Xdomainの無料PHPサーバーのレスポンス性能を評価して、他のレンタルサーバーと比較してみよう

Xdomain (エックスドメイン) は、エックスサーバー (XServer) が運営するドメインレジストラ&リセラーであり、独自ドメインだけでなく、無料のレンタルサーバーを提供しています。無料プランしかなく、スマートフォンやタブレットからのアクセス時はもれなく 広告 が自動的に挿入されます。

特徴は、独自ドメインを契約していなくても利用できることでしょう。レンタルサーバーだけを利用することもできますし、独自ドメインを契約すれば、簡単にそのドメインによるWebサイトを運営できます。

メールサービスを除けば、下記のプランが用意されています。独自ドメインを契約すれば、幾つかの機能が優遇されます。

プラン HTML HTML
(契約者)
PHP・MySQL PHP・MySQL
(契約者)
WordPress WordPress
(契約者)
ドメイン契約 × あり × あり × あり
広告表示 あり あり あり あり あり あり
ディスク容量 1GB 10GB 1GB 3GB 2GB 5GB
データベース
(MySQL)
- - 5個 10個 5個 10個
データベース容量 - - 50MB 100MB 100MB 100MB
独自ドメイン 10個 20個 10個 20個 5個 10個
サブドメイン 50個 100個 50個 100個 - -
SSI × ×
PHP × ×
Perl/Ruby/Python × × × × × ×

ここでは、PHP・MySQLサーバー を利用したレスポンス性能 (応答性能) の評価についてまとめています。

測定方法

家庭用回線に接続したサーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なWebページの構成を採用 (HTTP Archiveの統計データより)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことが (完全ではありませんが) 省けます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

家庭用回線からの測定となります。測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

家庭用回線の測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定数 (回) 4,030 4,030
Grubbs' testの除外割合 (回) 0.82% (33) 1.41% (57)
Grubbs' testの閾値 1.91秒 0.86秒
エラーの割合 (回) 0% (0) 0% (0)
3秒以上の割合 (回) 0.42% (17) 0.02% (1)
中央値 (秒) 0.70秒 0.29秒
平均値 (秒) 0.62秒 0.34秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.26秒 0.10秒
測定結果について
有効測定数はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱 (データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境 (スマートフォンなど) ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります
参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

Xdomainの評価

無料サーバーとは思えないほどに優秀な結果となりました。無料サービスなので、有料サービスと比較すれば転送量制限などは厳しくなりますが、アクセス数のそれほど多くないサイトであれば十二分な性能です。

ただし、未加工の測定結果も併せてグラフを見ると分かりますが、訪問者が多くなるであろう夜間帯になるとレスポンス性能が低下するようです。それでもなお、様々なレンタルサーバーの平均的なレスポンスより優れており、あまり気にするような結果ではありませんん。

測定期間の範囲内に限りますが、エラーが発生せずに非常に安定しています。

PHPやデータベースを利用しないHTMLのみの測定結果も、他のレンタルサーバーと比較して優秀です。おそらく、ハードウェア等の性能が全体的に優秀なのでしょう。夜間帯などのアクセス増加によるレスポンスの変動を確認できるため、「利用者が少ないからレスポンスが良い」という理由ではなさそうです。

WordPressに利用してもよし、HTMLのみの静的なサイトに利用してもよしと、広告が表示されることを除けば、非常に満足度の高いサービスです。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

hostingstock.netで測定しているレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

当サイトでの測定範囲内では、上位の性能があります。ただし、公式サイトに転送量についての記述がなく、禁止事項に「サーバーまたはネットワークへ著しく負荷をかける行為」とだけあります。性能的には文句の付けようがありませんが、無料サービスなので負荷耐性に対する過度な期待はしないようにしましょう。

海外のサービスやよく分からない無料レンタルサーバーを利用するなら、XdomainやWebcrowなどを検討してはいかがでしょうか。

測定結果 (未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上の割合 (回) 0.42% (17) 0.02% (1)
中央値 (秒) 0.71秒 0.29秒
平均値 (秒) 0.65秒 0.35秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.43秒 0.17秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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