KDDIグループの運営するホスティングサービスです。共用レンタルサーバーのプランは ACE01 の1種類となります。共用レンタルサーバーとしては高価格帯(特に初期費用)ですが、サービスは充実しています。最も特徴的な仕様は、 無制限 の機能や仕様が多いことと、 SmartRelease (スマートリリース)というテストサイトと公開サイトを自由に操作できる機能を標準で備えていることです。
公式サイトを見ると法人向けサービスに思えますが、個人でも問題なく契約することができます。
この記事では特徴的な機能や操作感を紹介しています。詳しいスペックについては、このページ内にある「プランの詳細」のリンク先をご覧下さい。
他のレンタルサーバーのように 初期ドメイン (サービスドメイン)が ありません 。申し込むためにはCPIで独自ドメインを一緒に契約するか、他のドメインレジストラで取得済みである必要があります。
主契約ドメイン と追加ドメイン(マルチドメイン)では利用できる機能に差があります。とは言え、オプション機能が多く、そこまで気にする必要はありませんね。
※ 主契約ドメインとは契約時に登録する独自ドメインのことです。
主契約ドメイン | マルチドメイン | |
---|---|---|
SLA | 標準 | × |
24時間365日TEL&メールサポート | オプション | × |
サーバー移転代行サービス | 標準 | × |
マルウェア診断 | オプション | × |
Google Apps for Work | オプション | × |
内部バックアップサービス | オプション | × |
外部バックアップサービス | オプション | × |
Active! mail | 標準 | × |
iQube+ | 標準 | × |
2015年8月12日より、 日本語ドメインに対応 しています。
以前は転送量制限が50GB/月となっていましたが、制限がなくなり(条件付き) 無制限 となりました。無制限になったことで、より複数のサイト運営に適したサービスとしてお勧めできます。
条件付きと書きましたが、他のレンタルサーバーと同様です。転送量増加による高負荷が発生し、ネットワークやサーバー全体が影響を受ける場合は制限対象となる可能性があります。
ただし、公式サイトを確認すると転送量の負荷はあまり気にする必要はないようです。
転送量の負荷より、
などで、稼働しているプログラムが停止されるケースが増えているようです。
他のレンタルサーバでは、ディスク容量やデータベースに制限がありますが、CPIでは様々な機能や仕様が 無制限 となっています。
転送量|ディスク容量|マルチドメイン(サブドメイン)| メールアカウント|メールボックス容量 メールマガジン|メーリングリスト|FTPアカウント|Cron|MySQL
スペックだけを見ると無制限にWebサイトを運営できそうですが、あくまでも共用レンタルサーバーなので、他のユーザーに迷惑のかかる高負荷な利用は制限されます。
一般的なレンタルサーバーであれば、多くのユーザー(ドメイン)で1つのIPアドレスを共有しています。そのため、IPアドレスでWebサイトにアクセスすることはできません。
CPIではドメイン毎(マルチドメインも含む)にグローバルIPアドレスが割り当てられます。普通にWebサイトを運営するならあまり気にするポイントではありません。例えば、IPアドレスでWebサイトにアクセスすることができるので、CPIに引っ越す時に旧サーバーでWebサイトを稼働させつつ、CPIでテストを行うことができます。環境が整ったらDNSの設定を変更するだけなので、スムーズな引っ越しが可能です。
グローバルIPアドレスを利用できますが、残念ながら他社のSSLサーバー証明書を持ち込むことはできません。SSL対応が必要であれば、CPIの有料オプションを利用する必要があります。
コントロールパネルは2種類あります。契約情報を管理する 「マイページ」 とサーバーを操作する 「ユーザーポータル」 です。ユーザーポータルはさらに3種類、「ウェブコントロールパネル」「SmartRelease」「メールコントロール」に分かれます。
一つのドメインに対して、一つの「ユーザーポータル」割り当てられます。つまり、ドメイン毎に異なるユーザーポータルにログインする必要があります。ドメインの管理(追加や削除)は「マイページ」で行います。
どうにも増築改築を繰り返したイメージがあります。できれば一つにまとめて欲しいですね。
残念ながらコントロールパネルのレスポンスは良くありません。頻繁に操作を行うならストレスとなるでしょう。とは言え、各機能とオンラインヘルプがリンクしており、使い方に迷っても困ることはありません。
