大型アップデートでWebサイトの表示速度が改善!FC2レンタルサーバーの評価

FC2レンタルサーバーでは、2016年末に大型なアップデートが実施されています。PHPのバージョン更新や最新のコントロールパネル(PLESK)採用など久しぶりの仕様変更です。さらに「お試し期間」にも対応したことから、これまで迷っていた方にも利用しやすい環境となりました。

レンタルサーバーを選択する際、大切なポイントは「Webサイトの表示速度」です。いくら豊富な機能に対応しても、運営サイトのレスポンスが悪ければ絵に描いた餅です。訪問者を自分に置き換えれば、なかなか開かないページにイライラすることは想像に難くないでしょう。そして、レスポンスの悪さは検索順位にも悪影響です。

ここでは新仕様のサーバーに対してレスポンス性能の評価を行い、前回(旧仕様)の結果や他サービスとの比較も行います。

Z.comレンタルサーバーの全てが分かる
Z.comレンタルサーバーのレビュー

表示速度の重要性

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、「最低でも3秒以内」「理想は2秒以内」のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC
hostingstockの測定結果について
端末(パソコンやスマートフォン)のレンダリング等の処理時間を含みません。理由は訪問者の端末性能やブラウザの種類により、処理時間が大きく異なるためです。つまり、測定結果はWebページを構成するデータを受信するために必要な時間を示しています。実際にWebページが表示されるまでには、HTML解析やJavaScript処理などを含む描画時間が加算されます。

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として「WordPress(動的ページ)」と「HTML(静的ページ)」があります。より詳しい内容は こちら を参考にしてください。

測定対象  
動的ページ(WordPress) WordPressサイト(PHP&データベース)。コンテンツは平均的なウェブページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。
静的ページ(HTML) HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。PHPとデータベースを使用しません。
外部サービスを利用しない理由
PingdomやGTmetrixでレンタルサーバーの性能を評価しても意味がありません

測定期間

測定期間は 7日間 であり、5分ごとに2回の測定を行います。つまり、「7日×24時間×12回(60/5)×2回」の約4,000回となります。

一度きりの測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「利用者や訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを(完全ではありませんが)防げます。

一定期間測定することで、利用者や訪問者が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強いサーバーであることを推測できます。

測定経路

公式サイトに「カリフォルニア州ロサンゼルス」と明記されています。実際にパケットの流れを追うと、ロサンゼルス付近にあることを確認できます。FC2本社が隣州のネバダ州にあるため、周辺のデータセンターで運用しているのでしょう。

FC2レンタルサーバーのデータセンターは 米国ロサンゼルス の中心にあります。 高度な空調設備を有し、サーバーにとって最適な環境が保たれています。 また万一の停電に備え、無停電電源装置(UPS)・バックアップ発電機などの電源システムを完備しています。 サーバーは24時間365日体制で有人監視されており、入退室管理にバイオメトリクス掌形認証を使用するなど高いセキュリティが確保されています。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。測定元はK-Opticom(インターネットプロバイダ)のネットワーク内、関西圏(赤い円)にあるサーバーです。

測定環境
測定用サーバーは 測定専用 として、測定以外に利用していません。
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターとサーバーは有線接続

測定結果

  WordPress
InnoDB
HTML
(InnoDB)
WordPress
MyISAM
HTML
(MyISAM)
有効測定 4,030回 4,031回 4,028回 4,027回
棄却検定除外 0.69% (28) 0.67% (27) 0.77% (31) 0.65% (26)
棄却検定閾値 5.48秒 5.09秒 6.07秒 5.69秒
エラー 0.05% (2) 0.02% (1) 0.07% (3) 0.07% (3)
3秒以上 19.0% (767) 11.8% (477) 17.7% (712) 12.9% (521)
中央値 2.60秒 2.22秒 2.55秒 2.17秒
平均値 2.72秒 2.42秒 2.72秒 2.41秒
ばらつき/標準偏差 0.55秒 0.53秒 0.67秒 0.66秒
変動係数 20.2% 21.9% 24.6% 27.4%
測定結果について
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定Grubbs' test(α=0.001)により省いています。これはネットワークを含む測定サーバー側の異常を省く意味もあります。
ばらつき(標準偏差)は、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。ばらつきが小さいほどレスポンスが安定します。
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が近い場合、変動係数が小さいほど安定します。
エラー内容  
WordPress InnoDB [2] Failed to connect to host port 80: Connection refused [1] / Recv failure: Connection reset by peer [1]
HTML (InnoDB) [1] Recv failure: Connection reset by peer [1]
WordPress MyISAM [3] Failed to connect to host port 80: Connection refused [2] / Recv failure: Connection reset by peer [1]
HTML (MyISAM) [3] Recv failure: Connection reset by peer [2] / Failed to connect to host port 80: Connection refused [1]

