スマイルサーバーのFTP転送性能を評価して、他のレンタルサーバーと比較する

簡単インストール機能で導入したアプリケーション (CMSなど) をそのまま利用するなら、FTPの利用頻度は少ないかもしれません。例えば、WordPressであれば他者が作成したテンプレートやプラグインを利用するだけならダッシュボード (管理ツール) の操作で済むため、FTPを利用することはあまりないでしょう。

しかし、簡単インストール非対応のアプリケーションやサービスを導入または開発するなら、FTPの転送性能を無視することはできません。WordPressであっても、テーマやプラグインを独自開発するのであればFTPの利用機会は増えます。

頻繁にファイルをアップロードまたはダウンロードしたり、サーバーにあるファイルを編集するなら、レスポンスの悪いレンタルサーバーを選ぶと非常にストレスとなり、作業効率も悪くなります。

それでは、スマイルサーバーのFTP転送性能 (レスポンス) について評価し、他のレンタルサーバーと比較してみましょう。

FTP仕様

コース Web
10GB
Web
50GB
Web&Mail
10GB
Web&Mail
50GB
Web&Mail
100GB
Web&Mail
100GB ねん割り
FTP
FTPS
サブアカウント × × 無制限 無制限 無制限 ×

通常のFTPだけでなく、セキュアなFTPS (FTP over SSL/TLS) にも対応しています。基本的にFTPアカウントは契約時に発行される 1つのみ です。Web&Mailコース (ねん割りコースを除く) であれば、メールアカウントにFTP権限を紐付ける機能 (FTP権限管理) を利用できるため、無制限にアカウントを発行できます。

他のレンタルサーバーのように、アカウント毎にアクセス可能なディレクトリを設定することはできません。管理者アカウントと同等の権限となります。

測定方法

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP) レスポンス性能の評価に利用しているサイト (ページ) を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約1.8MB (約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

5分毎 にアップロードとダウンロードを実行します。

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないので、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことを (完全ではありませんが) 省けます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということが推測できます。

測定経路

家庭用回線からの測定となります。サーバーは測定専用として測定以外の処理は行っていません。

家庭用回線の測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定数 (回) 2,015 2,015
Grubbs' testによる除外割合 (回) 1.99% (40) 3.67% (74)
Grubbs' testによる閾値 3.81秒 3.87秒
エラーの割合 (回) 0.05% (1) 0.05% (1)
3秒以上の割合 (回) 5.71% (115) 4.71% (95)
中央値 (秒) 2.31秒 2.42秒
平均値 (秒) 2.38秒 2.46秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.30秒 0.29秒

有効測定数はエラーを省いた回数を示します。測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定Grubbs' test (α=0.001) により省いています。生データ (未加工データ) は最後に掲載しています。

エラー内訳  
アップロード (1) Failed to connect (Connection refused) [1/1]
ダウンロード (1) Failed to connect (Connection refused) [1/1]

スマイルサーバーの評価

グラフやばらつきを見ると安定しているようです。しかし、最後に掲載している未加工データを見ると分かりますが、気になる程度のばらつきを確認できます。棄却検定による除外数は、他レンタルサーバーと比較してやや多めとなっており、以下のようにばらつきの差が大きいことから、「ほとんどは安定しているが、遅くなるときは平均値から外れやすい」といったところでしょうか。特にダウンロードはその傾向が強いようです。

ばらつき/標準偏差 アップロード ダウンロード
棄却検定データ 0.30秒 0.29秒
未加工データ 1.43秒 1.92秒

時間帯による傾向は掴みにくく「利用者の多い夜間だから遅くなる」という単純な傾向はないようです。

色々と書きましたが、エラーが発生している訳でもなく転送は安定しています。ちょっと気になる程度の遅延がたまに発生する可能性はありますが、平均的な転送速度があるため問題を感じることはほとんどないでしょう。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05

他のレンタルサーバーと比較すると 平均的 な結果となっています。

ネットワーク環境にもよりますが、基本的には ダウンロード時間 < アップロード時間 となり、ダウンロードが速くなる傾向にあります。しかし、スマイルサーバーではどちらも同じような結果となっており、他と比較するとアップロード性能に対するダウンロード性能が良くない感じはあります。

測定結果 (未加工データ)

  アップロード ダウンロード
3秒以上の割合 (回) 7.69% (155) 8.39% (169)
中央値 (秒) 2.32秒 2.42秒
平均値 (秒) 2.52秒 2.67秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 1.43秒 1.92秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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