FC2レンタルサーバーLiteのレスポンス性能を評価し、他のレンタルサーバーと比較しよう

FC2レンタルサーバーLiteは、独自ドメイン1個対応、データベース1個対応となっており、基本的にひとつのWebサイトを運用するためのサービスです。サブドメインは10個まで対応していますが、ディスク容量の少なさも考慮すると、複数のサイト運営には向きません。仕様的には、FC2ブログからのステップアップに最適なサービスかもしれませんね。

レンタルサーバーは使いやすさや機能よりも安定性とレスポンス性能が重要です。いくら機能が充実していても、Webサイトが不安定であったり読み込みに時間がかかれば、訪問者はすぐに別のサイトへ移動してしまうでしょう。また、レスポンスの悪いサイトは検索エンジンの評価も低くなります。

それでは、FC2レンタルサーバーLiteのレスポンス性能 (応答性能) を評価し、他のレンタルサーバーと比較してみましょう。

測定方法

家庭用回線に接続したサーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なWebページの構成を採用 (HTTP Archiveの統計データより)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

レンタルサーバー性能の測定方法

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことが (完全ではありませんが) 省けます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

家庭用回線からの測定となります。測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

家庭用回線の測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  動的ページ 静的ページ
有効測定数 (回) 4,031 4,031
Grubbs' testによる除外割合 (回) 0.02% (1) 0% (0)
Grubbs' testによる閾値 8.01秒 7.66秒
エラーの割合 (回) 0.02% (1) 0.02% (1)
3秒以上の割合 (回) 99.98% (4030) 100% (4031)
中央値 (秒) 5.72秒 5.14秒
平均値 (秒) 5.70秒 5.13秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.83秒 0.81秒

有効測定数はエラーを省いた回数を示します。測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定Grubbs' test (α=0.001) により省いています。生データ (未加工データ) の測定結果は最後に掲載しています。

エラー  
動的ページ [1] 500 Internal Server Error / データベース接続確立エラー [1/1]
静的ページ [1] Connection timed out [1/1]

FC2レンタルサーバーLiteの評価

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱 (データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境 (スマートフォンなど) ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります
参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。


FC2レンタルサーバーLiteの測定結果ですが、ほぼ全ての測定結果が3秒を越えており、上記の条件を満たすのは厳しいようです。物理的距離によるネットワーク遅延が生じる海外サーバーなので仕方がないところです。

日本とアメリカ合衆国とを繋ぐネットワークには、NTTとKDDIのものがあります。この測定ではKDDIが利用されていますが、あまり回線性能が良くないようです。アメリカにあるサーバーであっても、NTTを利用する他の測定では、かなり安定したデータとなっており、インターネットプロバイダによっては差があるでしょう。

例えば、「エラーが多い」「処理性能が不安定」という問題が発生していればFC2に原因がありそうですが、サーバーの処理性能を測定してみると安定しており問題はありません。これらの結果を考慮すれば、ネットワーク性能の影響が大きいように思えます。

しかし、他のレンタルサーバーと比較すると基本的にレスポンス性能は良くありません。海外サーバーであれば アダルトサイト対応 を特徴とするサービスがほとんどですが、FC2 Liteでは 禁止 となっています。同じような料金であれば、国内サービスが仕様的にも優れています。

とは言え、動的ページと静的ページの差は小さく、PHPやデータベースを利用しても問題のない性能があります。海外サーバー (海外IP) を必要とする用途で、レスポンス性能に妥協できれば選択肢となるかもしれません。

ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、アクセスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定しているといえます。

ロリポップ!、ドメインキング、ミニバードとの比較

動的ページ (WordPress) の比較となります。グラフのX軸は7日間を4時間毎に区切ったものです。つまり、7×(24÷4)=42 となります。また、色の付いている部分は夜間(18:00~02:00)を示しています。

比較データについて
各レンタルサーバーで条件をそろえるために、集計期間が少し異なる場合があります。
  FC2 Lite ロリポップ! ドメインキング ミニバード
有効測定数 (回) 4,031 4,029 4,022 4,032
除外割合 (回) 0.02% (1) 2.66% (107) 1.49% (60) 0.99% (40)
閾値 8.01 3.532 1.364 2.304
エラーの割合 (回) 0.02% (1) 0.07% (3) 0.25% (10) 0.00% (0)
3秒以上の割合 (回) 100% (4031) 3.80% (153) 0.22% (9) 0.47% (19)
中央値 (秒) 5.72 1.33 0.53 0.68
平均値 (秒) 5.70 1.48 0.58 0.78
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.83 0.42 0.16 0.31

利用料金が似ている (プランがある) レンタルサーバーと比較してみましょう。比較対象は、ロリポップ!、ドメインキング、ミニバードです。

国内サーバーと比較してしまうと、その差は圧倒的です。FC2 Liteは、エラーもほとんど発生していないため、サーバーに問題があるわけではありません。しかし、海外サーバー特有のネットワーク遅延が大きく、国内サーバーと比較してしまうと、あえて選択する理由が見つかりません。

これら国内サービスであれば、マルチドメイン対応であり複数のWebサイト運営も容易です。また、FC2LiteはPHP (5.2のみ対応) が更新されていないなど、レスポンス性能だけでなく仕様的にも劣っています。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

hostingstock.netで測定しているレンタルサーバーとの比較です。他のレンタルサーバーと比較すると劣るように見えますが、海外サーバーであることを考慮する必要があります。

Grubbs’ test
棄却検定により異常値を除外しています。一時的なネットワークやサーバーの高負荷状態による異常値 (外れ値) を省きます。棄却検定を適用していないデータと比較して、良い結果となる傾向があります。

測定結果 (未加工データ)

  動的ページ 静的ページ
3秒以上の割合 (回) 100% (4031) 100% (4031)
中央値 (秒) 5.72秒 5.14秒
平均値 (秒) 5.70秒 5.13秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.83秒 0.81秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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