X2 (エックスツー) はサービスの提供を終了しました。

エックスサーバーとシックスコアで板挟み!X2の性能をベンチマークで評価

X2(エックスツー)はエックスサーバー社が運営するレンタルサーバーです。同社のエックスサーバーとシックスコアの中間的なサービスとなっており、データベースを無制限に設定できることが特徴です。

先に結論を書いてしまいますが、同社の中でX2の立場(重要度)はかなり低くなっているようです。他のサービスは全て最新のハードウェアに更新されていますが、X2のみ古いハードウェアのまま運用されています。エックスサーバーは1年以上前に当時の最新ハードウェアに更新されていますが、X2のスペックは2013年から変更されていません(MySQLサーバーは他サービスに併せて更新されています)。

この記事ではX2の処理性能を評価した結果を掲載します。サーバーの処理性能はレスポンス性能や安定性能に大きく影響するため、レンタルサーバー選びでは重要な要素です。

測定方法

WordPressをインストールしたウェブサイト(サーバー)を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
    • 1記事ごとの生成処理を含む
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp_insert_post、wp_delete_post

これらの処理を 5分間隔 で実行し、一連の処理時間を測定します。つまり、 PHPとデータベースの処理性能 を確認します。データセンター内(またはサーバー内)で完結する処理なので、外部ネットワーク環境の影響を受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw (未加工) 864回 - - 0%
(0回)
4.47秒 4.51秒 0.59秒
棄却検定 0.12%
(1回)
6.47秒 4.47秒 4.50秒 0.58秒
測定結果について
72時間(3日間) の測定結果です。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。
測定のタイミングによりサーバーの負荷状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いたデータも掲載しています。
ばらつき(標準偏差)は、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど処理性能が安定しているといえます。

X2の評価

同時期にエックスサーバー、シックスコア、wpX(レンタルサーバー&クラウド)の測定を行っていますが、X2の性能が明らかに低いようです。理由は明確であり、他サービスと比較するとハードウェア性能が低いためです。X2のハードウェアの性能は1年以上前と変わらず、他のサービスのように更新されていません。

サービス X2 wpX エックスサーバー シックスコア
契約時期 2016年7月 2016年7月 2016年7月 2016年7月
CPU Xeon E5-2430L 2.00GHz Xeon E5-2630 v3 (2.40GHz) x 2 Xeon E5-2630 v3 (2.40GHz) x 2 Xeon E5-2630 v3 (2.40GHz) x 2
メモリ 16GB 96GB 96GB 96GB

同じ契約時期でもハードウェアに大きな性能差があることが分かります。

あくまでも同社のサービスと比較した場合であり、X2は他社の平均的なハードウェア構成と遜色なく、決して悪いスペックではありません。最後に掲載している比較表を見ると分かりますが、X2以外の性能が高すぎることもX2の性能が悪く見える理由です。

下位サービスであるはずのエックスサーバーの人気が非常に高いため、サービス強化やハードウェアの更新が積極的に実施されています。徐々に優劣の差がなくなり、ハードウェアの比較であれば逆転現象が起きています。コストパフォーマンス重視であればエックスサーバー、信頼性重視ならシックスコアとなり、X2は非常に中途半端なサービスとなっています。

測定結果は悪いものではありませんが、同社の他サービスと比較すると大きく劣ります。他社のサービスと比較しても平凡であり、処理性能は安定はしていますが、利用料金を考慮するとあえてX2を選択する理由はないでしょう。

例え他のサービスと同じハードウェアが採用されても、「データベース無制限」以外のX2ならでは特徴がない限り、エックスサーバーとシックスコアでカバーできてしまいます。

wpX、エックスサーバー、シックスコア、ロリポップ!との比較

  X2 wpX エックスサーバー シックスコア ロリポップ
有効測定数 864 864 864 864 858
棄却検定除外 0.12%(1) 0%(0) 2.20%(19) 0%(0) 0.58%(5)
棄却検定閾値 6.47秒 3.27秒 2.99秒 2.20秒 4.52秒
エラー 0%(0) 0%(0) 0%(0) 0%(0) 0%(0)
中央値 4.47秒 2.41秒 2.47秒 2.10秒 3.86秒
平均値 4.50秒 2.40秒 2.48秒 2.10秒 3.87秒
ばらつき 0.58秒 0.27秒 0.11秒 0.05秒 0.17秒
変動係数 12.89% 11.25% 4.44% 2.38% 4.39%

エックスサーバー社のwpXレンタルサーバー、エックスサーバー(XSERVER)、シックスコア(SIXCORE)、GMOペパボが運営するロリポップ!(Lolipop!)と比較してみましょう。ロリポップは新しいサーバーに更新されたスタンダードプランとなります。

ロリポップ!は2015年末にサーバーが更新されており、処理性能が向上しています。しかし、それほどハイスペックなサーバーという訳ではありません。それにも劣るX2で採用されているCPUは2012年発売と古く、測定結果が振るわないのは仕方がないのかもしれません。

エックスサーバー社のサービスはX2を除くとほぼ同じハードウェア構成となっているため、必然的に同じような結果となっています。シックスコアについては安定性重視を目的に「サーバーに収容するユーザー数を少なくする」という運用方針です。そのため、同じスペックでも負荷状態が安定しており、より優れた測定結果となっています。

そのうちX2のハードウェアが更新されると思いますが、現状ではX2を選択する理由がありません。本来なら「シックスコア > X2 > エックスサーバー」という序列になる予定だったと思いますが、エックスサーバーの性能が向上しすぎたため、X2の存在意義がなくなってしまったように思えます。

比較対象サービスのレビュー
【レビュー】wpXレンタルサーバー
【レビュー】エックスサーバー
【レビュー】シックスコア
【レビュー】ロリポップ
変動係数
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が同じであっても変動係数が大きい方の処理時間がばらつくことになります。今回の測定結果の場合、X2はロリポップより平均値が悪く、さらにばらつきもあるという意味になります。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461

hostingstock.netで測定した他レンタルサーバーとの比較です。

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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