基本性能は上位クラスだが少し不安な要素も！Quiccaのベンチマーク

Quicca（クイッカ）は「90円から」が特徴の安価なレンタルサーバーです。ただし、90円のプランはデータベース非対応なので、WordPress等を導入するならライトプラン以上が必要です。その他の詳細はこちらのレビューを参考にしてください。

レンタルサーバーを検討する際、大事なポイントはWebサイトの表示速度です。レスポンスが悪ければ訪問者にストレスを与え、検索順位にも悪影響です。もう一つはサーバーの処理性能であり、表示速度はもちろんのこと高負荷時（アクセス増加時）の安定性に大きく影響します。

公式サイトで高性能を謳っていても、実際に契約すると期待外れなことが多々あります。ここではQuiccaの処理性能を評価した結果を掲載します。

Quiccaの全てが分かる

Quiccaのレビュー

測定方法

WordPressをインストールしたWebサイト（サーバー）を利用します。

• 「ランダムな3,000文字/記事」の投稿と削除
  • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
  • 1記事ごとの生成処理を含む
• 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
  • wp insert post、wp delete post

これらの処理を 5分間隔 で実行し、一連の処理時間を測定します。つまり、 PHPとデータベースの処理性能 を確認します。データセンター内（またはサーバー内）で完結する処理なので、外部ネットワーク環境の影響を受けません。

負荷について

100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

測定結果について

72時間（3日間） の測定結果です。X軸は時刻（0時～24時）を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。

測定のタイミングによりサーバーの負荷状態（混雑具合）が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値（外れ値）を棄却検定Grubbs' test（α=0.001）により省いています。

ばらつき（標準偏差）は、処理の 約68% が 平均値 ± ばらつき に、約95% が 平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。ばらつきが小さいほど処理性能が安定します。

Quiccaの評価

約1年前に同様の測定を行っていますが、その時の結果と比較して大きな変化はありません。前回以降ハードウェア更新のアナウンスはないため当然の結果でしょう。

ソフトウェアに関しても大きな変更がなく、PHP7どころか5.3で停止したままです。5.3はすでにサポートが終了しています（OSベンダーのサポートを除く）。未だに5.6（5系の最終版）に対応していない点は、処理性能以前の問題です。

測定結果で気になる点は、棄却検定による除外数がかなり多いということです。一時的に生じる異常値を省く目的ですが、6%もあれば無視できません。さらに、除外されたデータの平均値は約14秒であり、かなり極端な性能低下が発生しています。

中央値は上位クラスの結果であり、サーバーのスペックが低いとは思えません。あくまでも推測ですが、収容数が原因で負荷が高くなりやすい状態となっているのでしょう。

基本性能は高いのですが、やはり低価格帯のサービスなりにやや不安定な印象です。とは言え、エラーは皆無であり問題のあるサービスではありません。料金なりのサービスという評価になります。

ロリポップ！、ミニバード、Z.comとの比較

変動係数

変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値（処理時間）が近い場合、変動係数が小さいほど安定します。

他のサービスと比較してみましょう。

比較対象は低料金プランのある、ミニバード（minibird）、ロリポップ！（Lolipop）、Z.comです。ロリポップ！は上位と下位のサービスで明確な性能差がありますが、ここでは安価なライトプランを対象とします。

例外もありますが、処理性能はハードウェアスペックに比例します。スペックは基本的に非公開ですが、これらの中ではQuiccaが最も高いと推測できます。しかし、最もばらつくのもQuiccaとなっています（未加工データ参照）。

中央値は他社を含め上位クラスの性能であることから、基本的な処理性能は高いはずです。やはり、このばらつきが意味するのは「契約者を詰め込み過ぎ」なのかもしれません。他の未加工データは、棄却検定適用の結果とそれほど変わりません。

他の契約者（サイト）の影響も考えられますが、Quiccaは転送量制限が厳しいため、他に影響を与えるほどの負荷の高い（アクセスの多い）サイトがあるとも思えません。

Quiccaを除けばロリポップ！とZ.comが平均的な性能であり安定しています。

しかし、Z.comは独自ドメインを一つしか設定できません。そして、ロリポップ！のデータベース数は一つです。Webサイトを一つだけ運用するならどちらも問題ありませんが、複数のサイト運営には向きません。

