CPIレンタルサーバーのレスポンス性能と安定性を調べてみよう

この記事は内容は過去のものです。最新の測定記事も参考にしてください。

CPIは KDDI (KDDI ウェブコミュニケーションズ)が運営するレンタルサーバーです。CPIのホスティング事業は1997年8月より始まっており、老舗のレンタルサーバーと言えます。

CPIの特徴は色々な機能や仕様が 無制限 となっていることです。転送量、ディスク容量、データベース、マルチドメイン、等が無制限対応となっています。さらに稼働率100%のSLA(品質保証制度)に対応しており、安定性も重視しています。

転送量無制限対応のレンタルサーバーは総じてレスポンス性能が平凡です。CPIは他のレンタルサーバーと比較してどの程度の性能でしょうか?

測定方法

測定方法の詳細は下記のページを参照してください。

レンタルサーバー性能の測定方法

家庭用回線に接続したサーバーから定期的にアクセスして、Webページのダウンロードに要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

  • 動的ページ
    • WordPressによるサイト(PHPとデータベースを利用)
    • コンテンツは平均的なWebページの構成を採用
      • HTTP Archiveのデータを利用
  • 静的ページ
    • htmlファイルによるサイト
    • WordPressが生成したデータを静的ファイルに変換したものを利用

測定期間

  • 9日間

測定と言っても一度きりでは意味がないので、一定期間の継続した測定を行っています。一定期間測定することで、夜間と日中の差や休日と平日の差を見ることができます。もしかしたら、曜日毎の変化があるかもしれません。

測定経路

データセンターの所在地については、下記の記事を参考にしてください。

CPIレンタルサーバーのデータセンターを探してみよう

家庭用回線からの測定となります。家庭用回線は測定中であってもサーバー以外のPCで普通にインターネットを利用しています。家庭用回線のサーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

  • 家庭用回線の測定環境
    • eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
    • ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
測定回数 4,602 4,602
測定失敗 0%(0) 0%(0)
3秒以上 0.89%(41) 0.56%(26)
10秒以上 0%(0) 0%(0)
平均時間(秒) 1.48 1.16
ばらつき(秒) 0.38 0.37
測定失敗 ダウンロードが失敗した割合。()内は回数
3秒以上 ダウンロードに要した時間が3秒を超えた割合。()内は回数
10秒以上 ダウンロードに要した時間が10秒を超えた割合。()内は回数
平均時間 ダウンロードに要した時間の平均値
ばらつき 母標準偏差(グラフ上の値は標本標準偏差)

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

ユーザーが待てる時間は 3秒以内

調査では、3秒を過ぎると57%のユーザーがしびれを切らし、訪問を諦めることがわかった。どんなに美しいサイトを作ったところで、3秒以内に表示されなければユーザーの目に触れるチャンスすらないということになる。

3秒が許容範囲 - Webサイトのパフォーマンスが重要な理由 | マイナビニュース

快適なWebサイトの条件(サイトスピード)として 3秒以内 のレスポンスが1つの基準となります。

少し意外ですが、CPIのレスポンス性能は ロリポップ! と同程度のようです。決して遅くはなく、一般的なコンテンツをメインとするWebサイトを運営するなら何ら問題はないでしょう。ただし、高速なレスポンス性能を必要とするサービスへの利用は厳しいかも知れません。

必要十分な性能はありますが、レスポンス性能の高いレンタルサーバーと比較すると明らかに劣ります。ただし、転送量無制限を謳うレンタルサーバーは総じてレスポンス性能が平凡です。転送量無制限とレスポンス性能はトレードオフの関係となっており、無制限を実現するために転送量を調整しているような気がします。

CPIの特徴は 安定性 です。他の転送量無制限のレンタルサーバーと比較しても 「ばらつき」が少なく 、いつでもレスポンスが安定していることが分かります。ばらつきが少なければ、訪問者に対して常に安定した時間(速度)でコンテンツを見せることができます。

  動的ページ(秒) ばらつき
CPI 1.48 0.38
ロリポップ!ビジネス 1.24 0.55
WADAX 2.27 0.96

他のレンタルサーバーでは、利用者の多くなる夜間にガクッとレスポンスが悪くなります。しかし、CPIは夜間でもほとんど遅くなることがなく、時間帯を問わず安定している珍しいレンタルサーバーです。

これらの結果を見ると、CPIはレスポンス性より安定性を重視した仕様(調整)ということが分かります。

CPIレンタルサーバーの評価

測定結果からも分かりますが、レスポンス性能(応答速度)を必要とするサイト運営には向きません。しかし、コーポレートサイトのような何より安定性を重視するサイトには最適です。

安定性という意味では、共用レンタルサーバーでは珍しく稼働率100%のSLA(品質保証制度)に対応しています。これは、サーバーのトラブルを起因とする障害が発生した場合、障害時間に応じて利用料金が返金される仕組みです。稼働率100%を保証するものではありませんが、安定稼働に対する自信の表れでしょう。

転送量も無制限ですが、他の機能や仕様も無制限です。

転送量 ディスク容量 マルチドメイン
(サブドメイン)
メールアカウント メールボックス容量
メールマガジン メーリングリスト FTPアカウント cron データベース
(MySQL)

ディスク容量無制限はかなり珍しい仕様です。併せてデータベースとマルチドメインも無制限なので、多くのWebサイトを安定して運営したいならお勧めしたいレンタルサーバーです。

他にも、安定したサイト運営をサポートする「SmartRelease」が特徴的です。「SmartRelease」は、いわゆる「テスト環境」を提供する機能です。テスト環境のデータを公開環境(本番環境)にワンクリックでコピーすることができ、リリース(公開)作業の効率化が可能です。テスト環境は公開環境と同じサーバーに設置されるため、動作環境の違いによる動作不具合は起こりません。

さらに、バックアップ機能を標準で備えており、自動バックアップやリストアにも対応しています。

CPIの詳細なレビューは下記を参考にしてください。

CPIレンタルサーバーのレビュー

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