初期費用無料の法人向けレンタルサーバー！スマイルサーバーのレビュー

スマイルサーバーは、2006年11月に開始されたNTTスマートコネクトが運営するホスティングサービスです。以前は「スマートスクエア」という名称のサービスでした。

スマイルサーバーの共用サーバーはマルチドメイン非対応となっており、安定稼働させたいWebサイトを 1つだけ 運用させるためのサービスと考えてもよいでしょう。特徴的な仕様はありませんが、NTTグループということもあり安定稼働やサポートなど安心感はあります。そのため、個人で気軽にWebサイトを運営しようという用途には向きません。他のサービスであれば、同料金でマルチドメインにも対応するため、複数のWebサイトを運用することも容易です。

個人でも契約できますが、有料オプションの多さや仕様を確認するとやはり 法人向け 色の強いレンタルサーバーといえます。

各プランの比較

プランごとに異なる仕様のみ挙げています。共通する仕様については、後述する各機能の説明をご覧ください。

WebコースとWeb&Mailコースとの違いは名称の通り、メール機能の有無です。他はディスク容量の違いとなるので、必要とする容量のプランを選択するとよいでしょう。

最低契約期間は 6カ月 となります。サービス開始日が当月2日以降の場合、最低契約期間は翌月1日から6ヶ月となります。 2週間のお試し利用 も可能ですが、申込み書類の提出が必要であったりと、他のレンタルサーバーと比較して手続きが少し面倒です。

データセンター

大阪にある自社データセンター (NTTスマートコネクト) となります。WADAXなど、他のレンタルサーバー事業者にも利用されています。

コントロールパネル

コントロールパネルは3種類あります。契約情報を管理する 契約者パネル、サーバーを管理する 管理者パネル、個別アカウント (主にメール) を管理する 利用者パネル です。

他のレンタルサーバーと異なり、ドメインの設定はオプション契約と同様に契約者パネルで行います。管理者パネルや利用者パネルは、あまり多機能でないこともありますが、設定項目が絞られておりシンプルで使いやすいコントロールパネルとなっています。レスポンスも優秀なので、サーバー操作でストレスとなることはないでしょう。操作マニュアルが充実しており、初心者にも優しいレンタルサーバーです。

転送量制限

転送量は 無制限 となっていますが、共用サーバーなので他の利用者に著しく影響を与えるほどのアクセスがあった場合、制限対象となります。ただし、「法人向け」「マルチドメイン非対応 (サイトが1つのみ)」なので、転送量についてはほとんど気にする必要はないでしょう。

制限対象となった場合の制限は以下の通りです。

制限内容

コネクティビティの帯域 / WEBの同時接続数 / FTPの同時接続数 / CGIによるCPUの使用時間・メモリ使用量 / 単位時間あたりのメール配信数 / 外部への通信

SSL

専用 (独自) SSLに対応しています。SSL対応オプション料金は 8,000円 となっており、これに証明書料金が別途必要となります。他社SSLサーバー証明書の持ち込みも可能ですが、オプション料金は必要です。

共用SSLには 非対応 です。

ドメイン

全てのプランで独自ドメイン (サブドメインを含む) は 1つ しか利用できません。

契約時に ＊＊＊.smilestart.ne.jp というスマイルサーバーのドメイン (初期ドメイン) が発行されるため、最初から独自ドメインが必要となることはありません。もちろん、この初期ドメインでWebサイトを運営することもできます。ただし、排他利用となっており、独自ドメインを設定した場合、初期ドメインで設定されたメールアドレス等は利用できなくなります。

独自ドメインは他社レジストラ (リセラー) で取得・管理するものを利用できます。もし、スマイルサーバーでドメインを管理する場合、ドメイン維持費は月額となります。

日本語ドメイン

非対応です。

DNSレコードの編集

非対応です。

データベース

データベースは設定済みの状態で提供されます。全プラン共通仕様となっており、MySQL 3個 、PostgreSQL 3個 となっています。データベース名、ユーザー名は自動生成されており変更できません。初期パスワードは管理者パネルのパスワードと同じものが利用されますが、変更が可能です。つまり、一つのデータベースユーザーで、全てのデータベースにアクセスする設定となっています。

MySQL、PostgreSQLともに外部から接続することはできません。

ディレクトリ構造

スマイルサーバーではドメインが一つしか設定できないため、他のマルチドメイン対応レンタルサーバーのように、ドメイン毎にディレクトリ (ドキュメントルート) が生成されることはありません。

/http がドキュメントルートとなり、例えば http://example.com/ でアクセスされた際に読み込まれるディレクトリとなります。/https ディレクトリはSSLサーバー証明書を設定した際のドキュメントルートとなります。

