FC2レンタルサーバーのレスポンス性能を評価して、他のレンタルサーバーと比較しよう

この記事の内容は古いため現状と異なる可能性があります。新しい記事も参考にしてください。

FC2レンタルサーバーは、その名の通りですがFC2ブログで有名なFC2が運営するレンタルサーバーです。様々なサービスを提供しており、姉妹レンタルサーバーサービスとして FC2 Lite もあります。勘違いしている方がいるかもしれませんが、FC2はアメリカの企業であり、データセンターもカリフォルニア州ロサンゼルスにあります。

FC2レンタルサーバーと言えば、 アダルトサイト 対応として古くから有名であり、アダルトサイトを運営しようとすれば、まず興味を持つサービスでしょう。アメリカにサーバーがあることも理由ですが、FC2そのものが良くも悪くも規制が少し緩く、他のサービスと比較すればアダルトコンテンツに対する許容範囲が広いというイメージがあります。

レンタルサーバーは使いやすさや機能よりも安定性とレスポンス性能が重要です。いくら素晴らしいコンテンツを作成しても、Webサイトが不安定であったり読み込みに時間がかかれば、訪問者はすぐに別のサイトへ移動してしまうでしょう。また、レスポンスの悪いサイトは検索エンジンの評価も低くなります。

それでは、FC2レンタルサーバーのレスポンス性能 (応答性能) を評価し、他のレンタルサーバーと比較してみましょう。

測定方法

家庭用回線に接続したサーバーから定期的にアクセスして、Webページの取得に要する時間を測定します。測定対象として 動的ページ静的ページ があります。FC2レンタルサーバーでは、FastCGIモードモジュールモード を変更できるため、両方に対する測定を行っています。

動的ページ
WordPress によるサイト(PHP&データベース)
コンテンツは平均的なWebページの構成を採用 (HTTP Archiveの統計データより)
静的ページ
htmlファイルによるサイト
WordPressが生成したデータをhtmlファイル化

レンタルサーバー性能の測定方法

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことが (完全ではありませんが) 省けます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

家庭用回線からの測定となります。測定用サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

家庭用回線の測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

FastCGI

  動的ページ 静的ページ
有効測定数 (回) 4,027 4,028
Grubbs' testによる除外割合 (回) 0.05% (2) 0.07% (3)
Grubbs' testによる閾値 8.55秒 7.24秒
エラーの割合 (回) 0.07% (3) 0.05% (2)
3秒以上の割合 (回) 66.4% (2673) 38.9% (1566)
中央値 (秒) 3.38秒 2.71秒
平均値 (秒) 3.68秒 3.00秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 1.01秒 0.95秒
測定結果について
有効測定数はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動するため、集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) の測定結果は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、レスポンスの 約68%平均値 ± ばらつき に、 約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほどレスポンスが安定していることになります。
エラー内容  
動的ページ [3] Failed to connect: Connection refused [2/3] / Recv failure: Connection reset by peer [1/3]
静的ページ [2] Failed to connect: Connection refused [1/2] / Recv failure: Connection reset by peer [1/2]

モジュール

  動的ページ 静的ページ
有効測定数 (回) 4,030 4,032
Grubbs' testによる除外割合 (回) 0% (0) 0.02% (1)
Grubbs' testによる閾値 7.38秒 7.65秒
エラーの割合 (回) 0.02% (1) 0% (0)
3秒以上の割合 (回) 47.3% (1904) 34.9% (1408)
中央値 (秒) 2.94秒 2.57秒
平均値 (秒) 3.27秒 2.93秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.93秒 0.95秒
エラー内容  
動的ページ [1] Recv failure: Connection reset by peer [1/1]

FastCGIとモジュールの比較 (WordPress)

  CGI モジュール
有効測定数 (回) 4,027 4,030
除外割合 (回) 0.05% (2) 0% (0)
棄却検定閾値 (秒) 8.55 7.38
エラーの割合 (回) 0.07% (3) 0.02% (1)
3秒以上の割合 (回) 66.4% (2675) 47.3% (1904)
中央値 (秒) 3.38 2.94
平均値 (秒) 3.68 3.27
ばらつき/標準偏差 (秒) 1.01 0.93

レスポンスの基準

様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱 (データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境 (スマートフォンなど) ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります
参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

