エクスクラウド(EX-CLOUD) はサービスの提供を終了しました。

驚きの安定感とレスポンス!自社データセンター運営のエクスクラウド

エクスクラウド(EX-CLOUD)はNHNテコラスが運営するレンタルサーバーです。NHNと言えばNAVERやLINEを思い出すかもしれませんが、レンタルサーバー事業はライブドア(旧オン・ザ・エッヂ)のデータセンター事業「データホテル」が基になっています。そのため、他のサービスと異なり自社データセンターでの運営となります。

レンタルサーバーを選択する際、最も大切なポイントは「ウェブサイトのレスポンス性能」です。いくら豊富な機能に対応していても、運営するサイトのレスポンスが悪ければ意味がありません。訪問者を自分に置き換えて考えれば、なかなか開かないページにイライラすることは想像に難くないでしょう。さらにレスポンスの悪さは検索エンジンの評価に悪影響を与えます。

ここではエクスクラウドで稼働しているウェブサイトのレスポンス性能を評価し、他のレンタルサーバーとの比較を行います。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、ウェブページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。より詳しい内容は こちら を参考にしてください。

測定対象  
動的ページ WordPressサイト(PHP&データベース)。コンテンツは平均的なウェブページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。
静的ページ HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに2回の測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)×2回」の約4,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「利用者や訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者や訪問者が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

エクスクラウドは東京都新宿区にある同社の「データホテル」で運用されています。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(インターネットプロバイダ)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

ネットワーク環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定 4,028回 4,025回
棄却検定除外 1.07% (43) 0.05% (2)
棄却検定閾値 0.78秒 1.11秒
エラー 0.10% (4) 0.17% (7)
3秒以上 0% (0) 0% (0)
中央値 0.62秒 0.34秒
平均値 0.62秒 0.41秒
ばらつき/標準偏差 0.03秒 0.14秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定「Grubbs' test(α=0.001)」により省いています。これは測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
生データ(未加工データ)の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき(標準偏差)は、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。
エラー内容  
動的ページ [4] Connection timed out [4]
静的ページ [7] Connection timed out [7]

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

エクスクラウドの評価

動的ページ、静的ページともに素晴らしい結果となっています。特に動的ページ(WordPress)の安定感は特筆すべき結果となっています。未加工データのグラフを見ても、非常にレスポンスが安定しており、時間帯による変動がほとんどありません。つまり、ネットワーク帯域やサーバーの処理性能に余裕があることが推測できます。

静的ページ(HTMLファイル)については、やや特徴的な傾向があります。平均値だけを見れば上位クラスの性能がありますが、ばらつきが目立ちます。ただし、ばらつきがあってもエラーが発生するわけではありません。基本的な性能が高いため、この程度の傾向は問題とならないでしょう。

エラーが少し発生していますが、これはネットワーク経路のトラブルが原因であり、エクスクラウドの問題ではありません。

これだけの性能がありながら、ユーザーのレビューや感想をほとんど見かけません(アフィリエイトサイトは別です)。さらに「エクスクラウド」で検索してもエックスサーバー社の「wpXクラウド」が上位に表示されます。一般ユーザーをターゲットとしていないのかも知れませんが、「200GB以上のディスク容量に転送量無制限、さらにSLA対応」など、非常にコストパフォーマンスの高いサービスとなっています。複数のサイト運営に適しており、高性能かつ高信頼性のサービスを検討しているのであれば、選択肢の一つとなるでしょう。

PHP7なら15%の性能アップ

  PHP7.0 PHP5.6
有効測定 4,022回 4,028回
棄却検定除外 0.87% (35) 1.07% (43)
棄却検定閾値 0.71秒 0.78秒
エラー 0.10% (4) 0.10% (4)
中央値 0.54秒 0.62秒
平均値 0.53秒 0.62秒
ばらつき/標準偏差 0.04秒 0.03秒
変動係数 7.55% 4.84%

エクスクラウドはPHP7に対応しています。PHP7の大きな特徴は「PHP5と比較して2倍の実行速度」となっています。勘違いしてはいけませんが、PHP7に変更したところでレスポンスが劇的に改善されるわけではありません。ネットワークやデータベースの性能も大きく影響するため、改善されるのは全体の一部です。

グラフを見ると分かりますが、実際にWordPressをPHP7で稼働させてみると、レスポンスが改善されます。数値にすると 約15% の速度向上となっています。

今回の測定対象は「プラグインなしの標準テーマ」であるため、「プラグインを多数導入している」「多機能なテーマを採用している」サイトであれば、PHP7の恩恵がさらに大きくなるでしょう。

エックスサーバー、ヘテムル、さくらインターネットとの比較

測定結果について
動的ページ(WordPress)の比較となります。グラフのX軸は7日間を4時間毎に区切ったものです。また、色の付いている部分は夜間(18:00~02:00)を示しています。
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が同じであっても、変動係数が大きい方の処理時間がばらつくことになります。
  エクスクラウド エックスサーバー ヘテムル さくらインターネット
有効測定 4,028回 4,029回 4,032回 4,030回
棄却検定除外 1.07% (43) 0.60% (24) 2.63% (106) 0.42% (17)
棄却検定閾値 0.78秒 1.12秒 1.32秒 2.71秒
エラー 0.10% (4) 0.07% (3) 0.00% (0) 0.05% (2)
3秒以上 0% (0) 0% (0) 0.20% (8) 0.35% (14)
中央値 0.62秒 0.55秒 1.19秒 0.88秒
平均値 0.62秒 0.49秒 1.20秒 1.03秒
ばらつき/標準偏差 0.03秒 0.15秒 0.02秒 0.34秒
変動係数 4.84% 30.6% 1.67% 33.0%

同価格帯のエックスサーバー(XSERVER)とヘテムル(heteml)、さらにさくらインターネットと比較してみましょう。

エックスサーバーはこの価格帯では頭一つ抜けています。エクスクラウドが悪いのではなく、エックスサーバーが高性能すぎるということです。エックスサーバーは人気が高くユーザーが多いだけあり、ハードウェアの更新頻度が高いことも特徴です。この測定時点でも、両サービスのスペックにかなりの差が存在します。だからといってエックスサーバーが最善の選択ではありません。

エクスクラウドは、レスポンス性能も上位クラスであり。SLA対応(サービス品質保証制度)、転送量無制限、バックアップ標準対応、PostgreSQL対応など、エックスサーバーにはない特徴があります。

ヘテムルのレスポンスは非常に安定していますが、エクスクラウドに劣ります。ヘテムルも平均以上の性能があり、レスポンス性能が悪い訳ではありません。さくらインターネットについては、平均値は優秀ですが時間帯によるばらつきが目立ちます。

比較対象のレビュー
エックスサーバー
ヘテムル
さくらインターネット

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

当サイトで測定済みのレンタルサーバーとの比較です。詳細は各リンク先を確認してください。

測定結果(未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上 0% 0%
中央値 0.62秒 0.34秒
平均値 0.63秒 0.41秒
ばらつき/標準偏差 0.10秒 0.15秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス(プラン)に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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