ファイアバード (Firebird) はサービスの提供を終了しました。

現在は スターサーバー #StarServer として、新しいサービスを提供しています。

ばらつきは大きいが上位クラスのファイル転送性能!ファイアバードのFTP性能の評価と比較

ファイアバード(FIREBIRD)のファイル転送性能を測定してから1年ほど経過しました(前回の測定結果はこちら )。PHP7対応などソフトウェアは更新されていますが、ハードウェア更新に関するアナウンスはありません。

おそらくFTP性能に変化はないと思いますが、ネットワークなどの周辺環境が改善されている可能性があるため、同じ条件で再測定を実施しました。

レンタルサーバーを選ぶときに、ファイル転送性能(FTP性能)を気にする人はほとんどいません。例えば、第三者が開発したプラグインやテーマを利用するだけのWordPress運用なら、FTPの使用頻度は高くありません。しかし、WordPressテーマ(デザイン)の開発やオリジナルサイトの運用なら、転送速度の遅さは作業効率を悪化させ、ストレスの原因にもなります。

用途や目的によって、ファイル転送性能も重要な検討項目です。レンタルサーバーを選ぶときの絶対的な条件ではありませんが、あらかじめ確認しておけば後悔することもないでしょう。ここではファイアバードのファイル転送性能の評価と比較を行います。

ファイアバードの全てが分かる
ファイアバードのレビュー

ファイアバードのファイル転送機能に関する仕様

通常のFTPだけでなく、セキュアなFTPSにも対応しています。

ファイアバードで追加できるアカウント数は、他社と比較してかなり少ない「5個」となっています。

ドメイン(サブドメインを除く)ごとに 初期FTPアカウント が生成されるので、総アカウント数は「ドメイン数+5」となります。初期FTPアカウントは、そのドメインのドキュメントルート(例 ~/example.com/public_html)がホームディレクトリとなります。そのため、他ドメインのディレクトリにアクセスすることはできません。

「/home/サーバーID/」をホームディレクトリとする追加アカウントを1つ用意しておけば、全てのドメイン(サイト)のファイルを横断的に操作でき便利です。

その他
アカウント名は「任意の文字列@ドメイン」となります。
アカウントごとに容量設定(クオータ)が可能です。
SCP、SFTP、WebDAVに非対応です。

測定方法

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP)レスポンス性能の評価に利用しているサイト(ページ)を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB(約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)」の約2,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者数(訪問者数)が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

ファイアバードはさくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。ファイアバードを運営するネットオウルの他サービスも同様です。エックスサーバーでも採用されいてる高品質なデータセンターです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(関西電力)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定元のサーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定 2,014回 2,014回
棄却検定除外 1.94% (39) 1.59% (32)
棄却検定閾値 3.45秒 2.17秒
エラー 0% (0) 0% (0)
中央値 0.78秒 0.62秒
平均値 1.04秒 0.72秒
ばらつき/標準偏差 0.49秒 0.30秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数です。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これはネットワークや測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しているといえます。

ファイアバードの評価

前回の結果と比較して改善されています。

しかし、時間帯による大きなばらつきに変化はありません。測定結果だけを比較すれば改善されたように思えますが、レスポンス測定ベンチマークでは変化を確認できないため、根本的に何かが変化したわけではなさそうです。

変動傾向は分かりやすく、負荷の高くなる夜間に性能低下のピークがあります。反対に、深夜または早朝に転送性能が最も高くなります。変動は気になりますが、約2,000回もの測定でエラーは皆無であり、安定性に問題はありません。

ファイアバードを単体で評価すると、ばらつきの大きさからあまり良い印象ではありません。しかし、他社と比較すれば「平均値」は上位クラスの性能であり、転送速度が低下する夜間でも平均的な性能を維持しています。

ほとんどミニバードの評価と同じです。理由は簡単であり、サーバーの環境(スペックなど)が全く同じだからです。ミニバードとファイアバードは別サイト(別ドメイン)で運用されていますが、実質的には同じサービスのプラン違いです。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05
注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

未加工データ

  アップロード ダウンロード
中央値 0.78秒 0.63秒
平均値 1.12秒 0.77秒
ばらつき/標準偏差 1.03秒 0.50秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

関連記事

BLOG

UPDATE