お名前.com レンタルサーバーはどうしてレスポンスが悪いのだろう?

この記事の内容は古いため現状と異なる可能性があります。新しい記事も参考にしてください。

お名前.comと言えばドメインサービスが有名ですが、レンタルサーバーやVPSなどのサービスも提供しています。お名前.comレンタルサーバーは非常にオーソドックスなサービスであり、どの様な用途でも機能的な不満がでることはないでしょう。ここでは、共用レンタルサーバーであるSDプランのサーバー性能について評価しています。

すでにウェブサイトのレスポンス性能を調査しており、お世辞にも良いとは言えない結果となっています。詳しくは下記のレスポンス測定記事をご覧ください。

機能的には問題のないサービスですが、レスポンスは海外レンタルサーバー並みの遅さであり、積極的におすすめできるサービスではありません。

ウェブサイトのレスポンスの悪さはサーバー性能に起因している可能性があります。もし、サーバーの処理性能に問題がなければ、ネットワーク環境 (通信速度) に問題があることになります。

大手のサービスですが、レスポンスが悪く、さらにサーバー性能も悪ければ検討する意味すらありません。サーバーの処理性能はレスポンス性能や安定性能に大きく影響するため、レンタルサーバー選びでは重要な要素です。

この記事では、ネットワーク環境の影響を受けないサーバーのみの性能を確認します。お名前.comレンタルサーバーの詳細な仕様については、当サイトのレビューをご覧ください。

測定方法

WordPressをインストールしたサイト (サーバー) を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事 (の自動生成) 」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp insert post、wp delete post

これらの処理を 5分間隔 で実行し、処理時間を測定します。つまり、 PHPとデータベースの処理性能 を確認します。データセンター内で完結する処理ですので、ネットワーク環境 (速度) の影響は受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

From 4,420 to 4,500Use up and down arrows to move selectionTo 4,500Use up and down arrows to move upper selectionFrom 4,420Use up and down arrows to move lower selectionUse TAB select grip buttons or up and down arrows to change selectionFrom 00:00 to 00:00Use left and right arrows to move selectionFrom 00:00Use left and right arrows to move left selectionTo 00:00Use left and right arrows to move right selectionUse TAB to select grip buttons or left and right arrows to change selectionRawGrubbs' test100%Chart created using amCharts library
結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw (未加工) 864回 - - 0%
(0回)
4.46秒 4.46秒 0.06秒
棄却検定 0.12%
(1回)
4.66秒 4.46秒 4.46秒 0.04秒
測定結果
72時間 (3日間) の測定結果です。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。
棄却検定
測定のタイミングによりサーバーの負荷状態 (混雑具合) が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いたデータも掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど処理性能が安定しているといえます。

お名前.com レンタルサーバーの評価

正直なところウェブサイトのレスポンスが悪かったため、サーバーの処理性能にも期待はしていませんでした。しかし悪い期待は裏切られ、測定結果は非常に良好です。

特別に処理性能が高いわけではありませんが、非常に安定していることは分かります。ばらつきの小ささは他サービスを含めトップクラスの結果となっており、毎回の処理速度 (処理時間) にほとんど差がないことを示しています。他のレンタルサーバーに見られる、時間帯による変動はまったくありません。

この結果だけを見ると、非常に優秀なサーバーであることが分かります。

レスポンスが悪いのはなぜ?

これだけの性能がありながら、なぜウェブサイトのレスポンスは悪いのでしょう?

