スマイルサーバーのサーバー性能を評価して、他のレンタルサーバーと比較する

スマイルサーバーは法人向けレンタルサーバー (個人可) であり、1契約につき1ドメイン (1サイト) の運営が可能です。個人で利用するにはランニングコストが良くありません。しかし、自社データセンターでの運用や大手事業者ならではのサポート体制など、安定したWebサイトを運営するなら一つの選択肢となるでしょう。

一概には言えませんが、レンタルサーバーの料金差は 処理性能安定性能 にあります。同じ仕様であっても、料金が高いサービスほど性能が高い傾向にあり、高負荷に強くなります。サーバー性能が優れていればレスポンスが安定し、訪問者にとって快適なWebサイトとなるでしょう。また、レスポンスの優れたWebサイトほど検索エンジンの評価が高くなるため、レンタルサーバーを選択する際に重要な要素となります。

それでは、スマイルサーバーのサーバー性能について評価し、他のレンタルサーバーと比較してみましょう。

測定方法

WordPressを設置したサイト (サーバー) を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事 (の自動生成) 」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp insert post、wp delete post

これらの処理を 5分間隔 で実行し、処理時間を測定します。つまり、 PHPとデータベースの処理性能 を確認することになります。データセンター内で完結する処理なので、ネットワーク環境 (速度) の影響は受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありませんが、共用サーバーなので連続処理とならないように、1件毎にwait処理を差し込んでいます。

測定結果

結果 有効測定数 除外数 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw (未加工) 864回 - 0.00%
(0回)
4.27秒 4.26秒 0.66秒
Grubbs' test 0.46%
(4回)
4.27秒 4.22秒 0.30秒
測定結果について
72時間 (3日間) の測定結果となります。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。
有効測定数はエラーを省いた回数を示します。測定実行のタイミングによりサーバーの負荷状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs’ test (α=0.001) により省いたデータも掲載しています。

スマイルサーバーの評価

さすがに法人向けレンタルサーバーといったところです。棄却検定による除外数が少なく、どのタイミングであっても処理時間の変化が小さいことが分かります。さらに、測定期間を通してエラーが発生せず、どの時間帯でも安定した処理性能を維持しています。

他の法人向けレンタルサーバーにも言えますが、利用料金を考慮するとレスポンス性能は平凡です。おそらく処理性能より 安定性 を優先させているのでしょう。スマイルサーバーは総合的なレスポンスも非常に安定しています。

レスポンス性能については別記事をご覧ください。

ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど処理性能が安定しているといえます。

WADAX、CPI、エックスサーバーとの比較

  スマイルサーバー WADAX CPI エックスサーバー
有効測定数 864 864 408 864
除外 (回) 0.46%(4) 0%(0) 1.47%(6) 0.23%(2)
棄却検定閾値 5.58秒 2.42秒 2.49秒 6.46秒
エラー (回) 0%(0) 0%(0) 0%(0) 0%(0)
中央値 4.27秒 2.17秒 2.34秒 3.91秒
平均値 4.22秒 2.16秒 2.35秒 4.00秒
ばらつき 0.30秒 0.08秒 0.04秒 0.63秒

スマイルサーバーと同様に、法人向けであるWADAX、CPI、そして個人向けとして人気の高いエックスサーバーと比較してみましょう。CPIは測定期間が異なるので、参考程度にしてください。

この結果を見れば、法人向けレンタルサーバーがいかに安定しているかが分かるでしょう。エックスサーバーも高性能と言われますが、法人向けと比較して明確なばらつきがあります。

レスポンス性能の評価記事で確認できますが、レスポンス速度は エックスサーバー > スマイルサーバー > CPI > WADAX となっています。レスポンスを比較するとエックスサーバーが優れていますが、安定性ではサーバー性能に余裕のあるCPIやWADAXが優れているでしょう。法人向けレンタルサーバーでは高負荷とならないように、収容ユーザー数を制限したり、ネットワーク帯域などのリソースを調整しているようです。

スマイルサーバーは安定していますが、残念ながらサーバー自体の性能は低いようです。PHPのバージョンは5.3であり、既存契約者の維持という側面が強いのではないでしょうか。

個人で安定したサービスが必要であればCPIをお薦めします。スマイルサーバーは1契約で1サイトですが、CPIはマルチドメイン数やデータベース数が無制限となっており、法人向けの安定性を有しつつ複数のWebサイトを運営可能です。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461

hostingstock.netで測定した他レンタルサーバーとの比較です。


測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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