PHP7対応でも安定のレスポンス性能!さくらインターネットの性能レビュー

測定方法を変更してから初めての測定となります。以前はブラウザの動作を摸した擬似的な測定でしたが、今回からブラウザベースとなっているため、より実環境と近い結果が得られるようになっています。変更したとは言え「サーバーからデータを取得する」という本質的な部分に差はないので、過去の評価も参考となります。

さくらインターネットでは2016年末にようやくPHP7対応となりました。 すでに多くのサービスで対応済みとなっており遅い印象もありますが、7.1の採用であり7系が安定するまで保留していた可能性もあります。

PHP7はPHP5と比較して実行速度やメモリ管理が改善されています。 これまで多くのレンタルサーバーで比較評価を実施していますが、どのサービスであってもPHP7を適用することで、Webサイトの表示速度が確実に改善されています。 企業で採用するなら互換性や安定性を重視してPHP5系となるでしょうが、個人用途ならPHP7を選択するべきでしょう。

それではさくらインターネットで稼働するWebサイトのレスポンス性能を評価してみましょう。

さくらインターネットの全てが分かる
さくらインターネットのレビュー

Webサイトの表示速度の重要性

少し古い情報ですが、様々な調査結果により 3秒 という時間がレスポンス性能のキーワードとなります。現在はよりシビアになっているでしょう。

コンテンツが表示されるまでに3秒を超えてしまうと、

  • 訪問者の40%がサイトから離脱(データによっては57%)
    • 訪問者の47%は2秒以内の読み込みを希望
  • 訪問者の79%は、そのサイトを再訪しない

レスポンス性能の影響は様々です。

  • 1秒遅くなると、ページビュー11%減、コンバージョン率7%減、顧客満足16%減
  • 10万ドル/日を売り上げるサイトであれば、1秒の遅れで250万ドル/年の損失
    • Amazonであれば1秒の遅れで、16億ドルの機会損失
  • モバイル環境(スマートフォンなど)ではネットワーク環境が貧弱なこともあり、より厳しい評価となります

快適なWebサイトの条件は、「最低でも3秒以内」「理想は2秒以内」のレスポンスとなります。それを越えてしまうと、どうしても必要とする情報がない限り目に触れる機会すらなくなります。

レンタルサーバー選びで大切なポイントは「Webサイトの表示速度」です。いくら豊富な機能に対応しても、不安定であったりレスポンスが悪かったりすれば絵に描いた餅です。訪問者を自分に置き換えれば、なかなか開かないページにイライラすることは想像に難くないでしょう。そして、レスポンスの悪さはSEO的(検索順位)にも悪影響です。

参考
How Loading Time Affects Your Bottom Line
The Cost of Poor Web Performance - INFOGRAPHIC

測定方法

測定用サーバーから定期的にアクセスして、コンテンツの取得に要する時間を測定します。測定対象として「WordPress(動的ページ)」と「HTML(静的ページ)」があります。より詳しい内容は下記を参考にしてください。

測定対象  
動的ページ(WordPress) WordPressサイト(PHP&MySQL)。コンテンツは平均的なWebページの構成を採用(HTTP Archiveの統計データを利用)。
静的ページ(HTML) HTMLファイルによるサイト。WordPressが生成したデータをHTMLファイル化。PHPとMySQLを使用しません。

測定期間

一度きりの測定では全く意味がないため、一定期間の継続した測定を行っています。例えば、訪問者の少ない深夜または早朝に測定すれば、最も良い結果を得ることが可能です。反対に、悪い結果が欲しければ負荷ピーク時に測定すればよいだけです。継続した測定により、「訪問者が測定時だけ少なくレスポンスが良かった」「一時的なトラブルが原因でレスポンスが悪かった」という、誤った結果となることを防げます。

測定期間は 7日間 とし、6分ごとに2回の測定を行うため約3,300回となります。

一定期間測定することで、訪問者数が変動する日中、夜間、深夜の差を確認することもできます。例えば、訪問者が多くなり負荷が高くなる夜間と、負荷の下がる深夜との差が小さければ、負荷に強い安定したサービスであることを推測できます。

測定経路

さくらインターネットのデータセンターは、大阪、東京、北海道(石狩)にあります。プランや時期により割り当てられるデータセンターは異なります。これまでは大阪の割り当てが多い印象でしたが、今回は東京となっています。

経路図は測定元からデータセンターまでのネットワークを示しており、経由するIX(インターネットエクスチェンジ)等を含みます。

測定環境
測定専用サーバー / Ubuntu 16.04 LTS
ネットワーク / K-Opticom(関西電力)、関西圏(赤い円内)。

測定結果

  WordPress HTML
有効測定数 3,331 3,349
除外数 (割合)
異常値 (標準偏差) [ミリ秒]
29 (0.86%)
2074 (238)
11 (0.33%)
1740 (404)
エラー (割合) 0 (0%) 0 (0%)
中央値 [ミリ秒] 1110 804
平均値 [ミリ秒] 1116 806
標準偏差 [ミリ秒] 122 92
HTML取得 [ミリ秒] 371 (80) 77 (23)
測定結果について
サーバーやネットワークの負荷状態による、一時的な異常値(外れ値)を棄却検定(Grubbs' test α=0.001)により省いています。未加工データは最後に掲載しています。
標準偏差(ばらつき)は、レスポンスの「約68%が平均値 ± x1」に、「約95%が平均値 ± x2」に収まることを示します。値が小さいほど安定します。
「HTML取得」は最初にHTMLデータを取得するまでの時間であり、グラフのResponse(破線)に対応します。HTMLデータを基にCSS、JS、画像などの取得が開始されます。グラフのDOM(実線)は全データの取得に要した時間を示します。