CPIの特筆すべき機能として、 SmartRelease (スマートリリース)があります。すごく便利な機能ですが、なんと 標準機能 です。
Webサイト制作者であれば、一度は経験している問題ですが、テスト環境で構築したサイトを公開環境(本番環境)に移行する際、ファイル転送が面倒であったり、パスの修正が発生したり、PHPのバージョンが違ったり、ライブラリがなかったり、・・・と最初のうちは無駄な時間を必要とします。
スマートリリースでは、テスト環境の内容をワンクリックで公開環境にそのまま反映させることができます。テスト環境と公開環境が同じサーバーにあるため、動作環境の違いによる不具合はまず起こりません。
スマートリリース機能のため、コントロールパネルも「公開サイト用設定」と「テストサイト用設定」で分かれています。機能的にはほぼ同じものが用意されており、データベースは共通ですが、FTPアカウントやCronなどは別々の設定となります。
スマートリリースには標準装備とは思えない高機能なバックアップ機能が備わっています。Web領域のデータは30世代まで、データベースのデータは10世代まで保存されます。もちろんバックアップデータからのリストアも可能です。バックアップデータのダウンロードや手動バックアップにも対応しています。
「テストサイト」「公開サイト」の両方がバックアップ対象となります。契約時から自動バックアップが機能しており、毎日深夜にバックアップが実行されます。手動バックアップを行わなければ、Web領域なら30日間(30世代分)、データベースなら10日間(10世代分)のデータが保存されることになります。
他にも「内部バックアップサービス」「外部バックアップサービス」がオプションで用意されていますが、SmartReleaseの標準機能で十分かも知れませんね。
SmartReleaseの詳細は下記の記事もご覧下さい。
デフォルトはPHP5.5.16、文字コードUTF-8で動作しています。PHPのバージョンを変更するには、.htaccessにバージョンを記述して、動作させたいディレクトリに設置します。
バージョン | |
---|---|
PHP | 5.2.8 / 5.3.6 / 5.3.28 / 5.3.29 / 5.4.25 / 5.5.9 / 5.5.16 / 5.6.19 / 7.0.2 |
メール機能の対応プロトコルは多彩です。
SMTP | SMTP AUTH | POP before SMTP | SMTP over SSL/TLS | POP |
POP over SSL/TLS | IMAP | IMAP over SSL/TLS | APOP |
STARTTLS/STLSには非対応のようです。IMAPのみ利用すならPOP受信を不許可にすることも可能です。
メールアドレスは無制限対応となっていますが、公式サイトをよく確認すると 「メールアドレスの作成数は Active! mail アカウント上限に準拠いたします。」 と書いてあります。つまり、Active! mailを利用可能な主契約ドメインの場合、追加オプションを契約しなければり50個が上限となるようです。
他のレンタルサーバーと同様に転送機能、自動応答機能もあります。転送機能については振り分けが可能となっており、「件名:Subject」や「差出人:From」に含まれる文字列をトリガーとして転送させることができます。
Webメーラーは下記の4種類を利用できます。
Webメーラーとして Active! mail を利用できます。Active! mailは高機能Webメーラーであり、大学や法人向けサービスでよく採用されています。他社レンタルサーバーの標準的なWebメーラーと比較して、スマートフォン対応など使い勝手に優れます。ただし、Active! mailは主契約ドメインのみ対応しており、追加ドメイン(マルチドメイン)では利用できません。
Active! mailが無料で利用できるのは50アカウントまでです。無料分を超えて利用する場合、有料オプションを利用する必要があります。個人利用であれば50アカウントで十分かも知れませんね。
メーリングリスト機能は他のレンタルサーバーと比較して多機能となっており、 空メールによる登録機能 や コマンドメール機能 等があります。
例えば、メーリングリストに登録メンバー以外が投稿すると、「案内メール」を自動返信することもできます。メール本文または件名に「subscribe」と入力して空メールを送れば自動登録させることができます。もちろん、各種案内文を編集することもできます。
コマンドメールというものがあり、本文に「help」と入力して送信すると、メッセージテンプレート「help」のメッセージを自動返信します。他にも「guide」や「msg」など、多くのコマンドがあり、コマンドメールによる自動退会にも対応しています。
