Bizメール&ウェブ エコノミー はサービスの提供を終了しました。

堅実な基本性能と使いやすさ NTT Bizメール&ウェブ エコノミーのレビュー

Bizメール&ウェブ エコノミーはNTTコミュニケーションズが運営するレンタルサーバーです。公式サイトを眺めていると法人向けに思えますが、個人でも問題なく利用できます。NTTコミュニケーションズということもあり、フリーダイヤルによる電話サポート対応を含め抜群の安心感があります。基本機能はしっかりしており何をするにも困ることはないでしょう。

一般的なレンタルサーバーとの大きな違いは、「1つの契約につき1サイト (1ドメイン) のみ」ということです。マルチドメイン非対応なので、複数のサイトを運営することはできません。

安定性と信頼性を必要とする重要なサイト運営にお薦めできるサービスです。1つのレンタルサーバーで、いくつものサイトを運営したいという目的には向きません。

各プランの比較

Bizメール&ウェブ エコノミーは 1プランのみ です。

NTTコミュニケーションズには「Bizメール&ウェブ ビジネス」と「Bizメール&ウェブ プレミアム」もあります。しかし、プレミアムについてはVPSサービスなので割愛します。ビジネスには「ライト」と「ベーシック」の2つのプランがあります。簡単にビジネスと比較してみましょう。

ビジネスも1契約につき1サイトです。プレミアムになるとマルチドメインに対応します。

仕様を比較すると目立つような差はありません。ディスク容量についてはエコノミーが上回ります。「ビジネス」と「エコノミー」の違いは「代行サービスやオプションの充実度」です。「ビジネス」であれば手厚いサポートを受けることができるため、あまり知識のないユーザーでもお任せでサイト運営が可能です。「エコノミー」は、ユーザーが全てを自己責任で管理することになり、この部分が料金差となっています。

おまかせ!ホームページ制作更新パック

エコノミーにも「おまかせ!ホームページ制作更新パック」という代行サービスがあります。ホームページ運営に時間を割けない方のために、ホームページの作成から更新までをお任せすることができます。

お試し期間や最低利用期間など

お試し期間はありませんが、初期費用不要で最低利用期間は1ヶ月となっています。気になるようであれば 1ヶ月分だけ 利用することができます。

少し説明を追加するなら、契約月の利用料金は無料となり、翌月から課金対象となります。ただし、契約月に解約した場合、1ヶ月分の費用が請求されます。つまり、月頭に契約して翌月末に解約すれば、1ヶ月分の料金で約2ヶ月ほど利用できるためお得です。

データセンター

NTTコミュニケーションズのデータセンターが利用されます。全国に複数あり、どのデータセンターかは非公開です。当サイトで契約したサーバーについては、大阪のデータセンターとなっているようです。大阪であれば大阪市北区堂島、大阪府大阪市西区西本町にあります。

他にも、東京、名古屋、仙台、札幌、広島、福岡、那覇にあるようです。

コントロールパネル

契約情報を管理する「マイページ」とサーバーを管理するコントロールパネルの2種類があります。マイページはあまり利用することはありませんが、どちらもレスポンスがよく使い勝手に優れます。

マイページ (契約情報管理)

解約手続きや契約者情報の編集を行えます。

サーバー管理用コントロールパネル

必要十分な機能が備わっており、初心者でも使いやすいコントロールパネルです。NTTらしく非常に詳細なマニュアル (PDF) があるため、操作方法で困ることはまずないでしょう。

転送量制限

転送量の上限は非公開です。瞬間的な処理能力の上限として「20〜60PV/分」という表記があります。この数値はビジネスのライトプランと同等であり、メール送受信の制限も同じであることから、エコノミーの転送量制限は「40GB/月」と予測できます。

ただし、基本的に転送量の制限はありません。この数値を超えたとしても追加料金が発生するわけでもありませんし、サイトへのアクセスが停止される訳でもありません。しかし、共用サーバーなので他の契約者を保護するために、レスポンスが低下するなどのペナルティを受ける可能性はあります。

瞬間的な処理能力
1ページが10KB×10ファイルの場合。SSL使用時は、1/3~1/5となります。

SSLの仕様

固定IPアドレス (グローバルIPアドレス) が提供されるため、他レンタルサーバーのようなIPアドレスオプションの料金が不要です。コントロールパネルに証明書をインストールするための機能があるため、ユーザー自身で設定することができます。

