PHP7対応でトップクラスの処理速度を実現!Z.comのベンチマーク

Z.comのサービス開始間もない頃に、サーバーの処理性能を評価しました。当時はPHP7を採用するサービスが少なかったこともあり、PHP5での測定にとどまっています。今では多くのレンタルサーバーがPHP7を採用しつつあるため、PHP7を含めた再測定を実施しています。

レンタルサーバーを検討する際、大事なポイントはWebサイトの表示速度です。レスポンスが悪ければ訪問者にストレスを与え、検索順位にも悪影響です。もう一つはサーバーの処理性能であり、表示速度はもちろんのこと高負荷時(アクセス増加時)の安定性に大きく影響します。

Z.comレンタルサーバーの全てが分かる
Z.comレンタルサーバーのレビュー

測定方法

WordPressをインストールしたWebサイト(サーバー)を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
    • 1記事ごとの生成処理を含む
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp insert post、wp delete post

これらの処理を「5分間隔」で実行し、一連の処理時間を測定します。つまり、「PHPとデータベースの処理性能」を確認します。データセンター内(またはサーバー内)で完結する処理なので、外部ネットワーク環境の影響を受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

  PHP5/CGI PHP7/CGI
有効測定数 864 864
棄却検定除外 0%(0) 0%(0)
棄却検定閾値 3.05秒 2.63秒
エラー 0%(0) 0%(0)
中央値 2.39秒 2.00秒
平均値 2.41秒 2.02秒
ばらつき 0.15秒 0.14秒
変動係数 6.22% 6.93%
測定結果について
72時間(3日間) の測定結果です。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。
測定のタイミングによりサーバーの負荷状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定Grubbs' test(α=0.001)により省いています。
ばらつき(標準偏差)は、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。ばらつきが小さいほど処理性能が安定します。
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が近い場合、変動係数が小さいほど安定します。

Z.comの評価

前回はPHP5のみ測定しましたが、今回はPHP7を加えています。Z.comの仕様上、複数のバージョン(PHP)を同時に使用できないため、測定時期は少し異なります。

グラフ(測定結果)を見ると分かりますが、どちらもかなり安定しています。 アクセスが増え負荷の高くなる夜間帯でも実行速度が低下しません。 棄却検定による除外データが皆無であり、一時的にも大幅な性能低下がないことを示します。

前回も平均値だけなら上位クラスの結果でしたが、時間帯によるやや大きな変動がありました。今回は同じ測定にもかかわらず実行速度が改善され、さらにいつでも安定しています。前回の契約で割り当てられたサーバーがハズレであった可能性もありますが、サービス開始後1年で運用が安定した可能性もあります。

PHP7はPHP5と比較して実行速度が改善されており、この測定でも「約16%」の高速化となっています。 t検定による有意差(p<0.01)も確認でき、既存のサイトもPHP7に変更するだけでレスポンスが改善されるでしょう。 Z.comに限りませんが、互換性の問題がなければPHP7の使用をおすすめします。

これらの結果を見るとZ.comの共用レンタルサーバーは高性能であり、お手頃な利用料金と併せておすすめできるサービスの一つと言えるでしょう。

未加工データ
棄却検定による除外データがないため、(同じ結果となる)未加工データは掲載しません。

ロリポップ!、さくらインターネット、エックスサーバーとの比較

  Z.com
PHP7/CGI
ロリポップ!
PHP5/Module
さくらインターネット
PHP5/CGI
エックスサーバー
PHP7/FastCGI
有効測定数 864 864 864 864
棄却検定除外 0%(0) 0.35%(3) 0.93%(8) 1.27%(11)
棄却検定閾値 2.63秒 8.65秒 7.73秒 3.41秒
エラー 0%(0) 0%(0) 0%(0) 0%(0)
中央値 2.00秒 4.96秒 5.59秒 2.23秒
平均値 2.02秒 5.12秒 5.71秒 2.28秒
ばらつき 0.14秒 0.80秒 0.45秒 0.25秒
変動係数 6.93% 15.63% 7.88% 10.96%
測定結果について
記事作成時、ロリポップ!とさくらインターネットはPHP7に非対応です。

他のサービスと比較してみましょう。

比較対象は、レンタルサーバーの代名詞とも言える、ロリポップ!、さくらインターネット、エックスサーバーです。これらと比較すれば、Z.comがどの程度のクラスなのかが分かるでしょう。

ロリポップ!は2015年末にサーバー環境が刷新され、当時の測定結果は素晴らしいものでしたが、1年も経たないうちに劣化しました。おそらく、(当たり前ですが)利益を優先するためユーザーを詰め込み過ぎたのでしょう。下位プランほどその傾向が顕著で、Webサイトの表示速度もかなり低下しました。グラフでもかなりの変動を確認できます。

さくらインターネットではここ数年大規模な更新が実施されていません。処理性能は決して高くありませんが、いつ測定しても安定している印象です。今では特徴の少ないサービスですが、良くも悪くも標準的な性能となっています。誰が利用しても大きな不満が出ることはないでしょう。

比較して、Z.comとエックスサーバーが優れていることは一目で分かります。

エックスサーバーは他社と比較してハイスペックなサーバーを採用しています。 対してZ.comはそれほど高性能ではありません(決して低くもありませんが)。 それではなぜ逆転しているのでしょう?

あくまでも推測ですが、Z.comはエックスサーバーよりユーザー収容数が少ない印象です。 サービス開始から1年経過しましたが、それほど契約者が多い印象はありません。国内向けサービスでは海外リージョンを廃止し、Cloudサービスを分離するなど、1年も経たずに仕様を変更しています。公式サイトもかなり簡素化され、個人向けサービスには注力していないのかもしれません。

しかし、これだけの性能がありながら、Webサイトのレスポンス速度は以前と比較して大幅に低下しています。ロリポップも同様の傾向にあることから、GMO系サービス全体も問題のような気もします。汎用的なレンタルサーバーよりVPSやCloudを優先させているのでしょうか?

各サービスの公式サイト
  Z.com / ロリポップ! / さくらインターネット / エックスサーバー

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461
注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。測定結果はその中の1つに過ぎません。契約時期で割り当てられるサーバーのスペックは異なり、さらに、同じサーバーに収容される他契約者の負荷に大きく左右されます。

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