
契約後にこのようなツールで、ドメインの設定が反映されているかを確認できます。当サイトのドメイン (hostingstock.net) を入力すると、エックスサーバーのIPアドレス (157.112.176.26) と紐付いていることを確認できます。
大手のレジストラ&リセラーであれば、契約の自動更新サービスがあります。しかし、テスト用のドメイン等、1年しか利用しないのであれば、このサービスを無効にしておきましょう。または、クレジットカード以外の支払い方法 (銀行振込やコンビニ決済) にしておけば、自動更新は適用されません。反対に、更新忘れを防止するのであればクレジットカード払いにして、自動更新を有効にしておきましょう。
更新期日までに支払い手続きを終えなければ、そのドメインの所有権を失効します。更新期限は有効期限より少し前であり、きっちり1年後ではないので注意が必要です。ほとんどのサービスで、更新前に通知メールが届くので忘れることはないでしょう。
失効後も一定期間内であれば、復帰は可能ですが、失効期間が長くなるほど手数料は高額となります。
ドメイン契約者に関する情報公開は、 個人で ドメインを利用する際に最も注意が必要です。
ドメインを契約する際、氏名や住所などの個人情報を登録します。事業者によっては ローマ字 での入力を求められるでしょう。
ドメインの所有者は、契約情報の公開を 義務 づけられています。つまり、契約時に登録した内容が世界中に公開され、誰でも確認できるようになります。虚偽の情報で契約した場合、ドメインの所有権を失うため、契約時の登録内容は正確にしましょう。
しかし、組織での利用でない限り、個人情報を世界中に公開することは、色々と問題があります。そのため、 情報代理公開 (情報公開代行など) というサービスがあります。例えば、当サイトの hostingstock.net
はムームードメインで管理しており、個人情報の代理としてムームードメインの情報が登録されています (画像参照)。つまり、情報代理公開サービスを利用すれば、個人情報を出すことなく安心してドメインを利用できます。
Whois Privacy Protection Service by MuuMuuDomain
となっています。つまり、この代理公開というサービスを利用しなければ、あなたの名前、住所、電話番号などが公開されることになります。 しかし、どのレジストラ&リセラーであっても、基本的には初期状態でこのサービスが有効となっているため、あなたの情報が公開される心配はありません。
ドメインの概要を説明したので、ここからはドメイン名の付け方を考えていきましょう。
まず、先ほど説明したgTLDやccTLDなどのトップレベルドメインを決定します。
基本的には、誰でも取得可能な汎用的なドメインである .com
と .net
をお薦めします。
理由は、
次点で、.biz
、.info
、.org
となります。これらも.comや.netについで、維持費が安価です。
最近、頻繁に追加されている、新ドメインと呼ばれる new gTLD は維持費が3,000円以上となっています。使い勝手の良さそうな名前が揃っていますが、ランニングコストが良くありません。新ドメインの .tokyo
、 .nagoya
等は更新料が安いのですが、コンテンツが限定されます。
しかし、.info
と .biz
は一時期、スパムメールやいわゆるアフィリエイト目的の量産サイト (ペラサイト)に多用されたため、あまり印象が良くありません。
スパムメールや悪質な詐欺サイトに縁がない人から見れば、.infoであれ.bizであれ、他のドメインと変わりません。問題は、そういう経験や知識がある人からすれば、印象が悪いというだけです。最近では、.xyz
ドメインがそのような用途に利用されています。
理由としては、レジストラやリセラーが安売りをしたからでしょう。今は xyz のキャンペーンが頻繁に実施され、初年度99円となっています。これだけ安いと、1年だけの捨てドメインとして悪用されやすいでしょう。
とは言え、これらのドメインを利用することに問題はまったくありません。検索エンジンは、トップレベルドメインに対する評価はしないため、検索順位への影響は皆無です。ただ、悪い印象を持っている人が少なからず存在するだけです。
.org
は、非営利組織向けというイメージがあり、個人用途では敬遠されるようです。例えば、.org でアフィリエイトサイトを運営しようものなら何の冗談かと思います。しかし、非営利組織向けはあくまでも目安であり、どのようなサイトに利用しても問題はありません。単純にドメインに対するイメージの問題でしょう。