利用できるSSLサーバー証明書に制限がありますが、あくまでも公式にサポートする証明書です。ユーザー責任となりますが「Let's Encrypt」など、公式対応していない証明書を導入することも可能です。

対応証明書
合同会社シマンテック・ウェブサイトセキュリティのセキュア・サーバID、グローバル・サーバID
グローバルサイン株式会社のクイック認証SSL、企業認証SSL
共用SSL
共用 (共有) SSLに対応しています。「http」を「https」に変更するだけで利用できます。ただし、ブラウザによっては警告が表示されます (他のレンタルサーバーでも同じです)。

ドメインの仕様

マルチドメイン非対応であり、契約時に登録したドメインのみ利用できます。1契約につき1サイト (1ドメイン) となるため、複数のサイトを運営したい用途には向きません。

ドメインは4種類のパターンがあります。

  1. サーバーのみ契約
  • サブドメインが提供されます。サイトのURLが「ログインID.ec-net.jp」となります。
  • 独自ドメインが不要です。
  1. サーバーとドメインを同時に契約
  2. 他社で取得済みのドメインを 移管して サーバーを契約
  3. 他社で取得済みのドメインを 移管せずに サーバーを契約

「1」であれば、独自ドメインがなくてもサイト運営が可能です。独自ドメインを利用するなら「1」以外となります。「2」と「3」は登録料金や移管料金が無料なのでお得に思えますが、更新料金はあまり安くありません。

予算を抑えるなら「4」となるでしょう。「4」の場合DNSサーバー (ネームサーバー) が提供されないため、ユーザー自身でDNSレコードの編集が必要となります。設定方法については下記を参考にしてください。

日本語ドメイン
非対応です。
DNSレコードの編集
非対応です。
サービス用ドメイン
コントローパネル、Piwik、phpMyAdminなどへアクセスするために「ログインID.bizmw.com」というドメインも利用されます。

データベース

データベース数に制限はありません (常識の範囲内に限ります)。一般的なレンタルサーバーの様にコントロールパネルにデータベースを操作する機能はありません。データベースやユーザーの追加など、全ての操作を phpMyAdmin を介して行います。

ユーザーを自由に作成できるなど、比較的制限の緩やかな仕様となっています。例えば、外部接続を許可するユーザーを作成すれば、外部からのアクセスも可能となります。この場合、phpMyAdminでなくとも管理可能となります。しかし、データベースの操作に慣れていなければ、初期ユーザーのまま利用する方が安全です。

サポートについて
phpMyAdminの利用方法についてはサポート対象外です。
接続情報 (初期状態)
許可ホスト localhost / ドメイン名 / IPアドレス
ポート 3306
対応エンジン
MyISAM (初期設定) / MRG MYISAM / CSV / InnoDB / MEMORY /PERFORMANCE SCHEMA

FTPやディレクトリ構造

FTPアカウント数は無制限ですが、単独でFTPアカウントというものは存在しません。詳しくはマルチユーザー機能の説明をご覧ください。

セキュアなFTPSにも対応しているため、安全なファイル転送が可能です。

ディレクトリ構造は上図のようになります。

どのディレクトリにもアクセス権(編集権)があるため、例えば公開したくないファイルを保存するためのディレクトリを「/htdocs」より上位に作成することも可能です。

代表的なディレクトリには以下の様な役割があります。

非対応
SFTP / WebDAV / SCP

ファイルブラウザ

コントロールパネルにファイル管理の機能があります。簡単な操作であればFTPクライアントがなくても十分です。

機能
アップロード、ダウンロード、ファイル作成、ディレクトリ作成、削除、圧縮、コピー、移動、名称変更、属性の編集、ショートカット作成、ファイルの編集 (テキスト)

メール機能

メールアドレス数は無制限となっていますが、100アカウント未満が推奨となっています。おそらくウェブメール「Active! mail」の上限に併せているのでしょう。

FTPアカウントと同様に単独でメールアカウントというものはありません。マルチユーザー機能があり、各ユーザーアカウント毎にメールアカウントが付与される仕様となっています。

法人向けサービスということもあり、メール機能は非常に充実しています。

各設定はメールアカウント (ユーザーアカウント) 毎に適用されます。

メール制限
最大25MB/通となりますが、8MB未満/通が推奨されます。
750通/時間が上限ですが、12通/分が推奨値となっています。

メールフィルタ

メーリングリスト

ウェブメーラー

ウェブメーラーとして「Active! mail」が採用されています。法人向けレンタルサーバーでは定番ですが、大学などの公的機関でも採用が多い信頼性の高いメーラーです。

