あまりにも有名な内容なのでまとめる必要もありませんが、せっかく「罠」に引っかかってみたので、役に立ちそうな情報をまとめることにしました。
他の記事でも何度か説明していますが、お名前.comの「Whois情報公開代行サービス」(以下、Whois代行) は有料サービスです。通常であれば「980円/年」の追加費用が発生します。とは言え、新規登録と同時にWhois代行を設定すれば「無料」となるキャンペーン?を何年も継続しており、実質的には無料です。
実はここに問題があります。契約手続きの 初期設定が無効 となっているため、意味が分からずそのまま契約する利用者 (特に初心者) が多いのです。初めてドメインを登録 (契約) する人なら「Whois代行って何?」と思いながらも、無効のまま契約してしまうでしょう。
運が良い人ならすぐに自分の情報が公開されていることに気付くでしょう。トラブルが起こらなければ、何年も気付かない人も普通にいます。下記のお名前.comが用意しているWhois検索で自分のドメインを調べてみましょう。もしかしたらあなたの情報が公開されているかもしれません。
公開されて困ることは、サイトのドメインからあなたの「名前、住所、電話番号、メールアドレス」が簡単に確認できると言うことです。最近では、個人的な情報を公開しつつサイトを運営している人もいますが、匿名での運営が圧倒的に多いでしょう。つまり、サイトの内容とあなたが紐付いてしまい、トラブルに繋がる可能性があります。
お名前.com レンタルサーバーでも同時に申し込めば「ドメイン登録料金が無料」というサービスを行っています。契約した後に「そういえば、Whois代行について何も書いていなかった」と気付いたときは「時すでに遅し」です。なんとなく警戒していたので「嘘ではないけど知られても困らない」情報を登録していたので問題はありませんが。
Whois代行に非対応であることは「ヘルプにだけ」存在し、契約段階では何一つ説明がありません。法的に問題がないからそのような仕様になっているのでしょう。
さて、お名前.com レンタルサーバーで取得した個人情報ダダ漏れのドメインですが、幾つかの対応 (にならないかもしれない) 方法を紹介します。お名前.comでうっかり登録したドメインでも同じなので役に立つでしょう。
お名前.comにはドメインの「期限前廃止」という仕組みがあります。ムームードメインなど、他社ではあまり対応していないようです。おそらくリセラーとレジストラの違いでしょう。ドメインを手放すことになりますが、これを利用すればWhois情報からあなたの個人情報が削除されます。
これで解決かと言えば、そう上手くありません。
面倒な手続き
「ドメイン廃止申込書」とともにドメイン登録者であることを証明する「公的証明書」を 郵送 する必要があります。
手続きが完了するまでの期間
申し込みから手続きが完了するまで 1〜2ヶ月 必要です。
この方法だと 最長2ヶ月間 は個人情報が公開され続けます。
これはレンタルサーバーと一緒に登録したドメインの話です。
非常に紛らわしいのですが、お名前.comのドメインサービス (以下ドメインサービス) とレンタルサーバーサービス (以下レンタルサーバー) は別物です。
レンタルサーバーで取得したドメインは、ドメインサービスではなくレンタルサーバーで管理されます。そのため、ドメインサービスの機能を使うことはできず、Whois代行にも非対応となります。
レンタルサーバーには「ドメインを解放する」という手続きがあり、それを利用すればドメイン管理をドメインサービスに移すことができます。レンタルサーバーの有効期間が残っていても可能であり、 手数料は不要 です。サポートに問い合わせればすぐに対応していただけるでしょう。
ここでまた問題が発生します。確かにドメインサービスに移すことはできますが、公開される情報が増えます。
レンタルサーバーでは「氏名、住所、電話番号」が公開されていましたがが、ドメインサービスに移ると「メールアドレス」が追加されます。レンタルサーバーの契約時に登録した情報がほぼ公開されることになりました。
お名前.comでドメインを登録するときに「Whois代行サービス」を有効にしていなかった人も同じ状況でしょう。
よく分からないサービスですがお名前.comではドメインの有効期間が残300日未満となれば、 無料 でWhosi代行サービスを利用できます。
国内外のレジストラで同じような対応をしているところはないため (普通は標準サービス)、この「300日」という設定の意味はよく分かりません。ドメイン運用に関するルールに従っている訳でもなさそうです。
