スターサーバー #StarServer はサービスの提供を終了しました。

現在は スターサーバー #StarServer として、新しいサービスを提供しています。

HTTP/2対応 スターサーバーのレスポンス性能は向上したのか?

スターサーバー(StarServer)は、ネットオウルが運営する新しいレンタルサーバーです。 これまでミニバードやファイアバードという名称で運営されていましたが、「スターサーバー」として一つのブランドに統合されました。

お手軽なプランからハイスペックなプランまで、ユーザーにとっては選択肢の多い便利なサービスとなっています。 プラン変更に対応しているため、最初は安いプランにしておき、スペック不足を感じてから上位プランへ移行することもできます。

スターサーバー(StarServer)の全てが分かる
スターサーバーのレビュー

サイトレスポンスの重要性

以前からWebサイトのレスポンスに関する調査が行われており、3秒が一つの基準と言われていました。 これを超えてしまうと、「売り上げ減」「訪問者の離脱」「再訪者の減少」など、大きなデメリットが生じることが分かっています。 さらにレスポンス性能は検索エンジンによるランキングにも影響します。

DoubleClick(Google)による調査では、モバイル環境(スマートフォンなど)ではよりシビアであり、3秒以上では*53%*の訪問者がサイトから離脱してしまうという結果が出ています。 移動中や待ち時間で利用するコンテンツは速い表示が求められており、理想的な読み込み時間は 2秒以内 であることが報告されています。 この調査は海外ではまだ主流の3Gネットワークを含んだものであり、高速ネットワーク網が整備されている日本との直接的な比較は難しいながらも、やはり遅いレスポンスはサイト運営には致命的な問題となることが分かります。

これからWebサイトを運営するのであれば、遅くとも3秒以内に表示されるようなサイトを作るべきでしょう。 高性能なレンタルサーバー選びがサイト運営では最も重要となります。

参考
Mobile speed impacts publisher revenue - DoubleClick

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、コンテンツの表示に必要なデータのダウンロードに要する時間を測定します。 測定対象を「WordPress(動的ページ)」と「HTML(静的ページ)」としています。

測定対象  
動的ページ(WordPress) WordPressサイト(PHP&MySQL)。コンテンツは平均的なWebページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。
静的ページ(HTML) HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。PHPとMySQLを使用しません。
参考
ElectronとNavigation Timingによるレンタルサーバーのレスポンス性能測定

測定期間

一度の測定では意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。 例えば、訪問者の少ない深夜または早朝に測定すれば、最も良い結果となるでしょう。 反対に、悪い結果が欲しければ高負荷時に測定すればよいだけです。 継続した測定により、「訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを防げます。

測定期間は7日間とし、6分ごとに2回の測定を行うため約3,300回となります。

一定期間測定することで、訪問者数が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。 例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強い安定したサービスであることを推測できます。

測定経路

スターサーバーはエックスサーバーの関連会社であり、同じさくらインターネットの大阪データセンターで運用されています。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。

測定環境
測定専用サーバー / Ubuntu 16.04 LTS
ネットワーク / NTT西日本 フレッツ光、V6プラス。

測定結果

  WordPress HTML
測定数 3,358 3,358
平均値 1,014ms 797ms
中央値 1,015ms 727ms
標準偏差 246ms 154ms
レスポンス開始 305ms 82ms
エラー 0 (0%) 0 (0%)
有効数 3,314 3,357
除外数 44 (1.31%) 1 (0.03%)
異常値 5,093ms 1,923ms
棄却値 2,276ms 1,923ms
変動係数 24.3% 19.4%
測定結果について
一時的な異常値(外れ値)を棄却検定(Grubbs' test α=0.001)により省いており、グラフ化には有効数を利用しています。
除外数は省かれたデータの数、異常値はそのデータの平均値を示します。
標準偏差は、「約68%が平均値 ± x1」に、「約95%が平均値 ± x2」に収まることを示します。値が小さいほど安定していることになります。
「レスポンス開始」はデータを取得し始めるまでの時間であり、グラフのResponse(破線)に対応します。グラフの実線は全データのダウンロードに要した時間を示します。レスポンス開始が早いほどいわゆる「レスポンスの良いサーバー」となります。

