さくらインターネットのファイル転送性能レビュー

レンタルサーバーを選ぶときに、ファイル転送性能を気にする人はほとんどいません。 特にWordPress等のCMSでWebサイトを運営するなら、FTP等の利用頻度は低く、たまに利用するだけなら気にする必要もありません。

しかし、独自Webサイトの開発など、頻繁にファイルを更新する用途であれば、ファイル転送性能も重要な検討項目です。レンタルサーバーを選ぶときの絶対的な条件ではありませんが、あらかじめ確認しておけば後悔することもないでしょう。

さくらインターネットの全てが分かる
さくらインターネットのレビュー

測定方法

アップロードとダウンロードに要する時間を測定します。

  • PythonのFTP関数(ftplib)を利用し、スレッドにより最大3つのファイルを並列転送します。
  • ファイル数は51個、ファイルサイズは計2.5MB
    • Webサイトの表示速度測定用のコンテンツ(ファイル群)を利用します。

レンタルサーバーがこれ以上の同時接続を許可していて、FTPクライアントも並列転送に対応していれば、この結果より早く転送できることになります。より詳しい内容は下記を参考にしてください。

測定期間

測定期間は 7日間 とし、6分ごとの測定で約1,600回となります。

一度きりの測定では全く意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。 継続測定により、ネットワークやサーバーの負荷が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。 いつでも安定していれば、ネットワーク性能が優秀であることを推測できます。

測定経路

さくらインターネットのデータセンターは、大阪、東京、北海道(石狩)にあります。プランや時期により割り当てられるデータセンターは異なります。これまでは大阪の割り当てが多い印象でしたが、今回は東京となっています。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。

測定環境
測定専用サーバー / Ubuntu 16.04 LTS
ネットワーク / K-Opticom(関西電力)、関西圏(赤い円内)

測定結果

  アップロード ダウンロード
有効測定数 1,626 1,661
棄却検定除外 51 17
棄却検定閾値 (ミリ秒) 2102 2391
エラー 0 0
中央値 (ミリ秒) 1990 2050
平均値 (ミリ秒) 1992 2065
標準偏差 (ミリ秒) 23 69
測定結果について
サーバーやネットワークの負荷状態による、一時的な異常値(外れ値)を棄却検定(Grubbs' test α=0.001)により省いています。未加工のデータを最後に掲載しています。
標準偏差(ばらつき)は、転送時間の「約68%が平均値 ± x1」に、「約95%が平均値 ± x2」に収まることを示します。値が小さいほど安定します。

さくらインターネットの評価

他のレンタルサーバーと比較して転送速度は速くありませんが、非常に安定しています。 一定の速度が維持され、いつでも同じ感覚で作業できます。 ばらつきの多いサービスと比較すれば、ストレスの溜まりにくい特性です。

未加工データと比較すると分かりますが、棄却検定を適用した結果との差がありません。 それだけ一時的にも大きな遅延が発生しないことが分かります。

上位サービスと比較すると倍以上の差があるため、それらと併用すると遅さを体感してしまいます。 上位サービスの利用経験がなく、単独で利用するなら気になることはないでしょう。

他社との比較

プロバイダー 環境など アップロード ダウンロード
公式サイト 平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %平均値 ミリ秒中央値 ミリ秒標準偏差 ミリ秒エラー %

725725280673671200

WordPress

7547356308387661950

987845326010789323840

15531630134013981393220

16361615880165916221260

1992199023020652050690

未加工データ

  アップロード ダウンロード
中央値 (ミリ秒) 1991 2051
平均値 (ミリ秒) 2001 2072
標準偏差 (ミリ秒) 67 103

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されており、全てを評価することは不可能です。さらに共用サーバーの場合、処理性能は他サイトの負荷に大きく左右されるため、間違いなく当たり外れが存在します。hostingstockで公開している結果はそれらのうちの一つに過ぎませんが、良い結果でも悪い結果でもそのまま掲載します。悪い結果であっても事業者側が「許容範囲内の品質」として提供したサービスである以上、特別な理由がない限り別サーバーでの再測定は行いません。

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