Webサイトの表示速度はトップクラスですが⋯Z.com WordPressサーバーのベンチマーク

半年前のベンチマークでは測定期間の半分が原因不明のエラーとなり、測定できた残り半分も良いとは言えない結果でした。再測定しようにも、仕様が変更されない限り同じ結果となるため意味がありません。

そう思っていたところ、公式サイトが刷新されました。そして、それに伴い仕様が少し変更されています。サーバーに関する仕様に具体的な更新はないようですが、この半年間で何かしら変化がある可能性もあるため、再度測定することにしました。

レンタルサーバーを検討する際、大事なポイントはWebサイトの表示速度です。レスポンスが悪ければ訪問者にストレスを与え、検索順位にも悪影響です。もう一つはサーバーの処理性能であり、表示速度はもちろんのこと高負荷時(アクセス増加時)の安定性に大きく影響します。

それでは半年ぶりに性能評価を行い、前回の結果や他社との比較を行ってみましょう。

Z.com WordPressサーバーの全てが分かる
Z.com WordPressサーバーのレビュー

測定方法

WordPressをインストールしたWebサイト(サーバー)を利用します。

  • 「ランダムな3,000文字/記事」の投稿と削除
    • 100記事をまとめて投稿、投稿後に全削除
    • 1記事ごとの生成処理を含む
  • 投稿と削除はWordPressの標準関数を利用
    • wp_insert_post、wp_delete_post

これらの処理を「5分間隔」で実行し、一連の処理時間を測定します。つまり、「PHPとデータベースの処理性能」を確認します。データセンター内(またはサーバー内)で完結する処理なので、外部ネットワーク環境の影響を受けません。

負荷について
100件程度は大した負荷ではありません。しかし、共用サーバーなので高負荷とならないように、1件ごとにwait処理を差し込んでいます。

測定結果

結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw(未加工) 863回 - - 0%
(0回)
6.67秒 6.65秒 0.42秒
棄却検定 0.35%
(3回)
7.61秒 6.67秒 6.64秒 0.33秒
測定結果について
72時間(3日間) の測定結果です。X軸は時刻(0時~24時)を表し、各時刻の値は3日間の平均値です。有効測定数はエラーを省いた実測定数です。
測定のタイミングによりサーバーの負荷状態(混雑具合)が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値(外れ値)を棄却検定Grubbs' test(α=0.001)により省いています。
ばらつき(標準偏差)は、処理の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。ばらつきが小さいほど処理性能が安定します。

Z.comの評価

測定対象のWordPressは「FastCGI版PHP5.6」で動作しています。バージョンは固定であり、wpXのように切り替えることはできません。

前回の測定では半分以上がエラーとなり、まともに測定できませんでした。今回は完走しており、制限が緩くなった可能性はあります。これならCronの代用として、外部からのアクセスによるスクリプトの実行も可能でしょう。

とは言え、前回と比較して処理時間に変化はありません。前回の測定結果も平均値だけなら間違いではなかったようです。

他のサービスと比較すると、サーバーの処理性能はそれほど高くないことが分かります。しかし、時間帯に関係なく一定の処理性能を維持しており安定感はあります。Cronがないため、負荷のかかりにくい環境であることも影響しているでしょう。

やはりキャッシュ機能は鬼門か

結果 有効測定数 除外数 棄却閾値 エラー 中央値 平均値 ばらつき
Raw(未加工) 532回 - - 38.4%
(332回)
19.6秒 24.1秒 13.2秒
棄却検定 0.00%
(0回)
58.9秒 19.6秒 24.1秒 13.2秒

キャッシュが有効でも無効となるように測定しているので、前述の測定結果に間違いはありませんが、念のためにキャッシュ機能をオフにした状態でも測定しています。

するとこのような結果となりました。理由は不明ですが、処理時間が異常なほど長くなり、全体の40%がエラーとなりました。

測定ログを確認すると、測定開始から徐々に処理時間が延びています。500回〜600回で測定プログラムで設定しているタイムアウト(60秒)に達したため、その後は全てエラーとなっています。

それ以降、測定プログラムが実行されない状況となりました。キャッシュの有効無効を切り替えたり、キャッシュを削除したり、ファイル名やディレクトリを変更しても動作しません。内部的な仕組みは不明なため、おそらくサポートに対応してもらうか初期化する以外に対処方法はないようです。

