300円以下の安いけど「ちゃんと使える」レンタルサーバーの比較とまとめ

ここ数年でレンタルサーバーの基本料金は非常に安くなっており、一昔前よりはるかに性能が向上しています。確かに「安かろう悪かろう」のサービスも未だに存在しますが、ここで紹介するサービスは「cheap」ではなく「inexpensive」なサービスであり、実際に利用して問題がないことを確認しています。例えばWordPressによるブログを1つだけ運営したいのであれば、100円前後のサービスでも十分でしょう。

しかし、安いサービスにはそれなりの理由があることを忘れないでください。例えば、「データベース対応数が少ない」「転送量制限が厳しい」など、複数のウェブサイトを運営するには明らかに性能(仕様)不足です。つまりアフィリエイトサイトなど、アクセス数を必要とする用途であれば、これから紹介するサービスはおそらく力不足でしょう。そのような用途であれば、最低でも月額1,000円程度のサービスを検討することをおすすめします。

色々と比較しますがディスク容量には触れません。なぜなら、安いサービスは転送量制限が厳しいため、ディスク容量が多くても意味がない(扱いきれない)からです。高解像度の画像や動画などを保存しない限り、10GBもあればディスク容量が不足することはありません。

100円前後のレンタルサーバー

公式サイト プラン 標準月額 初期費用 試用期間 PHP ディスク容量 GBドメイン 個MySQL Cron 個転送量 GB/日
Pプラン100 円934 円
5.3.3 / 5.3.29 / 5.6.15 / 7.0 / 7.1
20 GB 10 個 1 個
エコノミー100 円1,500 円10 日
5.5 / 5.6
10 GB 20 個 1 個 40 GB/日
エントリー126 円926 円10 日
5.3.29
10 GB 10 個 1 GB/日
ライト129 円1,029 円14 日
7.1.0 / 5.6.27 / 5.4.45 / 5.3.29 / 5.2.17 / 4.4.9
10 GB 20 個 40 GB/日

100円前後のサービスは、各レンタルサーバーの最廉価プランとなります。詳細は当サイトのレビューをご覧ください。

WordPress対応で選ぶなら

今時WordPressを利用できないレンタルサーバーは、真っ先に選択肢から外れてしまいます。紹介するサービスは各レンタルサーバーの最廉価プランとなり、上位プランとの大きな差は「データベースの有無や対応数」です。

この中でWordPressを導入できるのは、データベース(MySQL)に対応する「ドメインキング」「Webcrow」「バリューサーバー」となります。しかし、利用できるデータベースは 1個 であり、複数のWordPressサイトを運営するには向きません。もちろん、ひとつのデータベースに複数のWordPressをインストールすることは普通に可能ですが、パフォーマンスの問題や管理の煩雑性を考えるとおすすめできません。

それでも安いレンタルサーバーを利用するなら、それなりの割り切りや工夫が必要です。それぞれマルチドメインに対応しているため、デメリットを承知の上で複数のWordPressサイトを導入してもよいでしょう。

WordPressのレスポンスで選ぶなら

  Webcrow ドメインキング バリューサーバー
有効測定 4,030回 4,027回 4,032回
エラー 0% (0) 0.12% (5) 0% (0)
中央値 0.73秒 0.53秒 0.94秒
平均値 0.71秒 0.58秒 1.02秒
ばらつき/標準偏差 0.30秒 0.16秒 0.26秒
測定内容について
詳細な測定方法や測定結果については、各リンク先をご覧ください。

各レンタルサーバーにWordPressを導入して、同一コンテンツのウェブページのレスポンスを7日間(約4,000回)測定した結果です。

ドメインキングのレスポンス性能が最も優秀です。レスポンス性能だけなら他社の上位プランにも劣りません。次点はWebcrowとなります。バリューサーバーがやや遅い印象ですが、あくまでも「この中では」となります。どのサービスも十分なレスポンス性能を備えており、少しでもレスポンスを優先するなら「ドメインキング」か「バリューサーバー」となります。

ここでは紹介しませんが、PHPやMySQLを利用しない静的ページ(HTML+JS+CSS)のレスポンス性能は、どのサービスを選択しても問題ありません。PHPのみ(データベースなし)のウェブページも同様です。