ルートディレクトリ /初期ドメイン にアクセスすることはできますが、ディレクトリやファイルを作成する権限はありません。/cgi-bin や /cgi-data には編集権があるようですが、基本的には公開ディレクトリ ( /http や /https ) 以外にファイルを配備することができないため、公開したくないファイルを配備する場合、.htaccess等でのアクセス制限が必要となります。

FTP

通常のFTPだけでなく、セキュアなFTPS (FTP over SSL/TLS) にも対応しています。基本的にFTPアカウントは契約時に発行される 1つのみ です。Web&Mailコースであれば、メールアカウントにFTP権限を紐付ける機能 (FTP権限管理) を利用できるため、無制限にアカウントを発行できることになります。

他のレンタルサーバーのように、アカウント毎にアクセス可能なディレクトリを設定することはできません。管理者アカウントと同等の権限となります。

.ftpaccess対応

Allow / AllowAll / AllowUser / AllowOverwrite / AllowRetrieveRestart / AllowStoreRestart / Deny / DenyAll / DenyUser / IgnoreHidden / Order / Umask / Limit

ファイルマネージャ

コントロールパネルにはファイルマネージャ (Webアプリケーション) が用意されており、FTPクライアントがなくともディレクトリやファイルの操作が可能です。他にも以下の機能に対応しています。

機能

作成、削除、コピー、カット、アップロード、パーミッション変更、BASIC認証の設定、IPアドレスまたはドメインによるアクセス制限の設定、Perlチェッカー

メール

Webコースではメール機能を利用できません。

最近のレンタルサーバーで IMAP非対応 は珍しいですね。スマートフォンやパソコンなど、複数の端末でメールを管理する際に面倒かもしれません。IMAPが使えなくても、GmailにPOPアカウントを設定することで一括管理する方法もあります。

POPとSMTPについては、セキュアなプロトコルにも対応しており安心して利用できます。

Webメーラー

コントロールパネルからWebメーラーにアクセスできます。非常にシンプルなメーラーなので、「メール確認だけ」という用途に限るでしょう。

メール制限

一通あたりのメール送受信の上限は20MBとなっています。また、Webメールでは、送信上限が1MB、受信上限が20MBとなっています。全て添付ファイル含んだ数値です。

オプションとして高機能Webメーラーである Active! mail に対応しています

メーリングリスト

メーリングリストとして国産メーリングリスト管理ソフトウエアである fml が採用されています。対応プランなら50個まで設置でき、メールアドレスの登録数は無制限です。

メンバー登録希望者が、特定のメールアドレスに送信することで、管理者を介さずにメーリングリストへ自動登録する機能もあります。

以下の機能に対応しています。

• メーリングリスト新規開設
• メーリングリストメンバー設定
  • メンバー登録 / メンバー参照・検索削除 / メンバー削除
• メーリングリスト各種設定
  • 自動登録設定 / 投稿者制限設定 / 件名タイプ設定 / 通番桁数設定 / 返信先設定 / コメント変更
• メーリングリスト削除

PHP情報、他の言語

PHPは 5.2 が標準となっており、少々古いようです。.htaccess の設定により 5.3 や 5.5 に切り替えることが可能です。しかし、5.2 や 5.3 はどちらもサポートが終了しているバージョンです。また、5.5も 2016年6月 に公式のサポートが終了します。主力は 5.6 や 7.0 に移行しているため、ちょっと遅れている印象ですね。

他のレンタルサーバーと比較すると、良い意味では安定性重視なのでしょうか？

php.ini の設定はユーザーで直接編集できます。5.3 以降 であれば .user.ini も利用できます。

cron

cronの設定数は全プラン共通で 1個 となります。また、最短実行間隔は 1時間 となります。設定方法はメニューから選択するか、crontabの書式で設定します。他のレンタルサーバーのようにcronの実行結果をメールで通知する機能はありません。実行通知が必要であれば、ユーザー自身で対応する必要があります。

ログ

ログは /log ディレクトリに、access_log (Apache)、error_log (Apache)、xferlog (FTP) を日別にアーカイブさせることが可能です。

PHPのエラーは、php.iniや.user.iniでエラーログ出力の設定が必要です。

アクセス解析

多くのレンタルサーバーで採用されている Analog による、ホームページ訪問者解析が提供されます。アクセスログの統計情報をグラフィカルなイメージで表示可能であり、最大 3か月 の解析情報を閲覧できます。

