SEO対策のサテライトサイト運営に最適なIQサーバーのレビュー

IQサーバーはクイッカ(Quicca)で有名なエムフロが提供する、少し特殊なサイト運営を手軽に実現するためのサービスです。 できないことはありませんが、一般的なブログなどのWebサイトを運営するためのものではありません。 「クラスC分散IP」など、情報の少ない公式サイトでは分かりにくい部分を紹介します。

IQサーバーの特徴

初心者が「IP分散レンタルサーバー」と聞いてもいまいち理解できないでしょう。 公式サイトの説明が少なく、一般的なレンタルサーバーとの違いが分からないかもしれません。

IQサーバーの最大の特徴は、一つの契約で「重複しないIPアドレスを持つサーバーを10個利用できる」ということです。 いったいこれが何の役に立つのでしょう?

公式サイトで具体的な用途を説明できない理由は、主な用途がSEO対策となっているためです。 正しく運用すれば高い効果を発揮しますが、知識不足で運用すれば逆効果となるため、(責任を取れない)このようなサービスで具体的な用途や効果を説明することはありません。 要するに被リンク数を増やすことを目的とした、いわゆる「サテライトサイト」のためのサービスとなります。

もし一つのサーバーでメインサイトとサテライトサイトを運用した場合、ドメインが異なってもIPアドレスは同じなので、 Google等の検索エンジンから「自作自演」と認識される可能性が高くなります。 少数なら確率的に問題ありませんが、同じIPアドレスで運用される数十ものサイトからリンクが張られていれば、誰でもおかしいことに気付きます。

IQサーバーなら重複しないIPアドレスのサーバーが提供されるため、自然な被リンクとして認識されます。 もちろん単純なペラサイトでは効果がないため、ある程度のコンテンツは必要となるでしょう。

効果が不明なSEO対策を公言するわけにもいかないため、公式サイトで具体的な用途が明記されることはありません。 サテライトサイトの運用を目的としたサービスなので、機能も非常に簡素化されています。

国内IPプランと海外IPプランがあります。 料金的には海外がお得ですが、検索エンジンが海外IPアドレスからのリンクをどのように評価するのかは調査が必要です。

クラスCのIPアドレスとは?

以前までIPアドレスはアドレスクラスというもので管理されていました。 ネットワークの範囲(規模)を表すものとイメージすれば分かりやすいでしょう。

IPアドレスとは「0.0.0.0〜255.255.255.255」までの、ネットワーク機器(コンピューター)を識別するための住所のようなものです。

32ビット(2進数)で管理されますが、人間が認識しやすいように8ビットごとに区切り、10進数に変換されています。

00000000.00000000.00000000.00000000 (0.0.0.0)
〜
11111111.11111111.11111111.11111111 (255.255.255.255)

クラスAの範囲は「0.0.0.0〜127.255.255.255」となっています。 例えば、図のクラスAのネットワークアドレス一つで、約1,677万のホストアドレス(IPアドレス)が管理対象となります。 つまり、クラスAのネットワークアドレスを保有すれば、IPアドレス全体の1/256を利用できるとことになります。 例えばWikipediaを確認すると、AppleやIBMがクラスAを保有していることが分かります。 国内ではソフトバンクなどの大手ネットワーク事業者にクラスA、国立大学や大手企業にクラスBが割り当てられています。

クラスAからクラスEまでありますが、DとEはマルチキャストなどの特殊用途向けであり、一般的に割り当てられることはありません。 クラスB以上は限られた組織でしか保有できないため、IQサーバーのようにクラスCの提供が一般的なサービスでは限界でしょう。

以前まではクラスによる管理が行われていましたが、非常に無駄が多いこともあり、今ではより細かに管理できるCIDR(Classless Inter-Domain Routing)が採用されています。 無駄が生じる理由はクラス間の差が大きするためです。 例えばクラスC(256個)では不足するからと、クラスB(約6.5万個)にすると余り過ぎてしまいます。 詳細は省きますが、CIDRは従来のように大ざっぱなクラスで管理しないため、柔軟な運用が可能となっています。

簡単な説明でしたが、IQサーバーでの「クラスC」という用語は、IPアドレスのどの範囲を保証するかという抽象的な意味で使われています。 つまり「重複しないクラスCのIPアドレスを提供します」という意味になります。 具体的にはIPアドレスを「a.b.c.d」とすると、「a.b」は重複する可能性があっても、それ以降は重複しないIPアドレスを提供するということになります。 国内IPプランの場合、さくらインターネットが保有する膨大なIPアドレスから割り当てられます。