非常にシンプルな機能となっています。メールマガジンを作成するときに決めることは、タイトル、管理者アドレス、配信用アドレス、登録用アドレス、退会用アドレスの5つだけです。登録用アドレスに空メールを送ると自動登録され、退会用アドレスに送ると退会処理が行われます。手動で購読者を追加することも可能です。
登録・退会時の自動返信メッセージを編集することもできます。
アクセスログ分析として「AWStats」「Webalizer」「analog」と、レンタルサーバーで採用例の多いアプリケーションが標準装備されています。Googleアナリティクスを利用する方が多いので、あまり出番はないかもしれません。
コントロールパネルでアクセスログとエラーログの生データを表示(取得)することも可能です。アクセスログについては、「当月分」と「当日分」、エラーログについては「当日分」の最新2,00行まで取得できます。さらにFTPアクセスのログも保存されます。
コントロールパネルで表示可能なログに制限はありますが、過去のログはlogディレクトリに保存されているのでFTPで取得することができます。また、コントロールパネルでは公開サイトのログしか表示できませんが、テストサイトのログもテスト環境のlogディレクトリに保存されています。
公開サイトのアクセスログについては、メール配信機能により任意のアドレス宛に1日1回配信することが可能です。
CPIはSSH(シェルログイン)の利用が可能です。以前のSSHはパスワード認証となっていたため、初心者でも簡単に利用できましたが、IPアドレスによる接続制限が必要でした。一つのIPアドレスしか設定できないため、外出先(ネットワーク環境が変わる)などでは再設定が必要でした。
2015年9月に行われた機能強化により、 鍵認証方式 へ変更されました。IPアドレスによる接続制限がなくなり、どこからでも再設定なしでアクセス可能となっています。
一つのアカウントで2つのポート番号が指定されます。一つが公開サイト用、もう一つがテストサイト用の接続先となります。
MySQL5.5と5.6に対応しており、PostgreSQLは8.4となっています。管理ツールは定番のphpMyAdminとphpPgAdminです。
MySQLのデータベース追加は簡単です。文字コード(UTF-8、EUC-JP)を選択して、データベース名(任意の文字列)を入力するだけです。データベース名は「ユーザー名(固定)_任意の文字列」となります。ユーザー名は契約時に決められたものとなります。
MySQLはコントロールパネルでデータベースを追加できます。しかし、PostgreSQLはそもそも1ドメインにつき1つしか利用できないので、最初から作成済みのものを使うことになります。PostgreSQLの文字コードはEUC-JPに固定され、他の文字コードに変更することはできません。
データベースのユーザー名とパスワードは変更できないようです。どうしても変更が必要な場合は、サポートに問い合わせてみましょう。
404、403、401,500、エラーページのカスタムが可能です。
他のユーザーに迷惑となるような負荷を掛けなければ、 無制限 に設定できます。最短実行間隔は 1分 となっています。設定したスケジュールは削除のみ可能となっており、一時停止や編集はできません。
他のレンタルサーバーのcronは、自分でコマンドやパスを入力する必要がありますが、CPIではプルダウンリストから実行ファイルを選択するようになっています。
テスト環境と公開環境とでcronの設定は別々となっています。
通常のFTPに加え、セキュアな FTPS(FTP over SSL) と SFTP(SSH FTP) に対応しています。
FTPアカウントは 無制限 に発行することができます。ただし、公開サイトとテストサイトで、別々のアカウントが発行されます。そのため、一つのアカウントで公開サイトとテストサイトの両方のディレクトにアクセスすることはできません。
アカウント毎にアクセス可能なディレクトリを指定することができるので、権限の異なる複数人でのサーバー管理にも適しています。
FTPサーバーはIPアドレスによる接続制限が可能です。
SecureFileManager(セキュアファイルマネージャ)と呼ばれる、ファイル操作用Webアプリケーションも用意されています。日本語ファイルの操作非対応、文字コードがUTFに対応していない等、あまり使い勝手は良くありません。FTPクライアントやSSHが利用できないときの非常用という位置づけでしょうか。・・・そんなことはほとんどないので、出番はないでしょう。
Movable Type 6 | a-blog cms | WordPress | concrete5 |