さくらインターネットの評価

さくらインターネットの特徴は大規模なバックボーンを備えていることでしょう。 データセンター間は専用回線で直結されており、例えば東京のデータセンター(DC)で稼働するWebサイトに関西圏からアクセスすると、大阪DC経由で東京DCに接続されます。 そのため、どのデータセンターが割り当てれてもレスポンスに大きな差は発生しません。

測定方法を変更しても本質的な部分に差はないため、前回の測定結果と変わらず安定した結果となりました。 前回はPHP5での測定ですが、元々安定していたためPHP7との差はあまり分かりませんね。 とは言え、PHP7が安定性そして実行速度ともに優れているため、これからWebサイトを運営するならPHP7がおすすめです。

平均値は1116ミリ秒(1.1秒)であり、冒頭で紹介した3秒を優に上回ります。 WordPress程度の負荷の低いアプリケーションなら、少々プラグインを追加しても全く問題となりません。

安価または低品質なサービスの場合、訪問者が増加する時間帯(夜間や正午)にレスポンスが低下しますが、さくらインターネットはいつでも安定した性能を維持していることをこの結果から確認できます。

あまり特徴のないサービスですが、質実剛健ともいえます。 利用者が多いため情報も多く、初心者にもおすすめしやすいサービスです。

ロリポップ!、エックスサーバーとの比較

  さくらインターネット
PHP7.1/CGI
ロリポップ!
PHP5.6/CGI
エックスサーバー
PHP7.0/FastCGI
有効測定数 3,331 3,282 3,329
棄却検定除外 29 80 31
棄却検定閾値 (ミリ秒) 1717 3236 1579
エラー 0 0 0
中央値 (ミリ秒) 1110 1391 880
平均値 (ミリ秒) 1116 1504 853
標準偏差 (ミリ秒) 122 348 148
変動係数 (%) 10.9 23.1 17.4
HTML取得 (ミリ秒) 371 793 189
測定結果について
変動係数は「平均値に対する変動の割合」を示します。平均値が近い場合、値が小さいほど安定します。

人気の高いロリポップ!、エックスサーバーと比較してみましょう。

ロリポップ!はライトプランの結果を採用しています。 安価なサービスの代表的な傾向を確認することができます。 ロリポップ!はプラン間で性能差があるため、スタンダード以上なら改善される可能性があります。

ロリポップはユーザーを詰め込み過ぎている印象があり、訪問者の多くなる正午と夜間のレスポンス低下がかなり目立ちます。 いくら高性能なハードウェアを採用しても、収容数を制限しなければ意味がありません。 この様な状態でもエラーが頻発するようなことはないため、問題があるとは言えませんが、上位プランでも同様の傾向があり人気の高いサービスとは思えない品質です。

エックスサーバーは高性能なサービスの代表的な傾向を確認することができます。 安定性はさくらインターネットとたいして変わりませんが、やはりレスポンス速度があまた一つ抜き出ています。 少しでもレスポンス性能を重視するならおすすめですが、ブログを公開する程度の用途ならさくらインターネットでも十分です。

先にも述べましたが、さくらインターネットはデータベースやマルチドメインが無制限などの尖った特徴はありません。 しかし、基本性能は安定しており、むやみにサイトを量産するような特異な用途でなければ誰にでもおすすめできるサービスです。 データ転送量の上限も他社と比較して高めの設定となっており、アクセス数の多いサイトでも余裕をもって運営できます。

各サービスの公式サイト
  さくらインターネット / ロリポップ! / エックスサーバー

他社との比較

公式サイト WordPress HTML
環境など
PHP/WordPress/Theme
平均時間
(標準偏差)
HTML取得 エラー
異常値
(除外数)
平均時間
(標準偏差)
HTML取得
1.
WordPress PHP7/FastCGI /
722
( 153 )
88 0 4911
( 12 )
683
( 61 )
36
2.
PHP7/CGI /
907
( 66 )
244 0 1591
( 165 )
711
( 30 )
45
3.
PHP7/FastCGI /
1014
( 246 )
305 0 5093
( 44 )
797
( 154 )
82
4.
PHP7/FastCGI /
1099
( 467 )
408 0 4933
( 38 )
710
( 126 )
48
5.
PHP7/CGI /
1116
( 122 )
371 0 2074
( 29 )
806
( 92 )
77
6.
PHP5/Module /
1137
( 186 )
450 0 3163
( 119 )
741
( 122 )
50
7.
PHP5/FastCGI /
1216
( 349 )
548 0 3580
( 8 )
802
( 144 )
79
8.
PHP5/Module /
1274
( 141 )
861 0 2529
( 26 )
652
( 23 )
25
9.
PHP5/CGI /
1504
( 348 )
793 0 5690
( 80 )
786
( 207 )
54
時間の単位はミリ秒です。
データの無断転載を禁じます。
最新のデータを優先的に表示するため、記事の内容と異なることがあります。その場合は、最新の記事を参考にしてください。

未加工データ

  WordPress HTML
中央値 (ミリ秒) 1112 805
平均値 (ミリ秒) 1124 809
標準偏差 (ミリ秒) 151 108
HTML取得 (ミリ秒) 378 78

測定結果について
レンタルサーバーは1つのサービス(プラン)に対して多くのサーバーが運用されており、全てを評価することは不可能です。さらに共用サーバーの場合、処理性能は他サイトの負荷に大きく左右されるため、間違いなく当たり外れが存在します。hostingstockで公開している結果はそれらのうちの一つに過ぎませんが、良い結果でも悪い結果でもそのまま掲載します。悪い結果であっても事業者側が「許容範囲内の品質」として提供したサービスである以上、特別な理由がない限り別サーバーでの再測定は行いません。

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