新サーバーでも安定したファイル転送性能!ヘテムルのFTP性能の評価

2016年11月、ヘテムル(heteml)のサーバーが刷新されました。モジュール版PHPに対応するなど、ソフトウェアの仕様が大幅に変更されており、旧サーバーとは完全に異なるものとなっています。 元々の性能が高いため、そこまで大幅な性能アップとはなっていないようですが、さらに安定した印象があります。

レンタルサーバーを選ぶときに、ファイル転送性能(FTP性能)を気にする人はほとんどいません。例えば、第三者が開発したプラグインやテーマを利用するだけのWordPress運用なら、FTPの使用頻度は高くありません。しかし、WordPressテーマ(デザイン)の開発やオリジナルサイトの運用なら、転送速度の遅さは作業効率を悪化させ、ストレスの原因にもなります。

用途や目的によって、ファイル転送性能も重要な検討項目です。レンタルサーバーを選ぶときの絶対的な条件ではありませんが、あらかじめ確認しておけば後悔することもないでしょう。

ここでは新サーバーのファイル転送性能について評価します。

ヘテムルの全てが分かる
ヘテムルのレビュー

ヘテムルのファイル転送機能に関する仕様

仕様  
FTP/FTPS/WebDAV ○ / アカウント数:50個
SFTP/SCP ○ / 契約時のアカウントのみ

ヘテムルは通常のFTPだけでなく、セキュアなFTPSにも対応しています。さらに、SFTP、SCP、WebDAVと、レンタルサーバーで採用されるほぼ全てのプロトコルに対応しています。

アカウントごとにログインフォルダを指定できます。例えば、WordPressをチームで管理する場合など、/wp-content/themes/ 以下のみアクセスを許可するアカウント発行が可能です。

メモ
契約者のホームディレクトリ(/home/users/○/hetemlID)にアクセスできるアカウントは、契約時に発行されたものだけです。

測定方法

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP)レスポンス性能の評価に利用しているサイト(ページ)を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB(約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)」の約2,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者数(訪問者数)が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

ヘテムルは東京と大阪のデータセンターで運用されているようですが、大阪のデータセンターが割り当てられたことはありません。おそらく、メインは東京(品川区)にあるデータセンターでしょう。ロリポップ!やバリューサーバーなど、GMO関連のサービスが収容されています。

Q. サーバー(データセンター)はどちらに設置されていますか?

A. 東京と大阪の大手データセンター内に収容させていただいております。また、24 時間 365 日、有人及びソフトウェアにてサーバーの監視を行っております。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(関西電力)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定環境
測定用サーバーは 測定専用 として、測定以外に利用していません。
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定 2,015回 2,015回
棄却検定除外 0.30% (6) 0.30% (6)
棄却検定閾値 2.51秒 1.67秒
エラー 0.05% (1) 0.05% (1)
3秒以上 0.05% (1) 0% (0)
中央値 1.55秒 1.20秒
平均値 1.62秒 1.21秒
ばらつき/標準偏差 0.19秒 0.10秒
測定結果について
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定Grubbs' test(α=0.001)により省いています。これはネットワークや測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しています。
エラー内容  
アップロード [1] Bad PASV/EPSV response: 425 [1]
ダウンロード [1] Bad PASV/EPSV response: 425 [1]

ヘテムルの評価

前回の結果と比較して、同じ測定方法にも関わらず少し劣る結果となりました。 とは言え、気にするほどの変化でもありません。

アクセスの多くなる夜間帯に転送速度が落ちるような、時間帯による変動傾向はないようです。 いつでも転送速度が安定しているため、ストレスを感じにくい特性です。

前回と同様に、他社と比較すると平均的な性能であり、上位クラスのサーバーには及びませんが、大きな不満が出ることはないでしょう。

相変わらず安定しており、使い勝手の良い転送性能です。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05
注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

未加工データ

  アップロード ダウンロード
3秒以上 0.05% (1) 0% (0)
中央値 1.55秒 1.21秒
平均値 1.62秒 1.21秒
ばらつき/標準偏差 0.22秒 0.10秒

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。測定結果はその中の1つに過ぎません。契約時期で割り当てられるサーバーのスペックは異なり、さらに、同じサーバーに収容される他契約者の負荷に大きく左右されます。

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