X2 (エックスツー) はサービスの提供を終了しました。

姉妹サービスと比較すると劣ってしまうX2のファイル転送性能

X2(エックスツー)はエックスサーバー社が運営するレンタルサーバーです。他社サービスと比較するとウェブサイトのレスポンス性能は優秀なのですが、エックスサーバーやシックスコアほどの特徴がない中途半端なサービスとなっています(現状はという条件はありますが)。データベース無制限という特徴はありますが、それ以外の差別化ができていないようなイメージはあります。その他のX2の詳細については レビュー をご覧ください。

レンタルサーバーを検討するときにFTPのファイル転送性能を気にする人はほとんどいません。例えば、第三者が開発したプラグインやテーマを利用するだけのWordPressサイト運営なら、FTPの使用頻度は低いでしょう。しかしながら、ウェブサイトのデザインや機能を開発し頻繁に更新するなら、転送速度が遅いと作業効率が非常に悪くなり、ストレスにもなります。

レンタルサーバーを検討するときの絶対的な条件ではありませんが、あらかじめ確認しておけば契約後に後悔することもないでしょう。ここではX2のファイル転送性能の評価と他社との比較を行います。

X2のFTP仕様

全てのプランでFTPアカウントを無制限に発行できます。通常のFTP以外にセキュアなFTPSにも対応しています。

FTPアカウントIDは「任意の文字列@ドメイン名」となります。アカウントごとにホームディレクトリを設定でき、それより上位のディレクトリへはアクセスできません。そのため、第三者へのアカウント発行にも適しています。

契約者がアクセス可能な最上位ディレクトリ「/home/サーバーID」をホームディレクトリに設定できるため、一つのアカウントで全てのドメイン(サイト)のデータを横断的に操作することもできます。

セキュリティ対策としてIPアドレスによるアクセス制限や国外からのアクセスを拒否することができます。IPアドレスによる制限の場合、範囲や正規表現による指定が可能です。

メモ
SFTP、WebDAV、SCPには非対応です。
独自ドメイン追加時に自動生成されるFTPアカウントは、そのドメインの「public_html」以下のみアクセスできます。

測定方法

5分毎 にアップロードとダウンロードを実行します。

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP)レスポンス性能の評価に利用しているサイト(ページ)を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB(約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可し、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より速くなります。

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定といっても一度きりでは意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者数(訪問者数)が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

X2は同社の他サービスと同様に、さくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。ネットオウルのレンタルサーバーやSova WPでも採用されており、高性能かつ安定性のある高品質なデータセンターです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(関西電力)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定 2,010回 2,014回
棄却検定除外 1.84% (37) 1.09% (22)
棄却検定閾値 3.12秒 2.21秒
エラー 0.25% (5) 0.05% (1)
3秒以上 0.25% (5) 0.40% (8)
中央値 0.86秒 0.61秒
平均値 1.05秒 0.72秒
ばらつき/標準偏差 0.44秒 0.32秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しているといえます。
未加工データ(生データ)は最後に掲載しています。
エラー内容  
アップロード [5] response reading failed [5]
ダウンロード [1] response reading failed [1]

X2の評価

他社サービスと比較すれば優秀な結果となっており、平均値だけなら上位クラスの性能があります。エラーが少し発生していますが、他のレンタルサーバーでも発生する程度の頻度なので気にすることはありません。

平均値は素晴らしい結果ですが、ばらつきは無視できないほどにあります。しかし、訪問者が増えサーバーの負荷が高くなるであろう、夜間帯のみばらつくような傾向ではないようです。

X2の比較対象はやはり同社の姉妹サービスとなるでしょう。

エックスサーバーとシックスコアの測定結果を見ると分かりますが、X2の結果だけばらつきがあります。X2は他社を含めれば上位の性能ですが、同社の他サービスと比較すると平均値もばらつき(安定性)も劣っています。

この差はハードウェアの性能差に起因しています。

サービス X2 エックスサーバー シックスコア
契約時期 2016年7月 2016年7月 2016年7月
CPU Xeon E5-2430L 2.00GHz Xeon E5-2630 v3 (2.40GHz) x 2 Xeon E5-2630 v3 (2.40GHz) x 2
メモリ 16GB 96GB 96GB

ハードウェアに差があることは明確であり、理由は不明ですがエックスサーバーとシックスコアが優遇されています。そのため同じ測定を実施しても、X2はかなり劣った結果となってしまいます。

勘違いしてはいけませんが、他社サービスと比較すれば十二分な性能があります。しかし、同社の姉妹サービスと比較すると、より安価なエックスサーバー、より安定性の高いシックスコアに挟まれ、あまり特徴のないサービスとなっています。現状のサービスではあえてX2を選択する理由はないでしょう。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05

hostingstockで測定した各レンタルサーバーのファイル転送性能です。詳細はリンク先をご覧ください。

他社サービスと比較すれば、X2が非常に優秀なファイル転送性能を持つことが分かります。しかし、同社のサービスと比較してしまうとwpXも含めて最も低い結果となります。

X2が悪いのではなく、他のサービスが優秀すぎるのが問題でしょう。今後X2のハードウェア又は何かしらの仕様が更新されるまでは、選択肢から外しておく方がよいでしょう。コストパフォーマンス重視であればエックスサーバー、信頼性重視であればシックスコアで間違いありません。

測定結果(未加工データ)

  アップロード ダウンロード
3秒以上 2.09% (42) 0.40% (8)
中央値 0.87秒 0.61秒
平均値 1.11秒 0.75秒
ばらつき/標準偏差 0.58秒 0.40秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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