転送量で選ぶなら

安いレンタルサーバーの大きなデメリットは「 転送量の上限が低い 」ことでしょう。例えばQuiccaはわずか1GB/日(31GB/月)となり、1MBのウェブページであれば、約1,000PV/日(1MB×1,000=1GB)が上限となります。ブラウザのキャッシュ機能を考慮すればこれ以上のアクセスに耐えますが、これを十分と判断するかは運用するウェブサイトの規模によるでしょう。

それでも1,000PV/日ともなればかなりアクセス数の多いサイトです。とりあえずこれらの安いサービスを利用して、転送量の上限に達するようになれば他のサービスへ引っ越してもよいでしょう。引っ越し作業が必要となりますが、そのころにはレンタルサーバーやウェブサイトの編集や操作にも慣れているはずです。

これらの中では、ロリポップ!(40GB/日)とさくらインターネット(40GB/日)が圧倒的に優れていますが、残念ながらデータベース非対応であり、WordPressを導入できません。ドメインキングは「転送量無制限」となっていますが、「アクセス過多でサーバーが高負荷になれば制限」という条件があり、実際にどの程度まで許容されるかは不明です。非常に高額なレンタルサーバーでさえ転送量制限はあるため、安いサービスの「無制限」は余り当てにしないほうがよいでしょう。それでも他の上限の低いサービスより、問題が少ないことは確かです。

Quiccaは他と異なり、転送量の上限を越えた途端にウェブサイトへのアクセスが不可(ペナルティ)となります。他のサービスであれば、仕様の数値より余裕があったり、上限を超えても転送性能が抑制される程度です。ペナルティが解除されるのは翌月となり、それまでは転送量増加の有料オプションを利用しなければ何もできません。

100円前後のおすすめレンタルサーバーは?

正直なところ「帯に短し襷に長し」です。

転送量で選ぶなら「ロリポップ!」か「さくらインターネット」ですが、WordPress非対応です。もし、WordPressのようなCMSを使わないのであればおすすめです。例えば、ジャストシステムのホームページビルダーのようなウェブサイト作成アプリケーションによるサイト運営であれば、データベースは不要です。

レスポンス性能が高く、機能も充実している「ドメインキング」をおすすめしたいところですが、PLESKと呼ばれるコントロールパネルの操作性が非常によくありません。おそらく初心者には手に負えないでしょう。レンタルサーバーの利用経験があっても、マニュアルの確認は必須です。

バリューサーバーは良くも悪くも特徴がありませんが、マルチドメイン対応数が少ないことを検討する必要があります。運営するウェブサイトが3つに収まるのであれば悪くない選択です。

「少しでも安くしたい」という目的なら「Webcrow」をおすすめします。Webcrowは基本的に無料のサービスですが、運営費目的の広告が表示されます。とりあえずWebcrowを無料(広告あり)のまま利用しつつ、問題がないようであれば有料プラン(広告なし)へ移行するとよいでしょう。もちろん広告表示が気にならないなら、そのまま使い続けることもできます。

公式サイト
  ドメインキング / ロリポップ! / Quicca / Webcrow / さくらインターネット / バリューサーバー

もう少し予算があるなら(長期契約で300円以下のサービス)

公式サイト プラン 標準月額 初期費用 試用期間 PHP ディスク容量 GBドメイン 個MySQL Cron 個転送量 GB/日
ライト300 円1,500 円10 日
5.5 / 5.6
50 GB 50 個 1 個 5 個 60 GB/日
ライト322 円926 円10 日
5.3.29
10 GB 50 個 5 個 1 GB/日
CORE-MINI381 円477 円7 日
5.3.x / 5.4.45 / 5.5.38 / 5.6.28 / 7.0.13 / 7.1.0
60 GB 50 個 10 個 10 個 3 GB/日
プラス381 円0 円7 日
7.1.0 / 7.0.17 / 5.6.28 / 5.5.38 / 5.4.45 / 5.3.29
10 GB 20 個 5 個 3 GB/日
エコ400 円1,000 円10 日
5.4.45 / 5.5.38 / 5.6.30 / 7.0.18 / 7.1.4
50 GB 25 個 1 個 10 個 5 GB/日