すぐにドメインを解約してレジストリ (ドメイン管理機関) からWhois情報を削除すれば解決しそうですが、申し込みから1〜2ヶ月必要です。つまり、Whois代行が無料となる300日未満と大して変わりません。
さらに、他社へ移管するにも「登録後60日以降」というルールがあります。つまり、約2ヶ月間は何もできません。
おそらく300日と設定している理由は、「期限前廃止に要する期間」や「移管の制限」に併せているのでしょう。どちらに併せているのかはわかりませんが・・・。
無料でWhois代行を利用するなら2ヶ月待ち、すぐに廃止しても (最長) 2ヶ月待ち、それまでは個人情報は公開され続けます。我慢できずに有料サービスを契約してしまうのではないでしょうか。
「2ヶ月我慢すれば解決」かと思えば、まだまだ終わりません。もしかして翌年以降のWhois代行サービスも無料と思っていませんか?無料になるのは「300日間」だけです。翌年からはサービス料金 (980円/年) がしっかりと必要になります。
完全に無料となるのは、ドメインの新規登録と同時に「Whois情報代理公開サービス」を設定した場合のみです。
他社へドメインを移管するのも1つの方法です。ムームードメイン、バリュードメイン、スタードメインなどはWhois代行に無料で対応しています。おそらく標準サービスとしてるレジストラがほとんどでしょう。お名前.comの対応が少し特殊です。
ただし、他社へ移管するには移管費用が必要となります。移管費用は標準的な登録費用と同額であり、移管日から1年間ドメインの有効期限が延びます。単純に更新したのと変わりませんが、有効期間の残日数に対する返金はありません。
移管に対する主な条件は以下の通りです。
最も問題となるのは「登録後60日以上経過」でしょう。つまり、Whois代行に無料対応してるレジストラが見つかっても、約2ヶ月は移管できません。
残念ながらWhois代行を有料契約しない限り、 約2ヶ月間 は個人情報の公開を止める手段がありません。
個人情報が公開され続けるのに抵抗があれば、すぐにWhois代行サービスを有料契約しましょう。サービス契約後、ドメインを継続利用するのであれば期限切れ前に (余裕を持って) 他サービスに移管してましょう。そのドメインが不要であれば、自動契約更新機能を無効にしておくことで1年後に自動的に契約解除されます。複数年契約している場合は、移管するしかありません。
それでも無駄なお金を支払う気がないのであれば、Whois情報の書き換えでしのぐことも可能です。氏名だけは編集できませんが、住所など他の情報は変更できます。
とりあえず、個人を特定する情報は隠すことができます。珍しい氏名でなければ「同姓同名はいくらでもいるから気にしない」程度の気持ちは必要でしょう。
下記の情報を修正します。括弧内はWhoisでのカテゴリです。
主に「登録者情報 (Registrant)」を修正します。残りの3つはお名前.com (GMO) の情報が登録されていますが、メールアドレスのみあなたの情報になっているかもしれません。その場合、メールアドレスのみ変更します。
メールアドレスは本人確認の「認証メール」が届くため有効なものが必要です。利用する予定のない、いつでも破棄できるメールアドレスを用意してください。
この手続きで公開されている情報を差し替えることができます。2ヶ月後に無料サービスを利用するなり、怒りが収まらない (?) なら他社へ移管すればよいでしょう。Whois代行サービスを設定しても、翌年からは利用料金が発生するため、そのうち移管することになります。
思い入れのないドメインであれば、1年間だけテスト的な用途に利用して解約しても良いと思います。あまり高くない勉強代と思えば腹も立ちます (怒)。
お名前.comのドメインサービスにおけるWhois代行の仕組みは知っていましたが、レンタルサーバーは「さらにひどい」ということが分かりました。ある程度は用心していましたが「あぁ、やっぱり同じなのか・・・」という残念な気分です。
色々と書いていますが、お名前.comのサービス自体は至って普通です。サポートについては、他よりしっかりしているのではないでしょうか? 担当者にもよりますが、機械的な対応ではなく、割と丁寧な対応をしていただけます。
サービスどうこうより、悪質にも思えるこの仕様が罷り通るほど GMO は大企業となったということでしょう。ほとんどの利用者は自分の情報が公開されていることに気づきもしないか、余計な費用を支払っているのかもしれませんね。