100アカウント まで対応しています。メールアドレス数の推奨値を100未満としているのは、Active! mailの上限に併せているからでしょう。

スマートフォンにも最適化されており、どのような環境でも使いやすいアプリケーションです。

PHPの仕様、他の言語について

Bizメール&ウェブのPHPは「CGI/FastCGI」で動作しています。複数のバージョンが用意され、コントロールパネルで切り換えることができます。「php.ini」は「~/www/php.ini」に配備することで機能します。「.user.ini」はどのディレクトリでも機能します。

PHPの対応バージョンについて
2016年10月に5.6が追加されました。2017年3月末で5.5と5.4が廃止され、4月以降は5.3と5.6のみ対応予定です。

cron (タスク管理)

「タスク管理」という名称ですがcronに対応しています。設定数に制限はなく、最短実行間隔は 1分 です。

ある程度のパターンはプリセットされており、実行タイミングはメニューから選択するだけです。他のレンタルサーバーと比較しても簡単であり、初心者でも悩まずに設定可能です。また、実行結果を指定したメールアドレス宛に通知することも可能です。

登録済みタスクの「停止と再開」「再編集」にも対応しています。実行日時や間隔は細かな設定も可能であり、曜日毎の設定もできます。

プリセット
標準パターン 毎年 / 毎月 / 毎日/ 毎時 / リブート時
日時指定 毎分 / 2分毎 / 5分毎 / 10分毎 / 15分毎 / 2時間毎 / 4時間毎 / 6時間毎

ログ、アクセス解析

Webサーバー (Apache) のアクセスログとエラーログが提供されます。「~/www/los」ディレクトリに「access log-日付.gz」「error log-日付.gz」が自動的に出力されます。

PHPのエラー
PHPのエラー確認が必要であれば、「php.ini」や「.user.ini」でエラー出力の設定をします。

Piwik (ピーウィック) と呼ばれるオープンソースの高機能アクセス解析ツールが標準装備されています。アクセス解析と言えば、Google Analytics が有名ですが、機能的に大きく劣ることはありません。もし、Google のアカウント取得が面倒であれば、こちらを利用してもよいでしょう。

アクセス解析として基本的な機能は網羅され、訪問者のリアルタイム確認にも対応しています。少し面倒かもしれませんが、解析を要するページにトラッキングコードを埋め込む作業が発生します (Google Analyticsでも同じです)。

しかし、このPiwikは決して軽いアプリケーションではありません。初期設定のまま利用すると、明らかにWebサイト (PHPやデータベースを利用する) のレスポンス性能が落ちます。もちろんリアルタイムレポート機能を無効にするなど、負荷を下げる設定は可能ですが、利用する場合は注意が必要です。

バックアップ機能

「手動バックアップ」と「自動バックアップ」が標準装備となっています。

手動バックアップは非常に簡素なものです。ワンクリックで「~/www/cgi-bin」 と 「~/www/htdocs」のアーカイブ (tar.gz) を「~/backup」に保存できます。スケジューラによる自動実行などの機能はありません。また、データベースやメールデータは対象外となるため、ユーザー自身によるバックアップが必要です。

バックアップデータからの復元にも対応しています。

自動バックアップは毎日午前1時から5時までに実行されます。うっかり削除や編集してしまったファイルをバックアップ実行時のデータに戻すことができます。世代管理のような仕組みはないため、復元できるのは前日 (バックアップ時) の状態までとなります。

手動バックアップと異なり、全ディレクトリが対象となります。ただし、データベースは対象外です。

マルチユーザー機能

Bizメール&ウェブはマルチユーザー機能に対応しています。

アカウントの種類は「管理者」と「利用者」に分類されます。「管理者」は契約者アカウントのみですが、「利用者」アカウントは無制限に追加できます。すこし物足りない仕様ですが、いろいろな用途に活用できます。

「利用者」には、FTP、メール、ウェブエイリアス (ウェブ) の権限を割り当てることができます。つまりこのアカウントにFTPアカウントとメールアカウントが紐付きます。

利用者アカウントには制限があります。FTPでアクセス可能な領域は「~/users/利用者ID」のみです。このアカウントでWebサイトのファイル (~/www/htdocs) を操作することはできません。