快適なWebサイトの条件は、 「最低でも3秒以内」 「理想は2秒以内」 のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要な情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

FC2レンタルサーバーの評価

まずFastCGIとモジュールとを比較してみましょう。PHPが動作しない静的ページには影響がないため、動的ページ (WordPress) を比較対象とします。

当たり前の結果ですが、FastCGIは 3.68秒、モジュールは 3.27秒と、モジュールモードを利用することで 1割 ほどレスポンスが向上します。FC2レンタルサーバーを利用するならモジュールモードを設定するべきでしょう。しかし、モジュールモードを選択しても、 3秒を越える ため快適なレスポンスにはほど遠いものがあります。

国内サーバーと比較すれば遅いのですが、海外レンタルサーバーとしては上位の性能があるため、 アダルトサイト を運営するには問題ありません。なぜなら、コンテンツの性質的に少々レスポンスが悪くても訪問者が去る可能性は低いからです。別の考え方をすると、アダルトサイトを運営しなければFC2レンタルサーバーを選択するメリットはありません。一般的なコンテンツであれば、国内サービスの方がはるかにコストパフォーマンスが優秀です。

同じデータセンターにある FC2 Lite より明らかにレスポンスが良く、やはり上位サービスだけありハードウェア等が優遇されているのでしょう。しかし、レスポンスはあまり安定していません。例えば、訪問者が多くなるであろう時間帯に遅くなるなら理解できますが、時間帯に関係なくばらつきが大きいようです。ネットワーク環境に原因があるように思えますが、海外サーバーであっても非常に安定しているレンタルサーバーもあるため、サーバーの処理性能に余裕がない可能性があります。

JETBOY、フレンドサーバー、FUTOKAとの比較

動的ページ (WordPress) の比較となります。グラフのX軸は7日間を4時間毎に区切ったものです。つまり、7×(24÷4)=42 となります。また、色の付いている部分は夜間(18:00~02:00)を示しています。

比較データについて
各レンタルサーバーの集計期間は異なります。
  FC2レンタルサーバー JETBOY フレンドサーバー FUTOKA
有効測定数 (回) 4,030 4,032 3,136 4,032
除外割合 (回) 0% (0) 1.29% (52) 0% (0) 2.01% (81)
棄却検定閾値 (秒) 7.38 6.09 40.90 2.10
エラーの割合 (回) 0.02% (1) 0% (0) 28.6% (896) 0% (0)
3秒以上の割合 (回) 47.3% (1,04) 100% (4,032) 100% (3,136) 1.09% (44)
中央値 (秒) 2.94 4.53 7.30 0.77
平均値 (秒) 3.27 4.56 10.21 0.81
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.93 0.31 7.38 0.26

他のレンタルサーバーと比較してみましょう。比較対象は、アダルトサイトを許可しているサービスです。JETBOYとフレンドサーバーは海外データセンターであり、FUTOKA (フトカ) は国内データセンターです。

FUTOKAは国内サーバーの中でも上位の性能があるため、余計に海外サーバーと差が目立ちます。FUTOKAでなくとも、国内サーバーと海外サーバーには大きな差があることは「他のレンタルサーバーとの比較」を見ても分かるでしょう。もし、国内の法律の範囲内に収まるアダルトコンテンツ (一般的に流通している範囲) を扱うのであれば、あえて海外サーバーを選択する必要はありません。国内サービスであれば、FUTOKAやKAGOYAなどがレスポンス性能が高く快適です。

フレンドサーバーは初期費用が不要であり、アダルトサイト対応レンタルサーバーとしては格安ですが、あまりレスポンスが良くありません。特に夜間帯にレスポンスが悪くなる傾向にあります。とは言え、PHPやデータベースを利用しなければ普通のレスポンス性能があるため、静的ページのみのWebサイトであればランニングコストに優れます。

JETBOYは平均値ではFC2レンタルサーバーに劣りますが、安定性では比較にならないほど優れています。グラフの尺度 (スケール) を変更すれば分かりますが、レスポンスにばらつきがありません。他のサービスと比較するとサーバー (ハードウェア) が高性能であり、処理性能に余裕があります。

勘違いしてはいけませんが、海外サーバーだからといって何でもOKという訳ではありません。国内サービスと比較して、できることの範囲は格段に広がりますが、年々アダルトサイトへの対応は厳しくなっているため、しっかりと法律なり判例なりを確認しておきましょう。