ここでは長期契約で300円以下(正確には250円)となるレンタルサーバーを紹介します。先ほど紹介した100円前後のサービスの上位プランも含まれます。

コアサーバーやバリューサーバーは年間契約なら約半額となるため、安いレンタルサーバーを探しているなら検討対象になるでしょう。この価格帯になるとグッと選択肢が増えるため、そこまでアクセス数の多くないウェブサイトであれば必要十分な性能を備えたサーバーを選択できるようになります。

各レンタルサーバーの詳細は当サイトのレビューをご覧ください。

WordPress対応で選ぶなら

この価格帯になると全てのサービスでデータベース対応となり、WordPressを問題なく導入することができます。どのサービスもWordPressの自動インストール機能に対応しているため、初心者でも安心です。

しかし、安いなりにデータベース対応数には差があります。データベース数で選ぶならコアサーバー(10個)となります。次点で、XREA、Quicca、ミニバード(5個)となります。ロリポップ!とバリューサーバーは1個だけであり、複数のWordPressを導入するには少し気を遣います。

WordPressのレスポンスで選ぶなら

  XREA ロリポップ! Quicca バリューサーバー ミニバード コアサーバー
有効測定 3,995回 4,022回 4,032回 4,032回 4,032回 4,029回
エラー 0.93% (37) 0.25% (10) 0% (0) 0% (0) 00% (0) 0.07% (3)
中央値 1.70秒 0.86秒 0.92秒 0.94秒 0.68秒 1.33秒
平均値 2.09秒 0.89秒 1.02秒 1.02秒 0.78秒 1.35秒
ばらつき/標準偏差 1.07秒 0.11秒 0.30秒 0.26秒 0.31秒 0.32秒
測定内容について
詳細な測定方法や測定結果については、各リンク先をご覧ください。

XREAは基本プラン(無料)で利用するなら(気分的に)問題ありませんが、レスポンスが非常に不安定であり有料プランは論外となります。

ミニバードとロリポップ!のレスポンスが優秀であり、レスポンス重視ならこれらのサービスを検討するとよいでしょう。コアサーバーが若干遅いように思えますが、他のレンタルサーバーを含めても平均的な数値であり問題はありません。

XREA以外であれば、どのサービスを選択しても大きな問題はありません。

100円台後半から300円以下のおすすめレンタルサーバーは?

Quiccaは上位プランになってもcron非対応であったり、転送量制限の問題を抱えているためおすすめしません。ウェブサイトのレスポンスが優秀なだけに少し残念な仕様です。

XREAはレスポンス性能と安定性に難があります。標準プラン(無料プラン)なら問題のない範囲ですが、あえて有料プランを選択するほどではありません。気になるなら無料プランを利用してみるとよいでしょう。

ロリポップ!とバリューサーバーは データベースがひとつだけ しか利用できない点が他に劣ります。どちらもレスポンス性能や安定性には問題がないため悩ましいところです。バリューサーバーの場合、マルチドメイン数を気にしないのであれば、下位プラン(まるっとプラン)でもあまり変わりません。

残るはミニバードとコアサーバーになります。ウェブサイトのレスポンス性能は圧倒的にミニバードが優れていますが、コアサーバーも平均的な性能であり問題はありません。少しでもレスポンス性能を重視するならミニバードとなります。データベースやcronの設定数はコアサーバーが上回り、機能を優先するならコアサーバーとなります。

より安価で幾つものサイトを運営するならコアサーバーがおすすめです。そして、レスポンス性能や安定性能を重視するなら、転送量の上限が高いミニバードをおすすめします。

公式サイト
  XREA / ロリポップ! / Quicca / バリューサーバー / ミニバード / コアサーバー

安いサービスは他にもたくさんあります

当サイトで紹介予定のあるサービスです。

当サイトで紹介予定のないサービス

以下のサービスも基本料金の安いレンタルサーバーですが、公式サイトに「更新情報がない」または「1年以上更新されていない」サービスなので、自己責任でご利用ください。当サイトでは基本的に更新情報を提供していないサービスを取り上げません。


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