あまりにも遅いHostingerのFTP性能はオリジナルサイトの開発に向きません

Hostinger (ホスティンガー) は無料レンタルサーバとして有名なサービスです。とりあえずレンタルサーバーを使ってみたいという理由であれば気軽に試すことができます。しかし、海外のデータセンターを利用するため、ネットワーク環境の (主に距離的な) 影響によりレスポンス性能は高くありません。無料ながらも広告が表示されないというメリットはありますが、本格的なサイト運営には向かないでしょう。

レンタルサーバーを検討するとき、ほとんどの人はFTPの転送性能を気にしません。しかし、FTPを多用するのであれば、レスポンスの良いサービスを選択するべきです。転送速度が遅ければ作業効率が悪くなり、何しろストレスとなります。

それでは、HostinerのFTP転送性能 (レスポンス性能) について評価し、他のレンタルサーバーと比較してみましょう。Hostingerの詳細な仕様については、当サイトのレビューを確認してください。

FTPの仕様

プラン 無料 プレミアム ビジネス
アカウント 2 無制限 無制限
FTPS ×

無料プランはFTP (暗号化無し) しか利用できないため、重要なデータを転送するには不向きです。有料プランであればセキュアなFTPS (FTP over SSL/TLS) に対応しています。とは言え、無料プランで重要なデータを扱うこともないので、あまり気にする必要もないでしょう。

追加するアカウントにはアクセス可能なディレクトを指定できます。指定ディレクトリより上位へは移動できないため、第三者に発行するアカウントとして利用しやすいでしょう。

net2ftp というファイルマネージャ (Webアプリケーション) があり、簡単な操作であればFTPクライアントは不要です。

net2ftp
新規作成、コピー、移動、名称変更、パーミッション変更、ZIP、UNZIP、検索、アップロード、ダウンロード

測定方法

5分毎 にアップロードとダウンロードを実行します。

  • Webページを構成するファイルのアップロードとダウンロード
    • テキストファイルや画像ファイル
    • (HTTP) レスポンス性能の評価に利用しているサイト (ページ) を構成するデータ群
  • 合計ファイルサイズは約2MB (約20ファイル)

最大3つのファイルを並列転送します。レンタルサーバーがそれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この測定結果より早く転送できることになります。

測定期間

測定期間は 7日間 です。

測定と言っても一度きりでは意味がないので、一定期間の継続した測定を行っています。「たまたま利用者が少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果を出すことを (完全ではありませんが) 省けます。

一定期間測定することで、利用者数 (訪問者数) が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、利用者の少ない深夜と、利用者の多い日中との差が小さければ、負荷に強いサーバーということを推測できます。

測定経路

サーバーは測定専用として測定以外の処理は行っていません。

測定環境
eo光(K-Opticom/関西電力)100Mタイプ
ルーターと測定用サーバーは有線接続

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定 2,013回 2,015回
棄却検定除外 0.45% (9) 0.20% (4)
棄却検定閾値 67.3秒 28.9秒
エラー 0.15% (3) 0.05% (1)
3秒以上 99.6% (2004) 99.8% (2011)
中央値 30.2秒 20.0秒
平均値 33.4秒 20.5秒
ばらつき/標準偏差 7.13秒 1.83秒
測定結果について
有効測定はエラーを省いた回数を示します。
測定実行のタイミングによりサーバーやネットワークの状態 (混雑具合) が変動します。集計に影響を与える一時的な異常値 (外れ値) を棄却検定 Grubbs' test (α=0.001) により省いています。
生データ (未加工データ) は最後に掲載しています。
ばらつき (標準偏差)
統計的な話ですが、転送時間の 約68%平均値 ± ばらつき に、約95%平均値 ± ばらつき×2 に収まることを示します。つまり、ばらつきが小さいほど転送性能が安定しているといえます。
エラー内容  
アップロード [3] タイムアウト[3]
ダウンロード [1] リトライエラー[1]

Hostingerの評価

遅い の一言です。アップロード、ダウンロードともに非常に転送速度が遅く、他のレンタルサーバーと比較してもかなり下位の性能です。おそらく時間帯による転送性能の変化があると思いますが、ここまで遅いとそこを検証する意味がありません。上位サービス (有料サービス) ほどサーバーやネットワークのスペックが向上するようですが、あまり期待はできないのかもしれません。