紹介したドメインは移管 (ドメインの管理先を変更すること) のしやすさもポイントです。もし、管理しているレジストラやリセラーに問題が発生した場合、汎用的なドメインであれば他の事業者へ移管することができます。しかし、ccTLDや新gTLDの場合、移管を受け入れていないことがあります。
.comや.netはお薦めではありますが、デメリットもあります。利用者が多すぎて、希望する名前を取得することが非常に困難です。
国別ドメインJPの場合、取得条件は「日本国内に住所をもつ個人・団体・組織であれば誰でもいくつでも登録できます。」となっています。
国別ドメインのルールを決めるのはNIR (国別インターネットレジストリ) であり、もし「他国のユーザーには使わせません。」となったら、取得は不可能となります。取得済みのドメインであれば、継続して利用することは可能でしょう。しかし、安心して利用できるものではありません。
たまに、「 .coを.comの代わりに使えます 」という意味の分からない説明があります。「 .co
も company
や commercial
の略です」という主張です。.coはコロンビアに割り当てらているドメインです。もし、コロンビアと関係のないコンテンツが表示されれば、.coの意味を知っている訪問者であれば違和感しかありません。多くのccTLDは世界中で取得できますが、「現在は」という条件付きです。すでに過去に取得できていた幾つかのドメインは、取得不能となっているものもあります。
最近では、その国と無関係なサイトがccTLDを利用することを問題視することもあります。例えば、jpドメインで中国語や韓国語のサイトが開いたら不審を抱くでしょう。
世界中の誰でも取得できることを原則とするgTLDと異なり、ccTLDは最悪の場合ドメインを利用できなくなる可能性があります (ほとんどないと思いますが、先のことは分かりません。)。単純に文字列の語感の良さで決めないようにしましょう。
もちろん、新gTLDやccTLDにもメリットがあります。希望するドメイン名を取得しやすいと言うことです。
以下は、2015年12月における、トップレベルドメインの利用件数です。.comだけ桁違いに多いことが分かります。
確かに、.comや.netをお薦めしますが、これだけのドメイン名から重複しない名前を考えるのは結構大変です。jpドメインなら取得件数が少なく希望する名前を取得しやすいことが分かります。jpドメインの信頼度や安心感が抜群なので、 予算があれば 、最もお薦めできます。下手に新gLTDを利用するなら.jpドメインが安心です。維持費は3,000円弱であり、新ドメインの維持費より安くなります。
例えば、東京観光を紹介するサイトに tokyo
という名前でドメインを取得したくても、あらかた取得済みとなっています。しかし、tokyo.global
や tokyo.live
などは取得できます (2016年4月時点)。どうしても譲れないドメイン名があれば、ccTLDや新ドメイン (new gTLD) を選択するしかありません。
とは言え、新ドメインは更新料金が安くありません 。例えば、global は 5,980円、live は 2,980円 となります。他も似たような料金となっており、予算との相談になるでしょうね。
関係ありませんが、tokyo.nagoya
や tokyo.yokohama
も取得済みなんですね。もはや意味不明なドメイン名ですが、tokyoという名前がつくドメインには価値があるため、誰かが抑えているのでしょう。バリュードメインで取得されていますが、運用されてはいません。いわゆるドメインの不法占拠と呼ばれる行為です (あくまでも推測です)。今はあまり価値がなくとも、tokyoが付いていれば将来的に高額になる可能性はあります。年間1,000円程度の投資で、将来的に数十万円〜数百万円となれば安いのかもしれません (トラブルとならない限りですが)。
それでは、トップレベルドメインを決めたところで、ドメイン名を考えていきましょう。
最近では詐欺サイトの対策方法などをメディアが取り上げられており、訪問者はこれまで以上にドメイン (URL) を確認するようになるでしょう。そのため、分かりにくい意味不明な名称を避ける必要があります。
ドメイン名の考え方は、個人のセンスや発想力が問われますが、楽しい時間でもあります。
ルールは 英数字とハイフン
の組み合わせというだけです。短い文字数は全て取得されていると思って間違いありません。多くのレジストラ&リセラーでは 3文字以上 としています。1文字のドメインは世界に6個しかありませんし、2文字のドメインは高額で取引されています。
例えば、GMOがグローバル戦略用に取得した Z.com