一つの契約で幾つかのサイトを運営するなら、全体的にバランスの優れるミニバードがおすすめです。Quiccaでも可能ですが、複数サイトを運営するには転送量制限が厳しすぎます。

公式サイト

  Quicca / ミニバード / ロリポップ！ / Z.com

未加工データ

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト	環境	平均値 ミリ秒	中央値 ミリ秒	標準偏差 ミリ秒	エラー %
CPI		1.7	1.67	0.07	0
wpXレンタルサーバー	PHP7/CGI	1.82	1.83	0.22	0
エクスクラウド		1.94	1.95	0.07	0
Z.com	PHP7/CGI	2.02	2	0.14	0
バリューサーバー	PHP7	2.15	2.12	0.32	1
WADAX		2.16	2.17	0.08	0
MixHost	PHP7	2.17	2.13	0.24	0
JETBOY		2.18	2.15	0.3	0
wpXクラウド		2.24	2.25	0.28	0
エックスサーバー	PHP7/FastCGI	2.28	2.23	0.25	0
wpXレンタルサーバー	PHP5/CGI	2.4	2.41	0.27	0
Z.com	PHP5/CGI	2.41	2.39	0.15	0
Quicca		2.52	2.43	0.33	0
コアサーバー	PHP7	2.71	2.68	0.34	8
Hostinger		2.72	2.66	0.37	35
シックスコア	PHP7/FastCGI	2.73	2.7	0.3	0
エックスサーバー	PHP5/FastCGI	2.73	2.68	0.27	0
アルファメール		2.86	2.86	0.09	0
MixHost	PHP5	3.03	2.96	0.38	0
FUTOKA		3.1	3.15	0.31	0
ヘテムル	PHP7/Module	3.11	3.12	0.08	0
エックスドメイン	PHP＆MySQL	3.11	3.01	0.33	0
FC2レンタルサーバー		3.13	3.14	0.07	0
ドメインキング	PHP5/FastCGI	3.14	3.09	0.21	0
ラクサバ		3.14	2.9	0.63	0
WPblog		3.14	2.96	0.68	0
ヘテムル	PHP7/CGI	3.19	3.19	0.13	0
Zenlogic		3.2	3.18	0.11	0
コアサーバー	PHP5	3.51	3.47	0.39	8
シックスコア	PHP5/FastCGI	3.61	3.6	0.4	0
クローバー		3.64	3.6	0.29	0
エックスドメイン	WordPress	4.18	3.89	1.09	0
お名前.com	PHP7	4.22	4.07	0.47	0
スマイルサーバ		4.22	4.27	0.3	0
Sova WP		4.42	4.43	0.18	0
X2		4.5	4.47	0.58	0
ロリポップ！	PHP5/CGI	4.56	4.45	0.56	0
お名前.com	PHP5	4.96	4.86	0.45	0
ロリポップ！	PHP5/Module	5.12	4.96	0.8	0
フレンドサーバー	PHP7	5.16	4.24	2.23	0
ちゅらうみレンタルサーバー		5.18	4.69	1.24	0
COREPRESS Cloud		5.25	5.21	0.32	0
ファイアバード	PHP7	5.25	5.17	0.37	0
FC2 Lite		5.31	5.32	0.11	0
バリューサーバー	PHP5	5.31	5.23	0.56	0
ミニバード	PHP7	5.67	5.52	0.74	0
さくらインターネット		5.71	5.59	0.45	0
ファイアバード	PHP5	5.88	5.8	0.36	0
iCLUSTA+		6.05	5.92	0.58	0
フレンドサーバー	PHP5	6.45	5.15	2.64	0
ミニバード	PHP5	6.45	6.33	0.77	0
KAGOYA		6.52	6.49	0.76	0
Z.com WordPress	PHP5/FastCGI	6.64	6.67	0.33	0
Bizメール＆ウェブ エコノミー		6.9	6.91	0.13	0
ロリポップ！	ライト	7.41	6.93	2.16	0
Webcrow		8.3	7.31	3.55	0
XREA		14.4	9.34	14	61

注意

最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果（表のデータ）が異なる可能性があります。

測定結果について

レンタルサーバーは1つのサービス（プラン）に対して多くのサーバーが運用されています。測定結果はその中の1つに過ぎません。契約時期で割り当てられるサーバーのスペックは異なり、さらに、同じサーバーに収容される他契約者の負荷に大きく左右されます。