一般的なレンタルサーバーで、10個の重複しないIPアドレスを用意するのはかなり面倒です。 同じサービスの場合、異なる契約でも同じサーバーが割り当てられる可能性があります。 確実に異なるIPアドレスとするなら、異なるサービスやプランを契約するなど、それなりに手間と費用が必要です。 IQサーバーなら一つの契約で簡単にIPアドレスを分散できます。

公式サイトにある「DNSサーバー分散」もIP分散と同じような目的です。 ドメインの管理先は簡単に確認できるため、各サテライトサイトが同じDNSサーバーで管理されていれば、 IPアドレスと同様に「自作自演」と疑われてしまいます。 IQサーバーはAWS(Amazon Web Services)で多くのDNSサーバーを稼働させており、重複する可能性が低くなっています。

各プランの比較

海外IPプランと国内IPプランがあります。

プラン 海外IP 国内IP
初期費用 無料 無料
月額料金 1,500円 3,500円
IPアドレス (サーバー数) 10 10
ディスク容量 300MB 300MB
転送量 5GB/月 無制限
FTPアカウント 1 1
ドメイン 1 1
データベース 1 1
メールアカウント 3 3
Cron 3 3

特殊な仕様なので少し分かりにくいのですが、一つの契約で10個のサーバー(IPアドレス)が提供されます。 ディスク容量以降の数値は1つのサーバーに対するものです。

マルチドメイン非対応なので、10個のサイト運営が上限となります。

契約期間
1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月から選択できます。12ヶ月契約時は「5%」の割引が適用されます。
お試し期間
10日間のお試し期間があります。
お試し期間中、メールとCronを使用できません。

データセンター

国内サーバーはさくらインターネットのデータセンターを採用しています。 大阪、東京、北海道(石狩)のサーバーがほぼ均等に割り当てられます。

海外サーバーは、COLOCROSSINGSERVERMANIACORESPACEなど、主にアメリカやカナダのデータセンターを採用しているようです。

コントロールパネル

サテライトサイトの公開に必要となる最低限の機能のみ用意されています。 マニュアルの必要がないほどにシンプルなものです。

詳しくは各機能の紹介を参考にしてください。

機能一覧
独自ドメインの設定 / データベースのパスワード変更 / DNSサーバーの確認 / メールアドレスの設定 / Cron / SSL / FTPアカウントのパスワード変更 / 各CMSのインストールファイル配備

転送量制限

プラン 国内 海外
転送量 無制限 5GB/月(サーバーごと)

国内IPプランは無制限、海外IPプランは5GB/月(サーバーごと)となっています。

海外IPプランは無料レンタルサーバー程度の転送量ですが、サテライトサイト目的なら気にする必要はないでしょう。

有料オプション
海外IPプランには、3GB(300円/月)の転送量増加オプションが用意されています。

SSLの仕様

標準でSSLサーバー証明書を備えており、オプション料金なしで全てのサイトを常時SSL化できます。 設定はワンクリックなので、初心者でも簡単です。 一般的に証明書は安くても年間1,000円程度(サイトごと)なので、SSL対応サイトを運営するなら非常にお得です。

共有SSL(共用SSL)
非対応です。
メモ
基本ドメイン(初期ドメイン)へのSSL設定に非対応です。

ドメイン

プラン 国内 海外
ドメイン(計) 1(10) 1(10)

契約すると基本ドメインが設定された状態でサーバーが提供されます。 独自ドメインがなくともサイトを公開できますが、基本ドメイン名は「ランダムな文字列.iqservs.jp」と意味不明なので、独自ドメインとの切り替えは必須でしょう。

IQサーバーはマルチドメイン非対応であり、サーバー1つにつき1つのドメイン(サブドメインを含む)のみ設定できます。 つまり、10個のサーバーが提供されるため、運営できるサイト数も同数となります。

同社のQドメインだけでなく、他社で取得した独自ドメインも問題なく設定できます。

日本語ドメイン
Punycodeで設定できます。
DNSレコード編集
非対応です。

データベース

プラン 国内 海外
MySQL(計) 1(10) 1(10)

MySQLに対応しています。

データベースはサーバーごとに1個となっています。

データベース名とユーザー名は固定であり、パスワードのみ変更可能です。

データベース  
MySQL 5.6.26。ENGINES: MyISAM (標準) / InnoDB / PERFORMANCE_SCHEMA / CSV / MRG_MYISAM / BLACKHOLE / MEMORY / ARCHIVE。phpMyAdmin 4.0.4。
SQLite 3.7.7.1。PHPの場合、PDO関数とSQLite関数に対応します。
外部接続
非対応です。

FTP、その他のファイル転送機能

プラン 国内 海外
アカウント(計) 1(10) 1(10)