というドメインは 8億円 という価格でした。以前はフェアレディZのために日産が所有していたようです。これまでの取引価格の9位となっており、1位は sex.com
の$13,000,000 (14億円)となっています (2016年4月時点)。
短いドメイン名はそれだけで価値があり、誰でも思いつく名前は人気があることを覚えておきましょう。
例えば、こんなドメイン名もありますよという参考例です。
ソーシャルブックマークサイトとして有名な del.icio.us
というドメインがあります。
.us
はアメリカ合衆国のccTLDであり、サブドメインに icio
と del
を設定しています。サイト名である「delicious」を、トップレベルドメインを含めてドメイン名としており、非常に斬新な命名手法でした。しかし、ドメイン名を入力する際に、ピリオドの入力場所に迷うなど使い勝手は悪く、結局、delicious.com
へと変更されました。
インパクトや面白さも大事ですが、やはり分かりやすさや覚えやすさが大事です。
ドメイン名はサイト (コンテンツ) の内容を表すため、会社名みたいなものと言われます。コンテンツとドメインが無関係であれば訪問者の印象に残らず、osakana.com
でレンタルサーバーの紹介をされても、怪しく思うでしょう。
ドメイン名とコンテンツが直感的に結びつき、覚えやすいものが良いでしょう。例えば、kakaku.com
などは代表的な名称です。価格.comにアクセスしようと思えば検索で「kakaku」と入力するだけです。お気に入りに登録する必要もありません。コンテンツの優秀さもありますが、「価格」という一般的な名詞をドメイン名としたことも、成功している一つの理由でしょう。ドメインを扱う onamae.com
もそうですね。
「Amazonで探して」や「Yahooに載ってたよ」のように、短いドメイン名は覚えやすく簡単に説明できます。語感が悪い、意味不明なドメイン名は、印象が薄くあまり好まれません。
つまり、 シンプル is ベスト です。しかし、ドメインは先願主義 (早い者勝ち) なので、シンプルかつ誰でも思いつくドメイン名はあらかた取得されているでしょう。投資目的にドメインを抑える行為も当たり前のように行われています。
そこで、ドメイン名を考えるときに一工夫が必要となります。以下はちょっとした例です。
hosting+stock
としています。hosting server (レンタルサーバーの情報) を stock (蓄積する) するというイメージです。century21.jp
ですね。スタッフサービスのオー人事は 022022.net
となっています。しかし、数字の語呂合わせは外国の方から見ると意味が分からないでしょう。日本人向けのサイトであれば、日本語をそのままローマ字にしても良いでしょう。例えば、自然食を取り扱う tennenshoku.com
というサイトもあります。
ドメイン名を考えるときに、少し注意があります。
どうしても欲しいドメイン名が、ti
と chi
や si
と shi
の違いで取得できることも稀にあります。いわゆるヘボン式と訓令式の違いです。しかし、類似ドメインと見なされる可能性があり、あまりメリットがありません。相手が大手であれば、商標権侵害のリスクを伴い、悪質なサイトであれば、あなたのサイトまで悪いイメージがつきます。
ハイフンは唯一利用できる記号です。使っても使わなくても何も問題はなく、検索エンジンの評価も何一つ変わりません。しかし、海外ではハイフンありのドメインは、格好良くない (ださい) というイメージがあるようです。まぁ、日本語のサイトを運営するならどうでもいい話ですが。
例えば、ムームードメインのドメインは「muumuu-domain.com」となっており、「muumuudomain」よりは明らかに分かりやすくスッキリしています。利用するなら「意味のあるハイフン」とするべきでしょう。ただ単に単語を区切るようなハイフンは避けるべきです。
個人的には (意味のない) 数字も見た目が良くないと思いますが、選択したトップレベルドメインによっては、重複を避けるために使わざるを得ないこともあります。
Twitterなど、他サービスでもサイト (ドメイン) のアピールをしたいなら、ドメイン名 = 他サービスのアカウントID
となっていると、信頼性が飛躍的に向上します。
もし、サイト名 (ドメイン名) と同じアカウントのTwitterやFacebookを利用する予定があれば、ドメイン名を考えつつアカウントに空きがあるかをチェックしておきましょう。
アカウントIDの空きを確認するサービスもあります。
hostingstockでチェックすると、このような結果となりました。
