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少し注意が必要なBizメール&ウェブ エコノミーのファイル転送性能

Bizメール&ウェブ エコノミーはNTTコミュニケーションズが運営するレンタルサーバーです。初期費用は無料であり、月額費用も手厚いサポートを考慮すればリーズナブルではないでしょうか。

レンタルサーバーを選ぶときにFTP性能を気にする人はほとんどいません。しかし、Webサイトのデザインや機能を頻繁に更新する用途であれば、ファイルの転送速度が遅いだけで作業効率が悪くなり、ストレスにもなります。

それでは、Bizメール&ウェブ エコノミーのファイル転送性能を評価してみましょう。

Bizメール&ウェブ エコノミーのFTP仕様

セキュアなFTPSにも対応しており安全なファイル転送が可能です。

FTPアカウント数は無制限ですが、単独でFTPアカウントというものは存在しません。Bizメール&ウェブ エコノミーにはマルチユーザー機能があり、FTPアカウントは各ユーザーアカウントに付与されます。

しかし、追加アカウントでアクセス可能な領域は「~/users/利用者ID」以下のみです。このアカウントで公開ディレクトリ (ドキュメントルート) 配下を操作することはできません。

「共有ファイル」という機能があり、管理者が公開ディレクトリの共有を許可すれば、追加アカウントでも操作可能となりますが、ファイルブラウザ (コントロールパネル) での操作に限定されるため、残念ながらFTPクライアントでは操作できません。

測定方法

5分毎 にアップロードとダウンロードを実行します。

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP) レスポンス性能の評価に利用しているサイト (ページ) を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB (約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないので、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを (完全ではありませんが) 防げます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

Bizメール&ウェブ エコノミーはNTTコミュニケーションズのデータセンターで運用されています。東京、大阪、名古屋、仙台、札幌、広島、福岡、那覇、全国各地にありますが、具体的な場所は非公開となっています。当サイトで契約しているサーバーは、あくまでも推測ですが大阪のデータセンターのようです。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX (インターネットエクスチェンジ) 等を含みます。測定元はK-Opticom (インターネットプロバイダ) のネットワーク内、関西圏 (赤い円) にあるサーバーです。

サーバーは 測定専用 として測定以外の処理は行っていません。

測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しているといえます。

Bizメール&ウェブ エコノミーの評価

平均値だけを見れば非常に優秀な結果です。しかし、エラーの発生割合が 約3% (UP)、 約2% (DOWN) もあります。理由は不明ですが、FTPの仕様が少し特殊なことが原因のようです。この測定だけでなく、一般的なFTPクライアントでの操作中にも何かしらのタイミングでエラーが発生するため、測定プログラムの問題ではなさそうです。

ネットワークの問題とも考えられますが、同時期に測定しているWebサイト (HTTP) の測定結果に問題はないことから、やはりBizメール&ウェブ エコノミーのFTP仕様の影響と思えます。

あくまでもFTPクライアントを操作してみての傾向ですが、操作後しばらく間を空けるとエラーが発生しやすいようです。別のディレクトリを読み込むなど、一度でも更新されるとその後は問題なく動作します。少し問題ですが、この測定のように断続的に操作することはあまりないでしょうから、あまり気にならないかもしれません。

棄却検定による除外数が多いことも気になりますが、理由ははっきりとしています。未加工データを見ると最終日前からレスポンスが悪化しており、その結果が大きく影響しています。遅くはなっていますが、元々の性能が良いため我慢ができないほどの変動でもありません。この時期にエラーが集中しているわけでもないため、上記の仕様とは関係なく単純にレスポンスが悪くなったようです。

Bizメール&ウェブ エコノミーの基本性能は非常に高いようですが、何かしらの制御が働いているようです。突然発生するエラーは気になるかもしれません。ただ連続的に操作する場合は発生しないため、一般的なに利用方法であれば気になることはないでしょう。もし、FTPクライアントを繋ぎっぱなしで作業を行うなら、再操作時のエラーが気になるかもしれません。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05

当サイトで測定した各レンタルサーバーのFTP転送性能です。詳細は各リンク先をご覧ください。

平均値だけなら相当に優秀なレンタルサーバーであることが分かります。実際にFTPクライアントで利用してみても、非常にレスポンスが良いことがわかります。これだけの性能がありながら (特定のタイミングに限られるにしても) エラー発生率の高さは少し残念です。しかし、このような5分間隔でFTPを利用することはまずありえませんし、間を空けずに利用するならエラーは発生しません。

Webサイトのレスポンスは非常に安定しており、NTTコミュニケーションズによる手厚いサポートが必要であれば選択肢の1つとなるでしょう。

同価格帯のお薦めサービス
【レビュー】KAGOYA
【レビュー】heteml
【レビュー】XServer

測定結果 (未加工データ)


測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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