しかしWebサイトの不安定さを考えれば、FTPは安定していると言えます。エラー数も気にするほどではありませんし、遅いとは言え確実に転送することができています。Webサイトの測定結果は下記を参考にしてください。

安定していますが、非常に遅く頻繁にファイルを更新するような用途には向かないでしょう。例えば、WordPressのようにインストールさえしてしまえば、FTPはほとんど利用しないようなアプリケーションであれば問題となりません。しかし、完全にオリジナルのWebサイトであったり、WordPressのデザインを開発するには、転送速度の遅さからストレスとなるでしょう。

他のレンタルサーバーとの比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %平均値 秒中央値 秒標準偏差 秒エラー %

0.750.740.050.10.480.440.10.05

0.750.750.050.20.490.440.130.1

0.840.740.2400.730.640.180

0.860.850.060.10.590.510.190.1

0.90.70.4200.690.580.30

0.950.880.240.20.710.620.260.1

0.950.830.320.20.720.660.270.1

WordPress

0.990.880.320.250.710.590.280.35

1.040.780.4900.720.620.30

1.050.860.440.250.720.610.320.05

1.10.840.480.20.860.720.380.2

1.111.10.083.170.730.70.111.87

1.211.10.330.350.750.690.250.3

PHP&MySQL

1.331.270.260.11.131.010.250.1

SFTP

1.391.350.1401.061.030.110

1.441.210.6701.191.110.290

1.51.490.0701.331.20.540

1.531.530.090.90.890.870.091

1.561.550.100.970.960.070

1.581.580.060.050.980.870.210

SFTP

1.611.60.0701.721.690.120

1.611.560.1901.131.210.250

1.611.60.101.080.970.210

1.621.550.190.051.211.20.10.05

1.671.660.150.250.980.970.070.25

1.731.730.1101.061.050.090

1.771.80.2401.081.040.140

SFTP

1.831.850.2701.331.290.150

1.881.710.6901.531.520.330

1.9820.3301.191.150.110

新サーバー

2.112.030.350.41.441.360.40.2

2.141.920.6901.251.220.160

2.262.030.630.31.331.270.150.3

2.382.310.30.052.462.420.290.05

旧サーバー

2.482.280.550.151.921.780.520.05

2.622.41.022.81.841.740.631

2.922.51.1202.992.481.410

2.972.441.190.051.390.541.760

SFTP

32.990.2401.931.90.130

3.093.120.1601.361.330.120.05

3.413.410.0901.861.840.080

5.533.923.450.355.863.954.10.25

6.7500.730.28.7200.980.1

海外

11.611.60.4806.796.740.280

海外

12.112.10.507.477.450.190

海外

12.312.30.52010.910.31.350.05

海外

16.616.50.560.210.110.20.860.25

海外

33.430.27.130.1520.5201.830.05

海外サーバーとは言え、ここまで遅いサービスはなかなかありません。この比較結果を見れば、FTPを多用する用途に向かないことが分かるでしょう。

もし、FTPを多用するのであれば国内のサービスを選択すると良いでしょう。国内のレンタルサーバーでも性能差はありますが、海外サーバーと比較すればどのサービスでもストレスとなりません。

あえてHostingerを選ばなくても、国内には大手事業者の無料レンタルサーバーがいくつもあります。広告の非表示が絶対条件であれば、Hostingerも悪くない選択です。しかし、不安定さ (主にネットワーク) やレスポンスの悪さを考慮すると、ブログ程度であってもあまり本格的なサイトには向かないことを覚えておきましょう。

国内の無料レンタルサーバーであれば、以下のサービスをお薦めします。特にエックスドメインやWebcrowは広告表示がスマートフォンとタブレットからのアクセス時に限られます。パソコンからのアクセスをターゲットにしたサイトであれば全く問題となりません。もちろん、独自ドメインも利用できます。

測定結果 (未加工データ)

  アップロード ダウンロード
3秒以上の割合 100% (2013) 100% (2015)
中央値 30.2秒 20.0秒
平均値 33.6秒 20.5秒
ばらつき/標準偏差 7.83秒 1.91秒

測定結果について!
レンタルサーバーは、一つのサービス (プラン) に対して多くのサーバーが運用されています。これらの測定結果は、その中の一つに過ぎません。契約時期により割り当てられるサーバーのスペックは異なる可能性があります。また、同じサーバーを利用する他のユーザーの負荷も影響します。

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