FC2レンタルサーバーの評価

FC2ではMySQLの標準ストレージエンジンが「InnoDB」となっており、初期状態のまま実施したベンチマークはかなり悪い結果となりました。 おそらくInnoDBの設定に問題があるようですが、ユーザー側では対処できません。 手動で「MyISAM」に変更すると劇的に改善されるため、この測定では「InnoDB」と「MyISAM」の両方で測定しています。そして、測定対象のWordPressは「PHP5.6/FastCGI」で稼働しています。

WordPress(動的ページ)とHTML(静的ページ)をペアで測定しているため、HTMLの結果が二つあります。 そして、表のHTMLにあるInnoDBなどの表記は、組み合わせを示します。WordPressとHTMLとの差が、PHPやデータベースの処理性能を示します。

グラフを見ると分かりますが、どちらも変わらない結果となりました。ベンチマークは処理回数が多いためデータベースの実行速度が大きく影響しますが、この測定ではそれほど影響しないようです。さらに、海外サーバーなので「ネットワークの遅延 > データベースの実行速度」となり、差が出にくいのでしょう。

この結果を見ると、普通に利用するには気付かない可能性があります。そのうち修正されると思いますが、「特定の条件で遅い」など、少しでも違和感を感じればデータベースを疑ってみるとよいでしょう。

国内サービスと比較して速度的に劣ることは仕方ありませんが、かなり安定したレスポンス性能を維持しています。このあたりは多くの国内向けサービスを提供しているFC2らしい性能です。

前回の結果と比較して、WordPressのレスポンスは「約17%」の改善となっています。この短期間でネットワーク環境(国際回線)が変化するとも思えないので、やはりサーバーの性能が向上しているでしょう。

今回のアップデートにより、より使いやすいサービスになったと言えます。

フレンドサーバー、FUTOKAとの比較

  FC2
PHP5/FastCGI
フレンドサーバー
PHP7/FastCGI
FUTOKA
PHP5/CGI
有効測定 4,028回 4,021回 4,032回
棄却検定除外 0.77% (31) 0.70% (28) 2.28% (92)
棄却検定閾値 6.07秒 5.55秒 1.54秒
エラー 0.07% (3) 0.27% (11) 0% (0)
3秒以上 17.7% (712) 36.9% (1,484) 0.42% (17)
中央値 2.55秒 2.80秒 0.95秒
平均値 2.72秒 2.92秒 0.95秒
ばらつき/標準偏差 0.67秒 0.53秒 0.12秒
変動係数 24.6% 18.2% 12.6%

それでは他社サービスと比較してみましょう。

比較対象は同じアダルトサイト対応のフレンドサーバー(Friend Server)とFUTOKA(フトカ)です。フレンドサーバーはFC2と同様に海外で運用されています。FUTOKAは国内のサービスです。

一目で分かるのは、国内サービスに大きく劣るということです。FUTOKAは国内他社と比較してそれほど速いわけではありません。それでも雲泥の差があります。どうしても海外サーバーでアダルトサイトを運営したいという理由がなければ、FC2やフレンドサーバーを選択する意味はないでしょう。

フレンドサーバーは初期費用不要など、格安なアダルトサイト対応サービスです。ベンチマークを含め、全体的な性能はFC2に劣りますが、とりあえずアダルトサイトを試してみたいという初心者におすすめです。もちろんFC2と同様に日本語での手続きが可能です。

FC2は海外サーバーとしては優秀な性能です。しかし、ネットワーク遅延により、ほとんどの国内サービスに劣ります。最近ではアダルトサイト対応の国内サービスが増えており、あえて転送速度の劣る海外サーバーを選択する意味はないように思えます。海外サーバーだからと、違法なコンテンツが許されるわけではありません。

各サービスの公式サイト
  FC2レンタルサーバー / フレンドサーバー / FUTOKA

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450
注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

未加工データ

  WordPress
InnoDB
HTML
(InnoDB)
WordPress
MyISAM
HTML
(MyISAM)
3秒以上 19.03% (767) 11.83% (477) 17.68% (712) 12.94% (521)
中央値 2.60秒 2.23秒 2.56秒 2.17秒
平均値 2.75秒 2.45秒 2.76秒 2.44秒
ばらつき/標準偏差 0.63秒 0.63秒 0.77秒 0.74秒
変動係数 22.91% 25.71% 27.90% 30.33%

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。測定結果はその中の1つに過ぎません。契約時期で割り当てられるサーバーのスペックは異なり、さらに、同じサーバーに収容される他契約者の負荷に大きく左右されます。

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