エックスドメイン(Xdomain)は、エックスサーバー社が運営するドメインのレジストラ(リセラー)です。 主サービスはドメインの(代理)販売ですが、無料のレンタルサーバーも提供しています。 ドメインの契約なしにサーバーのみ利用できることが特徴ですが、広告が表示される点は意識しておくべきでしょう。詳しくはレビューをご覧ください。
ここでは、エックスドメインのWordPressサーバーで稼働するWebサイトのレスポンス性能をレビューし、他社との比較を行います。
少し古い情報ですが、様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。現在はよりシビアになっているでしょう。
コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、
レスポンス性能の影響は様々です。
快適なWebサイトの条件は、「最低でも3秒以内」「理想は2秒以内」のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要とする情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。
レンタルサーバー選びで大切なポイントは「Webサイトの表示速度」です。いくら豊富な機能に対応しても、不安定であったりレスポンスが悪かったりすれば絵に描いた餅です。訪問者を自分に置き換えれば、なかなか開かないページにイライラすることは想像に難くないでしょう。そして、レスポンスの悪さはSEO的(検索順位)にも悪影響です。
測定用サーバーから定期的にアクセスして、コンテンツの取得に要する時間を測定します。測定対象として「WordPress(動的ページ)」と「HTML(静的ページ)」があります。より詳しい内容は下記を参考にしてください。
測定対象 | |
---|---|
動的ページ(WordPress) | WordPressサイト(PHP&MySQL)。コンテンツは平均的なWebページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。 |
静的ページ(HTML) | HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。PHPとMySQLを使用しません。 |
一度きりの測定では全く意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。例えば、訪問者の少ない深夜または早朝に測定すれば、最も良い結果を得ることが可能です。反対に、悪い結果が欲しければ負荷ピーク時に測定すればよいだけです。継続した測定により、「訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを防げます。
測定期間は 7日間 とし、6分ごとに2回の測定を行うため約3,300回となります。
一定期間測定することで、訪問者数が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強い安定したサービスであることを推測できます。
エックスドメインは姉妹サービスであるXSERVERなどと同様に、さくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。 ネットオウルやSova WPでも採用されており、高性能かつ安定性のある高品質なデータセンターです。
経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。
WordPress | HTML | |
---|---|---|
有効測定数 | 3,348 | 3,325 |
除外数 (割合) 異常値 (標準偏差) [ミリ秒] |
12 (0.36%) 4911 (8100) |
35 (1.04%) 2735 (4578) |
エラー (割合) | 0 (0%) | 0 (0%) |
中央値 [ミリ秒] | 664 | 668 |
平均値 [ミリ秒] | 722 | 683 |
標準偏差 [ミリ秒] | 153 | 61 |
HTML取得 (標準偏差) [ミリ秒] | 88 (140) | 36 (19) |
エックスドメインのPHPは複数のバージョンに対応しており、この測定ではPHP7を利用しています。 今後はより高性能なPHP7が標準となるため、互換性の問題を除けばPHP5を利用する理由はほとんどないでしょう。
エックスドメインは同社のwpXと同等の仕様であり、キャッシュサーバーを備えています。 そのため最初のレスポンス(HTML取得)が非常に高速であり、全体的に安定しています。 WordPressとHTMLの結果に差がないのは、キャッシュの恩恵です。
wpXのようにキャッシュ機能の設定はないため、無効にすることはできません。 PHP7はPHP5より実行速度が優れますが、キャッシュが優先されるため、サイト構成によってはほとんど違いが分からないでしょう。
文句のない性能ですが、ディスク容量の少なさや広告表示など、メインのサイトに利用するサービスではありません。 さらに、転送量の上限は非公開ですが、関連会社の無料サービス「ウェブクロウ」の上限は「50GB/月」となっています。 同じとは限りませんが、おそらくそれほど余裕はないでしょう。
エックスドメイン PHP7/FastCGI |
ロリポップ! PHP5/Module |
エックスサーバー PHP7/FastCGI |
|
---|---|---|---|
有効測定数 | 3,348 | 3,240 | 3,329 |
除外数 (割合) 異常値 (標準偏差) [ミリ秒] |
12 (0.36%) 4911 (8100) |
119 (3.54%) 3163 (2495) |
31 (0.92%) 2859 (1707) |
エラー (割合) | 0 (0%) | 0 (0%) | 0 (0%) |
中央値 [ミリ秒] | 664 | 1087 | 880 |
平均値 [ミリ秒] | 722 | 1137 | 853 |
標準偏差 [ミリ秒] | 153 | 186 | 148 |
変動係数 | 21.2% | 16.4% | 17.4% |
HTML取得 (標準偏差) [ミリ秒] | 88 (140) | 450 (92) | 189 (111) |
ロリポップ!、エックスサーバーと比較してみましょう。
ロリポップ!はモジュール版PHP対応のスタンダードプランの結果です。 安価なサービスなりの傾向であり、訪問者の増える夜間帯にレスポンス速度が低下します。 問題はありませんが、余裕のない性能であることが分かります。
エックスサーバーは廉価サービスとは比較にならない、高性能なハードウェアを採用しています。 ロリポップ!と比較すれば、性能に余裕があることが分かります。 この性能差が料金差と言っても間違いではありません。 安定した性能が必要なら高価格帯サービスを選択するべきでしょう。
エックスドメインはキャッシュ機能の恩恵により、これらの有料サービスを上回ります。 サーバーでの処理が少ないため、初回のレスポンス(HTML取得)が最も速いことが測定結果より分かります。 別の見方をすれば、キャッシュ無しでエックスドメインに近い結果を出すエックスサーバーは基本性能が非常に高いことになります。
エックスドメインは、高性能ですが無料なりの制限があります。 メインのサイト運営には適しませんが、初心者がレンタルサーバーを体験する用途なら良い選択です。
公式サイト | WordPress | HTML | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
環境 PHP/WordPress/Theme | 平均値 秒 | 標準偏差 | HTML取得 | エラー % | 異常値 | 除外数 | 平均値 秒 | 標準偏差 | HTML取得 | |
WordPress PHP7/FastCGI | 722 | 153 | 88 | 0 | 4911 | 12 | 683 | 61 | 36 | |
PHP7/CGI | 907 | 66 | 244 | 0 | 1591 | 165 | 711 | 30 | 45 | |
PHP7/FastCGI | 1014 | 246 | 305 | 0 | 5093 | 44 | 797 | 154 | 82 | |
PHP7/FastCGI | 1099 | 467 | 408 | 0 | 4933 | 38 | 710 | 126 | 48 | |
PHP7/CGI | 1116 | 122 | 371 | 0 | 2074 | 29 | 806 | 92 | 77 | |
PHP5/Module | 1137 | 186 | 450 | 0 | 3163 | 119 | 741 | 122 | 50 | |
PHP5/FastCGI | 1216 | 349 | 548 | 0 | 3580 | 8 | 802 | 144 | 79 | |
PHP5/Module | 1274 | 141 | 861 | 0 | 2529 | 26 | 652 | 23 | 25 | |
PHP5/CGI | 1504 | 348 | 793 | 0 | 5690 | 80 | 786 | 207 | 54 |
WordPress | HTML | |
---|---|---|
中央値 [ミリ秒] | 664 | 669 |
平均値 [ミリ秒] | 736 | 704 |
標準偏差 [ミリ秒] | 543 | 508 |
HTML取得 [ミリ秒] | 91 (152) | 42 (310) |