仕様変更で性能アップだがMySQLには要注意!FC2レンタルサーバーのベンチマーク

FC2レンタルサーバーは少し前まで、PHPのバージョンが5.3で止まっているなど、かなり長い間ソフトウェア等が更新されていませんでした。あまりの放置ぶりにおすすめしにくい状況が続いていましたが、2016年末に久しぶりのアップデートが実施されました。PLESK(コントロールパネル)や各ソフトウェアがバージョンアップされ、待望のお試し利用にも対応しました。

レンタルサーバーを検討する際、大事なポイントはWebサイトの表示速度です。レスポンスが悪ければ訪問者にストレスを与え、検索順位にも悪影響です。もう一つはサーバーの処理性能であり、表示速度はもちろんのこと高負荷時(アクセス増加時)の安定性に大きく影響します。

それでは新仕様の性能評価を行い、仕様変更前の結果や他社との比較を行ってみましょう。

FC2レンタルサーバーの全てが分かる
FC2レンタルサーバーのレビュー

測定方法

WordPressをインストールしたWebサイト(サーバー)を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
    • 1記事ごとの生成処理を含む
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp insert post、wp delete post

これらの処理を「5分間隔」で実行し、一連の処理時間を測定します。つまり、「PHPとデータベースの処理性能」を確認します。データセンター内(またはサーバー内)で完結する処理なので、外部ネットワーク環境の影響を受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

MySQLの標準ストレージエンジンが「InnoDB」に設定されています。しかし、あまりにも実行速度が遅いため「MyISAM」でも測定しています。詳細は後述します。

InnoDBの結果

From 17,500 to 20,000Use up and down arrows to move selectionTo 20,000Use up and down arrows to move upper selectionFrom 17,500Use up and down arrows to move lower selectionUse TAB select grip buttons or up and down arrows to change selectionFrom 00:00 to 00:00Use left and right arrows to move selectionFrom 00:00Use left and right arrows to move left selectionTo 00:00Use left and right arrows to move right selectionUse TAB to select grip buttons or left and right arrows to change selectionRawGrubbs' test100%Chart created using amCharts library
結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw(未加工) 863回 - - 0%
(0回)
18.0秒 18.7秒 2.42秒
棄却検定 0.23%
(2回)
29.6秒 18.0秒 18.63秒 2.35秒

MyISAMの結果

From 3,100 to 3,180Use up and down arrows to move selectionTo 3,180Use up and down arrows to move upper selectionFrom 3,100Use up and down arrows to move lower selectionUse TAB select grip buttons or up and down arrows to change selectionFrom 00:00 to 00:00Use left and right arrows to move selectionFrom 00:00Use left and right arrows to move left selectionTo 00:00Use left and right arrows to move right selectionUse TAB to select grip buttons or left and right arrows to change selectionRawGrubbs' test100%Chart created using amCharts library
結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw(未加工) 864回 - - 0%
(0回)
3.14秒 3.13秒 0.07秒
棄却検定 0.12%
(1回)
3.42秒 3.14秒 3.13秒 0.07秒
測定結果について
72時間(3日間) の測定結果です。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。
測定のタイミングによりサーバーの負荷状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定Grubbs' test(α=0.001)により省いています。
ばらつき(標準偏差)は、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。ばらつきが小さいほど処理性能が安定します。

FC2レンタルサーバーの評価

MySQLの標準ストレージエンジンは「InnoDB」となっています。 InnoDBを標準とすることに問題はありませんが、おそらくInnoDBに対する設定がおかしいのでしょう。 そのままWordPressを利用すると、測定結果の通り処理速度が異常なほど遅くなります。

このような測定をしたので気付きましたが、(負荷を掛けない)普通の用途なら「少し遅いかな?」と思う程度で気付かないかもしれません。サポートに問い合わせれば対応してもらえますが、ストレージエンジンを「MyISAM」に変更することですぐに対処できます。WordPressはどちらでも問題なく動作します(どちらも一長一短です)。

ここではMyISAMの結果を利用して評価します。

仕様変更前の結果と比較すると、共通するFastCGI同士なら「38%」もの改善となっています。 さらに、仕様変更によりモジュール版PHPは省かれましたが、前回のモジュール版の結果も上回っています。

これらの結果から、サーバーの処理性能が向上していることを推測できます。おそらくソフトウェアだけでなく、ハードウェアも更新されているのでしょう。

今回のアップデートで性能が向上していることを確認できました。ベンチマークの結果は非常に安定しており、どの時間帯でも同じ処理性能を維持しています。処理速度は上位クラスに及びませんが、かなり優秀な結果です。

フレンドサーバー、MixHostとの比較

From 2,000 to 7,000Use up and down arrows to move selectionTo 7,000Use up and down arrows to move upper selectionFrom 2,000Use up and down arrows to move lower selectionUse TAB select grip buttons or up and down arrows to change selectionFrom 00:00 to 00:00Use left and right arrows to move selectionFrom 00:00Use left and right arrows to move left selectionTo 00:00Use left and right arrows to move right selectionUse TAB to select grip buttons or left and right arrows to change selectionFC2 PHP5/FastCGIフレンドサーバー PHP7/FastCGIMixHost PHP7/LS100%Chart created using amCharts library
  FC2
PHP5/FastCGI
フレンドサーバー
PHP7/FastCGI
MixHost
PHP7/LS
有効測定数 864 864 864
棄却検定除外 0.12%(1) 0%(0) 3.36%(29)
棄却検定閾値 3.42秒 16.35秒 3.20秒
エラー 0%(0) 0%(0) 0%(0)
中央値 3.14秒 4.28秒 2.13秒
平均値 3.13秒 5.56秒 2.17秒
ばらつき 0.07秒 2.63秒 0.24秒
変動係数 2.24% 47.3% 11.1%
変動係数
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が近い場合、変動係数が小さいほど安定します。
記事作成時、FC2はPHP7に非対応です。

他のサービスと比較してみましょう。

比較対象は、FC2と同様にアダルトサイト対応であるフレンドサーバー(Friend Server)とMixHost(ミックスホスト)です。フレンドサーバーはFC2と同じ海外サーバー、MixHostは国内サーバーとなります。

MixHostは2016年に開始された新しいサービスであり、最新のハードウェアで運用されています。ベンチマークの結果もハードウェア性能に見合ったものであり、他社を含めてもトップクラスです。高品質なさくらインターネットのデータセンターで運用されており、海外にこだわらなければおすすめのサービスです。もちろん国内なのでWebサイトの表示速度は最も優れます。

フレンドサーバーはFC2と同じカリフォルニア州で運営されるサービスです。アダルトサイト対応ながら、初期費用不要で安価な料金が特徴です。手続き対応は全て日本語であり、海外サーバーでアダルトサイトを運営してみたいという初心者にはおすすめです。ただし、料金なりの性能なので、ある程度の割り切りは必要となるでしょう。それでも以前と比較すればかなり安定しました。

FC2は国内向けに様々なサービスを展開してるだけあり、海外サーバーながらも安定した性能を有しています。特別に優れるわけではありませんが、誰が利用しても不満の出ない性能があります。FC2自体がアダルト関連のサービスを提供しており、他よりアダルトコンテンツに対する許容範囲は広いでしょう(もちろん法律の範囲内に限りますが)。

各サービスの公式サイト
  FC2レンタルサーバー / フレンドサーバー / MixHost

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461
注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。測定結果はその中の1つに過ぎません。契約時期で割り当てられるサーバーのスペックは異なり、さらに、同じサーバーに収容される他契約者の負荷に大きく左右されます。

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