確かにTwitterのアカウントは、このサイト用に取得しています。
簡単に日本語ドメインについて説明しましょう。
今も昔もDNSは日本語に対応していません。すでに世界中で稼働している仕組みをそう簡単に変更することはできないため、日本語に対応するために簡単な仕組みを採用しています。
それは、DNSサーバー側でなくユーザーのアプリケーション側で対応してしまうことです。
日本語ドメインをアプリケーション側で、Punycode (ピュニコード)と呼ばれる、既存のDNSでも取り扱い可能なフォーマットに変換することで対応しています。Webブラウザにはその機能が備わっているため、日本語ドメインのサイトへアクセスできるわけです。
例えば、「レンタルサーバー.com」をPunycodeに変換すると「xn–vckta6cvfd6b1db.com」というDNSが理解可能なドメイン名となり、DNS側で大きな修正をせずに登録可能となっています。
Webブラウザに「レンタルサーバー.com」と入力すれば、自動的にPunycodeに変換され通信が行われます。さらに、全角半角の補正も仕様化されており、例えば、「日本語.com」と全てを全角で入力しても「.com」が自動的に半角に修正され、「日本語.com」となります。
つまり、サーバー側の修正を最小限とするために、クライアント側 (アプリケーション) の機能拡張で対応したわけです。
日本語 (カタカナ、ひらがな、漢字) .comのような、日本語ドメインはあまりお薦めしません。
メールアドレスに利用できないという記事もありますが、一応使えます。ただし、Punycodeで設定する必要があります
という意味不明なアドレスとなってしまいます。まぁ、使えないと言っても間違いではありません。
例えば、日本語の会社名をそのまま日本語ドメインとして利用したいと思っても、メールが使えないとあまり意味がないでしょう。
一時期、日本語ドメインはSEO効果が高いという (実際に効果がありました) こともあり、アフィリエイト目的として多用されました。残念ながら、日本語ドメイン = アフィリエイト
というイメージが少なからず付いています。
日本語ドメインは覚えやすくインパクトもあります。SEO的にも有利だとは思いますが、コンテンツに中身がなければ、最初だけ検索順位が上位となったとしても、持続はしません。
レンタルサーバーまたはサーバー証明書発行会社によっては独自SSL (https) に非対応となっています。利用できてもサイトシール(セキュアシール、トラストシールとも)が日本語に対応していないため、Punycodeで表示されるか、ブラウザによっては利用できないこともあります。
他にも、同音異義語による問題もあります。 例えば、「おしょくじけん.com」にアクセスしてと言われて、「汚職事件.com」と「御食事券.com」、どちらを想像するでしょうか? これは大げさな例ですが、ひらがなとカタカナの区別も必要となるなど、日本語の「曖昧さ」という部分がそのまま問題となります。
そのうちメールアドレスも日本語ドメインに完全に対応するでしょう。しかし、現時点ではあまりお薦めできません。
大手企業名やブランド名と類似したドメイン名は絶対にやめましょう。例えば、ある商品名を含むドメインを意図的でなくとも取得し運用すると、商標権の侵害などで訴えられる可能性があります。
例えば、Amazonアソシエイト関連のサイトを運営するために、amazonshop.co.jp
というドメインを利用したら、それは大変なことになるでしょう。と思っていたら、amazonshop.com
は存在するんですね。韓国の方が取得しているようですが、怪しい別のサイトに飛ばされるようなので、アクセスしないでください。
個人運営のサイトの場合、企業に訴えられると勝ち目はありません。ドメインの利用停止やサイトの削除ですめば御の字です。もし警告が来たら、その時点ですぐにドメインの利用をやめるべきでしょう。
ドメインに関する異議申し立てなどのトラブルが発生した場合、レジストラやリセラーは基本的に何もしません。状況によっては、情報代理公開サービスが停止され、所有者の個人情報が公開される可能性もあります。しかし、まともな事業者であれば、突然情報代理公開を停止するようなことはなく、前もって何らかの通知があるはずです。
ドメインは契約更新されなければ、一定期間を経て解放されるため、同じドメインを誰でも再取得可能となります。知名度の高いドメインであれば、オークション等により高値で取引されます。
つまり、契約しようとしているドメインが新品である保証はどこにもありません。そのドメインが過去に利用されていた場合、良くも悪くもサイト運営に影響します。