エラーログを確認すると、測定プログラムから呼び出されるWordPress内で発生しているようですが、分かったところで対応できません。

WordPressの動作に問題はないようですが、やはり以前と同様にイレギュラーなアクセスを行うと、トラブルの原因となるようです。おそらく不正アクセスに対する仕様だとは思いますが、キャッシュを無効にしたままの運用はNGのようです。とは言え、キャッシュを無効にするならZ.comを利用する意味がないため、不具合とは判断できませんね。

wpXレンタルサーバー、wpXクラウド、COREPRESS Cloud、XSERVERとの比較

  Z.com
PHP5/FastCGI
wpX
PHP5/FastCGI
wpX Cloud
PHP5/FastCGI
COREPRESS Cloud
PHP5/FastCGI
XSERVER
PHP7/FastCGI
有効測定数 863 864 864 864 864
棄却検定除外 0.35%(3) 0.00%(0) 0.00%(0) 6.37%(55) 1.27%(11)
棄却検定閾値 7.61秒 3.27秒 3.19秒 6.72秒 3.41秒
エラー 0%(0) 0%(0) 0%(0) 0%(0) 0%(0)
中央値 6.67秒 2.41秒 2.25秒 5.21秒 2.23秒
平均値 6.64秒 2.40秒 2.24秒 5.25秒 2.28秒
ばらつき 0.33秒 0.27秒 0.28秒 0.32秒 0.25秒
変動係数 4.97% 11.3% 12.5% 6.10% 11.0%
変動係数
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値(処理時間)が近い場合、変動係数が小さいほど安定します。

他のWordPress専用サービスと比較してみましょう。

比較対象は、wpXレンタルサーバー、wpXクラウド、COREPRESS Cloudです。さらに、汎用的なレンタルサーバーとしてエックスサーバーを加えています。

やはりXSERVER社のサービス(両wpX、エックスサーバー)は、一般的なレンタルサーバーとしては最高クラスのハードウェアを採用しているため、他のサービスを含めてもトップクラスの性能があります。さらにWordPressサイトの表示速度も頭一つ抜き出ています。wpXの場合、PHP7にも対応しているためさらに改善される可能性があります。

COREPRESS CloudはZ.comの姉妹サービスであり、料金体系が異なるだけで仕様は同じです。この結果を見るとCOREPRESS Cloudの方が処理性能が高いようです。ただし、Webサイトのレスポンス性能は同程度なので、料金体系を比較して選択するとよいでしょう。

WordPress専用サービスはwpXが圧倒的に優れています。wpXもキャッシュ機能で高速化していますが、元々の基本性能も高いことが分かります。さらに、キャッシュを細かく制御できるため、Z.comのような症状が発生しても対応しやすいという特徴があります。

Z.comは素晴らしいサービスですが、wpXと比較するとどうしても劣ってしまいます。

各サービスの公式サイト
  Z.com WordPress / wpXレンタルサーバー / wpXクラウド / COREPRESS Cloud / エックスサーバー

他のレンタルサーバーとの比較

公式サイト 環境 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

1.71.670.070

PHP7/CGI

1.821.830.220

1.941.950.070

PHP7/CGI

2.0220.140

PHP7

2.152.120.321

2.162.170.080

PHP7

2.172.130.240

2.182.150.30

2.242.250.280

PHP7/FastCGI

2.282.230.250

PHP5/CGI

2.42.410.270

PHP5/CGI

2.412.390.150

2.522.430.330

PHP7

2.712.680.348

2.722.660.3735

PHP7/FastCGI

2.732.70.30

PHP5/FastCGI

2.732.680.270

2.862.860.090

PHP5

3.032.960.380

3.13.150.310

PHP7/Module

3.113.120.080

PHP&MySQL

3.113.010.330

3.133.140.070

PHP5/FastCGI

3.143.090.210

3.142.90.630

3.142.960.680

PHP7/CGI

3.193.190.130

3.23.180.110

PHP5

3.513.470.398

PHP5/FastCGI

3.613.60.40

3.643.60.290

WordPress

4.183.891.090

PHP7

4.224.070.470

4.224.270.30

4.424.430.180

4.54.470.580

PHP5/CGI

4.564.450.560

PHP5

4.964.860.450

PHP5/Module

5.124.960.80

PHP7

5.164.242.230

5.184.691.240

5.255.210.320

PHP7

5.255.170.370

5.315.320.110

PHP5

5.315.230.560

PHP7

5.675.520.740

5.715.590.450

PHP5

5.885.80.360

6.055.920.580

PHP5

6.455.152.640

PHP5

6.456.330.770

6.526.490.760

PHP5/FastCGI

6.646.670.330

6.96.910.130

ライト

7.416.932.160

8.37.313.550

14.49.341461
注意
最新の測定結果を優先的に表示するため、記事作成時の評価とこの比較結果(表のデータ)が異なる可能性があります。

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されています。測定結果はその中の1つに過ぎません。契約時期で割り当てられるサーバーのスペックは異なり、さらに、同じサーバーに収容される他契約者の負荷に大きく左右されます。

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