表示可能項目

月別レポート / 週別レポート / 日別レポート / 曜日別集計 / 時間別集計 / ドメインレポート / 組織ドメインレポート / リンク元URLレポート / ブラウザレポート / ファイルサイズレポート / ファイル種類別レポート / ディレクトリレポート / ファイル名別レポート

アプリケーション

簡単インストール対応

簡易CRM、Tone (Webフォーム作成)、掲示板、アクセスカウンタ、サイト内検索 (namazu)、WordPress、CS-Cart (フリー版)、EC-CUBE

オプション対応

サイボウズ Office 10、Movable Type 6、映像配信

対応ツール

メモ

インストールされているのを確認しただけです。動作を保証するものではありません。

SLA

法人向けサービスですが、公式サイトではSLA (サービス品質保証) 対応を謳っていません。しかし、利用規約には障害時間に応じた返金についての説明があります。

細かな条件はありますが、連続して24時間以上の障害が返金対象となるようです。

第9章 損害賠償等

(責任の制限)

第38条 当社は、本サービスを提供すべき場合において、当社の責めに帰すべき理由により、契約者が全く利用できない状態に陥ったサービスが生じたときは、契約者が当該サービスを全く利用できない状態にあることを当社が知った時刻から起算して、連続して24時間以上、当該サービスが利用できなかったときに限り、損害賠償するものとする。

2 前項の場合、当社は、契約者からの請求により、当該サービスを利用できないことを当社が知った時刻から当該サービスの提供が可能と当社が確認した時刻まてでの時間を24で除した数 (小数点以下の端数は切り捨てるものとする。) に、 当該サービスにかかる月額料金または年額料金の12分の1の料金の30分の1を乗じて算出した額を限度として、契約者に現実に発生した直接損害の賠償請求に応じるものとする。但し、契約者が当該請求をし得ることとなった日から3ヶ月を経過する日までに当該請求をしなかった場合は、契約者はその権利を失うものとする。

簡易CRM

CRM (Customer Relationship Management) とは、顧客管理システムのことです。特に利用方法が決まっているわけではありません。基本的にはWebフォームとメールマガジンを連携して利用可能な仕組みとなっています。

簡易CMRをインストールするにはまずフォーム (form) を作成する必要があります。例えば、お問い合わせフォームであれば、下記のような「名前、メールアドレス、問い合わせ内容」等を含むHTMLファイルを用意します。このソースを基に 自動的 にCRMが生成されるため、スクリプトを1行も書く必要はありません。

<form method="post" action="">
	<input type="text" name="name" size="50">お名前<br>
	<input type="text" name="mail" size="50">メールアドレス<br>
	問い合わせ内容<br>
	<textarea cols="40" rows="4" name="message"></textarea><br>
	<input type="submit" value="送信する">
</form>

つまり、PHP等を利用せずにサーバーと連動するメールフォームやアンケートフォームを自動生成する機能です。フォームへの入力内容はサーバーに保存され、運営者は必要な時にダウンロード (CSV or TSV) することができます。また、利用者の入力内容を即座にメールで転送することもできます。

メールマガジン機能も含まれるため、フォームに入力されたメールアドレスを自動的にメールマガジンの購読者として登録することもできます。

その他の機能

ファイル変更通知

ファイル変更の有無を管理者に通知する機能です。不正なファイル操作を検知するセキュリティ対策となります。

Perlチェッカー

Perlプログラムの、パーミッション設定・改行コード・文法のチェックをすることができます。

非対応

バックアップ、SSH

プラン変更

プラン変更に対応していません。プランを変更するのであれば、新たに目的のプランを契約して、サイト環境を移行する必要があります。

サポート対応

マニュアルとFAQが充実しているので、ほとんどのトラブルはサポートを利用する必要はないでしょう。

フリーダイヤル

平日10:00 12:00 13:00 18:00 (土・日・祝・年末年始は受付時間外)

メール

24時間受付。お問い合わせフォームを利用します。

FAX

FAXにも対応しています。例えば、申込書類などを郵送ではなく、FAXで送信することも可能です。

お試し利用のために何度かメールのやりとりをしていますが、非常に対応が早くて丁寧です。さすがに法人向けと言ったところでしょうか。

支払い方法

クレジットカード、銀行振込、口座振替に対応しています。他にもNTT関連の支払いにまとめることができます。

解約方法

カスタマーサービス担当まで解約希望月の 20日まで に電話で伝える必要があります。その後、契約者パネルでの操作が必要となります。他のレンタルサーバーと比較すると少々面倒ですね。

途中解約については、幾つか条件があります。

• 最低利用 期間 (6ヶ月) に満たない場合、違約金として最低利用 期限 までの料金が発生します。
• 契約期間中であっても、返金対応はありません。