レスポンスの評価記事にありますが、お名前.comレンタルサーバーの評価は「安定して遅い」です。しかし、サーバーの性能は安定しており、変動の少なさから処理性能に余裕があることもわかります。

レスポンスの悪さの理由として、ネットワーク帯域 (通信速度) をかなり絞っていることが考えられます。つまり、ユーザーの不満が出ない程度まで、レスポンス性能を調整していると推測できます。これだけサーバーの処理性能が高ければ、もう少しウェブサイトのレスポンスが速くてもよいはずです。

処理性能は安定して余裕もありそうですが、ウェブサイトのレスポンス性能は他レンタルサーバーと比較して問題外と言えるほどの遅さです。せめて他社並みの性能であればオススメできそうですが、さすがに料金に見合わない性能です。

お名前.comレンタルサーバーの月額料金は決して安くありません。同価格帯であれば多くのレンタルサーバーが選択候補となります。あえてこのレンタルサーバーを選択する理由はないように思えます。

例えば法人向けレンタルサーバーの場合、1つのサイトに負荷が集中しないように、細かなリソース調整が行われています。そして、調整されていても必要十分なレスポンス性能を維持しています。しかし、お名前.comの場合、レスポンスの遅さは完全に許容範囲外であり、下手をすれば海外のサーバーにすら劣ります。他サービスは安定性を確保するための調整ですが、お名前.comは多くのユーザーを詰め込むための調整に思えます (あくまでも推測ですが)。

エックスサーバー、ヘテムルとの比較

From 3,000 to 5,000Use up and down arrows to move selectionTo 5,000Use up and down arrows to move upper selectionFrom 3,000Use up and down arrows to move lower selectionUse TAB select grip buttons or up and down arrows to change selectionFrom 00:00 to 00:00Use left and right arrows to move selectionFrom 00:00Use left and right arrows to move left selectionTo 00:00Use left and right arrows to move right selectionUse TAB to select grip buttons or left and right arrows to change selectionお名前.comヘテムルエックスサーバー100%Chart created using amCharts library
  お名前.com ヘテムル エックスサーバー
有効測定数 864 864 864
除外 (回) 0.12%(1) 1.62%(14) 0.23%(2)
閾値 4.66秒 5.25秒 6.46秒
エラー (回) 0%(0) 0%(0) 0%(0)
中央値 4.46秒 3.69秒 3.91秒
平均値 4.46秒 3.74秒 4.00秒
ばらつき 0.04秒 0.35秒 0.63秒

同価格帯のサービスであるヘテムル (heteml)、エックスサーバー (XServer) と比較してみましょう。

ばらつきの小ささで分かりますが、処理性能の安定度は最も優秀であり、当サイトで測定した中でもトップクラスの性能です。処理速度 (処理時間) に大きな差はなく、ヘテムルやエックスサーバーと比較しても遜色のない性能です。また、これだけ変動が少ないことから、処理性能に余裕があることを推測できます。

しかし、ウェブサイトのレスポンス性能には 数倍以上の差 があります。もちろん、ヘテムルやエックスサーバーが圧倒的に優秀です。

From 0 to 6,000Use up and down arrows to move selectionTo 6,000Use up and down arrows to move upper selectionFrom 0Use up and down arrows to move lower selectionUse TAB select grip buttons or up and down arrows to change selectionFrom Day1 22:00 to Day8 19:00Use left and right arrows to move selectionFrom Day1 22:00Use left and right arrows to move left selectionTo Day8 19:00Use left and right arrows to move right selectionUse TAB to select grip buttons or left and right arrows to change selectionお名前.comヘテムルエックスサーバー100%Chart created using amCharts library

これはウェブサイト (WordPress) のレスポンスを測定したものです。サーバーの処理性能に大きな差がないにも関わらず、実際のレスポンス性能にはこれだけの差が生じています。この調整が改善されない限り、お名前.comレンタルサーバーを選択する理由はないような気がします。お名前.comしか利用していないユーザーであれば、おそらく「こんなものか」と気付かないかもしれません。

もし、お試し期間があるなら気軽に「試してみてはいかがでしょうか」と言えますが、お試し期間はなく最低利用期間は3ヶ月であり、試すにもそれなりの出費が必要です。「現状では」という条件は付きますが、あまりおすすめできるサービスではありません。

比較対象レビュー
【レビュー】ヘテムル
【レビュー】エックスサーバー

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461

hostingstock.netで測定した他レンタルサーバーとの比較です。

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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