バリューサーバーとコアサーバーのIPアドレス分散サービス VALUE-IP

バリューサーバーとコアサーバーを運営するバリュードメイン (GMOデジロック) が簡単にIPアドレス分散を可能とする VALUE-IP を開始しました。

対象サービス
バリューサーバー、コアサーバー、XREAのオプションサービスとなります。

共用レンタルサーバーの場合、1つのIPアドレスを複数のドメインで共有するため、基本的に同じサーバーにあれば違うサイトでもIPアドレスは同じです。つまり、バリューサーバー等の共用レンタルサーバーで複数のサイトを運営した場合、それらのサイトはすべて同じIPアドレスになります。

IPアドレスが同じであることに問題があるかと言えば、何もありません。検索結果の順位が良くなるというSEO効果を目的として、IPアドレスを分散させることも過去にありましたが、最近ではあまり効果がない (意味がない) ようです。そのあたりの詳しい話は「SEO IP分散 無意味」などで検索するといろいろと見つかります。

IPアドレス分散の簡単な歴史

検索順位を上げるには被リンクを集める必要があります。もちろん「自作自演」も可能であり、予算がなければ同じサーバーに被リンク用のサイト (いわゆる、サテライトサイト) を量産すればよいのです。しかし、検索エンジンも馬鹿ではないので、同じサーバー (近いIPアドレス) にあるであろうサイトからの、明らかに異常と思われるリンクを不正と見なすようになりました。

そこで、IPアドレス分散というサービスまたは手法が採用されるようになりました。IPアドレスが大きく違えばサーバーも違うため「自作自演じゃありませんよ」と検索エンジンを騙そうとした訳です。

しかし、最近の検索エンジンはコンテンツの品質を最優先として、内容のないサイトからのリンクを評価しません。IPアドレスを変えたところで、被リンク用のサイトの中身がペラペラであれば尚更です。もちろん、サテライトサイトが充実していれば意味がありますが、そこまで有用なサイトであればIPアドレスを分散させる意味はなくなります。

VALUE-IPの公式サイトを見ても IPアドレス分散のメリットをほとんど説明していません。SEOでなくとも何かしらの効果があるならもっとアピールしてもよいはずです。

注意事項
IPアドレスが割り当てられますが、「専用のIPアドレスではありません」。そのため、IPアドレス形式のSSLサーバー証明書は利用できません。

VALUE-IPのメリット

本当のメリットは、「キャッシュ機能」と「HTTP/2対応」でしょう。

キャッシュ機能

世界中に配備されたサーバーがサイトのコンテンツ (リソース) をキャッシュします。ブラウザからのリクエストに対してキャッシュデータを返すことで、元のサーバーに対する負荷を削減します。例えば、WordPressによるサイトの場合、PHPやデータベースが動作するためレスポンスが少し遅くなりますが、キャッシュが利用されることそれらの処理が発生せず、その結果レスポンスが改善されます。

リージョン (サーバーのある地域) が選択でき、「国内サーバー」と「世界サーバー」を選択できます。公式サイトによると、メリットは以下の様になっています。

  • 国内サーバー
    • 国内向けサイトに最適。
    • レスポンスが速く、キャッシュ機能により、さらに高速化が期待できます。
  • 世界サーバー
    • 広範囲でのIPアドレス分散
    • 規定の転送量内であれば、格安

語弊はありますが、CloudFlareのようなCDN (Content Delivery Network) と考えるとわかりやすいかもしれません。

あくまでも予想ですが国内分散サーバーの場合、同じデータセンターにキャッシュサーバーがフロントエンドとして動作するだけなので、他社のキャッシュ機能とそれほど変わらないかもしれません。とは言え、確実にレスポンスが改善されるというメリットはあります。

最初からキャッシュ機能を標準装備しているサービスもあるため、オプション料金との兼ね合いといったところでしょう。

HTTP/2対応

現在主流のHTTP/1.1では、一度の通信で取得できるファイルは1つでありとても非効率です。そこで、HTTP/2では、1回の通信で複数のファイルを取得可能とすることでレスポンスを改善しています。ただし、単純に○倍速くなるという仕組みではありません。

すでに主流のブラウザはHTTP/2に対応しており、意識しなくとも利用しているはずです。例えば、Google、Facebook、TwitterではHTTP/2が採用されています。

VALUE-IPはHTTP/2に対応しています (サービスを勧めておいて対応していないと困ります)。しかし、VALUE-DOMAINは非対応です。両社のレスポンスを比較してみましょう。

これはChromeのデバッグツールの画面です。ChromeのHTTP/1.1に対する同時接続数は6個が上限となっており、どれかの受信処理が終わらない限り、残りのファイルを取得できません。

HTTP/2に対応したサイトであれば、同時接続数の制限を受けずにファイルを取得することができます。

仕組みを考えれば分かりますが、HTTP/2は同時接続数の上限に対応するための仕様です。「リクエストの多いサイト」つまり、1つのページに多くのファイル (リソース) を利用しているサイトには効果がありますが、当サイトのようにシンプルなサイトにはあまりメリットがありません。例えば、Amazonのような明らかに多くのアクセスが発生しそうなサイトには効果があります。ブログ程度ではあまり恩恵がないかもしれません。

注意事項
HTTP/2を有効にするためには、サイトのSSL化 (HTTPS対応) が必須となります。VALUE-IPのオプション料金に併せてSSL証明書の料金も必要となります。

HTTP/2対応の確認方法

VALUE-IPとは関係がありませんが、HTTP/2に対応しているサイトかどうかは、Google Chromeの「HTTP/2 and SPDY indicator」というプラグインで確認できます。

HTTP/2 and SPDY indicator

ほかにも「nghttp2」というライブラリも利用できます。Macユーザーであればhomebrewで簡単に導入できます。

両方の結果を比較してみましょう。

VALUE-IPが対応、VALUE-DOMAINが非対応であることが分かります。

料金

  国内分散サーバー 世界分散サーバー
初期費用 無料 無料
1 IP 300(324)円 250(270)円
10 IP以上 200(216)円 150(162)円
100 IP以上 150(162)円 100(108)円
1000 IP以上 100(108)円 80(87)円

1IP毎の月額料金です。多く利用するほど単価が安くなります。

世界分散サーバーについて
転送量に上限があります。国内分散より安いと思いますが、50GB/月までが基本料金となり、超過分については10円/1GBが加算さえます。
期間未定で 3ヶ月無料キャンペーンを行っています。

おわりに

IPアドレス分散はあまり意味がないような気もしますが、キャッシュ機能とHTTP/2対応は魅力的です。コアサーバーやバリューサーバーをすでに利用していて、レスポンスに不満があるなら試してみる価値はあります。

HTTP/2を利用するためにはSSL化が必要ですが、すでにドメイン認証SSLという格安なSSL証明書をバリュードメインで取り扱っているため、わずか月額100円程度でサイトのSSL化に対応できます。

バリューサーバーやコアサーバーにはお試し期間があります。また、オプションであるVALUE-IPにも10日間のお試し期間があるので気軽に試してみてはいかがでしょうか。

関連記事

BLOG

UPDATE