大ざっぱな例ですが、Yahoo!のドメインを利用できたら、簡単にアクセス数が伸びると思いませんか?コンテンツではなくドメインそのものに価値があり、運用期間や被リンク数など、検索順位に大きな影響を与えます。
反対に、そのドメインに (違法なコンテンツ等の) 問題があった場合、、検索エンジンはクローリング (インデックス対象) から外しているでしょう。うっかり、その様なドメインを取得してしまうと、どれだけ優れたコンテンツを作成しても検索順位が上がらないどころか、検索結果に表示されないこともあります。
コンテンツではなくドメインそのものに価値があるため、中古ドメイン市場が存在するわけです。ドメインを初めて利用するのであれば、真っさらなドメインの取得をお薦めします。
ドメインの経歴を調査するには、以下のツールを利用します。
Internet Archive: Wayback Machine
Internet Archiveは、Webサイトのスナップショットを定期的に自動保存しているサービスです。ドメイン名を入力すると、過去に保存されたWebページの存在を確認できます。保存履歴がなければ一度も利用されたことのないドメインであることが分かります。
例えば、当サイトのドメインを入力すると、このような結果となります。このドメインは2014年頃から利用しているので、だいたい合っていますね。
存在していないドメイン (例 hostingstock.jp) を入力すると、「何もアーカイブされていません」となります。これで、ドメインの利用履歴を、完全ではありませんが確認することができます。
例えば、site:hostingstock.net
と入力すると、Googleにインデックスされているページ数が分かります。
未使用のドメイン hostingstock.jp
であれば、何もインデックスされていないことを確認できます。
ドメインにもブラックリストというものが存在します。例えば、スパムメールの送信元となっているドメインもブラックリストに登録されます。 aguse では取得予定のドメインがブラックリストに登録されていないかを確認できます。他にもドメインに関する様々な情報を確認できるので、試してみてはいかがでしょうか。
ドメイン名が決まったところで、契約先 (レジストラ&リセラー) を決めましょう。
おすすめというか、安く維持できる事業者はほぼ決まっており、ムームードメイン、バリュードメイン、お名前.com、スタードメイン、理由のない限りこれらの中から選択すると良いでしょう。
利用者が多く、困ったときにも検索すれば簡単に情報が見つかります。
お名前.comはサポートが悪いという評判を見かけますが、ユーザー数が多いため相対的に批判的な意見が目立つだけでしょう。その一方で、お名前.comの評判の悪さには少し理由があります。「Whois情報公開代行」サービスの初期設定が無効となっており、契約時にうっかり有効にし忘れると個人情報が公開されてしまいます。また、契約時に有効とすれば無料ですが、契約後に設定すると有料オプション扱い (980円/年) となります。この仕様に契約後に気付くユーザーが多く、お名前.comの評判を悪くしています。さらに、他のレジストラやリセラーでは無料となるこのサービスを、有料オプションとしていることもマイナス評価となっています。
ムームードメインとバリュードメインは、お名前.comのGMO傘下なので、同じと言えば同じです。バリュードメインについては、eNomやKeySystemsのドメインも取り扱っているため、少し異なります。それぞれコントロールパネル (管理画面) が違うので使い勝手は異なりますが、できることに大きな差はありません。
ドメインの契約先を選択する一つのポイントとして、レンタルサーバーとの組み合わせがあります。例えば、ロリポップ!とムームードメインの組み合わせであれば、ドメインの設定が非常に簡単となります。基本的に同じグループ事業者 内のサービスであれば、設定が簡略化されており、初心者でも簡単にドメインの設定ができます。
もちろん、別々の事業者であっても問題はなく、スタードメインで契約しているドメインをロリポップ!で使うこともできます。ドメインの設定時に少し操作が増えますが何の問題もありません。
どのレジストラ&リセラーを選択しても問題となることはまずありません。もし、使いにくいなと思えば他のサービスに移管すればいいのです。移管費用には1年分の利用料金が含まれており、(有効期限の残り分は損ですが) 更新するのとほとんど変わりません。そのために、移管しやすく維持費の安い汎用的なドメイン (.comや.netなど) をお薦めしています。
ドメインの取得方法については当サイトでも紹介してます。下記のリンク先を参考にしてください。