「共有ファイル」機能というものがあり、管理者が公開ディレクトリの共有を許可すれば、利用者アカウントでも操作可能となりますが、ファイルブラウザ (コントロールパネル) での操作に限定されます。残念ながらFTPには反映されません。

例えば、外部のデザイナーなど、共同作業者に一時的なアカウントを発行する際に利用できますね。

ウェブエイリアス機能
「利用者」専用の公開ディレクトリを設定できます。例えば、「http://example.com/任意の文字列/」というURLで「利用者」のコンテンツにアクセスできます。
ディレクトリの実態は「~/users/利用者ID/www/htdocs/任意の文字列」となります。

利用者アカウントでもコントロールパネルにアクセスできます、操作可能な機能はメール設定、ファイル管理、アカウント設定 (主にパスワード変更) となっており、関係者にアカウントを発行して運用は任せるという使い方ができます。

ファイル共有機能

Bizメール&ウェブの追加FTPアカウントはユーザー専用のディレクトリ(~/users/利用者ID)のみアクセスが許可されており、例えばウェブサイトのドキュメントルート(~/www/htodcs)へはアクセスできません。管理者アカウントのみが全てのディレクトリにアクセス可能です。

この仕様のため、他の人にもサイト管理を任せるなら管理者アカウントを教える必要があります。よほど信頼できる人でなければ、契約内容まで操作できるアカウントを教えることは難しいでしょう。

そこでファイル共有機能が役に立ちます。これは全てのユーザーでディレクトやファイルを共有する機能です。例えば管理者がドキュメントルートを共有すれば、他の利用者がそのディレクトリ(を含む全て)を操作可能となります。ファイルを指定すればファイルのみ共有されます。

ただし、共有されたディレクトリやファイルを操作できるのはコントロールパネル経由に限定されます。FTPには反映されません。

ソフトウェアやハードウェア

自動インストール対応
WordPress / PukiWiki
OS
CentOS release 6.6 (Final)
コマンド
sendmail / nkf / gzip gunzip / zip unzip / convert (ImageMagick) / uuencode uudecode / gcc / gs / curl / traceroute / ping / wget / sh / bash / tracepath / iconv
インストールを確認しただけであり、動作を保証するものではありません。
メモ
あくまでも推測ですがBizメール&ウェブのウェブサーバーはKVM(ハイパーバイザ)で動作しているようです。

その他の機能

アクセス制限
コントロールパネルでBASIC認証の設定が行えます。IDとパスワードでサイトへのアクセスを制限できます。
セキュリティ対策
「サーバープラットフォームを監視しコンピュータウィルス、ワームやクラッキング等の攻撃行動に対応し、現在考えられる最善のセキュリティ対策を実施しています。」と明記されています。
非対応
SSH

サポート対応

フリーダイヤルによる電話サポートに対応しています。急ぎの要件でなければ「お問い合わせフォーム」も利用できます。

サポートとは関係ありませんが、公式サイトの構造が残念なことになっています。必要な情報があちこちに散らばっており、探し出すのに苦労します。そもそも情報が薄く、実際に契約してから分かることが多かったように思えます。せっかくの素晴らしいサービスが台無しです。

しかし、その残念さを補って余りあるほど詳細なマニュアル (PDFファイル) が存在します。他のサービスでは比較にならないほどの詳細さがあるため、操作に迷うことはないでしょう。このあたりは良くも悪くもNTTらしいなと思います。

支払い方法

以下の3種類に対応しています。

クレジットカード
Visa、American Express、MasterCard、JCBに対応しています。
請求書払い
後払いとなります。指定した請求先に請求書が送付されます。
契約時にフリーメールは利用できません。
OCN合算
もしOCNを利用している場合、支払いをまとめることができます。

おわりに

使うほどに使いやすいと感じるレンタルサーバーです。コントロールパネルのレスポンスがよくストレスを感じることがありません。必要十分な機能が揃っており、メールについては非常に高機能です。

その分、マルチドメイン非対応という仕様が残念です。初期費用が不要とはいえ、この月額料金であればマルチドメイン対応の高性能な他社レンタルサーバーが選択肢となってしまいます。

もし、NTTブランドという安心感や、手厚いサポートを必要とするなら悪い選択ではありません。個人事業主や規模の小さな事業者向けのサービスと言えます。


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