通常のFTPだけでなく、セキュアなFTPSにも対応しています。

アカウントはサーバごとに1個となっています。

ユーザー名は固定であり、パスワードのみ変更できます。

非対応
SFTP / SCP / WebDAV
ファイルブラウザ
他社にあるような、ファイルやディレクトリを操作するWebアプリケーションはありません。

ディレクトリ構成

非常にシンプルな構成となっています。

ホームディレクトリは「/home/users/アカウント名」、ドキュメントルートは「/public_html」となります。 設定されたドメインにアクセスすると、public_html以下のコンテンツが読み込まれます。

ホームディレクトリにも編集権があるため、図のように「/private」というディレクトリを作成して、非公開としたいファイルを保存することができます。

メール

プラン 国内 海外
メールアカウント(計) 3(10) 3(10)

サーバーごとに3個のアカウントを設定できます。 独自ドメインのみ対応であり、契約時に設定される基本ドメインでは利用できません。

対応プロトコル  
IMAP SSL/TLS、STARTTLS
POP SMTP-AUTH、サブミッションポート、SSL/TLS、STARTTLS
SMTP SSL/TLS、STARTTLS

他の機能と同様にかなり簡素化されており、メールの送受信が行えるだけです。 自動返信や転送などの機能はなく、公式サイトにウイルスチェックやスパムチェックの記載もありません。

最低限のメール運用が可能という程度です。 サテライトサイト公開が目的なので、あまり気にする部分ではないかもしれません。

メモ
メールサーバーはAWSで稼働しています。
Webメーラー
非対応です。

PHPの仕様、他の言語について

PHPのバージョンは「5.3」固定となっています。 すでにPHP7へ移行するサービスもあるため、サポートが終了している5.3のみは使い勝手が悪いように思えます。 例えば5.3でもWordPressは動作しますが、今後セキュリティ的な問題が発生しても対応されることはありません。

またPHPの一部関数が制限されており、execやshell_exec等は動作しません。 外部コマンドの実行が必要なら、Perlで実行する必要があります。

PHPの動作設定に関する機能はないため、必要に応じて.htaccessで設定することになります。 例えばエラーログを出力させるなら以下の様にします。

php_flag log_errors On
php_value error_log ログファイルのパス
仕様  
PHP モジュール 5.3.25。
Perl 5.10.1
Ruby ×
Python ×
SSI ×

標準で読み込まれる拡張モジュール

Loaded extensions Core date ereg libxml openssl pcre sqlite3 zlib bcmath ctype curl dom fileinfo filter ftp gd gettext hash iconv intl json mbstring mcrypt SPL session standard mysqlnd PDO pdo_mysql pdo_sqlite apc posix Reflection mysqli SimpleXML soap sockets SQLite mysql tokenizer wddx xml xmlreader xmlrpc xmlwriter xsl apache2handler Phar imagick zip
5.3.25

Cron

プラン 国内 海外
Cron(計) 3(30) 3(30)

一つのサーバーにつき3個まで設定できます。

ハードウェアとソフトウェア

OS
CentOS release 6.8 (Final)
仮想環境で動作しています。
CPU / メモリ
2コア割り当て(ホストはXeon E5-2650 v2 2.60GHz相当) / 1GB割り当て
仮想環境で動作しています。
CMSインストール支援
WordPress / MovableType5 / concrete / PukiWiki / Joomla / Drupal / NetCommons / XoopsCube
インストールファイルを配備するだけです。インストール作業は手動です。
コマンドとライブラリ
IQサーバーに導入されているコマンドとライブラリはこちらを参考にしてください。
ファイルの存在を確認しただけであり、パーミッションによっては動作しないものもあります。
非対応
SSH / 各種ログ / アクセス解析 / バックアップ

サポート対応

サポートはメールのみ対応であり、公式サイトのお問い合わせフォームを利用します。

支払い方法

支払い方法  
クレジットカード Visa、Master、JCB、AMEX
銀行振込 ジャパンネット銀行。振込手数料が必要です。
コンビニ決済 ローソン、ファミリーマート、サンクス、サークルK、ミニストップ、デイリーヤマザキ
ペイパル

解約方法

自動更新に非対応となっているため、有効期限が過ぎると自動的に解約となります。 継続利用する場合は、アカウントの有効日数に注意する必要があります。

まとめ

ここまでの紹介で把握できたと思いますが、IQサーバーはサテライトサイトの運用に特化したサービスです。 公式サイトではそのような説明はありませんが、仕様を確認すれば一般的なサイト運営に向かないのは確かです。

SEOを十分に理解して利用するなら、複数のサーバー(IPアドレス)を一括契約できるため魅力的なサービスと言えます。

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