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト   WordPress Static
環境 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.210.210.0100.210.210.010

PHP5/CGI

0.240.220.0500.430.540.20

PHP7/CGI

0.240.210.0700.240.210.060

0.250.230.060.020.260.230.080.42

Xキャッシュ

0.290.250.0900.280.250.070

0.370.350.0800.360.350.050

0.380.370.0500.570.660.190

PHP7/FastCGI

0.40.40.1200.230.220.030

WordPressサーバー

0.420.350.200.40.350.150

0.430.470.2100.430.220.310

PHP7/FastCGI

0.450.450.1500.290.260.090

PHP7

0.460.450.030.050.350.310.10.02

キャッシュ無効

0.470.520.1500.430.540.210

PHP5/FastCGI

0.470.470.1200.230.220.030

0.540.70.2500.360.330.090.02

PHP5/FastCGI

0.550.540.1700.330.290.110

0.620.620.030.10.410.340.140.17

PHP7

0.620.590.3200.380.310.20

PHP7/Module

0.620.590.1100.40.390.040

キャッシュ無効

0.620.610.1200.380.370.050

PHPサーバー

0.620.70.2600.340.290.10

PHP5

0.630.620.0300.320.310.030

PHP7

0.630.590.3300.370.310.180

0.640.610.100.480.450.090

PHP7/CGI

0.660.620.1200.390.380.050

0.6600.2200.6600.230

0.670.650.070.150.520.470.140.15

キャッシュ

0.680.680.0600.690.690.060

PHP7/CGI

0.70.680.0900.510.490.070

PHP5

0.710.690.3300.370.30.180

0.710.730.300.350.310.110

0.720.710.0500.240.240.010

0.750.630.3100.560.470.290

PHP5

0.750.70.3700.370.310.160

モジュール

0.80.750.160.150.370.360.060.1

0.830.790.3900.340.280.150

PHP7

0.840.80.2600.740.690.160

PHP7

0.840.840.1400.670.670.060

PHP7

0.850.840.0600.670.660.050

PHP7

0.880.840.160.750.610.570.10

0.910.860.1600.510.490.070

0.920.880.200.640.610.240

0.930.920.0500.650.650.040

PHP5

0.930.920.1600.670.670.060

0.950.950.1200.520.50.080

CGI

0.950.90.1600.390.370.070

PHP5/FastCGI

0.970.960.40.150.420.410.070.07

PHP5

10.980.3100.770.80.140

PHP5/CGI

1.040.80.7700.530.490.110

1.051.010.1200.810.740.190

PHP5

1.11.050.1600.60.560.10

1.141.140.0400.270.260.020

ライトプラン

1.441.221.300.510.370.670

1.961.920.630.021.631.560.590.02

2.091.71.070.931.241.170.420.6

2.2300.650.111.9100.60.07

PHP5/FastCGI

2.722.550.670.072.412.170.660.07

PHP5/FastCGI

2.92.780.510.352.522.370.430.15

PHP7/FastCGI

2.922.80.530.272.572.460.360.22

PHP7

3.181.572.340.350.710.710.180.22

PHP5

3.31.532.470.50.720.720.180.45

3.363.090.630.022.892.720.350

3.7800.50.073.7700.510.1

4.564.530.3104.244.220.340

5.75.720.830.025.135.140.810.02

8.056.723.081.687.826.43.231.41

00000.340.290.150

00006.136.270.450

hostingstock.netで測定しているレンタルサーバーとの比較です。ばらつきが少し気になりますが、海外サーバーとしては優秀です。

測定結果 (未加工データ)

FastCGI

  動的ページ 静的ページ
3秒以上の割合 (回) 66.4% (2,675) 39.0% (1,569)
中央値 (秒) 3.38秒 2.71秒
平均値 (秒) 3.69秒 3.01秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 1.02秒 0.96秒

モジュール

  動的ページ 静的ページ
3秒以上の割合 (回) 47.3% (1,904) 35.0% (1,409)
中央値 (秒) 2.94秒 2.57秒
平均値 (秒) 3.27秒 2.93秒
ばらつき/標準偏差 (秒) 0.93秒 0.96秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多数のサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他ユーザーの負荷も影響します。

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