スターサーバーの評価

スターサーバーは次世代のWebプロトコルであるHTTP/2に対応してます。 効率的なデータ転送を目的に策定されたものであり、サイト構成によっては大幅に表示速度が向上します。 例えばこのような極端な条件では、数倍の差が発生します。

今回の測定結果は公式サイトでおすすめされている「スタンダード」プラン、かつHTTP/2を利用したものです。

測定結果をみると、時間帯による変動がはっきりと確認できます。 素直な変動であり、訪問者の少ない深夜から早朝は速く、訪問者の多い夜間に遅くなっています。 これは旧ブランドのミニサーバーやファイアバードと同じような傾向であり、ハードウェア等は更新されているようですが、この結果を見る限りではそれほど性能が向上したようには思えません。 とは言え、以前からコストパフォーマンスの高いサービスではあったため、それほど悪い結果とも言えません。

今回の条件であれば夜間でも2秒以内のパフォーマンスを維持しており、誰が利用してもほとんど不満のないレンタルサーバーでしょう。

しかし、異常値の平均が5秒となっており、一時的とは言えレスポンス速度がかなり低下することがあります。 これは別のベンチマークでも同様の傾向であり、タイミングによっては処理速度がかなり落ちることがあるようです。

HTTP/1.1との比較

  HTTP/1.1 HTTP/2
測定数 3,337 3,358
平均値 795ms 1,014ms
中央値 734ms 1,015ms
標準偏差 127ms 246ms
レスポンス開始 147ms 305ms
エラー 0 (0%) 0 (0%)
有効数 3,288 3,314
除外数 49 (1.47%) 44 (1.31%)
異常値 3,750ms 5,093ms
棄却値 1,551ms 2,276ms
変動係数 16.0% 24.3%

HTTP/2(SSL)対応を特徴としているため、HTTP/1.1(非SSL)との比較を行っていますが、同じ条件ではHTTP/1.1が速くなるという結果が出ました。

HTTP/2の効果はサイト構成に大きく左右されるとは言え、少し納得できない結果となりました。 しかし、これからのサイト運営ではHTTPS(SSL)が必須となり、あえてHTTP/1.1を利用することはないでしょうから、この結果を気にしても仕方がありませんね。

FastCGI or キャッシュ

  1st 2nd
測定数 1,679 1,679
平均値 1,146ms 857ms
中央値 1,076ms 776ms
標準偏差 163ms 168ms
レスポンス開始 444ms 140ms
エラー 0 (0%) 0 (0%)
有効数 1,631 1,635
除外数 48 (2.86%) 44 (2.62%)
異常値 4,002ms 2,837ms
棄却値 1,946ms 1,685ms
変動係数 14.3% 19.6%

公式サイトを確認してもPHPがFastCGIであることを確認できませんが、おそらくエックスサーバーと同じ仕様と考えるのが妥当です。

この調査ではキャッシュ等の有無を確認するために、1度に連続して2回測定しています。 測定結果を確認すると、2回目の結果が明らかに優れており、おそらくスターサーバーのPHPはFastCGIで動作しているか、他のキャッシュ機能が有効になっていることが分かります。 他のベンチマークでも2回目以降の処理速度が高速化されており、何かしらのキャッシュが有効になっていることが確認できます。

他社サービスとの比較

公式サイト WordPress ミリ秒HTML ミリ秒試用期間 日初期費用 月額費用 転送量 GB/日
907 711 10 0–3,000 円140–4,000 円5–50
1,014 797 14 1,500–5,000 円126–4,800 円50–2,000
1,099 710 14 1,500 円300 円5
1,116 806 14 1,029–5,142 円129–4,628 円40–200
1,137–1,504 741–786 10 1,500–3,000 円100–2,300 円100–∞
1,216 802 0 934 円100–1,200 円!
1,274 652 10 0 円1,500–3,500 円0.17–∞

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されており、全てを評価することは不可能です。さらに共用サーバーの場合、処理性能は他サイトの負荷に大きく左右されるため、間違いなく当たり外れが存在します。hostingstockで公開している結果はそれらのうちの一つに過ぎませんが、良い結果でも悪い結果でもそのまま掲載します。悪い結果であっても事業者側が「許容範囲内の品質」として提供したサービスである以上、特別な理由がない限り別サーバーでの再測定は行いません。

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