コストパフォーマンス抜群のレスポンス性能!エックスサーバーの評価と比較

エックスサーバー(XSERVER)はエックスサーバー社(同名)が運営する人気の高いレンタルサーバーです。同社の最上位サービスであるシックスコアと同等のハイスペックサーバーを採用していることも特徴であり、機能の豊富さからも非常に満足度の高いサービスとなっています。

レンタルサーバーを選択する際、最も大切なポイントは「ウェブサイトのレスポンス性能」です。いくら豊富な機能に対応していても、運営するサイトのレスポンスが悪ければ意味がありません。訪問者を自分に置き換えて考えれば、なかなか開かないページにイライラすることは想像に難くないでしょう。さらにレスポンスの悪さは検索エンジンの評価に悪影響を与えます。

ここではエックスサーバーで稼働しているウェブサイトのレスポンス性能を評価し、他のレンタルサーバーとの比較を行います。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、ウェブページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なウェブページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

測定期間

測定期間は 7日間 です。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者数(訪問者数)が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

エックスサーバーは同社の他サービスと同様に、さくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。ネットオウルのレンタルサーバーやSova WPでも採用されており、高性能かつ安定性のある高品質なデータセンターです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(インターネットプロバイダ)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

ネットワーク環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定 4,029回 4,026回
棄却検定除外 0.60% (24) 0.35% (14)
棄却検定閾値 1.12秒 0.75秒
エラー 0.07% (3) 0.15% (6)
3秒以上 0% (0) 0.02% (1)
中央値 0.55秒 0.26秒
平均値 0.49秒 0.30秒
ばらつき/標準偏差 0.15秒 0.09秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
生データ(未加工データ)の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき(標準偏差)は、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。
エラー内容  
動的ページ [3] Connection timed out [3]
静的ページ [6] Connection timed out [6]

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

エックスサーバーの評価

文句なしの性能ですね。棄却検定による除外数が少なく、レスポンスが安定していることが分かります。未加工データとの差がほとんどなく、一時的にも不安定になることがありません。

静的ページの結果がトップクラスであり、とにかく基本性能が高いことが分かります。つまり、サーバー性能だけでなく、データセンター自体のネットワーク環境(バックボーン)も優秀であることが分かります。やはりさくらインターネットのデータセンターは相当に高品質です。

少しエラーが発生していますが、同じ日の同じ時間帯に集中しています。公式サイトの障害情報を確認すると、軽度(極めて一時的)なトラブルが発生していたようなので、その影響でしょう。どのレンタルサーバーにも発生する程度のエラーなので気にする必要はありません。エックスサーバーはかなり良心的なサービスであり、わずか数分程度の障害情報も公式サイトに掲載しています。他のサービスであれば無視されるでしょう。

最後の「他のレンタルサーバーとの比較」を見ると分かりますが、同社のシックスコアと似たような結果となっています。シックスコアと言えば同社のフラグシップサービスです。なぜでしょう?

エックスサーバー、シックスコアのスペック(2016年8月)
Xeon E5-2630 v3 (8コア/16スレッド、20MBキャッシュ、2.4GHz/TB時3.2GHz)、メモリ96GB

すでに冒頭で説明していますが、公開されている範囲に限れば、両者のサーバースペックは同じです。そのため、同じような結果となるのは当然です。決定的な違いは「収容されるユーザー数(サイト数)」です。シックスコアは安定性重視のサービスであり、収容数を少なくすることで安定性を高めています。

高性能かつ安定性を優先すればシックスコア、コストパフォーマンスを優先すればエックスサーバーということになります。

非常に素晴らしいように見えますが・・・

  今回の結果 別期間の結果
有効測定 4,029回 4,032回
棄却検定除外 0.60% (24) 0.02% (1)
棄却検定閾値 1.12秒 2.85秒
エラー 0.07% (3) 0% (0)
3秒以上 0% (0) 0.02% (1)
中央値 0.55秒 0.51秒
平均値 0.49秒 0.64秒
ばらつき/標準偏差 0.15秒 0.46秒
変動係数 30.61% 71.88%

今回とは別の期間に測定した結果との比較です。

別期間とは言えほとんど同じ時期ですが、やはり契約するサーバーによっては負荷状態が変化するようです。これはエックスサーバーに限ったことではありませんが、レンタルサーバーは多くのサーバーで運用されており、間違いなく当たり外れは存在します。

エックスサーバーの基本性能は、今回の測定結果に準ずるものなのでしょう。しかし、同じサーバーに収容されている他のサイト(契約者)の影響に依っては、レスポンスが低下することもあるということです。ただし、レスポンスが悪くなっても、平均値は 0.73秒 程度であり。何かしらの負荷があるときでさえ、他社と比較して平均以上のレスポンス性能を維持しています。

wpX、ヘテムル、ロリポップ!との比較

測定結果について
動的ページ(WordPress)の比較となります。グラフのX軸は7日間を4時間毎に区切ったものです。また、色の付いている部分は夜間(18:00~02:00)を示しています。
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が同じであっても、変動係数が大きい方の処理時間がばらつくことになります。
  エックスサーバー wpX ヘテムル ロリポップ
有効測定 4,029回 4,032回 4,032回 4,032回
棄却検定除外 0.60% (24) 2.46% (99) 2.63% (106) 1.17% (47)
棄却検定閾値 1.12秒 0.50秒 1.32秒 1.15秒
エラー 0.07% (3) 0% (0) 0% (0) 0% (0)
3秒以上 0% (0) 0.02% (1) 0.20% (8) 0.07% (3)
中央値 0.55秒 0.22秒 1.19秒 0.43秒
平均値 0.49秒 0.24秒 1.20秒 0.48秒
ばらつき/標準偏差 0.15秒 0.05秒 0.02秒 0.14秒
変動係数 30.6% 20.8% 1.67% 29.2%

同社のWordPress専用wpX、GMOペパボのヘテムル(heteml)とロリポップ!(lolipop!)、これらと比較してみましょう。エックスサーバーとヘテムルは同価格帯ということもあり、気になる方も多いのではないでしょうか。

wpXはWordPress専用のキャッシュ機能を備えているため、段違いのレスポンス性能があります。限界までチューニングされたWordPressのレスポンス性能はこの程度という参考例です。

ヘテムルはエックスサーバーと比較してあまり速くないように見えますが、これでも平均以上の性能はあります。サーバー稼働も安定しており、何ら問題のないサービスです。この測定結果はSSD対応前の結果なので、現在はより速くなっているでしょう。

以外な結果はロリポップ!です。ロリポップ!は2015年末にサーバーの大規模な刷新を実施しており、レスポンス性能が大幅に向上しています。この結果はスタンダードプランのものであり、より処理性能の高いモジュール版PHP対応となっています。この更新まではロリポップ!の性能はイマイチでしたが、今はおすすめしやすいサービスとなっています。

エックスサーバーとロリポップ!を比較すると、数値上では同等のレスポンス性能があります。しかし、グラフをみると分かりますが、変動が大きいのはロリポップ!であり、エックスサーバーの処理性能に余裕があることが分かります。このあたりが利用料金の差と言えるでしょう。少々レスポンスが荒れても気にならないのであれば、ロリポップ!でも十分です。

比較対象サービスレビュー
wpX
ヘテムル
ロリポップ!

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

当サイトで測定済みのレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

測定結果(未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上 0% (0) 0.02% (1)
中央値 0.55秒 0.26秒
平均値 0.50秒 0.30秒
ばらつき/標準偏差 0.18秒 0.12秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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