WADAXのサーバー性能を他のレンタルサーバーと比較・評価する

WADAX (ワダックス) はGMOが運営するやや法人向け色の強いレンタルサーバーです。「やや」としたのは、完全に法人向けではなく個人でも問題なく契約できるからです。お試し期間がないなど、他のレンタルサーバーと比較して少し敷居が高いように感じますが、安定性や信頼性を必要とする法人や個人事業主にもお勧めのサービスです。

レンタルサーバーとしては高価格帯のサービスですが、転送量制限は無制限であり、PostgreSQLに対応するなど、特徴の多いレンタルサーバーです。さらに、トップページに「NO!と言わないWADAXのサポート」や「お客様満足度99%」と表示しているだけあり、他のレンタルサーバーと比較してサポート対応に力を入れていることが分かります。この価格帯で、電話対応がフリーダイヤル (携帯電話対応) であったり、365日対応 (無料) なのは安心感があります。

レンタルサーバーは安いものから高いものまで、様々なサービスがあります。そして、利用料金が安いレンタルサーバーであっても機能が豊富で、高いサービスと仕様や機能に差がないものが多くあります。

一概には言えませんが、利用料金の差は 処理性能安定性能 にあります。処理性能が高いほどレスポンスが良くなり、訪問者にとって快適なサイトとなります。全体的なレスポンスが良くなり、契約者 (サーバー管理者) にとってもサーバーを快適に操作できるというメリットになります。さらに、レスポンスの優れたサイトほどGoogleの評価が高くなるなど、サーバー性能はレンタルサーバーを選択する際に重要な要素となります。

それでは、WADAX (ワダックス) のサーバー性能について評価し、他のレンタルサーバーと比較してみましょう。

測定方法

WordPressを設置したサイト(サーバー)を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事 (の自動生成) 」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp insert post、wp delete post

これらの処理を 5分間隔 で実行し、処理時間を測定します。つまり、 PHPとデータベースの処理性能 を確認することになります。データセンター内で完結する処理なので、ネットワーク環境 (速度) の影響は受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありませんが、共用サーバーなので連続処理とならないように、1件毎にwait処理を差し込んでいます。

測定結果

測定結果について
72時間 (3日間) の測定結果となります。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。
有効測定数はエラーを省いた回数を示します。測定実行のタイミングによりサーバーの状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定Grubbs’ test (α=0.001) により省いています。
結果 有効測定数 除外数 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw (未加工) 864回 - 0%
(0回)
2.17秒 2.16秒 0.08秒
Grubbs' test 0%
(0)

WADAXの評価

さすが法人向けを謳うだけあり文句のない性能です。棄却検定で該当する異常値は一つもなく、ばらつきも非常に小さいです。WADAXの結果だけをみてもピンと来ないかもしれませんが、後述する他レンタルサーバーとの比較をみれば、非常に優れていることが分かるでしょう。

特にコメントの必要がないほどの優秀な結果ですが、これだけの処理性能 (スペック) がありながら、Webサイトのレスポンス性能が凡庸であることに違和感を覚えます。レスポンス性能の測定結果については、関連記事をご覧ください。

レスポンス性能についてこれらの測定結果を考慮すると、以下のことが推測されます。

  • 契約者全てのWebサイトを安定稼働させるため、あえてレスポンスを調整 (制限) している。
  • データセンターのネットワーク性能に問題がある。
    • しかし、NTT SmartConnectのデータセンターなので、ネットワークが弱いとは思えません。

一番妥当な理由は前者でしょう。法人向けのレンタルサーバーであれば、常に安定した性能を維持する必要があります。そのため、サーバーが高負荷とならないように安定性重視の仕様となっている可能性があります。

ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、処理の約68% が 平均値 ± ばらつき に、約95% が 平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど処理性能が安定しているといえます。

ロリポップ!、さくらインターネット、エックスサーバーとの比較

  WADAX ロリポップ! さくらインターネット エックスサーバー
有効測定数 864 858 864 864
除外数(回) 0%(0) 0.58%(5) 0.35%(3) 0.23%(2)
エラー(回) 0%(0) 0% (0) 0% (0) 0% (0)
中央値 (秒) 2.17 3.86 4.99 3.91
平均値 (秒) 2.16 3.87 5.12 4.00
ばらつき (秒) 0.08 0.17 0.56 0.63

WADAXはやや高額なレンタルサーバーなので、これらと比較しても意味がないかもしれません。しかし、比較してみればよりWADAXのサーバー性能の優秀さが際立ちます。

他のレンタルサーバーは基本的な処理性能が劣っていたり、時間帯によるばらつきがありますが、WADAXは非常にフラットな結果となっています。つまり、処理性能も高く、常に余裕のある状態で稼働していることが分かります。

お試し期間がないため利用しにくい感じがありますが、もし商用目的などの安定稼働を必要とするWebサイトを運営する目的があれば試してみる価値があります。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461

hostingstock.netで測定した他レンタルサーバーとの比較です。

Grubbs' test
測定実行のタイミングによりサーバーの状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定Grubbs’ testにより省いています。

関連記事

BLOG

UPDATE