EC-CUBE | Drupal | SOY CMS | PukiWiki |
他にも「高機能フォーム作成」機能が用意されており、「問い合わせ」「アンケート」「各種申込」「商品の注文」等、多目的に利用できるフォームをウィザード形式で簡単に作成することができます。
WebサイトやWebアプリケーションの脆弱性に対する攻撃を防ぐセキュリティサービスである WAF(Webアプリケーションファイアウォール) に標準対応しています。従来では防御しきれなかったSQLインジェクションや、クロスサイトスクリプティングといった攻撃の対策になります。
多くのレンタルサーバーで採用されている、JP-Secure (ジェイピー・セキュア)の SiteGuard Lite が採用されています。主契約ドメインだけでなく、マルチドメインについても利用できます。
iDC(データセンター)は東京都内23区内にあり、共用レンタルサーバーでは珍しい、稼働率100%のSLA(品質保証制度)に対応しています。
レンタルサーバーにおけるSLAは、一般的にサーバーの高稼働率を保証するものです。障害により稼働を維持できなかった場合、障害時間に応じた利用料金の返金が行われます。利益目的のサイト運営であれば、サーバー障害による損害は避けたいので、SLA対応のレンタルサーバーを選択することは1つの安心材料になります。ここでの障害に「アクセス過多によるエラー」や「ユーザーが原因のトラブル」は含まれません。
保証項目 | wwwサービスとメールサービスが完全に利用不能の場合 |
保証値 | サーバー稼働率100% |
返金額 | 1)99.99%~100%未満 5% |
2)99.90%~99.99%未満 10% | |
3)97.99%~99.90%未満 25% | |
4)90.00%~97.99%未満 50% | |
5)90.0%未満 100% |
CPIでは月単位の計算となり、例えば2)の条件であれば、1ヶ月(30日)の間に約4分から約43分のシステム障害があると利用料金の10%が返金されます。
この障害時間は合計なので、月初めに連続して40分の障害が発生してもその後トラブルがなければ2)の条件にあてはまります。毎日のように1分程度のトラブルがあっても同様です。
初心者向けのサポートが充実しています。また、技術的な質問には対応できないというプロバイダもありますが、CPIでは問題なく対応します。
支払い方法 | 備考 |
---|---|
銀行振込 | 三菱東京UFJ銀行。振込手数料が必要 |
クレジットカード | VISA / MasterCard / JCB / American Express (全て日本国内のカード会社にて発行されたものに限ります) |
Pay-easy |
スペックを考慮すれば月額料金は決して高くありません。ただし、 初期費用(20,000円) は共用レンタルサーバーの中でもかなり高いと感じます。年間契約(12ヶ月契約)であれば 初期費用無料 となり、月額料金も割引されるため、年間契約しか選択肢はありませんね。
ディスク容量、データベース、転送量の不足により、複数のレンタルサーバーを契約することを考えると手間も掛からず割安です。基本的なスペックが高いこともありますが、SmartRelease、SLA100%の安定性、バックアップオプションなど、サポート機能の充実により安定したサイト運営が可能でしょう。
以前は転送量制限が50GB/月となっていましたが、無制限になったことで、より複数のサイト運営に適したサービスとしてお勧めできます。
コントロールパネルのレスポンスが緩慢なのは気になりますが、Webサイトのレスポンス(応答速度)は標準的であり、レスポンス性を重視するサイトでなければ全く問題ありません。
詳しくは紹介しませんでしたが、共用サーバーとしては珍しく Git にも対応しています。必要なユーザーにとっては嬉しい機能でしょう。
共用サーバ、VPS、専用サーバまであり、アメーバブログのCyberAgentやサントリー、官公庁や教育機関などの大規模なサイトから、企業サイト、ネットショップ、個人事業主のサイトなど様々なユーザが利用しています。
更新履歴 | |
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2016年07月02日 | 支払い方法が変更されました。 |
2016年06月30日 | MySQL5.6が追加されました。ログ機能が強化されました。 |
2016年04月15日 | PHP5.6が追加されました。 |
2016年02月04日 | PHP7が追加されました。 |
2015年12月10日 | 機能強化された内容を追記しました。 |
2015年08月13日 | レビューを大幅に追記しました。 |